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『第四話 四人対四人目』

『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』


登場人物


神野(じんの) カナメ 16歳男子

本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。


相園(あいぞの) トワネ 16歳女子

本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。


若葉(わかば) ソウヤ 16歳男子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。


浅木(あさき) チヅル 16歳女子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。


九音(くおん) ヒヨリ 18歳女子

カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。


真弓(まゆみ) マナカ 18歳女子

ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。


シィア 15歳女子モデル

長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。


四季(しき) イズミ 16歳女子

・・・???


(こずえ) トキコ 36歳女子

“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。


神野(じんの) タエ 78歳女子

“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。


日向(ひなた) リュウマ 36歳男子

日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。


神野(じんの) アキラ 44歳男子

カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。

 

神野(じんの) アイラ 女子

カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。




ゲストキャラクター




MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル

シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。


トキコがバーで出会った男 30代後半男子

・・・???


イザベル・カーフェン 16歳?女子

一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。


アマネ・カーフェン 18歳?女子

イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。


ルシファリア 年齢?女子

・・・???


ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子

・・・???


ヒラン・アンドレイ 14歳女子

・・・???


ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子

・・・???


クレナ・アンドレイ 21歳女子

・・・???


九音(くおん) アリカ 40歳女子

ヒヨリの母親。


博士 17〜18歳女子

本名不明。”あるもの”を連れている。


タカヤ 30代前半男子

・・・???


ヨハリル 20代前半?男子

・・・???


C 16歳?女子

リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。


キファー 16歳?男子

Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。


ユーリ 60歳?男子

Cの叔父。


ガラファリア 20代後半?女子

・・・???


神野(じんの) アイハ 40代前半女子

カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。


イ・ジヨン 20代前半女子

韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。


リツ 27歳女子

ある過去を抱えている信仰者。


スグル 30代前半男子

・・・???

◯1神野家リビング(日替わり/夜)

 リビングにいるカナメとアキラ

 テーブルを挟んで向かい合って椅子に座っているカナメとアキラ

 テーブルの上にはご飯、豚の生姜焼き、サラダ、味噌汁が置いてある

 夕飯を食べながら話をしているカナメとアキラ

 味噌汁を一口飲むアキラ


アキラ「(味噌汁を一口飲んで)やっぱりお美味いな、カナメの料理は。(少し間を開けて)お父さんもお母さんと出会う前は自炊をしていたんだけど・・・今じゃすっかりカナメに・・・」

カナメ「(アキラの話を遮って)お父さん」

アキラ「な、何?カナメ」

カナメ「僕、寮に引越すよ」


『第四話 四人対四人目』


◯2回想/ANDREI総本部トキコの研究室(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部トキコの研究室にいるカナメと白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部トキコの研究室には机、椅子、たくさんの書類、本、パソコンが乱雑に置いてあり、散らかっている

 机に向かって椅子に座っているトキコ

 トキコはタバコを吸っている

 話をしているカナメとトキコ


カナメ「寮にですか?」

トキコ「(タバコを咥えたまま)そうよ。あんたが迷子になられても遅刻されても私は困るわけ。だから寮で暮らしなさい」

カナメ「道ならもう覚えましたけど・・・」

トキコ「(タバコを咥えたまま)会議室とシミュレーション室にしか来ないくせに馬鹿言ってんじゃないわよ」

カナメ「で、でも寮なんていきなり言われても・・・」

トキコ「(タバコを咥えたまま)お金なら大丈夫よ、契約者のあんたは特別に免除だから」


◯3回想戻り/花色荘前(日替わり/夜)

 花色荘(はないろそう)の前にいるカナメとトキコ

 花色荘は3階建ての古くボロボロなアパート

 カナメはたくさんの荷物を持っている

 花色荘を見ているカナメ


カナメ「(花色荘を見ながら)これが・・・寮・・・ですか」

トキコ「見た目はボロいけど、中身は改装されてるわ」


 少しの沈黙が流れる

 カナメは花色荘を見るのをやめる


カナメ「(花色荘を見るのやめて)僕、今日はこの辺で・・・」

トキコ「どこに行くのよ」

カナメ「寮ですけど・・・」

トキコ「あら、そうなの。鍵を開けてあげるからちょっと待ってなさい」


 トキコはポケットから花色荘の鍵を取り出す

 花色荘の鍵で花色荘の扉を開けるトキコ


カナメ「あの・・・」

トキコ「(花色荘の鍵で花色荘の扉を開けたまま)何よ?」

カナメ「ど、どうしてトキコさんが鍵を持ってるんですか?」

トキコ「(花色荘の鍵で花色荘の扉を開けたまま)私も花色荘の住人だからだけど?何?なんか文句あんの?」


 再び沈黙が流れる


カナメ「や、やっぱり家に帰って・・・」

トキコ「(花色荘の鍵で花色荘の扉を開けたままカナメの話を遮って)どうせ家にいたって父親とは上部だけの関係のままでしょ」


 少しの沈黙が流れる


トキコ「(花色荘の鍵で花色荘の扉を開けたまま)ここがあんたの家よ」

カナメ「それは命令ですか」

トキコ「(花色荘の鍵で扉を開けたまま)そ、命令。従わなきゃまたシミュレーション室で殺すわよ」


 トキコは花色荘の中に入る

 

◯4花色荘リビング(夜)

 花色荘のリビングにいるトワネ、ソウヤ、チヅル

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 トワネはソファに寝転がっている

 ソウヤはテーブルに向かって椅子に座り、数学の宿題を解いている

 チヅルはテレビで格闘ゲームをしている

 花色荘のリビングにやって来るカナメとトキコ

 カナメはたくさんの荷物を持っている

 

チヅル「(テレビで格闘ゲームをしながら)おかー」

ソウヤ「(数学の宿題を解きながら)お帰りなさい」

トキコ「ただいま」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)カルボナーラは?」

トキコ「シィアちゃんが買って来るわよ」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)ご苦労」

トキコ「シィアちゃんに言いなさいよ」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)ご苦労、シィアちゃん」

トキコ「本人がいる時に言いなさいってば」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)心の中で今言っておいたが?」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「あの・・・」

トキコ「カナメの部屋は102号室だから、ソウヤの隣ね」


 再び沈黙が流れる

 チヅルはテレビで格闘ゲームをするのをやめる 

 カナメのことを見るチヅル


カナメ「何?」

チヅル「(カナメのことを見たまま)いや何じゃないっしょ!!何でこいつがいんの!?」

トキコ「言ったでしょ、入寮決定したって」

チヅル「(カナメのことを見るのをやめて)いやいや聞いてないです!!つか聞いてても無理なんですけど!!」

トキコ「リュウマんとこに置いとくわけにはいかなかったから、やむなくこうなったのよチヅル」

チヅル「別にあの人と暮らしたって死にはしないでしょ!!」

トキコ「カナメがこれ以上ダメな男子高校生になられても困んのよ。このガキ、一向に道を覚えようとしないし、他の奴に預けるのにはリスクってもんが働くわけ」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)確かに、シェアハウスなら私が迎えに行く必要もないな」

カナメ「い、いや、もう迎えに来なくても平気だって」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)お前は信用ならん」

カナメ「さ、最近はちゃんと時間を守ってるだろ」

トワネ「(ソファに寝転がりながら)信用ならん奴は信用ならん」

チヅル「カナメが悪いのにどうしてあたしらと一緒くたにされなきゃいけないんだよ!!」

トキコ「ま、これも契約者たる運命ってことでしょ。分かった?」

チヅル「ぜんっぜん分かんない!!」

ソウヤ「(数学の宿題を解きながら)カナメは命の恩人なんだから感謝しなよ、チヅル」

トキコ「そうよ、命の恩人同士感謝しながら仲良くやりなさい」

チヅル「か、感謝はしてるけど一緒に暮らすのは無理!!キモいし生理的に受け付けない!!」

トキコ「これもオソレと戦うためよチヅル、仲間とコミュニケーションが取れなければ戦場で生き抜けないわ」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「お、おいカナメ」

