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新しき星命 最後の祈り(パート3)  作者: 慧ノ砥 緒研音


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第16話 女王の剣(エルデ防衛 : カレン編)


 惑星エルディア──

 エルディア城の上空。


 グラナディア王国の二番艦エウノミア号が驀進ばくしんしていた。


 その先には、馬型でグラナディア艦隊と交戦する、エルディア王国女王、カレンの姿があった。


 グラナディア軍 副隊長のコルシエは自ら操縦桿を握る。

 その瞳は、ルビーの宝石のように真紅に光り、赤髪が揺れていた。


 「エルディアの魔女め! 私がミディス国王の目の前に引きずり出してやる!」


 猛スピードでカレンの背後に迫る。


 カレンの騎乗する馬型浮遊機〈Equus-287S〉1号騎は、全速で駆け出すと一気に鼻先を上げてピッチアップ、そのまま垂直宙返りでループを行う。


 対空砲火を天地逆のまま、猛スピードでかわす。

 耿月の剣からは、白銀の光が広がり満月ような柔らかな光が広がる。その球体はカレンと馬型を包み込む。


 カレンを捉えていた対空砲火の弾は、その月の光で弾き飛ばされた。


 鳥型兵器〈Aquila-687〉は、エウノミア号の甲板、砲台の死角に堂々とに降り立つ。

 翼を広げて翼下のビームカッターを乱射して砲台を破壊する。


 コルシエは、自分の赤髪を掻きむしる。

 「新型のアプライド8(エイト)型、ユニコーンを全機発信させよ! 全軍、空中戦に注力せよ! 目標は空飛ぶ魔女のみだ! 城からしゃしゃり出た今がチャンス! 生け捕りにしろ!」


 輸送船のハッチが開く。


 中からアンドロイド兵が騎乗した、新型の馬型アンドロイド兵器 New『Unicorn-288』が投下される。


 ハッチから落下すると、『Unicorn-288』は上空で鞍の両側から金属の翼が迫り出した。

 翼は関節部から金属の擦れる音を発しながら折り畳んでいた翼を拡げた。

 

 グラナディア軍の開発した、新型のユニコーン型は、背中に金属の翼が格納され、空中での機動力を格段とアップさせた。対空中戦などでその本領を発揮する。

 

 空を滑空して隊列を組む『Unicorn-288』。その数 10 騎。


 騎乗のアンドロイド兵の腰には、長い金属のロープが丸く括られていた。

 

 ユニコーン型の隊列が、急降下しながらカレンの馬型の背後に迫る。


 カレンを守るように、鳥型兵器がその間に割って入る。

 ユニコーン型の胸部が大きく左右に開いた。

 その中央から大型のガトリング型ブラスターが前にせり出すと火を吹いた。

 

 鳥型兵器〈Aquila-687〉も、レーザーカッターを放射しようと翼を広げようとするが、その動作の途中、ガトリング砲の前に撃ち落とされた。


 他の鳥型はユニコーン型の上空から、グレネード弾をばら撒く。

 隊列は崩れるが、ユニコーン型は翼を広げて急旋回。

 鳥型の背後に回り込み、躊躇なく放たれたガトリング弾が、鳥型の翼に幾つもの穴を開けた。

 爆発とともに落下する。エルディア軍の鳥型兵器。


 その落下する炎を見ながら、カレンは歯を食いしばる。


 剣を抜きながら、旋回する。


 体制をととのえながら敵のアンドロイド兵に向かって馬型のスロットルを全開にした。

 ユニコーン型も急旋回して、再度カレンの背後をとる。


 その時、カレンの脳裏に光が届いた。

 時が一瞬とまるような感覚。


 遠い星から時空を超えてきたその光は、カレンの頭の中で声となる。


 聞いた事はない声だったが、その少年のような声はどこか懐かしく、カレンの脳に優しく語りかけた。


 「カレン様、一旦お引き下さい。 城のドームに戻るのです。 あの中ならば、しばらくは持ち堪えれます。 あと3時間ほどでセラフィムゲートが開きます、ソフィ……」


 その瞬間、カレンを包み込んでいた満月のような光の殻が、ガトリング砲の連続弾により亀裂がはいる。


 次々と撃ち込まれるガトリング弾。


 とうとう、カレンを守っていた殻が割れた。


 光の殻が粉々に飛び散り、光の粒子となると空に溶けていった。


 背後に迫るアンドロイド兵は腰に提げた、金属のラリアット(投げ縄)の端を掴み、右手で金属の輪を頭上で振り回し、遠心力で勢いをつける。


 ヒュー、ヒューと風を切る金属の音が、カレンの耳に届く。


 カレンは、馬型をエルディア城に向けて急降下させるが、アンドロイド兵から金属の輪が放たれる。


 弧を描いて飛んだ縄は、まるで意思を持っているかのように正確にカレンの体へと伸びた。


 次の瞬間、輪がカレンの体を締め付けた。

 耿月の剣を右手に持ったまま……

 その体を金属の輪は、容赦なく締め付ける。

 「うっ!」


 耿月の剣に力を込めようとしたが、もうひとつのラリアットがカレンの手首に巻き付いた。


 さらにもうひとつの輪が、カレンの体をさらに締め付ける。


 それと同時に、アンドロイド兵の腕から光が走り、金属の縄を伝うとカレンの体の輪を1周して火花が散った。


 カレンの首が後ろに倒れる……



  遠のく意識の中、娘の泣き声が聞こえた気がした。


「オーロラ……ごめんね……」


 右手から、耿月の剣が抜け落ちた。



 騎乗で意識を失ったカレンは、金属の縄に縛られたまま馬型から落馬し、空中で宙づりとなる。


 馬型と鳥型が急上昇して。その後を追うが、ユニコーン型のガトリング弾に蹴散らされた。


 カレンは、3 騎のユニコーン型に引きずられるように、巨大なエウノミア号のハッチの中へと消えていった。


 主を失った、耿月の剣はきらめきながら、空中より落下して、地面に鈍い音をたてて突き刺さった。


 グラナディア王国の二番艦エウノミア号とその艦隊は回頭し母国へと進路を変え、遠く消えていった。


 * * *


 リュミエール軍のエルザは、地面に突き刺さった、耿月の剣をゆっくり抜いた。


 剣を両手に抱えると両膝をつき、涙を流していた。


 「カレン陛下……」

 ガルスとマックス博士も、うな垂れる。


 半分焼け落ちた、エルディア王国の国旗が、今にも千切れそうに風にはためいていた。



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