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『第六話 出会わなければ』

『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』


登場人物


神野(じんの) カナメ 16歳男子

本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。


相園(あいぞの) トワネ 16歳女子

本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。


若葉(わかば) ソウヤ 16歳男子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。


浅木(あさき) チヅル 16歳女子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。


九音(くおん) ヒヨリ 18歳女子

カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。


真弓(まゆみ) マナカ 18歳女子

ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。


シィア 15歳女子モデル

長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。


四季(しき) イズミ 16歳女子

・・・???


(こずえ) トキコ 36歳女子

“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。


神野(じんの) タエ 78歳女子

“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。


日向(ひなた) リュウマ 36歳男子

日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。


神野(じんの) アキラ 44歳男子

カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。

 

神野(じんの) アイラ 女子

カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。




ゲストキャラクター




MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル

シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。


トキコがバーで出会った男 30代後半男子

・・・???


イザベル・カーフェン 16歳?女子

一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。


アマネ・カーフェン 18歳?女子

イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。


ルシファリア 年齢?女子

・・・???


ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子

・・・???


ヒラン・アンドレイ 14歳女子

・・・???


ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子

・・・???


クレナ・アンドレイ 21歳女子

・・・???


九音(くおん) アリカ 40歳女子

ヒヨリの母親。


博士 17〜18歳女子

本名不明。”あるもの”を連れている。


タカヤ 30代前半男子

・・・???


ヨハリル 20代前半?男子

・・・???


C 16歳?女子

リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。


キファー 16歳?男子

Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。


ユーリ 60歳?男子

Cの叔父。


ガラファリア 20代後半?女子

・・・???


神野(じんの) アイハ 40代前半女子

カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。


イ・ジヨン 20代前半女子

韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。


リツ 27歳女子

ある過去を抱えている信仰者。


スグル 30代前半男子

・・・???

◯1花色荘リビング(日替わり/夜)

 花色荘のリビングにいるトワネ、ソウヤ、チヅル

 花色荘のキッチンにいるカナメ

 カナメはキッチンで晩ご飯の準備をしている

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 トワネはソファに寝転がっている

 チヅルはテレビで格闘ゲームをしている

 ソウヤはチヅルの隣に座ってチヅルがテレビでしている格闘ゲームを見ている

 話をしているカナメとトワネ

 

トワネ「(ソファに寝転がりながら)硬め濃いめ多めだぞカナメ」

カナメ「(晩ご飯の準備をしながら)う、うん」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)それ以外なら私は食べん」

カナメ「(晩ご飯の準備をしながら)分かってるよ」

チヅル「(テレビで格闘ゲームをしながら)えっ、今日のご飯ラーメンなの?」

カナメ「(晩ご飯の準備をしながら)違うけど・・・」


 時間経過


 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 テーブルの上にはカナメたちのカルボナーラが置いてある

 話をしているカナメたち

 

チヅル「全然博多ラーメンじゃないじゃん!!」

カナメ「いや、博多ラーメンなんて言ってないし」

チヅル「何でよ、硬め濃いめ多めと来たら普通ラーメンじゃん」

カナメ「僕が晩ご飯何が良いか聞いたらチヅルは何でもって答えたじゃないか」

チヅル「ゲーム中に聞いた方が悪い。あたしは集中してプレイしてたんだから」

トワネ「(呆れて)コンピューターの中でも戦いたがるとか、お前って本当に物好きだなー」

チヅル「毎日カルボナーラばっか食べたがる奴の方が物好きだろ」

トワネ「カルボナーラは庶民の嗜好品とは違って、選ばれし者だけが味わうことの出来る究極の料理だ。その素晴らしさを理解出来ないとは・・・可哀想だが、チヅルはちっこい画面で戦って幸せを得る方が良いのかもしれないな」

チヅル「牛乳と麺の味覚しか分からない馬鹿舌女がどう言っても・・・」

ソウヤ「(チヅルの話を遮って)僕はカルボナーラ以外なら何でも良いって答えたよね、カナメ」

カナメ「う、うん。だけどトワネが・・・」

トワネ「(不機嫌そうに)カルボナーラ以外の料理を作ったら次のオソレと戦う時はスリッパに変化するぞ」

カナメ「って言って脅して来て・・・」

チヅル「お前そんな脅しを信じるとか何なの!?馬鹿なの!?」

シィア「アホなの?」


 カナメは驚いて振り返る

 カナメの後ろにはシィアが立っている


カナメ「(驚いて振り返ったまま)し、シィアちゃん、いつ帰って来たの?」

シィア「27.6秒前に帰りました」

カナメ「(振り返るのをやめて)そ、そうなんだ」

ソウヤ「トキコさんは今日も遅いの?」

トキコ「(花色荘のリビングにやって来て)早上がりよ」


 花色荘のリビングにやって来る白衣姿のトキコ


チヅル「おかー」

トキコ「ただいま」

トワネ「ご苦労、これでカルボナーラ一派の人間が増えた」

カナメ「お、おかえりなさい」

トキコ「何?またカルボナーラなの?」

トワネ「ああ」

トキコ「あんたたちほんと好きねえ、よく飽きずに食べられるわ」

チヅル「好きじゃないよ!!つかもう飽きたから!!」

シィア「それでもなおカルボナーラを作って振る舞うとは、カナメは生粋のサディストですね」

カナメ「わ、悪いのはトワネだよ」


 シィアはチラッとトワネのことを見る


シィア「(チラッとトワネのことを見て)だそうですが?」

トワネ「えっ?何だって?ちょっと今、よく聞こえなかったなぁ」

シィア「とぼけやがりましたこの女」

トキコ「まあまあまあ、明日からカナメ以外の手垢のついてない料理が食べられるようになるわよ」

カナメ「手垢って・・・」

ソウヤ「また住人が増えるんですか?トキコさん」

トキコ「旅行よ旅行」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「りょ、旅行・・・?」

トキコ「喜びなさい。美味しい日本料理がいっぱい食べられるわよ」

チヅル「ま、じ、で?」

トキコ「大マジよ。あんたたちも明日は学校休みでしょ?」

ソウヤ「確かに休みですけど、そんなことをしても良いんですか?」

トキコ「ま、何とかなるわよ、他でもない司令が旅行でもして体を休めてって言ったんだから」

カナメ「お婆ちゃんが?」

トキコ「そうよ」

トワネ「お礼を兼ねて今度カナメがカルボナーラを作りに行くとタエに伝えといてくれ」

トキコ「分かったわ」

カナメ「い、いや行きませんよ」

トキコ「あらそう」

カナメ「ぼ、僕たちが出かけてる時にオソレが来たらどうするんですか?」

トキコ「ミラースーツは所持するようにって指示よ」

ソウヤ「それ、最悪現地で戦えってことですよね?」

トキコ「そういうことね」

ソウヤ「場所は本部から近いんですか?」

トキコ「馬鹿、あんまり近かったら旅行になんないでしょうが」

ソウヤ「でも遠いとオソレが来た時に作戦が・・・」

トキコ「長野なんだから歩いてでも本部に帰れるわよ」


 再び沈黙が流れる


カナメ「長野って・・・四人目のオソレを破壊した場所の先じゃないか・・・」


『第六話 出会わなければ』


◯2ANDREI総本部中央司令室(日替わり/朝)

 ANDREI総本部の中央司令室にいるタエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、第四話◯28の四人目のオソレと四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線が再生されている

 巨大な熱光線は2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合ったもの

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、四人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な猫の目

 タエとリュウマは四人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 タエ、リュウマ、たくさんのANDREIの職員たちは中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ている

 中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら話をしているタエ、リュウマ、ANDREIの職員たち


ANDREIの職員1「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)やはりツイン攻撃だと純粋に攻撃力も上がりますね司令」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)ええ」

リュウマ「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)アース破壊時の瞬間オフレット値の増加も凄いもんだよ。運も孕んでいるが、夢の一発であることには違いないな」

ANDREIの職員2「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)子供たち同士の距離がもっと縮まれば、近接戦闘も不要になりますね」

リュウマ「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)いや・・・そうとは限らん」

ANDREIの職員2「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見るのをやめて)そうなんですか?」