カナメ「な、何だよ」

チヅル「夜の10時はあたしがお風呂に入る時間だから」

カナメ「う、うん」

トキコ「時間とか教えない方が良いんじゃない?覗きに来るかもしれないわよ?」

カナメ「の、覗きませんよ!!」

チヅル「あたしがお風呂に入っている時にあんたが廊下を通ったら殺す」

カナメ「そ、そんな無茶な・・・」

チヅル「殺すもんは殺す、ぶっ殺す」

トワネ「(ソファに寝転がりながら少し笑って)本当に恐るべきはチヅルだな」

チヅル「うっさい妖怪パスタ女」


 チヅルは再びテレビで格闘ゲームをし始める


トキコ「とりあえずカナメ」

カナメ「は、はい」

トキコ「上手くやんなさいよ」


◯5花色荘カナメの部屋(夜)

 花色荘の自室にいるカナメ

 花色荘のカナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 ベッドの上で横になっているカナメ

 誰かがカナメの部屋の扉を数回ノックする


ソウヤ「(声)カナメ、ご飯食べないの?」

 

 少しの沈黙が流れる


チヅル「(声)ほっときなってソウヤ」

ソウヤ「(声)いや、でも今日は彼が主役なのに」

チヅル「(声)だから親睦会なんかやらなくて良いって言ったんだよ」


 再び沈黙が流れる

 花色荘のカナメの部屋の外からソウヤとチヅルの声が聞こえて来ている


ソウヤ「(声)僕たち先に食べてるよカナメ」


 時間経過


 深夜になっている

 変わらずベッドの上で横になっているカナメ

 少しするとカナメは体を起こす


◯6花色荘リビング(深夜)

 花色荘のリビングにいるトワネ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 トワネはテーブルに向かって椅子に座り、数学の宿題を解こうとしている

 トワネは数学の宿題を解こうとしているが、トワネには問題が分からず全く宿題が解けていない


トワネ「(数学の宿題を解こうとしながら)何で数学の問題でXとかYを使うんだ、馬鹿なのか数学を考えた奴は。(少し間を開けて)えーっと・・・一人目のオソレ+ソウヤとチヅル=私とカナメ、くらいの強さだろうな、うん、こんな感じで問題を解いていこう。大体1+1=2とは限らないだろ、水滴に水滴を混ぜても1なんだから、数学なんてアバウトで良い」

 

 花色荘のリビングにカナメがやって来る

 

カナメ「何やってるの?こんな時間に」

トワネ「(数学の宿題を解こうとしながら不機嫌そうに)宿題だ。入院して学校を休んだ分、山のようにお前にも出るぞ、喜べ」

カナメ「いや・・・全然喜ぶようなことじゃないけど・・・(少し間を開けて)でも何で部屋でしないの?」


 トワネは数学の宿題を解こうとするのをやめる


トワネ「(数学の宿題を解こうとするのをやめて不機嫌そうに)夜中の薄暗いリビングで宿題をしてると同情されやすい」

カナメ「は・・・?」

トワネ「(不機嫌そうに)夜中まで勉強してて偉いね、可哀想だから俺、私も手伝ってあげるって声をかけてもらえるかもしれないだろ」

カナメ「そうかな。夜中にリビングに来る人なんて知れてると思うけど」

トワネ「(不機嫌そうに)大体毎晩一人か二人は来る。小腹が空いたとか眠れないとか言ってな」

カナメ「へぇー」

トワネ「カナメは眠れないし小腹が空いてるんだろ」

カナメ「そうだけど・・・」

トワネ「なら食べて寝る前に宿題を手伝え」

カナメ「無理だよ」

トワネ「(不機嫌そうに)カナメはすぐに無理無理言う」

カナメ「だって無理なんだよ」

トワネ「(不機嫌そうに)お前、頭良いだろ」

カナメ「いや全然良くないよ、トワネは僕の試験結果に化けたことがあるんだから分かってるだろ」

トワネ「国語24点、数学35点、英語19点、歴史38点、科学が28点だったな」

カナメ「や、やっぱり分かってるんじゃないか」

トワネ「(不機嫌そうに)私より点数が高い」

カナメ「えっ・・・?」

トワネ「(不機嫌そうに)数学は0点だった」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「トワネ、頭良さそうなのに」

トワネ「(不機嫌そうに)私の授業態度を知らないのかお前は」


◯7回想/私立東堂高校一年C組の教室(朝)

 外は晴れている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメを含む生徒たちの机の上にはパソコンが置いてある

 教室では数学の授業が行われている

 カナメ、ソウヤ、チヅルは真面目に授業を聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている


◯8回想戻り/花色荘リビング(深夜)

 花色荘のリビングにいるカナメとトワネ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 テーブルの上にはトワネの数学の宿題が置いてある

 テーブルの上に置いてあるトワネの数学の宿題は全く解かれていない

 テーブルに向かって椅子に座っているトワネ

 カナメはトワネの近くに立っている

 話をしているカナメとトワネ


トワネ「(不機嫌そうに)授業なんて退屈過ぎて聞いてられん。あんなもん真剣に受けたら馬鹿に拍車がかかる」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「何でも良いけど、僕は手伝えないからね」

トワネ「(不機嫌そうに)期待してたのに」


 再び沈黙が流れる


トワネ「(少し笑って)契約した時にカナメの記憶を見たが、昔から勉強も人付き合いも苦手らしいな」

カナメ「か、勝手に記憶なんか見るなよ」

トワネ「映像として流れて来るんだ。こっちも好きで見たんじゃない。それに記憶と言っても一部に過ぎん、ほとんどはお前の感情が直通で伝わって来るだけだ」

カナメ「そ、そういう大事なことを何で事前に説明してくれなかったんだよ」

トワネ「(不機嫌そうに)説明すればお前が逃げると思った、だから言えなかったんだ」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「(不機嫌そうに)なるべく・・・見ないようにはしてる」

カナメ「僕のことを信用出来ないって言ったくせに、君だって信用出来ないようなことをしているじゃないか」


 再び沈黙が流れる

 カナメはキッチンに行く


トワネ「宿題を手伝ってくれないのか」

カナメ「ほ、他の奴に頼めよ」


 少しの沈黙が流れる

 カナメはキッチンの引き出しからカルボナーラ風味のカップ麺を取り出す

 

トワネ「カナメ」

カナメ「何だよ」


 カナメはシンクでやかんに水を入れる

 少しするとカナメがシンクで入れているやかんの水が溜まる

 シンクでやかんに水を入れるのをやめるカナメ

 カナメは水の入ったやかんをコンロの上に置く


トワネ「何をするつもりだ」

カナメ「晩ご飯を食べるだけだけど」


 カナメは水の入ったやかんを置いているコンロの火を付ける

 

トワネ「何を食べるつもりだ」

カナメ「カップ麺だよ」

トワネ「何味のカップ麺を食べるつもりだ」

カナメ「カルボナーラ風味だけど・・・」

トワネ「そうか、カルボナーラを食べるのか、カルボナーラを食べてしまうのか」

カナメ「うん」


 カナメはカルボナーラ風味のカップ麺の個装を外す

 立ち上がるトワネ

 カナメはカルボナーラ風味のカップ麺の蓋を開ける

 カルボナーラ風味のカップ麺の中には粉末ソース、かやく、調味料が入っている

 キッチンに行くトワネ


トワネ「どうやらお前はカルボナーラを食べるようだが」

カナメ「だからそう言ったじゃないか」

トワネ「いや、まさか本当にカルボナーラを食べるとは思いもしなくてな」


 カナメはカルボナーラ風味のカップ麺の中に入っている粉末ソース、かやく、調味料を取り出す

 素早くカナメからカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを奪い取るトワネ


カナメ「(素早くトワネにカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを奪い取られて)何するんだよ」

