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新しき星命 最後の祈り(パート3)  作者: 慧ノ砥 緒研音


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第12話 隊長の背(エルデ防衛 : カレン編)


 惑星エルディア エルディア城

 外縁の門──


 サディスとエルザは、上空を見上げる。

 駆逐艦の砲門が、こちらへと狙いを定める。


 エルザ「サディス軍隊長! 一旦、引きましょう! 城の方へ……!」


 サディスはエルザに頷くと、アンドロイド兵を狙い撃ちながら、ゆっくりと後退し始めた。

 

 その時だった。

 駆逐艦より主砲のブラスター光弾が射出された。


 赤い尾を引きながら、サディス達の方へと向かう。


 「退却ーー!」 

 サディスは他の兵士とともに城の方へと走りだした。


 サディスの背後の城門を光が裂いた。薄暗い城門が、爆発とともに赤い炎をあげる。


 その煙の中で、退却に遅れたエルディア兵が横たわっていた。


 連続して、駆逐艦からのブラスターが着弾する。


 サディスは爆風で前に吹き飛ばされた。


 ガルスが駆け寄る。

 「サディス軍隊長!」


 サディスは吹き飛ばされた勢いで、頭を激しく打っていた。額からは大量の血が流れる。


 「軍隊長!歩けますか!?」

 ガルスは、サディスに肩を貸す。背後からアンドロイド兵が近づく。


 ふたたび、上空の駆逐艦からブラスター弾が着弾する。

 ガルスもサディスとともに吹き飛ばされた。


 エルザの声が戦場に響きわたる。

 「一旦退却! 引けー! 引けー!」


 ガルスも吹き飛ばされた時に、左腕を骨折したようだ。


 しかし、再びよろよろ立ち上がるサディスを背負おうとする。近くの兵士も手を貸そうと駆け寄った。


 サディスが叫んだ。

 「お前らは引けー! 国民を守るのだー!」


 そう言うと、ガルスの腕を振り払いサディスはアンドロイド兵の中へとひとり走りだした。


 「ガルス! 命令を言い渡す! カレン陛下とご家族達を必ず守れ!」


 ガルスは、振り払われた勢いで、倒れながらサディスの背中を目で追った。


 ガルスは立ち上がると、エルザと共にサディスを追うが、ブラスター弾が次々とエルディア城の庭園に着弾する。



 その砲撃を避けるように、サディスは走り抜ける。


 サディスは、雄叫びをあげながら剣を抜き放つと、アンドロイド兵の銃撃を滑り込みながら避け、敵の懐にはいる。


 剣でアンドロイド兵の腕の関節部を叩き落とす。関節部分は強度が弱いようだ。

 