リュウマ「(中央司令室の巨大なモニターに再生されている第四話の◯28の四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)アフターミラーがあるからな・・・」


◯3旅館に向かう道中(昼前)

 外は快晴

 カナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコが乗っている大きな車が旅館に向かっている

 カナメとトワネは大きなの車の三列目の座席に、ソウヤとチヅルは大きな車の二列目の座席に、シィアは助手席に座っている

 トキコは大きな車の運転席に座って運転をしている

 カナメたちが乗っている大きな車は一般道を走っている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 退屈そうに外を眺めているトワネ

 話をしているソウヤ、チヅル、トキコ


ソウヤ「長野か・・・海はないな・・・」

チヅル「あたしも海行きたかった」

トキコ「(運転をしながら)温泉があるじゃない」

チヅル「温泉は冬で夏は海じゃん」

トキコ「(運転をしながら)まだ今度連れてってあげるわよ」

チヅル「(淡々と)今度があるか分からない世の中ですけどね」

トキコ「(運転をしながら)オソレを全て破壊したらいつでも海に行けるようになるわ」

ソウヤ「その頃には僕らもトキコさんの年齢になってますよ」

トキコ「(運転をしながら)私は36でもまだ現役バリバリよ、だからあんたたちが大人になっても死ぬ気で働いてもらうわ」

チヅル「ババアになってからオソレが来たらどうすりゃ良いんすか」

トキコ「(運転をしながら)そんな先のことは考えなくて良いわよ、子供は社会の将来なんか気にせず自由に生きるもんなんだし。(少し間を開けて笑って)だからこそ子供ってのはうざいし」

チヅル「先のことを考えなきゃ一生に海に行けないじゃん・・・」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)良いだろ、海なんか一生行けなくても」

チヅル「(少し笑って)あんた、クラゲが怖いんじゃないの?」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)私は日焼けするのが好きくないだけだ」

チヅル「クリーム塗りなよ、クリーム」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)クリームは食べる物で塗る物じゃない」

チヅル「(呆れて)あんたってほんとに牛乳系が好きだよねー」

シィア「乳製品の過剰摂取は脳卒中や心筋梗塞を引き起こすリスクが上がりますよ」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)そうか、なら私は幸せに死ねるな」


 時間経過


 カナメたちが乗っている大きな車が一般道で止まっている

 カナメたちの大きな車が止まっている一般道には、”車両通行止め”と書かれた赤い看板が出ており、たくさんの軍用トラックが止まっている

 カナメたちの大きな車が止まっている一般道には、たくさんの日本帝国の軍人がおり、一般道を閉鎖している

 カナメたちの大きな車が止まっている一般道にいるたくさんの日本帝国の軍人たちは、自動小銃を持っている

 カナメたちが乗っている大きな車の運転席の窓ガラスが開いている

 トワネは変わらず退屈そうに外を眺めている

 話をしているトキコと日本帝国の軍人1

 日本帝国の軍人1はトキコのANDREIの社員証を見ている

 トキコのANDREIの社員証にはあっかんべーをしたトキコの写真が貼られてある


トキコ「どう?これでANDREIだって分かったでしょ?」


 少しの沈黙が流れる


日本帝国の軍人1「(トキコのANDREIの社員証を見たまま)ふざけた写真だ」


 日本帝国の軍人1はトキコのANDREIの社員証をトキコに差し出す

 ANDREIの社員証を日本帝国の軍人1から受け取るトキコ


トキコ「(ANDREIの社員証を日本帝国の軍人1から受け取って)褒めてくれてありがと。これで行って良いわね」


 日本帝国の軍人1は大きな車の二列目の座席に座っているソウヤのことを見る


日本帝国の軍人1「(大きな車の二列目の座席に座っているソウヤのことを見て)お前だろ、二人目のオソレに殺されそうになっていたのは」

ソウヤ「僕でしょうね」

日本帝国の軍人1「(大きな車の二列目の座席に座っているソウヤのことを見たまま)負けた奴がでかい態度を取ってるんじゃねえぞ」

チヅル「は?偉そうに銃だけを構えてるおっさんが何大口叩いてんの?」


 日本帝国の軍人1は大きな車の二列目の座席に座っているソウヤのことを見るのやめる

 大きな車の二列目の座席に座っているチヅルのことを見る日本帝国の軍人1


ソウヤ「チヅル、落ち着けよ」

チヅル「(少し笑って)今度オソレが来た時はお前らの基地をうっかり攻撃してやろうかな」

トキコ「やめなさいチヅル」

軍人1「(大きな車の二列目の座席に座っているチヅルのことを見たまま)威勢が良いのは結構なことだが、日本帝国軍がANDREIに協力していることを忘れるなよお嬢ちゃん。いくら魔法の力があったって、大人の頭脳がついてなきゃお嬢さんたちは宝を腐らせるだけだからな」


 再び沈黙が流れる


トキコ「もう良いでしょ、先を進ませて」


 日本帝国の軍人1は大きな車の二列目の座席に座っているチヅルのことを見るのをやめる


日本帝国の軍人1「勝手にしろ」


 トキコは大きな車のアクセルを思いっきり踏む

 カナメたちが乗っている大きな車が勢いよく進み始める

 少しの沈黙が流れる


チヅル「感謝しない奴は死ねば良いんだよ、つかもしあたしが契約者なら真っ先にあいつを殺しに行くね、馬鹿にしたのを後悔させてやるくらい・・・」

カナメ「(チヅルの話を遮って)や、やめろって」

チヅル「黙って見てただけの奴は喋んな」


 少しの沈黙が流れる


トキコ「(運転をしながら)立場は変わるわよチヅル、今に彼らが馬鹿にされるようになるわ。あんたたちを馬鹿にしたのを後悔するくらいにね」

チヅル「それってあれでしょ、さっきトキコさんが言ってた考えなくて良い将来に起きるかどうかって話でしょ」

トキコ「(運転をしながら)少なくともあんたたちは今ANDREIの中で評価されているわ」

シィア「(淡々と)オソレの破壊も成功しているしね」

チヅル「身内から褒められても嬉しくない」

ソウヤ「でも身内から認められない限り外じゃ評価してもらえないぞ、チヅル」

チヅル「命を賭けたこともない奴に認められても嬉しいどころかイライラするんだよね」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)わがままの極みだなお前は」

チヅル「あんたはあたしと違って馬鹿にされてもご飯のことばっか考えてるもんね」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)私もカナメもソウヤも争わない方が賢いと分かってるからな」

チヅル「だからあたしだけなんだよ、いつも悔しい思いをしてるのは」

ソウヤ「僕だってチヅルと同じ思いだよ」

チヅル「嘘つくなよ、みんなにいい顔ばっかしやがってさ」

ソウヤ「それは誤解だチヅル」

チヅル「どうだかね、ソウヤは昔から八方美人過ぎるんだよ」


 再び沈黙が流れる


トワネ「(退屈そうに外を眺めながら少し笑って)私とカナメははっきり言って愛想がないし、ソウヤは自慢の美形で話を受け流すし、シィアちゃんはアンドロイドなわけだ。そりゃまあ、こんな奴らに囲まれてたら感情的なチヅルとトキコは苦労するだろうな」


 少しの沈黙が流れる

 少しするとカナメたちが乗っている大きな車が四人目のオソレの爆心地を走り始める

 四人目のオソレの爆心地には周囲にあった建物が全て無くなっている

 カナメたちが乗っている大きな車から数百メートル離れたところは四人目のオソレの爆心地の中心になっている

 カナメたちが乗っている大きな車から数百メートル離れたところにある四人目のオソレの爆心地の中心は巨大なクレーターのように凹んでいる

 カナメはチラッと大きな車から数百メートル離れたところにある四人目のオソレの爆心地を見る


カナメ「(チラッと大きな車から数百メートル離れたところにある四人目のオソレの爆心地を見て)オソレを破壊した場所だ」

トキコ「(運転をしながら)止めるわよ」


 トキコは大きな車のブレーキを踏む

 カナメたちが乗っている大きな車が止まる

 