トワネ「ん?どうかしたのか?」

カナメ「返してよ、ソース」

トワネ「ソース?何のことだ?お前、もしかしてオソレとの戦いのせいでおかしくなってしまったのか・・・?」


 少しの沈黙が流れる

 カナメはかやくの袋を開けて、カルボナーラ風味のカップ麺の中に入れる

 カルボナーラ風味のカップ麺の中にかやくを入れ終えるカナメ

 やかんの水が沸騰する

 カナメはコンロの火を止める

 やかんのお湯をカルボナーラ風味のカップ麺の中に注ぐカナメ

 トワネは持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見る


トワネ「(持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見て)おや?私の手元にカルボナーラのソースがあるぞ、ひょっとしてカナメが言ってたソースとはこれのことか?」

カナメ「(やかんのお湯をカルボナーラ風味のカップ麺の中に注ぎながら)そうだよ」

トワネ「(持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見たまま)なるほどそうだったのか、しかし私が拾った以上はこのカルボナーラのソースは私の物だな」


 カナメはやかんのお湯をカルボナーラ風味のカップ麺の中に注ぐのをやめる

 お湯を注いだカルボナーラ風味のカップ麺の蓋をし、その上に調味料を置くカナメ

 カナメはやかんをコンロの上に置く


トワネ「(持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見たまま)このソースも可哀想だな・・・麺と離れ離れになってしまったばかりに・・・本来の役割を果たし損ねるなんて・・・ああ悲しくて涙が出る」

カナメ「離れ離れにしたのは君なんだけどね」


 再び沈黙が流れる

 持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見るのをやめる


トワネ「(持っているカルボナーラ風味のカップ麺の粉末ソースを見るのをやめて)このままではソースが可哀想だと思わないか、カナメ」

カナメ「何だよ、可哀想って」

トワネ「お前が私にお夜食を作ってくれるなら、ソースも麺も幸せになれるが?」

カナメ「いや、トワネがソースを返してくれたら・・・」

トワネ「(カナメの話を遮って)断る」

カナメ「君のせいでご飯が食べられないんだけど」

トワネ「知らん」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「どうしたら返してくれるの」

トワネ「私にカルボナーラを作れ」

カナメ「お腹空いてるの?」

トワネ「お腹は空いていない」


 再び沈黙が流れる


カナメ「自分で作ったら?」

トワネ「断る」

カナメ「どうして?」

トワネ「私は人が作ったカルボナーラしか食べん」

カナメ「何それ」

トワネ「私は、人が作った、カルボナーラ、しか、食べん」

カナメ「いや、聞こえてるよ」

トワネ「私の所有物のソースが欲しかったら今すぐお夜食としてカルボナーラを作って私に献上しろ」


 時間経過


 リビングのテーブルに向かって椅子に座っているカナメとトワネ

 トワネはカルボナーラ風味のカップ麺を食べている

 カルボナーラ風味のカップ麺を一口食べるトワネ


トワネ「(カルボナーラ風味のカップ麺を一口食べて)まあ悪くはないな、うん、悪くはない」

カナメ「トワネは宿題をするふりをして毎晩人にご飯を作ってもらってるんだね」

トワネ「そんな下劣なことをこの私がするわけないだろ」

カナメ「でも君、僕の晩ご飯を取ったけどね」

トワネ「仮にも第六の力の持ち主でありパートナーでもある私にカナメはなんて失礼な口を開くのか・・・」


 トワネはカルボナーラ風味のカップ麺を一口食べる


トワネ「(カルボナーラ風味のカップ麺を一口食べて)これは夜遅くまで泣きながら宿題をこなしてる可愛い女子高生への貢ぎ物なんだよ」

カナメ「可愛いって・・・」

トワネ「良かったなカナメ、可愛い女子高生が美味しいカルボナーラを食べる場面に遭遇することが出来て。普段なら謁見料として金をむしり取るところだが、初回サービスとして今晩だけは見逃してやらんこともない」


 少しの沈黙が流れる

 トワネはカルボナーラ風味のカップ麺を一口食べる


トワネ「(カルボナーラ風味のカップ麺を一口食べて)ところでお前こそ、部屋にこそこそこもって何をしてたんだ」

カナメ「別に何も」

トワネ「何もしてないなら何故こもる?」

カナメ「い、良いだろ、部屋にいたって」

トワネ「仲間との夕飯時に一人で部屋にこもって、何もせずに過ごすとはもしかしてあれか、私みたいに可哀想な子のふりをして、声をかけてもらうのを待っていたのか」

カナメ「い、一緒にするなよ」

トワネ「いや、私はそれで良いと思うぞ、だってお前は可哀想で可哀想でしょうがない奴だ、ちょうどさっきまで麺と離れ離れになっていたソースのように、カナメはひとりぼっちの可哀想な奴だよ」


 トワネはカルボナーラ風味のカップ麺を一口食べる


トワネ「(カルボナーラ風味のカップ麺を一口食べて)お前は人と暮らしても他人とご飯が食べられない、他人のことを冷めた目で見下してる、私のことも、チヅルのことも、ソウヤのことも、トキコのことも、シィアちゃんのことさえも、お前は劣等感を隠したくて見下してるんだ」


 再び沈黙が流れる


トワネ「だから私は、お前のことを可哀想なふりをしてる奴ではなく、本当に可哀想な奴だと思ってる」


◯9ANDREI総本部地下最下層(深夜)  

 ANDREI総本部の地下最下層にいるリュウマ  

 ANDREI総本部の地下最下層には巨大な枯れかけた木がある  

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹には洞穴がある  

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中は薄暗く、何も見えない  

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の前にいるリュウマ 

 リュウマはタブレットを持っている

 リュウマが持っているタブレットには、九音(くおん)ヒヨリと真弓(まゆみ)マナカの身体データが載っている

 リュウマが持っているタブレットに載っているマナカはカラスが、デザインされた鉄仮面を付けており、素顔が分からない

 リュウマはタブレットに載っているヒヨリとマナカの身体データを見ている


リュウマ「(タブレットに載っているヒヨリとマナカの身体データを見ながら)これが次の・・・」


◯10私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼過ぎ)

 外は晴れている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは隣の席の女子生徒と話をしている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち

 黒板の前にいるカナメと教師1

 教師1は国語、数学、英語、歴史、科学のプリントを持っている

 話をしているカナメと教師1


教師1「五教科の宿題を出します」


 少しの沈黙が流れる


教師1「うちは進学校ですから、授業内容に遅れられたら困ります。宿題をやって、しっかり追いついて来てください」


 教師1は国語、数学、英語、歴史、科学のプリントをカナメに差し出す

 自分の席から外を眺めるのやめるトワネ

 トワネはチラッと国語、数学、英語、歴史、科学のプリントを教師1に差し出されているカナメのことを見る

 

◯11花色荘カナメの部屋(深夜)

 花色荘の自室にいるカナメ

 花色荘のカナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 ベッドの上で横になっているカナメ

 少しするとカナメは体を起こす

 ベッドから降りるカナメ


◯12花色荘リビング(深夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 カナメはテーブルに向かって椅子に座り、数学の宿題を解こうとしている

 カナメは数学の宿題を解こうとしているが、カナメには問題が分からず全く宿題が解けていない

 

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)何だよ・・・可哀想な奴だって・・・自分だって僕に声をかけてもらうのを待ってたくせに・・・」