 ブラスターを持ったアンドロイド兵の腕が落ちる。

 サディスの額から流れる血が、アンドロイドに飛び散る。


 敵のブラスターを拾うと、その勢いのまま、後ろのアンドロイド兵の目を剣で突き抜く。

 目のセンサーから火花をあげるアンドロイド兵からも、ブラスターを奪う。



 サディスは、両手にブラスターを構えると、アンドロイド兵に向けて撃ちまくった。


 しかし数で圧倒するアンドロイド兵が、サディスを取り囲む。


 サディスの体にブラスター弾が何発も撃ち込まれる。

 サディスは、口から血を吐き出しながら呟いた……



 「カレン陛下、レオン王配、そしてリュシア……あなた方と出会えて……私は幸せでした……」

 サディスを押し潰すほどに、アンドロイド兵が彼を囲んだ、その時──


 「エルディア……エルディアに光を導きたまえ!」


 サディスは、隠しもっていた防弾チョッキの中のグレネードのスイッチをいれた。


 ピピッ

 電子音が一瞬静まり返ったアンドロイド兵の群れの中で響いた。


 ……


 爆風に阻まれながらも、ガルスは這いつくばりながら煙の中を見やる。

 炎の向こう、アンドロイドの群れの中で、サディスが何かを叫んだように見えた。


 直後──閃光。


 ……


 サディスのグレネードは大きな爆発とともに、アンドロイド兵の群れを吹き飛ばした。



 「隊長ォォォォ!!!」

 ガルスの絶叫が戦場に虚しく響いた。



 * * *


 上空からの、駆逐艦の圧倒的な破壊力に、エルディア軍もエルザの隊も、逃げるしか術が無かった。

 駆逐艦が迫り、こちらに向いた砲門は、その黒く丸い闇をエルディア軍隊兵達に見せつけた。



 その時──

 エルディア軍の頭上に、一筋のあおい光が帯を引く。


 ガルスとエルザ達は──

 天駆ける馬に跨がる、白銀の女神を見た。


 「カレン陛下……!」


 それは魔女では無く、明らかに女神の姿だった。


 額にキズのある馬型浮遊機〈Equus-287S〉

1号騎に跨がり、白銀の甲冑を纏い〈耿月こうげつつるぎ〉を掲げる。


 昇ったばかりの月光の淡い光に包まれながら、カレンは夜空を駆ける。


 カレンは、上空からアンドロイド兵の群衆の中央に空いた大きな爆心地の穴と、サディスの剣がきらめくのを見つめた。


 カレンは月を仰ぐ……彼女のアクアマリンブルーの瞳が、悲しみに濡れ、怒りに燃え上がる


 彼女の涙は雫となり、あおい帯の道に沿って、流れ星のように落ちていく……



 カレンの馬型の後ろには、鳥型兵器〈Aquila-687〉10機が続く。


 鳥型の翼下からレーザーカッターの波紋が弧を描きながら放たれ、駆逐艦へと吸い込まれる。

 光の弧は艦の装甲を切り刻むと、火炎とともに爆風が吹き出した。


 駆逐艦から何発もの対空砲火が飛び出るが、カレンの馬型浮遊機〈Equus-287S〉のAI制御は、回転しながら空中で舞い踊り、いくつもの弾をいなす。

 


 高く舞い上がったか思うと、今度は急降下しながらカレンが咆哮した。


 「立ち去れぇぇ! 悪魔どもーー!」



 カレンは叫びながら、耿月の剣を振り抜いた。


 銀色に輝く三日月の弧が放たれる。その三日月は輝きを増しながら、みるみる大きくなり、駆逐艦の艦橋に吸い込まれた。


 刹那、激しい爆風が舞い上がり、駆逐艦は大きく傾きながら制御を失って落ちていく。



 地上では、エルザが振り返る。5mほどある、さそり型兵器〈Scorpius-26C〉が群れをなして教会のある方向から突進してきた。


 エルディア軍の兵士達が、その勢いに道を空ける。蠍型は城の外縁に並んだ。


 蠍型兵器の尾の先端が赤く光る。

 その光はみるみる大きくなると、前方へ一筋の光弾となり、僅かに残ったアンドロイド兵を串刺しに貫く。

 次々とアンドロイド兵の屑鉄が積み上がる。


 ガルス達が城門に着いた頃には、5mほどある、蟹型兵器〈Cancer-068〉が両手のはさみを高く広げ、それぞれが翠色のレーザーを放出する。

 光は膜となり、それぞれが繋がりドームを形成していく。


 城門の前では、象型〈Taurus-341〉が長い鼻を高く掲げた。

 象型の背にはマックス博士と助手のAIロボットオラクルが乗っていた。

 

 オラクルは、エルディアの古代兵器AIとジョイントするのに成功したようだ。


 エルディア古代兵器の制御補助として、オラクルの優秀で緻密な計算がエルディア古代兵器の頭脳に浸透する。


 ドーム型の膜は、象型の高く掲げた鼻に押し上げられるように、更に大きく広がる。エルディア城周辺はそのドームに包まれる。


 駆逐艦から放たれる砲弾は、ドームにぶつかると空で爆発する。ドームには一瞬、虹色の波紋が発生するだけだった。


 ドームの膜は夜なのに発光して、城下町も含めて明るく照らし出していた。



 駆逐艦を次々と切り刻むカレンと鳥型兵器……


 しかし、その背後には、ひときわ大きな影が接近する。それは大型戦艦……


 グラナディア王国の二番艦エウノミア号が驀進ばくしんしていた。



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