トキコ「みんな車から降りなさい」

カナメ「何かあるんですか?」

トキコ「良いから降りて、ちょっと散歩するわよ」


 シィアは大きな車の助手席の扉を開けて大きな車から降りる

 大きな扉の運転席を開けて大きな車から降りるトキコ

 大きな車のスライドドアを開けて大きな車から降りるソウヤ

 チヅルは大きな車から降りる

 チヅルに続いて大きな車から降りるカナメとトワネ

 トキコは大きな車の運転席の扉を閉める

 大きな車の助手席の扉を閉めるシィア

 カナメは大きな車のスライドドアを閉める

 四人目のオソレの爆心地の周囲を見るカナメ

 トキコは大きな車から数百メートル離れたところにある四人目のオソレの爆心地の中心に向かい始める


トキコ「行くわよ」


 トワネ、ソウヤ、チヅル、シィアはトキコについて行く

 四人目のオソレの爆心地の周囲を見るのをやめるカナメ

 カナメはトワネ、ソウヤ、チヅル、シィアについて行く


ソウヤ「(小声で)我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為を・・・」


 ソウヤは小声で”我らの行為をお許しください”と呟いている

 チラッと小声で”我らの行為をお許しください”と呟いているソウヤのことを見るカナメ

 

チヅル「何見てるんだよ」

カナメ「べ、別に・・・」

ソウヤ「(小声で)我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許し・・・」


 ソウヤは小声で”我らの行為をお許しください”と呟き続ける

 少しすると四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの前に辿り着くカナメたち

 カナメたちは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの前で立ち止まる

 小声で”我らの行為をお許しください”と呟くのをやめるソウヤ

 カナメたちは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターを見ている


トキコ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターを見たまま)シィアちゃん、この穴の大きさを教えてくれる?」

シィア「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターを見たまま)はい。直径831メートル、深さは直径の約0.15倍の124メートルになっています」

チヅル「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターを見たまま)めっちゃデカいじゃん」

トキコ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターを見たまま)めっちゃデカい、ねえ・・・でもあんたたちがいなかったら、地球自体にこれの何千倍も大きな穴が出来ていたのよ。さっきのおっさんたちだって、あんたら子供にとんでもない仕事を押し付けたって分かってるから絡んで来たのよ。今はあんな大人気ない態度をしてたけど、現実を飲み込めるようになって、自分の弱さを改めて知ったら、いずれ嫌でもあんたたちのことを認めるようになるわ」


 時間経過


 カナメとトワネは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの前にいる

 四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中にいるソウヤとチヅル

 トキコとシィアは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターから少し離れたところにいる

 話をしているカナメとトワネ


トワネ「さっきの軍人のこと、お前は気にしてないんだな」

カナメ「馬鹿にされたって・・・やるべきことをやったんだからそれで良いじゃないか」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「他の人のことなんてどうでも良いよ」

トワネ「チヅルはそう思ってないらしいぞ」


 カナメは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中にいるソウヤとチヅルのことを見る

 四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中で自分の胸に十字を切っているソウヤ


カナメ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中で自分の胸に十字を切っているソウヤのことを見ながら)ソウヤは信者なの?」

トワネ「ああ。もっとも、それが理由であいつはああいうことをしてるんじゃないだろうけどな」

カナメ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中で自分の胸に十字を切っているソウヤのことを見ながら)どういうこと?」


 トワネは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中にいるソウヤとチヅルのことを見る

 四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中で自分の胸に十字を切り終えるソウヤ


トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中にいるソウヤとチヅルのことを見ながら)この場所で、この場所でたくさん死んだんださ」

カナメ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中にいるソウヤとチヅルのことを見ながら)えっ・・・?」


 四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でソウヤはチヅルに慰められている

 カナメは四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見るのをやめる


カナメ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見るのをやめて)さ、作戦は成功しただろ」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)作戦が始まる前に逃げ遅れた奴はどうなったと思う?」

カナメ「ど、どうなったって・・・」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)私には・・・ある程度あの軍人が突っかかって来た理由が理解出来る」

カナメ「な、何だよその言い方」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)私たちが派手にオソレを破壊し、逃げ遅れた連中の死体が風で吹き飛ばされたとしよう。戦闘直後、私とチヅルはケアカプセルに運ばれ、お前とソウヤも医療班に手当てを受けてたよな。となると歩いたりしない限り、誰かがこの地域一体の死体を懇切丁寧に片付けたはずだ。夜通しで、誰かがな」

カナメ「そ、それがさっきの軍人たちってこと?」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)さあな」


 再び沈黙が流れる


カナメ「に、逃げ遅れた人なんかいるわけないだろ」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)故郷から離れたくないと嘆く年寄りは?病気で動けない子供の親は?」

カナメ「ぼ、僕がそんなこと知るわけないだろ」

トワネ「(四人目のオソレの爆心地の中心に出来た巨大なクレーターの中でチヅルに慰められているソウヤのことを見ながら)四人目のオソレが来た時、国は近くのシェルターに避難をすることを勧めてたが、強制はしてない。(少し間を開けて)カナメ、私たちが守ろうとしてる世界っていうのはな、本当に生きたい奴だけが生き残る世界なんだよ」


◯4旅館前(夜)

 古くて大きな旅館の前にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコは大きなトランクを持っている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 古くて大きな旅館を見ているカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメたちは古くて大きな旅館を見ながら話をしている

 

トキコ「(古くて大きな旅館を見ながら)あら、ずいぶん立派じゃない」

シィア「(古くて大きな旅館を見ながら)創業250年だとか」

トワネ「(古くて大きな旅館を見ながら)トキコより少し古いくらいだな」

トキコ「(古くて大きな旅館を見ながら)私はまだ36ですけど」

チヅル「(古くて大きな旅館を見ながら)ねえ、旅館の写真撮っといてよソウヤ」

ソウヤ「(古くて大きな旅館を見ながら)良いよ」


 ソウヤは古くて大きな旅館を見るのをやめて首から下げている一眼レフカメラの電源を付ける 

 首から下げている一眼レフカメラのファインダーを覗くソウヤ

 ソウヤは首から下げている一眼レフカメラで古くて大きな旅館の写真を撮る

 首から下げている一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめるソウヤ


ソウヤ「(首から下げている一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめて)せっかくだしみんなで撮る?」

チヅル「(古くて大きな旅館を見ながら)うん、そうしよ」

ソウヤ「じゃあみんな旅館の前に並んで」


 トワネ、チヅル、シィア、トキコは旅館を見るのをやめて旅館の前に並ぶ


トキコ「美肌フィルターをかけといてよソウヤ」

ソウヤ「良いんですか?顔が変わっちゃいますよ」

トキコ「馬鹿、見た目の変わらない美意識なんてこの世に存在していないわよ」

ソウヤ「な、なるほど。カナメ、君も早く並んで」

カナメ「いや、僕はやめとく」

シィア「(淡々と)空気の読めないアホ」

カナメ「しゃ、写真は苦手なんだよ」

チヅル「そんなんだから学校でも一人なんじゃないの?」

カナメ「ひ、一人のどこが悪いんだよ」

トキコ「めんどくさいわねえ思春期って」

カナメ「そ、そういうのは別に関係ないですから」

トワネ「ソウヤ、アホ抜きで撮るぞ」

ソウヤ「良いのかい?」

トワネ「本人が良いと言ってるんだから良いだろ」

ソウヤ「分かった」


 ソウヤは一眼レフカメラを首から外す

 

ソウヤ「(一眼レフカメラを首から外して)セルフタイマー起動」


 ソウヤが”セルフタイマー起動”と言うと、一眼レフカメラのホットシューの部分が開き、折り畳み式の小さなプロペラが出て来る

 ソウヤの一眼レフカメラのホットシューの部分から出て来た折り畳み式のプロペラが開く

 ソウヤの一眼レフカメラのホットシューの部分から出て来た折り畳み式のプロペラが回転し始める

 折り畳み式のプロペラで空を飛ぶソウヤの一眼レフカメラ

 ソウヤはチヅルの横に行く

 

ソウヤ「撮影対象、旅館とその前にいる人。カウントダウンは10秒でスタート」


 ソウヤが”撮影対象、旅館とその前にいる人。カウントダウンは10秒でスタート”と言うと、折り畳み式のプロペラで空を飛んでいたソウヤの一眼レフカメラが、旅館の前で並んでいるトワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコにカメラのミラーを向ける 