 少しの沈黙が流れる

 カナメは数学の宿題を解こうとするのをやめる

 立ち上がるカナメ


シィア「こんばんは」


 カナメは振り返る

 カナメの後ろにはシィアが立っている


カナメ「し、シィアちゃん」

シィア「(淡々と)深夜まで宿題とは、人間は可哀想ですね」

カナメ「ほ、本当に?」

シィア「何がですか?」

カナメ「本当に可哀想だと思ったの?」

シィア「いえ、それっぽいことを言ってみました」


 再び沈黙が流れる

 

シィア「(淡々と)深夜に宿題をしている奴を哀れだと思うのが人間らしいとトワネが」

カナメ「そ、それは彼女の考えじゃないか」

シィア「いけませんか」

カナメ「いけなくはないけど・・・」

シィア「カナメは考えがないみたい」

カナメ「ど、どういう意味?」

シィア「人に言われたまま契約者になって、人に言われるままオソレを倒して、人に言われるまま花色荘で暮らしてるように見える」

カナメ「しょ、しょうがないだろ、僕には選択肢がないんだから」

シィア「果たしてそうでしょうか。(少し間を開けて)選択肢があっても、カナメは選ぶことが出来たの?」

 

 少しの沈黙が流れる


カナメ「どうせ僕は自主性のない奴だよ」

シィア「そうですか」


 再び沈黙が流れる

 シィアは全く解かれていないカナメの数学の宿題を見る

 

シィア「(全く解かれていないカナメの数学の宿題を見て淡々と)うわー、アホ」

カナメ「う、うるさい」

シィア「(全く解かれていないカナメの数学の宿題を見るのをやめて)手伝いましょうか」

カナメ「い、いや良いよ」

シィア「(淡々と)またまた、強がっちゃって」

カナメ「き、機械の君が手伝ったら意味ないんだよ」


 少しの沈黙が流れる


シィア「アホ」


 シィアは花色荘のリビングから出て行く

 再び沈黙が流れる

 机に向かって椅子に座るカナメ


◯13私立東堂高校一年C組の教室(昼過ぎ)

 外は快晴

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメを含む生徒たちは机に向かって椅子に座っており、机の上にはパソコンが置いてある

 教室では歴史の授業が行われている

 カナメ、ソウヤ、チヅルは真面目に授業を聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている


教師2「今日は4月30日だから・・・学生番号が31の奴は・・・転入したばかりの神野だな、旧石器時代に使われた石器の名前は分かるか?」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「(小声で)打製石器だ」

教師2「どうした、分からないのか?」

カナメ「分かりません」


 カナメのことを見て私立東堂高校一年C組の教室にいる生徒たちがくすくす笑う


チヅル「(小声でボソッと)どんだけ馬鹿なんだよ」

教師2「ん?答えたいのか浅木」

チヅル「べ、別に・・・」

教師2「じゃあ神野の隣の若葉」

ソウヤ「打製石器です」

教師2「そうだ、我々の祖先は打製石器を用いて・・・」


 教師2は歴史の授業を続ける


◯14花色荘リビング(深夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 カナメはテーブルに向かって椅子に座り、数学の宿題を解こうとしている

 カナメは数学の宿題を解こうとしているが、カナメには問題が分からず全く宿題が解けていない

 少しすると花色荘のリビングにソウヤがやって来る

 ソウヤはキッチンに行く


ソウヤ「何やってるんだい、カナメ」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)宿題」


 ソウヤは冷蔵庫を開ける

 冷蔵庫の中には2リットルのお茶、牛乳、缶ビール、豚肉、卵、納豆、豆腐、調味料などがある

 ソウヤは冷蔵庫の中から2リットルの牛乳を取り出す


ソウヤ「(冷蔵庫の中から2リットルの牛乳を取り出して)数学?」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)うん」


 ソウヤは冷蔵庫を閉める

 

ソウヤ「(冷蔵庫を閉めて)難しいよね」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)そうだね」

 

 ソウヤは食器棚からコップを取り出す

 2リットルの牛乳をコップに注ぐソウヤ


ソウヤ「(2リットルの牛乳をコップに注いで)手伝おうか」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)どうして?」


 ソウヤは2リットルの牛乳をコップに注ぎ終える


ソウヤ「(2リットルの牛乳をコップに注ぎ終えて)困ってそうだから」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)別に、困ってないよ」

ソウヤ「そうか」


 ソウヤは再び冷蔵庫を開ける

 2リットルの牛乳を冷蔵庫にしまうソウヤ


ソウヤ「君は少し・・・チヅルに似てる」


 カナメは数学の宿題を解こうとするのをやめる


カナメ「僕、君の彼女ほどキツい性格してないと思うんだけど」

ソウヤ「彼女じゃない。チヅルとはただの幼馴染だ」

カナメ「つ、付き合ってるんじゃないの?」

ソウヤ「いや」


 ソウヤは牛乳を一気に飲み干す

 牛乳を飲んだコップをシンクに入れるソウヤ

 ソウヤはシンクの中のコップに水道水を入れる


ソウヤ「(シンクの中のコップに水を入れて)素直じゃないんだ、二人とも」


 ソウヤはシンクの中のコップに水道水を入れるのをやめる


ソウヤ「(シンクの中のコップに水道水を入れるのをやめて)おやすみ」


 ソウヤはリビングから出て行く


◯15私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼過ぎ)

 外は晴れている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは自分の席で漫画を読んでいる

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち

 黒板の前にいるカナメと教師1

 カナメは教師と話をしている


教師1「困りますねえ、宿題というのは期限に間に合わせるものなんですよ」


 少しの沈黙が流れる


教師1「分かっていますか、神野くん」


 再び沈黙が流れる

 チヅルは漫画を読みながらチラッとカナメのことを見る


教師1「明日までに提出してください、良いですね?」


◯16花色荘カナメの部屋(深夜)

 花色荘の自室にいるカナメ

 花色荘のカナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 ベッドの上で横になっているカナメ

 少しするとカナメは体を起こす

 ベッドから降りるカナメ


◯17花色荘リビング(深夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 カナメはテーブルに向かって椅子に座り、数学の宿題を解こうとしている

 カナメは数学の宿題を解こうとしているが、カナメには問題が分からず全く宿題が解けていない

 少しの沈黙が流れる

 花色荘のリビングにチヅルがやって来る


チヅル「何やってんの」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)宿題」

チヅル「ふーん」


 再び沈黙が流れる

 チヅルはテーブルを挟んでカナメと向かい合って椅子に座る

 チヅルは全く解かれていないカナメの数学の宿題を見る


チヅル「(全く解かれていないカナメの数学の宿題を見て)ここ、たすき掛け」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)う、うん」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「(全く解かれていないカナメの数学の宿題を見ながら)分かってんなら何で解かないの」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)ぼ、僕にも色々あるんだよ」


 チヅルは全く解かれていないカナメの数学の宿題を見るのをやめる


チヅル「(全く解かれていないカナメの数学の宿題を見るのをやめて)何だよ色々って、納得出来る理由を言ってみろよ」

カナメ「(数学の宿題を解こうとしながら)あ、浅木さんには関係ないだろ」


 再び沈黙が流れる

 

チヅル「あっそ」


 チヅルは立ち上がる


◯18富士山(深夜)

 突然、富士山の空に大きな穴が開く

 富士山の空に開いた大きな穴は真っ暗な異界に繋がっている

 富士山の空に開いた大きなから四人目のオソレが富士山の頂上に落ちて来る

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 四人目のオソレは富士山の頂上の数メートル上を浮かんでいる

 四人目のオソレは宙に浮かんだままANDREIの総本部に向かってゆっくり移動し始める


◯19ANDREI総本部中央司令室(深夜)

 ANDREI総本部の中央司令室にいるタエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、ANDREI総本部に向かって宙に浮かんだまま都内を移動している四人目のオソレの姿が映し出されている

