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『第三話 それだけ』

『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』


登場人物


神野(じんの) カナメ 16歳男子

本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。


相園(あいぞの) トワネ 16歳女子

本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。


若葉(わかば) ソウヤ 16歳男子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。


浅木(あさき) チヅル 16歳女子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。


九音(くおん) ヒヨリ 18歳女子

カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。


真弓(まゆみ) マナカ 18歳女子

ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。


シィア 15歳女子モデル

長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。


四季(しき) イズミ 16歳女子

・・・???


(こずえ) トキコ 36歳女子

“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。


神野(じんの) タエ 78歳女子

“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。


日向(ひなた) リュウマ 36歳男子

日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。


神野(じんの) アキラ 44歳男子

カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。

 

神野(じんの) アイラ 女子

カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。




ゲストキャラクター




MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル

シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。


トキコがバーで出会った男 30代後半男子

・・・???


イザベル・カーフェン 16歳?女子

一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。


アマネ・カーフェン 18歳?女子

イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。


ルシファリア 年齢?女子

・・・???


ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子

・・・???


ヒラン・アンドレイ 14歳女子

・・・???


ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子

・・・???


クレナ・アンドレイ 21歳女子

・・・???


九音(くおん) アリカ 40歳女子

ヒヨリの母親。


博士 17〜18歳女子

本名不明。”あるもの”を連れている。


タカヤ 30代前半男子

・・・???


ヨハリル 20代前半?男子

・・・???


C 16歳?女子

リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。


キファー 16歳?男子

Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。


ユーリ 60歳?男子

Cの叔父。


ガラファリア 20代後半?女子

・・・???


神野(じんの) アイハ 40代前半女子

カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。


イ・ジヨン 20代前半女子

韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。


リツ 27歳女子

ある過去を抱えている信仰者。


スグル 30代前半男子

・・・???

◯1私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/朝)

 外は快晴

 私立私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 ソウヤの隣の席が空席になっている

 チヅルの無くなっていたはずの左腕は再生している

 トワネを含む私立私立東堂高校一年C組の生徒たちは机に向かって椅子に座っている

 トワネの席は窓際にある

 自分の席から退屈そうに外に眺めているトワネ

 黒板の前に立っているカナメと教師1


カナメ「都立白川高校から編入することになりました、神野カナメです」


 少しの沈黙が流れる


教師1「神野くんにはまだ分からないことがたくさんあると思います、皆さんとは同じ勉強する仲間ですから、色々教えてあげてください、良いですね」


 再び沈黙が流れる

 教師1はソウヤの隣の空席を指差す


教師1「(ソウヤの隣の空席を指差して)神野くんの席はあの空いてるところです」


 カナメはソウヤの隣の空席に向かって歩き始める

 ソウヤの隣の空席を指差すのをやめる教師1

 チヅルの横を通るカナメ

 チヅルは横を通りかかったカナメに足を出す

 チヅルの足に引っかかって転ぶカナメ

 転んだカナメのことを見て私立私立東堂高校一年C組の教室にいる生徒たちがくすくす笑っている

 

教師1「大丈夫ですか、神野くん」


 カナメは立ち上がる

 再びソウヤの隣の空席に向かって歩き始めるカナメ


教師1「保健室は一階にあります、怪我をしたなら後で行きなさい」


 カナメはソウヤの隣の机に向かって椅子に座る


教師1「では授業を始めたいと思います」


 私立私立東堂高校一年C組の教室にいる生徒たちは変わらずカナメのことを見てくすくす笑っている

 退屈そうに外に眺め続けるトワネ


◯2ANDREI総本部トキコの研究室(朝)

 ANDREI総本部トキコの研究室にいるシィアと白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部トキコの研究室には机、椅子、たくさんの書類、本、パソコンが乱雑に置いてあり、散らかっている

