悪役令嬢に転生したら、謙虚堅実に生きるのが最適解
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
「セリア、君との婚約を破棄する!」
王立学園の卒業パーティにて。
私に婚約破棄を突きつけてきたのは、この国の王太子、ハリボテウス゠フォン゠ゲータ・ニィガ様。
私の婚約者で、将来は王となるお方。
そんな方からの、突然の婚約破棄。
「理由を聞きたいようだな?」
「はあ、まあ」
「よいだろう。セリア。貴様がノーリタンを虐めていたからだ!」
ノーリタンというのは、私たちと同級生で、平民出身の女の子だ。
ピンクブロンドの髪の毛に、無駄に大きい乳が特徴的。
ノーリタンはハリボテウス王太子にくっついて、「そうなんですぅ、セリア様に虐められてぇ」と泣いている。
もちろん、嘘泣きなのはわかってる。
「次期王妃となるものが、虐めに加担するとは何事か! 貴様は僕の妻にふさわしくない! よって、セリア゠フォン゠カーライル、君との婚約を破棄させてもらう」
なるほど、状況は理解できた。ので。
「承知しました」
と私はあっさりうなずく。
ノーリタンがニヤリと笑っている。
まあ、私を陥れて、自分は王太子妃になれた、と喜んでいるのだろう。
まあ、私にとっては、婚約破棄は願ってもないことだった。
私はこの【ゲームの展開】について、知ってる。
自分が、婚約破棄される運命を理解していた。
だから、五歳から今日まで10年の間、謙虚に、堅実に生きてきた。
私にとってこの婚約破棄は、予定調和なものなのだ。
破棄されるとわかっていたから、そうならないように立ち回ることもできた。
でも私は、破棄されたかった。王太子妃なんてめんどくさいことを、やりたくなかったからだ。
ということで、私はさっさと王城を立ち去る。
さよなら、王国。さよなら、王太子。
あとのことは任せたよ、ノータリン、じゃなかった、ノーリタン。
★
そして数ヶ月が経過した。
私は王国の隣、マデューカス帝国で、小さな治療院を開いていた。
五歳の時に、前世を思い出した。
自分がOLであること、やりこんだ乙女ゲームの世界に転生したこと、そして、破滅する悪役令嬢セリア゠フォン゠カーライルに転生したこと……。
いずれ婚約破棄された後も、生きていけるように、私は五歳から謙虚に堅実に生きてきた。
まず、治癒魔法を鍛えた。
設定だと、魔力は10歳になるまでは、使えば使うほど量が増えると知っていたから。
次に、お金を貯めた。
お小遣いをもらったら全て貯金。
プレゼントにアクセサリーやドレスをもらったら、貯金。
無駄遣いを一切しなかった。
他の人たちが恋愛やら、お茶会やらで散財してる中、私はひたすらに自己投資しつづけた。
その結果、婚約破棄された後でも、こうして隣国で自立し、小さな治療院を開いて生活してる。
ああ、自由な生活バンザイ。
……って、思っていたのだけど。
「セリア! すまなかった!」
ばんっ、と治療院の扉が開いて、入ってきたのは、私を婚約破棄したハリボテウス王太子殿下だった。
なんとなく、私は彼が泣きついてくるだろうなぁ、と予想はできていた。
私の知り合いから、そんな噂を仕入れていたからだ。
「お願いだ、セリア! 戻ってきてくれ! 僕がバカだった!」
曰く、ノーリタンの嘘はあっさりバレてしまったらしい。
誰もが、私がそんな他人を虐めて、蹴落とすような人物ではない、と口を揃えて主張したからだ。
……そう、私はあまりに謙虚に、振る舞っていた。
他人に対して一切偉そうにしてこなかった。
どんな人に対しても、普通に接し、敵を作らず、困ってる人には手を差し伸べた。
その結果、周りの人たちからは、悪役令嬢なんて思われることはなくなっていたらしい。
「父上からは王位継承権を剥奪すると言われるし、取り巻きたちからは呆れられる始末……。ノーリタンはまた男を作ってどこかへいってしまったし……頼む! 僕が悪かった! 戻ってきてくれぇ!」
……私が戻れば、王位継承権が戻るとでも思っているらしい。
おめでたい人だこと。
さて。
そんなおバカな王太子に、私はこういった。
「お断りします」
と。
「どうして!?」
「戻るメリットがありませんので」
私の周りには、たくさんの私を支持する人がいるし、手に職もつけたし、貯金もあるし。
戻るメリットが一切ないのだ。
むしろ王太子妃となったら、いろいろな面倒や厄介ごとが付随するし。
「お願いだ! 戻ってきてくれ!」
「無理です、おかえりください」
「このままでは父上に呆れられたままなのだ!」
「それは、自業自得では? 私には無関係でしょう?」
護衛として雇った獣人バイトくんに、外につまみ出してもらった。
あと、学友であるマデューカスの皇子も連絡を入れて、二度とハリボテウスが、ここに来れないようにした。
悪役令嬢に転生したら、謙虚堅実に生きるのが最適解なんだなって、私はそう思ったのだった。
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