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、四人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 リュウマは四人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 ANDREI総本部の中央司令室の後ろは高い椅子があり、タエが座っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるたくさんの職員たちはコンピューターに向かって指示を出したり、外部組織と連絡を取ったりしている

 タエは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレの姿を見ている

 ANDREIの職員たちに指示を出しているリュウマ


リュウマ「ヘリの準備を!!契約者たちが到着次第現場に向かわせろ!!」

ANDREIの職員1「了解!!」

リュウマ「司令、前衛はソウヤチヅルペアにしますか?」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレの姿を見ながら)いいえ、遠距離並列で行くわ。ヘリは飛ばさないで、契約者たちはロイヤル室で待機させなさい」

ANDREIの職員1「い、今ヘリの準備をしなければ危険です!!オソレを破壊出来ても首都圏に大きな被害が出ます!!」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレの姿を見ながら)過去2回のデータからして近接戦闘の方が被害が出るでしょう」

ANDREIの職員2「し、しかし司令!!失敗した時のリスクがあまりに大き過ぎます!!」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレの姿を見ながら)子供たちが失敗しなければ良い、それだけのことよ」


 少しの沈黙が流れる


リュウマ「おらおらおらみんな聞いたか!!司令の言う通りに動くぞ!!」

ANDREIの職員2「りょ、了解・・・」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレの姿を見ながら)四人目のオソレをアースと命名し、これより破壊作戦に移行するわ」


◯20ANDREI総本部第一ロイヤル待機室(深夜)

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室には椅子とロッカーがある

 カナメたちの前にホログラムが投影されて、ANDREI総本部中央司令室にいるリュウマの姿が映し出されている

 ホログラムで投影されているリュウマと話をしているカナメたち


リュウマ「猫の目みたいに青くてまん丸なのが今回のオソレだ、サイズはスパイダーの13倍はあると思って良い」

チヅル「(驚いて)じゅ、13倍!?」

リュウマ「だから今回は遠距離での破壊を作戦にする。トワネちゃんとチヅルちゃんにはハント砲というある種のレーザーキャノンになって欲しい」

ソウヤ「え、遠距離で狙撃するんですか?」

リュウマ「そうだ、ただし単発ではなく同時に撃つんだ」

トワネ「つまり我々四人の息を合わせろ、と」

リュウマ「要はそういうことだが、オフレット値の関係でハント砲に変化出来ても狙撃出来る回数は一回だ」

カナメ「それって・・・トワネたちに影響が出るんじゃないんですか」

トワネ「いや、むしろ四人での合同作戦な時点で、私とチヅルの破損や、カナメとソウヤが怪我をするリスクは減ると考えてるんだろ」

リュウマ「まさにその通りだ、司令は君たちがバラバラに攻撃する方が危険だと踏んだ。だから申し訳ないが、君たちは司令の考えに従って賭けに出てもらうしかない」


 少しの沈黙が流れる

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室の扉が開き、シィアと白衣姿のトキコがロイヤル待機室の部屋の中に入って来る

 シィアはカナメの紺の”ミラースーツ”、トワネの赤の”ミラースーツ”、ソウヤの黒の”ミラースーツ”、チヅルの白の”ミラースーツ”を持っている

 トキコは”ハント砲 マニュアル”と書かれた冊子を持っている


シィア「新型のミラースーツ、完成しました」

リュウマ「よし、子供たちのことを頼んだよトキコ」

トキコ「ええ」


 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室に投影されていたホログラムが消え、リュウマとの通信が終わる

 シィアはソウヤの黒の”ミラースーツ”をソウヤに差し出す


シィア「(ソウヤの黒の”ミラースーツ”をソウヤに差し出して)今回のスーツは遠距離専用の仕様になっています」


 ソウヤは黒の”ミラースーツ”をシィアから受け取る


ソウヤ「(黒の”ミラースーツ”をシィアから受け取って)いつものとどう違うんだい?」

シィア「オフレット値が上がりやすくなっています」

チヅル「あたしたちの手足はどうなることやら」

トキコ「何があってもANDREIはあんたたちの生活を支援するわ、だから今は作戦そのものに集中して」


 シィアはチヅルの白の”ミラースーツ”をチヅルに差し出す


チヅル「(白の”ミラースーツ”をシィアから受け取って)はいはい、作戦ね」


 シィアはトワネの赤の”ミラースーツ”をトワネに差し出す


トワネ「(赤の”ミラースーツ”をシィアから受け取って)成功率が気になるな」

シィア「私の計算によって弾き出された数字は23.2%です」


 再び沈黙が流れる


シィア「勉強が苦手なカナメの数学のテストの点数より低いくらいと言ったら分かりやすいでしょうか」

チヅル「それじゃほぼ失敗するじゃん!!」

シィア「チヅルへの強い精神的ストレスを感知、成功率が20.8%にまで下がりました」

トワネ「(少し笑って)みんなチヅルを怖がらせるなよ。死ぬぞ」

トキコ「四人のタイミングを合わせれば作戦は成功するわ」

カナメ「二人でも合わせるのが難しいのに」

シィア「成功率が20%を切り・・・」

ソウヤ「(シィアの話を遮って)教えてくれてありがとうシィアちゃん」

シィア「絶望的な状況ほど人間はポジティブになるかと」

チヅル「なるわけないでしょ、もっと絶望するだけだよ」


 少しの沈黙が流れる

 

トキコ「この戦いは四人対四人目よ、あんたたちはお互いに歩み寄って。それが生き残る手段なんだから」

カナメ「でも・・・第六の力が使えなかったら?もしトワネたちが何とか砲にならなかったらどうするんですか?」

チヅル「(イライラしながら)あーまただよ・・・だからこいつとやるのは嫌なんだ」

トキコ「嫌とか無理とか言ってる暇はないのチヅル、あんたの考えは心の中にしまっておきなさい」


 再び沈黙が流れる


トキコ「カナメも、良い加減自分の立場を受け入れてちょうだい、あんたには戦う人生しかないの、勉強やスポーツが出来なくても、あんたはトワネと契約して第六の力を操れる。それを自信にしなさい」


 シィアはカナメの紺の”ミラースーツ”をカナメに差し出す


シィア「(カナメの紺の”ミラースーツ”をカナメに差し出して)カナメ」

カナメ「(紺の”ミラースーツ”をシィアから受け取って)な、何?」

シィア「幸運を」

カナメ「う、うん」

シィア「(微笑んで)成功率、再び20%を越えました」


 時間経過


 カナメは紺の”ミラースーツ”を、トワネは赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 椅子に座っているカナメたち

 椅子の上には”ハント砲 マニュアル”と書かれた冊子が置いてある


トワネ「何でさっきシィアちゃんの成功率は上がったんだ」

チヅル「可愛い女の子と話せてあんたのテンションが上がったから」

ソウヤ「きっとそれだ」

カナメ「い、いや、別に僕テンションは上がってなんか・・・」

トワネ「(カナメの話を遮って)そういうことか、チョロいな、カナメは」

カナメ「き、決めつけるなよ」

トワネ「普段人から応援されることがなくて新鮮だったんだろ」

カナメ「し、知らないよそんなこと」

チヅル「調子の良い奴」

カナメ「ご、ごめん」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「なんか変な感じだ」

チヅル「何が?」

ソウヤ「同じ学校で授業を受けて、同じ家で暮らしてるのに、僕らは全然四人で話をしたことがなかった」

チヅル「だから・・・?」

ソウヤ「同じ空間にいながら、僕らはずっと一人か二人としか関係を築けてなかったんだよ」

トワネ「当たり前さ、私たちは所詮友達の知り合いだからな」

ソウヤ「それなら友達の友達で良いじゃないか」

トワネ「そもそも私は友達なんて要らん」

チヅル「あたしも」

ソウヤ「凄いな二人とも・・・(少し間を開けて)カナメはどうだい?」

カナメ「さあ」

チヅル「何だよさあって」

カナメ「考えたことがなかった」


 再び沈黙が流れる


トワネ「手、繋がないか」

チヅル「えっ、何のために?」

トワネ「四者統一、みたいなものだ」

チヅル「あんたがそんなこと言うの、珍し」


 ソウヤはチヅルの右手を握る


チヅル「(ソウヤに右手を握られて)ちょ、やめてって」

ソウヤ「(チヅルの右手を握ったまま)良いじゃないか、特別な夜なんだから」

チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま)い、意味深な言い方をすんな」

ソウヤ「(チヅルの右手を握ったまま)実際ミスの許されない夜だろ?」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま)あ、ああもう分かったよ!!」