 トキコはタブレットを持っている

 トキコのタブレットにはカナメの学校の成績が表示されている

 タブレットに表示されているカナメの成績を見ながらシィアと話をしているトキコ


トキコ「(タブレットに表示されているカナメの成績を見ながら)ひっどい成績」

シィア「まさに劣等感の塊です」

トキコ「(タブレットに表示されているカナメの成績を見ながら)5段階評価で体育の成績が2って、どうなってんのかしら」

シィア「カナメの学力と運動能力は、一般的な高校一年生男子の平均と比較しても著しく低いです」

トキコ「(タブレットに表示されているカナメの成績を見ながら)で、なおかつコミュ力もないと?」

シィア「はい」


 トキコはタブレットに表示されているカナメの成績を見るのをやめる


シィア「どうしますか?トキコ博士」

トキコ「どうもこうも言われても、私はもう三人の子供と一体のアンドロイドの面倒を見るので手一杯だわ」

シィア「(淡々と)アンドロイドはむしろ、面倒を見る側なのですが」

トキコ「なら私を養ってよ」

シィア「(淡々と)私の少ないお給料では無理です」


 少しの沈黙が流れる


シィア「博士が保護者役を買って出ないのなら、リュウマ陸佐がカナメを預かることになるでしょう」

トキコ「いや、何でそうなるのよ?あの子には父親がいるんだし何もあんな奴に預けなくても良いでしょ」

シィア「ですが博士、契約者たちを近くに置くべきという考えは博士自らが提案したことでは?」

トキコ「それとこれとは全くもって別の話だから、そもそも私は子供が嫌いなの」

シィア「(淡々と)ツンデレ、ですね」

トキコ「可哀想に・・・シィアちゃんは機械だから人間の複雑な心理ってやつが分からないのね」

シィア「それはアンドロイド差別ではありませんか」

トキコ「事実よ」

シィア「事実も時に差別になると思いますが」


 少しの沈黙が流れる


シィア「アホ」

トキコ「ちょっと人間様に失礼な態度を取るのはやめてくれる?」

シィア「失礼」

トキコ「失礼しました、でしょ」


 再び沈黙が流れる


トキコ「シィアちゃんを合わせると私は四人も子供の面倒を見てるようなもんだわ」

シィア「では博士、五人目もいかがですか」

トキコ「結構です。いくら父親と上手くいってなくても私が母親代わりになるのは御免よ」

シィア「博士は捨てられた子犬の前を通り過ぎるような人ではないかと」

トキコ「アホなこと言ってんじゃないわよ、(少し間を開けて)あの子には司令だっているのに」


◯3ANDREI総本部司令の自室(朝)

 ANDREI総本部司令の自室にいるタエ

 ANDREI総本部司令の自室は広く、巨大な水槽がある

 ANDREI総本部司令の自室の中にある巨大な水槽には、たくさんの熱帯魚が泳いでいる

 ANDREI総本部司令の自室には机と椅子がある

 タエはANDREI総本部司令の自室にある巨大な水槽の中で泳いでいるたくさんの熱帯魚を見ている


◯4私立東堂高校一年C組の教室(昼)

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは隣の席の女子生徒と話をしている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 カナメは机に突っ伏している

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち


ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒1「テレビでまた見たよ!!若葉くんすっごく格好良かった!!」

ソウヤ「(少し笑って)負けちゃったけどね」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒2「2回目はソウヤが勝ったじゃん!!」

ソウヤ「いや、あれは僕じゃなくて・・・」

 

 ソウヤはチラッと隣で机に突っ伏しているカナメのことを見る

 変わらず机に突っ伏しているカナメ


ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3「ちゃんとやり返してたよね!!」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒4「うん!!ねね!!あの槍みたいやつ見せてよ!!」

ソウヤ「(少し笑って)ごめん、任務外では第六の力を使っちゃいけないことになってるんだ」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒4「えー、見たかったのにー」

ソウヤ「(少し笑いながら)ごめん」


 チヅルは変わらず隣の席の女子生徒と話をしている


チヅルの隣の席の女子生徒「チヅルってソウヤくんと幼馴染なんでしょ・・・?」

チヅル「幼馴染っていうか・・・ただの腐れ縁なだけで・・・」

チヅルの隣の席の女子生徒「ソウヤくんって何が好きなのかな・・・?どういう音楽を聞くとか、チヅル知ってる・・・?」

チヅル「あー、音楽ね、あいつの好み、めっちゃつまらないよ。讃美歌とかクラシックばっかだから」

チヅルの隣の席の女子生徒「讃美歌・・・?で、でもクラシックとか格好良いよね、なんかソウヤくんっぽいって感じ」


 チヅルは立ち上がる

 

チヅルの隣の席の女子生徒「どうしたの?」

チヅル「トイレ」


 チヅルの隣の席の女子生徒は立ち上がる


チヅルの隣の席の女子生徒「(立ち上がって)あ、じゃあ私も」

チヅル「いや・・・何で?」

チヅルの隣の席の女子生徒「何でって何が?」

チヅル「何でついて来んの?」

チヅルの隣の席の女子生徒「えっ・・・だってさっき・・・ほら・・・レモンティー飲み過ぎちゃったし」

チヅル「ああ、そう」


 チヅルは教室の扉に向かって歩き始める

 チヅルについて行くチヅルの隣の席の女子生徒

 ソウヤは席の周りに集まっているたくさんの女子生徒と話をしながらチヅルのことを見る

 