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの横の部分からホログラムが投影され、”10”という数字が現れる

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの横の部分から投影されていたホログラムの”10”という数字は、”9”、”8”、”7”と1秒ごとに減りカウントダウンを行う

 カナメは俯く

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの横の部分から投影されていたホログラムの”7”という数字は、”6”、”5”と1秒ごとに減り続ける

 チラッと俯いているカナメのことを見るトワネ

 

トワネ「(チラッと俯いているカナメのことを見て)おっと第六の力の制御が」


 トワネは俯いているカナメの腕を掴んで、折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの写真に写るようにカナメの腕を強く引っ張る


カナメ「(トワネに腕を強く引っ張られて顔を上げて)ちょ、ちょっと!」

 

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの横の部分から投影されていたホログラムの”2”という数字が、”1”になる

 チヅルは顔の近くでピースを作る

 バレないようにトキコの頭の後ろでピースを作るシィア

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラの横の部分から投影されていたホログラムの”1”という数字が、”0”になる

 折り畳み式のプロペラで空を飛んでいるソウヤの一眼レフカメラは、旅館の前でトワネに強く腕を引っ張られているカナメ、カナメの腕を強く引っ張っているトワネ、ソウヤ、顔の近くでピースを作っているチヅル、バレないようにトキコの頭の後ろでピースを作っているシィア、トキコにカメラのミラーを向けたまま、写真を撮る


◯5旅館大部屋(夜)

 旅館の大部屋にやって来たカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 旅館の大部屋は古い和室で広い

 旅館の大部屋にはテーブル、座椅子があり、テーブルの上には急須、湯呑み、和菓子、灰皿が置いてある

 旅館の大部屋には小さくて古いブラウン管のテレビがある

 旅館の大部屋の窓際には広縁がある

 旅館の大部屋の広縁には冷蔵庫、テーブル、椅子があり、テーブルの上には灰皿が置いてある

 カナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコは大きなトランクを持っている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている


チヅル「結構広いけどさ・・・」

トキコ「何かしら」

チヅル「まさか雑魚寝しろって言うんじゃないよね」

トキコ「言わないわよ、そもそもこんだけ広けれりゃ雑魚寝じゃないんだから」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「5人と1体でこの部屋で寝るんですか?」

トキコ「4人と1体よ」

チヅル「え、もしかしてトキコさんだけ別の部屋で寝んの?」

トキコ「あったり前じゃない、ガキと一緒に寝るなんて御免だわ」

シィア「私は子供ではないのですが」

トキコ「見た目は子供でしょ」


 再び沈黙が流れる


チヅル「ひ、一人だけ別とかずる過ぎるっしょ!!あたしだってこんな奴らと一緒なのは嫌なのに!!」

トキコ「私はあんたらの分まで部屋を取ってあげたんだから、むしろ感謝されるべきだわ」

シィア「(淡々と)ずる女」

トキコ「ず、ずるじゃないって言ってるでしょうが」


 少しの沈黙が流れる


トキコ「そ、そういうわけだから後は仲良くやんなさいよ、私ちょっと飲みに行くから」

ソウヤ「僕らのご飯は・・・」


 トキコはソウヤの話を無視して大部屋から出て行く

 再び沈黙が流れる


チヅル「身勝手な奴」


 カナメは畳の上に横になる


チヅル「何やってんの、あんた」

カナメ「別に何も」

チヅル「は?もしかして寝ようとしてんの?」

カナメ「疲れたんだ、一日移動して」

トワネ「同感だ」


 トワネは大部屋の広縁にあるテーブルに向かって椅子に座る

 退屈そうに外を眺め始めるトワネ

 

チヅル「いや、今旅行中なんだけど」

カナメ「それが?」

チヅル「ご飯は?買い物は?観光とかしたいって思わないの?」

カナメ「行って来て良いよ、僕は寝てるから」


 再び沈黙が流れる


チヅル「行こソウヤ、こいつら頭の中にパスタしかないんだ」

ソウヤ「あ、ああ。トキコさんが戻って来たら出かけたって伝えておいてカナメ」

カナメ「うん」


 ソウヤとチヅルは大部屋から出て行く

 少しの沈黙が流れる


シィア「スリープモードに入っても良いでしょうか」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)ああ」


 シィアは畳に正座をする

 畳に正座をしたままシィアの瞳からは光が消えて白くなる

 シィアは正座をしたまま完全に動かなくなっている

 畳に正座をしたままスリープモードになっているシィア

 カナメは深く息を吐き出す

 両目を瞑るカナメ

 カナメは眠り始める


◯6温泉街(夜)

 温泉街を歩いているソウヤとチヅル

 温泉街にはたくさんの古い旅館や古いお土産屋がある

 温泉街にはほとんど人がいない

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 話をしているソウヤとチヅル


チヅル「あいつらマジ何なの?ガキのくせに大人ぶっちゃってさ」

ソウヤ「旅行なら二人でも楽しめるだろ、チヅル」

チヅル「じゃあ二人で旅行すれば良いじゃん」

ソウヤ「僕はチヅルと二人きりでも良いな、うん、何だったらそっちの方が良いくらいだ」


 チヅルの顔が少し赤くなる


チヅル「(顔を少し赤くしたまま)や、やめてよそういうの」

ソウヤ「どうして?」

チヅル「(顔を少し赤くしたまま)い、嫌なんだって・・・」

ソウヤ「何が?」

チヅル「き、気持ち悪いじゃん」


 少しの沈黙が流れる

 ソウヤは唇を噛む


◯7東堂駅(夜)

 東堂駅の広いホームにはたくさんの学生、サラリーマン、OLがおり、電車が来るのを待っている

 少しすると東堂駅に電車がやって来る 

 電車は東堂駅に止まる

 東堂駅に止まった電車の扉が開く

 電車の中からたくさんの学生、サラリーマン、OLが東堂駅に降りて来る

 電車の中から九音(くおん)ヒヨリと真弓(まゆみ)マナカが東堂駅に降りて来る

 ヒヨリは紫の”ミラースーツ”を、マナカは緑の”ミラースーツ”を着ている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 東堂駅にいたたくさんの人たちがヒヨリとマナカのことを見ながら小声で話をしている


東堂駅にいた人1「(ヒヨリとマナカのことを見ながら小声で)な、何あの人たち・・・」

東堂駅にいた人2「(ヒヨリとマナカのことを見ながら小声で)み、見ろよあれ・・・お、オソレと戦ってた契約者たちにそっくりな格好だぜ・・・」

東堂駅にいた人3「(ヒヨリとマナカのことを見ながら小声で)じゃ、じゃあまたオソレが攻めに来るのか・・・?」


 少しの沈黙が流れる

 ヒヨリは東堂駅にいた人1、2、3に近付く

 東堂駅にいた人1、2、3の前で立ち止まるヒヨリ

 

ヒヨリ「(東堂駅にいた人1、2、3の前で立ち止まって)不安な思いをさせて申し訳ない。だがどうか心配しないで欲しい、オソレはこの私、九音ヒヨリの命に換えても必ず絶滅させてみせる。皆さんは今しばらくの間、帝国に平和が訪れる日を待っていてくれ」


 再び沈黙が流れる

 東堂駅に止まっていた電車の扉が閉まる

 

ヒヨリ「それでは、またの機会に。(少し間を開けて)マナカ、司令の元へ急ごう」

 

 マナカは頷く

 歩き始めるヒヨリ

 マナカは東堂駅にいた人1、2、3の前で立ち止まる


マナカ「(東堂駅にいた人1、2、3の前で立ち止まってロシア語で)素晴らしいでしょう・・・?やっぱりヒヨリ様はどこにいても完璧ですわ・・・」


 東堂駅に止まっていた電車が進み始める


◯8温泉街/バー(夜)