 チヅルはソウヤに右手を握られたまま左手でカナメの右手を握る


チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま左手でカナメの右手を握って)こ、これっきりだからね!!」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま)う、うん」


 再び沈黙が流れる


トワネ「(呆れて)女子の手も握れないのかお前は」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま)に、握れるよ」


 カナメはチヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握る

 チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握っているカナメの顔が赤くなる

 

ソウヤ「(チヅルの右手を握ったまま少し笑って)カナメ、顔が赤くなり過ぎ」

トワネ「(カナメに右手を握られたまま少し笑って)童貞だからな、こいつ」

チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま左手でカナメの右手を握って)でしょうね」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握り顔を赤くして)う、うるさい」

チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま左手でカナメの右手を握って)やらかさないでよね」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握り顔を赤くして)わ、分かってるよ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握って)ね、ねえ、みんな」

トワネ「(カナメに右手を握られたまま)何だ」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握って)こ、今後の作戦のためにも・・・」

トワネ「(カナメに右手を握られたまま)今後の作戦のためにも?」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握って)い、いや・・・その・・・」

トワネ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握って)はっきり言ったらどうだ」

カナメ「(チヅルに右手を握られたまま左手でトワネの右手を握って)い、一緒に・・・」


 突然、話途中だったカナメたちの前にホログラムが投影されて、ANDREI総本部中央司令室にいるリュウマの姿が映し出される


リュウマ「時間だ、みんな契約を」

ソウヤ「了解」

 

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室に投影されていたホログラムが消え、リュウマとの通信が終わる

 再び沈黙が流れる

 チヅルはソウヤに右手を握られたままカナメの右手を離す

 チヅルの右手を握ったまま立ち上がるソウヤ 

 カナメはトワネの右手を握ったまま立ち上がる

 チヅルの右手を握ったままチヅルの前に行くソウヤ

 カナメはトワネの右手を握ったままトワネの前に行く


チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま)みんな、良いよね?」

ソウヤ「(チヅルの右手を握ったまま)うん」

トワネ「(カナメに右手を握られたまま)ああ」


 ソウヤの言った”うん”とトワネの言った”ああ”が重なる

 

チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま)カナメ」

カナメ「(トワネの右手を握ったまま)僕も・・・大丈夫」


 再び沈黙が流れる

 トワネはカナメに右手を握られたまま、チヅルはソウヤに右手を握られたまま立ち上がる


トワネ「(カナメに右手を握られたまま)誇り高き王よ」

チヅル「(ソウヤに右手を握られたまま)姫を盾とし、矛とし」

トワネ「(カナメに右手を握られたまま)世界を守護すると誓うか?」

カナメ「(トワネの右手を握ったまま)誓います」

ソウヤ「(チヅルの右手を握ったまま)誓います」


 カナメとソウヤの言った”誓います”が重なる


トワネ・チヅル「(カナメに右手を、ソウヤに右手を握られたまま)第六の力をお前の手に!!」


◯21高層ビル屋上(深夜)

 高層ビルの屋上にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て山羊がデザインされた鉄仮面を付けている 

 高層ビルの屋上には”ハント砲”が2機置いてある

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤがいる高層ビルの屋上から数10キロ離れたところには四人目のオソレがいる

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 四人目のオソレは宙に浮かんだままANDREI総本部に向かっている

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の”ハント砲”の横に立っている

 カナメとソウヤを顔を見合わせる

 顔を見合わせたまま頷くカナメとソウヤ

 カナメとソウヤは顔を見合わせるのをやめる

 それぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗くカナメとソウヤ

 2機の”ハント砲”のスコープには宙に浮かんだままANDREI総本部に向かっている四人目のオソレの姿が見えている


◯22ANDREI総本部中央司令室(深夜)

 ANDREI総本部の中央司令室にいるシィア、白衣姿のトキコ、タエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、それぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤの姿が映し出されている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けて紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは同じく山羊がデザインされた鉄仮面を付けて白黒の”ミラースーツ”を着ている

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、四人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 シィア、トキコ、リュウマは四人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 ANDREI総本部の中央司令室の後ろは高い椅子があり、タエが座っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるたくさんの職員たちは急いでコンピューターに向かって指示を出している

 シィア、トキコ、タエ、リュウマは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ている


タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)作戦、開始」


◯23高層ビル屋上(深夜)

 高層ビルの屋上にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て山羊がデザインされた鉄仮面を付けている 

 高層ビルの屋上には”ハント砲”が2機置いてある

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤがいる高層ビルの屋上から数10キロ離れたところには四人目のオソレがいる

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 四人目のオソレは宙に浮かんだままANDREI総本部に向かっている

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗いている

 2機の”ハント砲”のスコープには宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレの姿が見えている

 カナメの”ミラースーツが”紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”が白黒に光り始める


シィア「(声)ソウヤ、カナメ共にオフレット値上昇、アースはこちらに気付いていません」


 カナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からシィアの声が聞こえて来る

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口が光り始める

 カナメとソウヤは変わらずそれぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見ている

 

ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て)オフレット値100」

カナメ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て)オフレット値100、確認」

シィア「(声)オフレット値、順調に上昇しています。引き続き数値を上げてください」


 再びカナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からシィアの声が聞こえて来る


ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て)了解」


 ソウヤは“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て”ハント砲”の引き金に指をかける

 “ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見ているカナメの鼓動が早くなる

 カナメは“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て”ハント砲”の引き金に指をかける


シィア「(声)カナメ、心拍数が上がっています。落ち着いてください」


 カナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からシィアの声が聞こえて来る


カナメ「(ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て”ハント砲”の引き金に指をかけて)りょ、了解」


 少しの沈黙が流れる

 カナメの”ミラースーツ”は紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”は白黒に光り続けている

 “ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て、“ハント砲”の引き金に指をかけているカナメの鼓動は変わらず早くなっている


カナメ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)お、オフレット値140」

ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)オフレット値140、確認。カナメ、大丈夫かい?」

カナメ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)大丈夫」


◯24ANDREI総本部中央司令室(深夜)

 ANDREI総本部の中央司令室にいるシィア、白衣姿のトキコ、タエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、それぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤの姿が映し出されている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けて紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは同じく山羊がデザインされた鉄仮面を付けて白黒の”ミラースーツ”を着ている

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口が光っている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の“ハント砲”のスコープを覗きながら“ハント砲”の引き金に指をかけている

 カナメの”ミラースーツ”は紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”は白黒に光っている

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、四人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 シィア、トキコ、リュウマは四人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 ANDREI総本部の中央司令室の後ろは高い椅子があり、タエが座っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるたくさんの職員たちは急いでコンピューターに向かって指示を出している

 シィア、トキコ、タエ、リュウマは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ている

 

トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)カナメの心拍数は?」

シィア「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)現在250を越えています」

トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)これ以上上がれば作戦に支障が出るわ・・・」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)あの子の体はそこまで弱くありません」