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒1「若葉くんって部活とかやらないの?」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒2「馬鹿、ソウヤは世界を救わなきゃいけないんだから部活なんてやってる暇ない・・・よね?」


 チヅルはソウヤに見られていることに気付いていない

 教室から出て行くチヅルとチヅルの隣の席の女子生徒

 ソウヤは教室の扉の方を見るのやめる


ソウヤ「(教室の扉の方を見るのやめて)そうだね、部活はやらないかな」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒2「だ、だよね!!」

ソウヤ「うん、みんなは部活をやってるの?」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3「私は軽音部。今度ライブ聞きに来てよ」

ソウヤ「じゃあ招待状を貰ったら行こうかな」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3「(少し笑って)そんなのないって、来たい人が来れば良いだけだし」

ソウヤ「自由参加か」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3「(少し笑いながら)当たり前じゃん、だからいつソウヤが来ても・・・」

ソウヤ「(ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3の話を遮って)やめとく」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒3「えっ・・・?」

ソウヤ「(少し笑って)やめとくと言ったんだ」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒4「そ、ソウヤくん・・なんか怒ってる・・・?」

ソウヤ「(少し笑いながら)来ても来なくても良いようなところには行きたくないんだ」

ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒4「な、何それ、どういうこと?」

ソウヤ「(少し笑いながら)僕は強制されたいんだよ」


◯5ANDREI総本部食堂(昼過ぎ)

 ANDREI総本部の食堂にいる白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の食堂にはたくさんのテーブルと椅子がある 

 ANDREI総本部の食堂にはトキコ以外にもたくさんのANDREIの職員がおり、昼食を食べている

 テーブルに向かって椅子に座っているトキコ

 テーブルの上にはパソコンが置いてある

 トキコはパソコンに向かってタイピングをしている 

 少しするとパソコンに向かってタイピングをしているトキコの隣の椅子に誰かが座って来る


トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)他んとこで作業してくんない?」

リュウマ「おっかしいな、相席オーケーだと聞いたんだが」


 トキコはパソコンに向かってタイピングをするのやめる

 隣を見るトキコ

 トキコの隣の席にはリュウマがいる

 

トキコ「(隣にいるリュウマのことを見て)何であんたがここにいんのよ」

リュウマ「一人よりは二人の方が良いじゃないか」

トキコ「(隣にいるリュウマのことを見るのをやめて)何契約者みたいなことを言ってるんだか」

リュウマ「ああ、契約者ね。(少し間を開けて)どう?トキコは俺と契約する?」

トキコ「あんたとはお断りよ」

リュウマ「昔付き合ってたのに?」

トキコ「昔付き合ってたから断ってるんだけど?」

リュウマ「そりゃそりゃそりゃ残念」


 少しの沈黙が流れる


リュウマ「それで?どうしてトキコは食堂なんかでパソコンと睨めっこをしてるのかな?」


 トキコは再びパソコンに向かってタイピングを始める


トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)研究室は居辛いの」

リュウマ「あー、なるほどね。またシィアちゃんと喧嘩したのか」

トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)意見の相違よ」

リュウマ「あれは君専門の部屋だろ、好きなように散らかしてるんだから、好きなように滞在すれば良いと思うんだけどな」

トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)融通が効かないのよ、あの子は」

リュウマ「シィアちゃんの教育はトキコの管轄じゃないか」

トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)だから面倒を見てるんでしょ」

リュウマ「(少し笑って)例の計画を進めながらね、君は全く子供好きだよ」


 再び沈黙が流れる


リュウマ「そういや聞いたか?俺があの子を預かることになったんだぜ?」

トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)で?あんたのせいでまた一人アホが増えるって?」

リュウマ「(少し笑って)心配するなよ、仲良くやるさ。悪いことを共有するのは気分も良いからな」

トキコ「(パソコンに向かってタイピングをしながら)ちょっと、子供の未来を奪わないでよ」

リュウマ「(少し笑いながら)おいおいおい、そんなことを言ったら俺たちはもうあの子たちの将来を完璧に奪ってるじゃないか」


◯6私立東堂高校一年C組の教室(放課後/夕方)

 夕日が沈みかけている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちは帰る準備をしたり、教室から出て行ったりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 カナメ、ソウヤ、チヅルは自分の席で帰る準備をしている