 温泉街にあるバーの中にいるトキコ

 温泉街にあるバーの中は薄暗い

 温泉街にあるバーの中にはテーブル席とカウンター席があり、トキコ以外にも数人の客がいる

 カウンター席に座っているトキコ 

 トキコはウイスキーを飲んでいる

 テーブル席では一人の男がビールを飲んでいる

 テーブル席にいる一人の男は一眼レフカメラを首から下げている

 テーブル席にいる一人の男の年齢は30代後半くらい

 テーブル席にいる一人の男がトキコのことを見ている

 ウイスキーを一口飲むトキコ

 トキコは深くため息を吐き出す


◯9旅館大部屋(夜)

 旅館の大部屋にいるカナメ、トワネ、シィア

 旅館の大部屋は古い和室で広い

 旅館の大部屋の隅の方にはカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコの大きなトランクが置いてある

 旅館の大部屋にはテーブル、座椅子があり、テーブルの上には急須、湯呑み、和菓子、灰皿が置いてある

 旅館の大部屋には小さくて古いブラウン管のテレビがある

 旅館の大部屋の窓際には広縁がある

 旅館の大部屋の広縁には冷蔵庫、テーブル、椅子があり、テーブルの上には灰皿が置いてある

 カナメは畳の上で横になって眠っている

 トワネは旅館の大部屋の広縁にあるテーブルに向かって椅子に座り、退屈そうに外を眺めている

 シィアは畳に正座をしたままスリープモードになっている

 畳に正座をしたままスリープモードになっているシィアの瞳からは光が消えて白くなっている

 少しの沈黙が流れる

 退屈そうに外を眺めているトワネのお腹が鳴る 

 退屈そうに外を眺めているトワネのが顔が少しだけ赤くなる

 再び沈黙が流れる

 トワネは少しだけ顔を赤くしたまま外を眺めるのをやめる

 立ち上がるトワネ

 トワネは畳の上で横になって眠っているカナメのところに行く

 少しの沈黙が流れる


トワネ「おい」


 畳に正座をしたままスリープモードで白くなっていたシィアの瞳が光り、元の人間のような目に戻る

 シィアは畳に正座をしたままスリープモードを解除する


シィア「(畳に正座をしたままスリープモードを解除して)はい」

トワネ「お前じゃない。寝ろ」


 再び沈黙が流れる

 畳に正座をしたままシィアの瞳からは光が消えて白くなる

 シィアは正座をしたまま完全に動かなくなっている

 畳に正座をしたまま再びスリープモードになっているシィア 

 

トワネ「か、カナメ、起きて欲しい、緊急事態だ」


 カナメは目を覚ます

 

カナメ「(眠そうに)何・・・?」

トワネ「お腹が空いた」

カナメ「(眠そうに)そう・・・」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「そ、そうじゃない、起きろと言ったんだ」

カナメ「(眠そうに)今度は何だよ・・・」

トワネ「わ、私はお腹が空いた」

カナメ「(眠そうに)だから何・・・」

トワネ「花色荘にいる時はいつもお前がご飯を作ってるじゃないか」

カナメ「(眠そうに)君たちが料理をしないからだろ・・・」

トワネ「ご、ご飯を作ってくれなきゃ次のオソレが来た時に変化してやらないからな」

カナメ「(眠そうに)またそんなことを言って・・・」


 再び沈黙が流れる

 カナメは眠りそうになっている

 

トワネ「おー、ヒヨリじゃないかー、カナメがお前に会うのを楽しみにしてたぞー」


 カナメは慌てて体を起こす


カナメ「(慌てて体を起こして)あ、あの人が来たの?」


 少しの沈黙が流れる

 カナメは体を起こしたまま周囲を見る

 カナメは体を起こしたまま周囲を見るが、旅館の大部屋にはカナメ、トワネ、シィアしかいない


トワネ「やっと起きたかカナメ」


 カナメは体を起こしたまま周囲を見るのをやめる

 

カナメ「(体を起こしたまま周囲を見るのをやめて)騙しただろ」

トワネ「騙した?何のことかな?」


 再び沈黙が流れる


トワネ「(不機嫌そうに)私はお腹が空いた」

カナメ「(体を起こしたまま)一人で行けよ、お金ならあるんだろ」

トワネ「(不機嫌そうに)オソレと戦えなくなっても知らんぞ」

カナメ「(体を起こしたまま)何でいつも僕を巻き込むんだよ」

トワネ「お(不機嫌そうに)前が身近で一番都合の良い奴だからだ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「(体を起こしたまま)旅館で料理なんて無理だよ」

トワネ「(不機嫌そうに)ならカルボナーラを探すのを手伝え」


 カナメは渋々立ち上がる


カナメ「(渋々立ち上がって)チヅルのことをわがままだって言ったけど、君やトキコさんだって相当自分勝手だよね」


◯10温泉街/お土産屋(夜)

 温泉街にある古いお土産屋にいるソウヤとチヅル

 古いお土産屋の中は浴衣、かんざし、巾着、手ぬぐい、和傘、キーホルダー、お菓子、木刀、子供のおもちゃなどが売られている

 古いお土産屋の中はソウヤとチヅルの他にも数人の客がいる

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 古いお土産屋のかんざしで髪を結んでいるチヅル

 ソウヤは一眼レフカメラのファインダーを覗く

 一眼レフカメラで古いお土産屋のかんざしで髪を結んでいるチヅルの写真を撮るソウヤ

 チヅルは一眼レフカメラでソウヤに写真を撮られて、古いお土産屋のかんざしで髪を結ぶのをやめる

 

チヅル「(一眼レフカメラでソウヤに写真を撮られて、古いお土産屋のかんざしで髪を結ぶのをやめて)な、何で撮ったんだよ」

ソウヤ「(一眼レフカメラのファインダーを覗くのをやめて)よく似合ってたから」


 少しの沈黙が流れる

 チヅルは古いお土産屋のかんざしを商品棚に戻す


チヅル「(古いお土産屋のかんざしを商品棚に戻して)い、今更かんざしなんて」

ソウヤ「(少し笑って)かんざしなんて?」

チヅル「な、何でもないから」


◯11温泉街/バー(夜)

 温泉街にあるバーの中にいるトキコ

 温泉街にあるバーの中は薄暗い

 温泉街にあるバーの中にはテーブル席とカウンター席があり、トキコ以外にも数人の客がいる

 カウンター席に座っているトキコ 

 トキコはウイスキーを飲んでいる

 テーブル席では一人の男がビールを飲んでいる

 テーブル席にいる一人の男は一眼レフカメラを首から下げている

 テーブル席にいる一人の男がトキコのことを見ている

 ウイスキーを一口飲むトキコ

 テーブル席にいる一人の男はビールを持ってカウンター席に行く

 トキコの隣に座るテーブル席の男

 トキコは隣に座ったテーブル席の男のことを見る


トキコ「(隣に座ったテーブル席の男のことを見て)何?」

テーブル席の男「勘違いしないで、口説きに来たわけじゃないんだ」


 トキコは隣に座ったテーブル席の男のことを見るのをやめる


トキコ「(隣に座ったテーブル席の男のことを見るのをやめて)なら喋りかけて来ないでよね」


 少しの沈黙が流れる

 テーブル席の男はビールを一口飲む


テーブル席の男「(ビールを一口飲んで)子供は元気?」

トキコ「は?」

テーブル席の男「お子さんがいるだろ」

トキコ「そこは結婚してるのとか、彼氏はいるのかとかって聞くのが常識じゃないの」

テーブル席の男「あなたは指輪をしていないから」

トキコ「だからって子供がいるかどうか聞く理由にはならないわ」

テーブル席の男「確かに」


 トキコはウイスキーを一口飲む


トキコ「(ウイスキーを一口飲んで)非常識の嫌な男ね」

テーブル席の男「それは申し訳ない」


 再び沈黙が流れる


テーブル席の男「物にも魂は宿る」

トキコ「何?」

テーブル席の男「物にも魂は宿るんだ。分かるかな、無機質なように見えても、そこには確かに魂がある」

トキコ「それが何なの?」

テーブル席の男「(少し寂しそうに)あなたの娘さんは亡くなったよ、魂を移植しようとしても上手くいかないだろう」


 トキコはウイスキをテーブル席の男の顔面にかける

 