 トキコは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見るのをやめる


トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見るのをやめて)こ、このペースで心拍数が上がったら“ハント砲”を撃つ前にカナメが倒れます」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている2機の”ハント砲”のスコープを覗いているカナメとソウヤのことを見ながら)安心なさい、カナメはまだ死なないわ」


◯25高層ビル屋上(深夜)

 高層ビルの屋上にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て山羊がデザインされた鉄仮面を付けている 

 高層ビルの屋上には”ハント砲”が2機置いてある

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口が光っている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤがいる高層ビルの屋上から数10キロ離れたところには四人目のオソレがいる

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な球体

 四人目のオソレは宙に浮かんだままANDREI総本部に向かっている

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗き、”ハント砲”の引き金に指をかけている

 2機の”ハント砲”のスコープには宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレの姿が見えている

 カナメの”ミラースーツが”紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”が白黒に光っている

 ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て、“ハント砲”の引き金に指をかけているカナメの鼓動が早くなっている


シィア「(声)オフレット値、180を確認しました。250まで残り1分30秒です」


 カナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からシィアの声が聞こえて来る


ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでANDREI総本部に向かっている四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)了解」


 突然、宙に浮かんだままANDREI総本部に向かっていた四人目のオソレの動きが止まる


カナメ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんで動きが止まっている四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)う、動きが止まった」


 宙に浮かんでる四人目のオソレに真っ黒な瞳が出来る

 四人目のオソレは巨大な猫の目になっている

 巨大な猫の目になった四人目のオソレは宙に浮かんだまま、“ハント砲”のスコープを覗いているカナメのことを見る

 カナメが覗いている“ハント砲”のスコープには、巨大な猫の目になった四人目のオソレが見えている

 “ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合う

 月が沈み朝日が登り始める


◯26肉塊の世界(深夜)

 雲に隠れた半月が出ている

 空には真っ白で巨大な”イングマールの針”が作った十字架が浮かんでいる 

 夜空にはたくさんの穴が開いており、真っ黒な異界に繋がっている

 地上にはたくさんの肉塊が転がっている

 たくさんの肉塊たちには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながらひしめき合って涙を流している

 カナメはたくさんの肉塊たちの一匹になっている

 肉塊になったカナメは周囲を見ている


肉塊になったカナメ「(声 モノローグ)な、何だこれ・・・」


 肉塊になったカナメは何か喋ろうとするが、肉塊になったカナメの口からは人間の言葉かどうか分からないような言語をうめくことしか出来ない

 

肉塊になったカナメ「(人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら 声 モノローグ)こ、声が・・・」


 肉塊になったカナメは人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら涙を流す

 人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら涙を流している肉塊になったカナメのところに、一人の少女が歩いて来る

 人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら涙を流している肉塊になったカナメのところに歩いて来た少女の顔は、よく見えなくなっている


肉塊になったカナメ「(人間の言葉かどうか分からないような言語をうめき涙を流しながら 声 モノローグ)と、トワネ・・・?」


 少女は人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら、涙を流している肉塊になったカナメのことを抱き抱える

 人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら、涙を流している肉塊になったカナメのことを抱き抱えながら微笑む少女

 

肉塊になったカナメ「(人間の言葉かどうか分からないような言語をうめき涙を流して少女に抱き抱えられながら 声 モノローグ)お婆ちゃん・・・」


 少女は人間の言葉かどうか分からないような言語をうめき、涙を流している肉塊になったカナメのことを抱き抱えながら微笑むのをやめる

 人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきながら、涙を流している肉塊になったカナメのことを抱き潰す少女

 肉塊になったカナメの眼球、口、肉片、大量の血が周囲に飛び散る


◯27回想/神野家リビング(約10年前/夜)

 リビングに一人いる6歳頃のカナメ

 カナメはテレビのニュースを見ている

 

ニュースキャスター「殺害された神野アイラさんは、民間組織ANDREIに所属しており・・・」


◯28回想戻り/高層ビル屋上(朝方)

 朝日が登り始めている

 高層ビルの屋上にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て山羊がデザインされた鉄仮面を付けている 

 高層ビルの屋上には”ハント砲”が2機置いてある

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口が光っている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤがいる高層ビルの屋上から数10キロ離れたところには四人目のオソレがいる

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な猫の目

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗き、”ハント砲”の引き金に指をかけている

 2機の”ハント砲”のスコープには宙に浮かんで巨大な猫の目になった四人目のオソレの姿が見えている

 カナメの”ミラースーツが”紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”が白黒に光っている

 巨大な猫の目になった四人目のオソレは宙に浮かんだまま、“ハント砲”のスコープを覗いているカナメのことを見ている

 “ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合っている

 “ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合い、“ハント砲”の引き金に指をかけているカナメの鼓動が早くなっている

 カナメは“ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合ったまま、大量の血を吐き出す


シィア「(大きな声)アースがこちらに気付き攻撃を仕掛けて来ました!!オフレット値を増加させてください!!」


 カナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からシィアの声が聞こえて来る 

 

ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)オフレット値233!!カナメ!!大丈夫か!?」

カナメ「(“ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合ったまま“ハント砲”の引き金に指をかけて)だ、大丈夫・・・」


 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口が強く光っている

 

ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗きながら宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金に指をかけて)オフレット値247!!248!!249!!250!!」

リュウマ「(大きな声)今だ!!!!ハント砲を発射!!!!」


 カナメの紺色と赤に光っている”ミラースーツ”からリュウマの声が聞こえて来る 

 カナメは“ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合ったまま“ハント砲”の引き金を引く

 “ハント砲”のスコープを覗きながら、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレのことを見て“ハント砲”の引き金を引くソウヤ

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に熱光線が発射される

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射された熱光線は、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレに向かう途中で混ざり巨大な熱光線になる

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線は、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレに勢いよく直撃する

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線が、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレに直撃した瞬間、強い衝撃が走り、四人目のオソレの近くにあった車やバイクが衝撃で飛ばされる


◯29ANDREI総本部中央司令室(朝方)

 朝日が登り始めている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるシィア、白衣姿のトキコ、タエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、四人目のオソレと四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線が映し出されている

 巨大な熱光線は2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合ったもの

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、四人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な猫の目

 シィア、トキコ、リュウマは四人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 ANDREI総本部の中央司令室の後ろは高い椅子があり、タエが座っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるたくさんの職員たちは急いでコンピューターに向かって指示を出している

 シィア、トキコ、タエ、リュウマは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ている


トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている四人目のオソレと、四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線を見ながら)やった!!タイミングは完璧だわ!!」


◯30高層ビル屋上(朝方)

 朝日が登り始めている

 高層ビルの屋上にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て山羊がデザインされた鉄仮面を付けている 

 高層ビルの屋上には”ハント砲”が2機置いてある

 2機の“ハント砲”は巨大な大砲のような見た目をしているが、火砲部分が人間の口になっている

 2機の“ハント砲”の火砲部分の口は、それぞれトワネ、チヅルと完全に同じ口をしている

 2機の“ハント砲”には引き金とスコープがある

 2機の“ハント砲”はそれぞれトワネがカナメと契約して”女王”に、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 カナメとソウヤがいる高層ビルの屋上から数10キロ離れたところには四人目のオソレがいる

 四人目のオソレは水色で直径200メートルほどの巨大な猫の目

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から熱光線が発射されている

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射された熱光線は、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレに向かう途中で混ざり巨大な熱光線になる

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線は、宙に浮かんでいる巨大な猫の目になった四人目のオソレに直撃している

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線が、巨大な猫の目になった四人目のオソレにぶつかった衝撃で、四人目のオソレの近くにあった車やバイクが吹き飛ばされている