トキコ「(ウイスキをテーブル席の男の顔面にかけて)私の邪魔をしないで」


 トキコは立ち上がる

 温泉街にあるバーの中から出て行こうとするトキコ


テーブル席の男「今トキコには別の子供がたくさんいるじゃないか」


 トキコはテーブル席の男の話を無視して温泉街にあるバーの中から出て行く


◯12温泉街(夜)

 温泉街を歩いているカナメとトワネ

 温泉街にはたくさんの古い旅館や古いお土産屋がある

 温泉街にはほとんど人がいない

 カナメはたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を抱えている

 トワネは温泉まんじゅうを食べている

 話をしているカナメとトワネ


カナメ「僕がいなかった時はどうしてたの?」


 トワネは温泉まんじゅうを一口食べる


トワネ「(温泉まんじゅうを一口食べて)2日に1回は食べてた」

カナメ「自分で作ってたの?」

トワネ「いや、トキコかチヅルが」

カナメ「シィアちゃんに頼んだら?」

トワネ「あいつの作る料理はゴミだ。健康的な食生活がどうたらとか言って味のうっすい料理を出して来やがる」

カナメ「薄く感じるのはインスタントばっか食べてるからだよ」


 トワネは温泉まんじゅうを一口食べる


トワネ「(温泉まんじゅうを一口食べて)カナメと出会わなければ、あわや私は餓死するところだった」

カナメ「トワネのご飯のために起こされてたら僕の方が倒れるよ」


 トワネは食べかけの温泉まんじゅうをカナメに差し出す


トワネ「(食べかけの温泉まんじゅうをカナメに差し出して)食べるか?」

カナメ「(食べかけの温泉まんじゅうをトワネに差し出されて)い、いや良いよ。き、君のご飯だろ」


 トワネは食べかけの温泉まんじゅうをカナメに差し出すのをやめる


トワネ「(食べかけの温泉まんじゅうをカナメに差し出すのをやめて不機嫌そうに)ふん・・・お前が倒れると言ったから分けてやろうと思ったのに・・・」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「旅館に戻るか・・・」


◯13旅館大部屋(夜)

 旅館の大部屋にいるシィアとトキコ

 旅館の大部屋は古い和室で広い

 旅館の大部屋の隅の方にはカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコの大きなトランクが置いてある

 旅館の大部屋にはテーブル、座椅子があり、テーブルの上には急須、湯呑み、和菓子、灰皿が置いてある

 旅館の大部屋には小さくて古いブラウン管のテレビがある

 旅館の大部屋の窓際には広縁がある

 旅館の大部屋の広縁には冷蔵庫、テーブル、椅子があり、テーブルの上には灰皿が置いてある

 シィアは畳に正座をしたままスリープモードになっている

 畳に正座をしたままスリープモードになっているシィアの瞳からは光が消えて白くなっている

 テーブルに向かって座椅子に座って、缶ビールを飲んでいるトキコ


トキコ「(イライラしながら)ざけんじゃないわよ・・・」


 トキコは缶ビールを一口飲む


トキコ「(イライラしながら缶ビールを一口飲んで)ああイライラするわ、ANDREIのスパイか何か知らないけどあんな男はオソレに踏み潰されたら良いのよ」


 少しするとカナメとトワネが旅館の大部屋に戻って来る

 カナメはたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を持っている

 

トキコ「(イライラしながら)何よあんたたちデートに行ってるのかと思ったらもう戻って来たわけ?」

カナメ「と、トワネのご飯を探しに行っただけです」

トキコ「(イライラしながら)ふーん、相変わらずつまんない男ねえ」

トワネ「温泉まんじゅうは美味しかったぞ」

トキコ「(イライラしながら)あっ、そうですか、そりゃあござんしたね」


 カナメはテーブルの上にたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を置く


トワネ「何だ、いつにも増して今日は機嫌が悪いな」


 トワネはテーブルを挟んでトキコと向かい合って椅子に座る


トワネ「(テーブルを挟んでトキコと向かい合って椅子に座って)温泉まんじゅうでも食べて元気を出せ」

トキコ「要らないわよんなもん」

トワネ「(不機嫌そうに)カナメと言いここにいる奴はみんなまんじゅうが嫌いなのか」

カナメ「そういうわけじゃないと思うけどね」

トワネ「(不機嫌そうに)なら食べろ」

カナメ「トワネが食べれば良いじゃないか」

トワネ「(不機嫌そうに)私はもうお腹がいっぱいだ。だからカナメがあと三つ食べろ」

カナメ「要らないよそんなに」

トワネ「(不機嫌そうに)何故?」

カナメ「僕もお腹がいっぱいなんだよ」


 ソウヤとチヅルが旅館の大部屋に戻って来る

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 たくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を持っているチヅル


チヅル「ただいまー」

トキコ「(イライラしながら)何よソウヤとチヅルまで早いわねえ」

チヅル「トキコさんだって飲みに行った割にはお早い帰りじゃん」


 トキコは缶ビールを一口飲む


トキコ「(イライラしながら缶ビールを一口飲んで)色々あんのよ大人は」

トワネ「(不機嫌そうに)見ろカナメ、また温泉まんじゅうがやって来たぞ」

カナメ「また?」


 カナメはチヅルが持っているたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見る

 テーブルに向かって座椅子に座るソウヤ


ソウヤ「(テーブルに向かって座椅子に座って)もしかしてトキコさんもおまんじゅうを買って来てくれたんですか?」

トキコ「(イライラしながら)ケチな私がそんなことをするわけないでしょ雨が」


 ソウヤはテーブルの上のたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見る


ソウヤ「(テーブルの上のたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見て)じゃあここに置いてあるのは・・・」

トワネ「(不機嫌そうに)カナメが買った」


 カナメはチヅルが持っているたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見るのをやめる


カナメ「(チヅルが持っているたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見るのをやめて)買ったのは僕だけど、食べるのは僕じゃないからね」


 チヅルはテーブルの上にたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を置く


チヅル「(テーブルの上にたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を置いて)美味しいよこれ」

カナメ「知ってる」

チヅル「じゃあ何で食べないの?」


 チヅルはテーブルに向かって座椅子に座る

 テーブルの上のたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見るのをやめるソウヤ


ソウヤ「(テーブルの上のたくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋を見るのをやめて)もしかして小麦粉アレルギーとか?」

カナメ「違うよ」


 カナメは畳の上に横になる


カナメ「(畳の上に横になって)もう、お腹がいっぱいなんだ」


◯14ANDREI総本部司令の自室(夜)

 ANDREI総本部司令の自室にいるヒヨリ、マナカ、タエ

 ANDREI総本部司令の自室は広く、巨大な水槽がある

 ANDREI総本部司令の自室の中にある巨大な水槽には、たくさんの熱帯魚が泳いでいる

 ANDREI総本部司令の自室には机と椅子がある

 ヒヨリは紫の”ミラースーツ”を、マナカは緑の”ミラースーツ”を着ている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 机に向かって椅子に座っているタエ

 ヒヨリたちは話をしている


タエ「二人とも、よく来てくれました、ANDREIを代表して歓迎します」

ヒヨリ「いえ、我々も今日という日を楽しみにしていました」

タエ「(少し笑って)それは良かったわ。(少し間を開けて)早速で申し訳ないんだけど、あなたたちには五人目の破壊を頼みたいの」

ヒヨリ「お任せください司令」


 ヒヨリとマナカはANDREI総本部司令の自室から出て行こうとする


タエ「九音さん」


 ヒヨリとマナカは立ち止まる

 振り返るヒヨリ


ヒヨリ「(振り返って)何でしょう?」

タエ「仮面は?」

ヒヨリ「(振り返ったまま少し笑って)私にあのような物は不要でございます」

タエ「(少し笑って)そう・・・あなたらしいわね」


◯15旅館大部屋(夜)

 旅館の大部屋にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 旅館の大部屋は古い和室で広い

 旅館の大部屋の隅の方にはカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、トキコの大きなトランクが置いてある