 カナメとソウヤはそれぞれ2機の”ハント砲”のスコープを覗き、”ハント砲”の引き金に指をかけている

 2機の”ハント砲”のスコープには四人目のオソレと四人目のオソレに直撃している巨大な熱光線が見えている

 カナメの”ミラースーツが”紺色と赤に、ソウヤの”ミラースーツ”が白黒に光っている

 巨大な猫の目になった四人目のオソレは、宙に浮かんで2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線を浴びながら、“ハント砲”のスコープを覗いているカナメのことを見ている

 “ハント砲”のスコープ越しにカナメと四人目のオソレの巨大な猫の目が合っている

 カナメの横にはカナメが吐き出した大量の血がある

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線を浴びている四人目のオソレの巨大な猫の目が充血し始める

 少しすると、2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されて混ざり合った巨大な熱光線を浴びている四人目のオソレの充血した巨大な猫の目が、熱に耐えられなくなり爆発を起こす

 四人目のオソレの充血した巨大な猫の目が爆発した瞬間、一瞬だけ四人目のオソレの中に全裸のヒヨリの姿が見える

 四人目のオソレが爆発し、周囲に四人目のオソレの大量の血が波のように広がって流れる

 カナメとソウヤは“ハント砲”のスコープを覗きながら”ハント砲”の引き金にかけていた指を離す

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口から同時に発射されていた熱光線が止まる

 2機の“ハント砲”の火砲部分であるトワネの口、チヅルの口からは黒い煙が上がっている


リュウマ「(声)四人目のオソレの撃破を確認、みんなお疲れ、救護班を送るから契約を解除して待っててくれ」


 ソウヤの白黒に光っている”ミラースーツ”からリュウマの声が聞こえて来る 

 ソウヤは“ハント砲”のスコープを覗くのをやめる


ソウヤ「(“ハント砲”のスコープを覗くのをやめて)ふう・・・」


 カナメは“ハント砲”のスコープを覗くのをやめる


◯31花色荘リビング(日替わり/深夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている

 カナメはテーブルに向かって椅子に座っている

 テーブルの上にはカナメの数学の宿題が置いてある 

 カナメの数学の宿題は全く解かれていない

 カナメの数学の宿題にはヒヨリの絵が描いてある

 カナメは数学の宿題に描いてあるヒヨリの絵を見ている

 少しの沈黙が流れる

 突然、リビングの電気が全て付いてリビングが明るくなる

 カナメは数学の宿題に描いてあるヒヨリの絵を見るのをやめる

 リビングにはトワネ、チヅル、ソウヤ、シィア、トキコがいる

 トワネとチヅルは頭に包帯を巻いている


トワネ「(少し笑って)おやおや、可哀想なふりをして宿題を解いてるのか?カナメ」

カナメ「き、気分を変えたくてリビングでやってるだけだよ」

トキコ「気分転換、ね」

カナメ「な、何ですか?」

トキコ「そろそろ素直になったら?」

ソウヤ「そうだよ、カナメには僕らの力が必要だろ?」

カナメ「ち、力って?」

シィア「アホにはない力です」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「宿題、明日提出しなきゃ補習確定だけど?」

カナメ「て、手伝って・・・欲しい」

トワネ「お前がどうしてもと言うのなら手を貸してやらんこともない」

カナメ「い、良いの?」

シィア「トワネはアホなので役に立ちませんが」

トワネ「馬鹿を言うな。私だって代金のカルボナーラを食べたら頑張れちゃうんだぞ」


 トワネはテーブルを挟んでカナメと向かい合って椅子に座る


カナメ「か、カルボナーラ?」

トキコ「みんなお腹が空いてんの」


 トキコはテーブルに向かって椅子に座る

 再び沈黙が流れる


トキコ「もう一度だけ言ってあげるけど、みんなお腹が空いてんの」

カナメ「ぼ、僕、何か作りますよ」

ソウヤ「なら親睦会を兼ねてみんなで食べよう」

シィア「親睦会、名案ですね」


 ソウヤとシィアはテーブルに向かって椅子に座る


トワネ「言っておくが、私のカルボナーラは分けてやらんぞ」

チヅル「パスタなんだからみんなでシェアすれば良いじゃん」

トワネ「(不機嫌そうに)ふん・・・シェアをするなんてまるで友達だな」


 チヅルはテーブルに向かって椅子に座る


チヅル「(テーブルに向かって椅子に座って)別にそれも悪くないじゃん」

トワネ「良いのか?私たちが友達ごっこをしたりして」

トキコ「そういうのもガキの仕事でしょ」

シィア「では、人間5人プラスアンドロイド1体がお友達ということで」

ソウヤ「(少し笑って)一気にたくさん増えたな」

チヅル「ね」

トワネ「まあ・・・悪い気分じゃないか・・・」

トキコ「友達と一緒に暮らすなんて、素敵なことよ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「み、みんな・・・あ、ありがとう」

チヅル「今後の作戦のため、しょ?」

カナメ「う、うん・・・作戦のため・・・」

トキコ「(少し笑って)ったく・・・ほんとに素直じゃないんだから」

カナメ「ぼ、僕・・・何か作って来ます」


 カナメは立ち上がる


トワネ「ご苦労、カナメナーラ」

カナメ「へ、変な呼び方をするなよ」

トワネ「すまない、カルボナーラ」

カナメ「ど、どんだけカルボナーラが食べたいんだよ」

トワネ「私はカルボナーラのために世界を救ってるんだ」

カナメ「そ、そんなに好きなんだ」

ソウヤ「先に宿題を終わらせるぞ、トワネ」

トワネ「仕方ないな、今晩だけは本気を出してやるか」


 トワネは全く解かれていないカナメの数学の宿題を見る

 全く解かれていないカナメの数学の宿題にヒヨリの絵が描かれていることに気付くトワネ


トワネ「(全く解かれていないカナメの数学の宿題にヒヨリの絵が描かれていることに気付いて)お前」

カナメ「な、何?」

トワネ「(カナメの全く解かれていないカナメの数学の宿題に描かれているヒヨリの絵を見たまま)ヒヨリと知り合いなのか?」

カナメ「ヒヨリ?」


 トキコは全く解かれていないカナメの数学の宿題に描かれているヒヨリの絵を見る


トキコ「(全く解かれていないカナメの数学の宿題に描かれているヒヨリの絵を見て)あら、確かにヒヨリね、これ」

チヅル「誰っすか?その人」

トキコ「(全く解かれていないカナメの数学の宿題に描かれているヒヨリの絵を見るのをやめて)ソウヤ、カナメと同じ契約者よ」

チヅル「へぇー、こいつら以外にもまだ契約者っているんだ」

シィア「直にこちらに来るそうですよ」

トキコ「えっ?それって司令からの情報?」

シィア「リュウマさんが教えてくれました」

トキコ「あいつか・・・」

カナメ「どんな人なの?」

トワネ「ヒヨリは・・・最強の女さ」


◯32ロシア/高原(深夜)

 ロシアの高原に立っている九音ヒヨリと真弓マナカ

 ロシアの高原には雪が積もり、強風が吹き荒れている 

 ロシアの高原にはヒヨリとマナカ以外に誰もいない

 ヒヨリは紫の”ミラースーツ”を、マナカは緑の”ミラースーツ”を着ている

 ヒヨリは山羊がデザインされた鉄仮面を、マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 ヒヨリとマナカの年齢は18歳

 山羊がデザインされた鉄仮面を外そうとするヒヨリ

 ヒヨリが山羊がデザインされた鉄仮面を外そうとすると、ガチャッという音が鳴ってヒヨリの顔から鉄仮面が外れる

 ヒヨリの顔面には魔法陣のような紋章が描かれて光っている

 ヒヨリは笑っている

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