 旅館の大部屋にはテーブル、座椅子があり、テーブルの上には急須、湯呑み、和菓子、灰皿、空になった缶ビール、たくさんの温泉まんじゅうが入っている紙袋が二つ置いてある

 旅館の大部屋には小さくて古いブラウン管のテレビがある

 旅館の大部屋の窓際には広縁がある

 旅館の大部屋の広縁には冷蔵庫、テーブル、椅子があり、テーブルの上には灰皿が置いてある

 カナメは畳の上で横になっている

 トワネは旅館の大部屋の広縁にあるテーブルに向かって椅子に座り、退屈そうに外を眺めている

 ソウヤ、チヅル、トキコはテーブルに向かって座椅子に座っている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 一眼レフカメラをいじっているソウヤ

 チヅルは漫画を読んでいる

 トキコは机に突っ伏していびきをかきながら眠っている

 シィアは畳に正座をしたままスリープモードになっている

 畳に正座をしたままスリープモードになっているシィアの瞳からは光が消えて白くなっている

 旅館の大部屋では誰も喋っていない

 退屈そうに外を眺めながらあくびをするトワネ

  

チヅル「(漫画を読みながら)温泉があるって言ってたよね」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)うん」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「(漫画を読みながら)入ってこようかな」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)良いね」

チヅル「(漫画を読みながら)みんなはどうすんの?」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)後にする」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)僕は近くの観光名所を見てから入るよ」

チヅル「(漫画を読みながら)ふーん・・・カナメは?」

カナメ「あと5分か10分したら行こうかな」


 再び沈黙が流れる

 チヅルは漫画を読むのをやめる

 読みかけていた漫画をテーブルの上に置くチヅル

 チヅルは旅館の大部屋の隅の方に置いてあった大きなトランクを開く

 チラッと一眼レフカメラをいじりながら大きなトランクを開いているチヅルのことを見るソウヤ

 チヅルは大きなトランクから小さなバッグを取り出す

 大きなトランクを閉じるチヅル


チヅル「(大きなトランクを閉じて)じゃああたし入って来る」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)行ってらっしゃい」


 チヅルは旅館の大部屋から出て行く

 少しの沈黙が流れる

 トワネは退屈そうに外を眺めながら再びあくびをする


トワネ「(退屈そうに外を眺めながらあくびをして)暇だな・・・」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)旅行と言うのは僕たちを連れ出す餌で、本当はクレーターを見せるのが目的だったんだろうね」

トワネ(退屈そうに外を眺めながら)餌が温泉まんじゅうか、納得出来んな」

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)罪が芽生えると、どんな餌だって味はしなくなるだろうよトワネ」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら少し笑って)生憎、私はお前みたいに偉い考え方はしてないのさ」


 再び沈黙が流れる

 ソウヤは一眼レフカメラをいじるのをやめる

 立ち上がるソウヤ

 

ソウヤ「(立ち上がって)さて、観光して来ようかな」


 ソウヤは旅館の大部屋から出て行く

 少しの沈黙が流れる


カナメ「トワネ」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)ああ」

カナメ「僕たちも、許しを請うべきなのかな」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)言っておくが、神は無能だぞ。あんな奴を信じるなんて大きな間違いだ」

カナメ「でも、もし僕たちが人を救いながら同時に殺しているんだとしたら、ソウヤみたいに許して欲しくなる気持ちも分かる気がする」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)お前やソウヤみたいな連中がいて神はさぞ喜んでるだろうな」

カナメ「そうかな」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)気紛れに慕わせ、信仰を持たせて、許しやら救いがあると教え込む神が一番勝手さ」


 再び沈黙が流れる

 カナメは立ち上がる


カナメ「(立ち上がって)僕、お風呂入りに行くよ」


◯16旅館男子脱衣所と女子脱衣所前(夜)

 旅館の男子脱衣所と女子脱衣所の前に一人いるソウヤ

 旅館の男子脱衣所と女子脱衣所の前にはそれぞれ”男湯”、”女湯”と書かれたのれんがかかっている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 一眼レフカメラをいじっているソウヤ


ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください」


 カナメが旅館の男子脱衣所と女子脱衣所の前にやって来る

 カナメはバスグッズと着替えの入った大きな袋を持っている

 旅館の男子脱衣所と女子脱衣所の前で立ち止まるカナメ

 

ソウヤ「(一眼レフカメラをいじりながら)我らの行為をお許しください我らの行為をお許しください我らの行為をください・・・クソッ・・・我らの・・・」

カナメ「ソウヤ、観光しに行ったんじゃなかったの?」


 ソウヤは驚き慌てて一眼レフカメラをいじるのをやめる

 

ソウヤ「(驚き慌てて一眼レフカメラをいじるのをやめて)か、カナメ」

カナメ「チヅルが出て来るのを待ってたの?」


 ソウヤは一瞬、カナメのことを睨む


カナメ「えっ・・・」

ソウヤ「(カナメのことを睨むのをやめて少し笑って)そうだカナメ!君にどうしても見せたいお店があったんだ!」

カナメ「お店?」

ソウヤ「(少し笑いながら)うん!君は絶対気に入ると思うんだ、だからちょっと行ってみようよ」

カナメ「えっ、今から?」

ソウヤ「(少し笑いながら)大丈夫大丈夫、近いから」

カナメ「もう遅いし、明日にしようよ」

ソウヤ「(少し笑いながら)近いって言ってるだろ、人の話を聞けよ」


 少しの沈黙が流れる

 ソウヤはカナメの肩に腕を置く


ソウヤ「(カナメの肩に腕を置いて)僕たち、同じ契約者の友達じゃないか。だからちょっとは付き合えよ」


 再び沈黙が流れる


ソウヤ「(カナメの肩に腕を置いたまま)良いよな?」

カナメ「(ソウヤに肩に手を置かれたまま)う、うん」


◯17アダルトホログラムショップ前(夜)

 アダルトホログラムのショップ前にいるカナメとソウヤ

 アダルトホログラムのショップは温泉街から少し外れたところにある

 アダルトホログラムのショップの看板はホログラムで投影されており、上半身裸の若い女と、”格安!!AHショップ!!”という文字が映し出されている

 カナメはバスグッズと着替えの入った大きな袋を持っている

 ソウヤは一眼レフカメラを首から下げている

 アダルトホログラムのショップを見ているカナメ

 カナメの顔が赤くなっている


カナメ「(アダルトホログラムのショップを見ながら顔を赤くして)こ、この店じゃないよね」

ソウヤ「いや、ここだけど」


 カナメは顔を赤くしたままアダルトホログラムのショップを見るのをやめる


カナメ「(顔を赤くしたままアダルトホログラムのショップを見るのをやめて)ぼ、僕はやめとくよ」

ソウヤ「へぇー・・・ここまで来て君はまだ逃げるの?」

カナメ「に、逃げるとかそういうわけじゃ・・・だ、大体こういうお店に来るのは日常生活に満足出来てない変な人ばかりで、僕みたいに刺激を求めてない人が入ってもくだらなく感じる・・・」

ソウヤ「(カナメの話を遮って)良いよな、君はいつもいつも逃げられてさ」

カナメ「く、くだらないって言ってるだろ」

ソウヤ「くだらないと思ってる割に、やけに怖がってるじゃないか」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「ほんと・・・よくそれで契約者になれたよな・・・」


 ソウヤはアダルトホログラムのショップの中に入ろうとする


カナメ「そ、ソウヤ」


 ソウヤはカナメの声を無視してアダルトホログラムのショップの中に入る

 再び沈黙が流れる

 カナメは俯く

 俯いたまま拳を握り締める

 

カナメ「(俯いたまま拳を握り締めて)何が友達だよ・・・」


 時間経過


 カナメは変わらず俯いたまま拳を握り締めている

 俯いたまま拳を握り締めているカナメの横を、中年の男が通り過ぎてアダルトホログラムのショップの中に入って行く 

 少しするとアダルトホログラムのショップの中からソウヤが出て来る


ソウヤ「(アダルトホログラムのショップの中から出て来て)あれ、まだいたんだ」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「(少し笑って)ごめんごめん、まさか君がずっとお店の前にいるとは思わなくてさ。でも僕を待てたってことは、カナメもこういうお店に興味がないわけじゃないんだな。色々分かって良かったよ。やっぱ君も男だね」


 再び沈黙が流れる


カナメ「(俯き拳を握り締めたまま)さっき・・・君は観光をしに行くって言ったのに・・・旅館に残っていたよね」

ソウヤ「え、いきなり何?」

カナメ「(俯き拳を握り締めたまま)チヅルがいる場所の前で・・・カメラをいじりながら・・・」

ソウヤ「だから?」


 少しの沈黙が流れる

 

ソウヤ「(少し笑って)カナメ、もしかして僕が盗撮をしたと思ってるの?」

カナメ「(俯き拳を握り締めたまま)カメラのフォルダを見せてみろよ」

ソウヤ「どうしても見たいなら奪ってみたらどうだい。もちろん君に出来るものならだけどね」


 再び沈黙が流れる


ソウヤ「(少し笑って)君は僕らと出会う前も、出会ってからも落ちこぼれのまんまだな」


 ソウヤは俯き拳を握り締めているカナメの肩とわざとぶつかりながら歩いて行く

 少しの沈黙が流れる


カナメ「(俯き拳を握り締めたまま)君の神様に言うよ」


 ソウヤは立ち止まる


ソウヤ「(立ち止まって)彼女が君の話を信じてくれれば良いね」


 ソウヤはポケットから小さなリモコンのようなスティックを取り出す

 ソウヤがポケットから取り出した小さなリモコンのようなスティックにはボタンがある

 ソウヤは小さなリモコンのようなスティックのボタンを押す

 ソウヤが小さなリモコンのようなスティックのボタンを押すと、ホログラムが投影され、全裸の若い女の姿が映し出される

 小さなリモコンのようなスティックから投影されている全裸の若い女のホログラムは、トワネに少し容姿が似ている

 小さなリモコンのようなスティックから投影されているトワネに少し容姿が似た全裸の若い女は、踊っている

 ソウヤは小さなリモコンのようなスティックをカナメに向かって放り投げる


ソウヤ「(小さなリモコンのようなスティックをカナメに向かって放り投げて)ほら、お土産だよ。彼女、トワネに似てて君好みだろ」


 ソウヤがカナメに向かって放り投げた小さなリモコンのようなスティックは、俯き拳を握り締めているカナメの前に落ちる


ソウヤ「じゃ、僕は帰るから」


 ソウヤは旅館に向かって歩き始める 

 小さなリモコンのようなスティックから投影されているトワネに少し容姿が似た全裸の若い女は、俯き拳を握り締めているカナメの前で踊っている

 少しの沈黙が流れる

 カナメは俯いたまま拳を握り締めるのをやめる

 俯いたまま小さなリモコンのようなスティックを拾うカナメ

 カナメは俯いたまま、小さなリモコンのようなスティックを持っている手に力を入れる

 カナメが俯いたまま、小さなリモコンのようなスティックを持っている手に力を入れると、小さなリモコンのようなスティックにヒビが入り、投影されていた踊っているトワネに少し容姿が似た全裸の若い女のホログラムが消える

 俯き、ヒビの入った小さなリモコンのようなスティックを持っている手に力を入れているカナメの空高くに、大きな穴が開く

 俯き、ヒビの入った小さなリモコンのようなスティックを持っている手に力を入れているカナメの空高くに開いた大きな穴は、真っ暗な異界に繋がっている

 カナメは俯き、ヒビの入った小さなリモコンのようなスティックを持っている手に力を入れるのをやめる

 顔を上げるカナメ

 カナメは空高くに開いた大きな穴を見る


カナメ「(空高くに開いた大きな穴を見て)オソレ・・・」


◯18ANDREI総本部司令の自室(夜)

 ANDREI総本部司令の自室にいるタエとリュウマ

 ANDREI総本部司令の自室は広く、巨大な水槽がある

 ANDREI総本部司令の自室の中にある巨大な水槽には、たくさんの熱帯魚が泳いでいる

 ANDREI総本部司令の自室には机と椅子がある

 タエは机に向かって椅子に座っている

 話をしているタエとリュウマ


リュウマ「イングマールの梯子は予定通りに出現しました」

タエ「よろしい。では彼女の実力を確かめようではないか」

リュウマ「了解です、姉さん」


◯19アダルトホログラムショップ前(夜)

 アダルトホログラムのショップ前に一人いるカナメ

 アダルトホログラムのショップは温泉街から少し外れたところにある

 アダルトホログラムのショップの看板はホログラムで投影されており、上半身裸の若い女と、”格安!!AHショップ!!”という文字が映し出されている

 カナメはバスグッズと着替えの入った大きな袋と、ヒビの入った小さなリモコンのようなスティックを持っている

 ヒビの入った小さなリモコンのようなスティックにはボタンがある

 カナメの空高くには大きな穴が開いている

 カナメの空高くに開いている大きな穴は真っ暗な異界に繋がっている

 カナメの空高くに開いている大きな穴から五人目のオソレが落ちて来る

 五人目のオソレは体長30メートルほどで二足歩行の人型だが、頭が牛になっており、ミノタウロスのような姿をしている

 五人目のオソレは斧を持っている

 五人目のオソレが着地した衝撃で周囲には強い風が吹き、地面が揺れる

 五人目のオソレが着地した衝撃で吹いた強い風で、アダルトホログラムショップに投影されていた上半身裸の若い女と、”格安!!AHショップ!!”という文字が消える

 五人目のオソレが着地した衝撃で吹いた強い風で、カナメの体は吹き飛ばされる

 五人目のオソレが着地した衝撃で吹いた強い風で、カナメが持っていたバスグッズと着替えの入った大きな袋はどこかに飛ばされる

 近くのガードレールに勢いよく体をぶつけるカナメ


カナメ「(近くのガードレールに勢いよく体をぶつけて)うっ・・・」


 空に開いていた大きな穴が閉じ、真っ暗な異界への繋がりが消える

 カナメはガードレールに体をぶつけたまま動けなくなっている

 ガードレールに体をぶつけたまま動けなくなっているカナメに左手を伸ばす五人目のオソレ

 カナメはガードレールに体をぶつけて動けなくなったまま伸びて来る五人目のオソレの左手を見る


カナメ「(ガードレールに体をぶつけて動けなくなったまま伸びて来る五人目のオソレの左手を見て 声 モノローグ)死っていうのは・・・なんて・・・近くて遠いんだ・・・」


 五人目のオソレの伸ばしている左手がガードレールに体をぶつけて動けなくなっているカナメに触れようとした瞬間、五人目のオソレの左手が粉々に斬り刻まれる

 五人目のオソレの左手は粉々に斬り刻まれ、たくさんの肉片が周囲に飛び散る

 五人目のオソレの切断された左手首からは大量の血がシャワーのように噴き出る

 五人目のオソレは切断された左手首からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らし、悲鳴を上げる

 

カナメ「(ガードレールに体をぶつけて動けなくなったまま粉々に斬り刻まれた五人目のオソレの手を見て)えっ・・・?」


 ガードレールに体をぶつけて動けなくなっているカナメの前に、エンジン付きのグライダーに乗っている女が飛んで来る

 グライダーに乗っている女はガードレールに体をぶつけて動けなくなっているカナメの前で止まる


ヒヨリ「(グライダーに乗りガードレールに体をぶつけて動けなくなっているカナメの前で止まって)大丈夫か?カナメ」

 

 カナメはガードレールに体をぶつけて動けなくなったままグライダーに乗っている女のことを見る

 グライダーに乗っているのはヒヨリ

 ヒヨリは紫と緑のミラースーツを着ており、刀を持っている

 ヒヨリが持っている刀はマナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿


カナメ「(ガードレールに体をぶつけて動けなくなったままグライダーに乗っているヒヨリのことを見て)どうして僕の名前を・・・」

ヒヨリ「(グライダーに乗ったまま)私は九音ヒヨリ、君と同じ、第六の力の契約者だ」

カナメ「(ガードレールに体をぶつけて動けなくなったままグライダーに乗っているヒヨリのことを見て)あなたが・・・」

ヒヨリ「(グライダーに乗ったまま微笑んで)やっと・・・やっと出会えたな、カナメ」



 続く。

ヒヨリの本格的な登場によって、サイクルラヴのギアも上がることになります!!

今後の展開をお楽しみに!!

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