ソウヤ「(帰る準備をしながら)神野くん」

カナメ「(帰る準備をしながら)何?」

ソウヤ「(帰る準備をしながら)今日の集合場所は分かるよね」

カナメ「(帰る準備をするのをやめて)えっと・・・」


 チヅルは帰る準備を終える

 カバンを持って立ち上がるチヅル 

 ソウヤのところにやって来るチヅル


カナメ「確か第一会議室で・・・」

チヅル「(カナメの話を遮って)行こ、ソウヤ」


 ソウヤは帰る準備を終える


ソウヤ「(帰る準備を終えて)あ、うん。僕ら先行くけど、分からないことはトワネに・・・」

チヅル「(ソウヤの話を遮って)早くして」

ソウヤ「急かすなよ」


 ソウヤはカバンを持って立ち上がる


ソウヤ「(カバンを持って立ち上がって)じゃあ後で」


 ソウヤとチヅルは教室の扉に向かって歩き始める

 

チヅル「やめなよ、新入りと関わるのは」

ソウヤ「話をしたのはさっきの一回だけだよ」

チヅル「その一回だってなくて・・・」


 ソウヤとチヅルは話をしながら教室から出て行く

 少しの沈黙が流れる

 カナメは再び帰る準備をする

 帰る準備をしながらチラッと退屈そうに外を眺めているトワネのことを見るカナメ

 カナメは帰る準備をし終える

 カバンを持って立ち上がるカナメ

 退屈そうに外を眺めているトワネのところに行くカナメ


カナメ「あの・・・」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)何だ」

カナメ「きょ、今日も検査だよね」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)ああ」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)早く行けよ」

カナメ「えっ、う、うん」


 再び沈黙が流れる

 カナメは教室の扉に向かって歩き始める

 教室から出て行くカナメ

 トワネは外を眺めるのをやめる

 立ち上がるトワネ


トワネ「(立ち上がって不機嫌そうに)つまらない奴」


◯7東堂駅(夕方)

 夕日が沈みかけている

 東堂駅の広いホームにいるカナメとトワネ

 東堂駅の広いホームにはたくさんの学生、サラリーマン、OLがおり、電車が来るのを待っている

 カナメとトワネは離れたところで電車が来るのを待っている

 カナメはチラッとトワネのことを見る


◯8電車内/ANDREI総本部に向かう道中(夕方) 

 夕日が沈みかけている

 電車に乗ってANDREI総本部に向かっているカナメとトワネ

 電車の中にはたくさんの学生、サラリーマン、OLが乗っており、座席は空いていない

 カナメは電車の車両の連結部分の近くで、トワネは扉の近くで立っている


◯9ANDREI総本部に向かう道中(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部に向かっているカナメとトワネ

 トワネはカナメの20メートルほど後ろを歩いている

 立ち止まるカナメ

 カナメに合わせて立ち止まるトワネ

 振り返ってトワネのことを見るカナメ

 トワネは慌ててカナメから顔を逸らす

 振り返ってトワネのことを見るのをやめるカナメ

 カナメは歩き始める

 顔を逸らすのをやめるトワネ

 トワネはおかしそうに少し笑う

 カナメの20メートルほど後ろを歩き始めるトワネ

 少しの間カナメとトワネは20メートルほどの距離を保ちながら無言でANDREI総本部に向かい続ける

 立ち止まるカナメ

 再びカナメに合わせて立ち止まるトワネ

 振り返ってトワネのことを見るカナメ

 トワネは慌ててカナメから顔を逸らす


カナメ「(振り返って顔を逸らしているトワネのことを見たまま)何やってるんだよ」

トワネ「(カナメから顔を逸らすのをやめて不機嫌そうに)何かしてるように見えるのか」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「(振り返ってトワネのことを見たまま)ついて来ないで欲しいんだけど」

トワネ「(不機嫌そうに)馬鹿かお前、目的地が一緒なのについて来るも何もないだろ」


 再び沈黙が流れる


トワネ「(少し笑って)シミュレーション相手に泣いてたお前が私抜きで戦えると思ってるのか?」

カナメ「(振り返ってトワネのことを見たまま)き、君だって僕がいなかったら・・・」

トワネ「(振り返ってトワネのことを見ているカナメの話を遮って)お前がいなかったらタエは別の人間を選んだ、それだけだ」


 少しの沈黙が流れる

 カナメは振り返ってトワネのことを見るのをやめる

 歩き始めるカナメ


『第三話 それだけ』


◯10ANDREI総本部通路(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部の通路を歩いているカナメとトワネ

 トワネはカナメの数メートル後ろを歩いている

 カナメとトワネはANDREI総本部の第一会議室の場所が分からず、完全に迷子になっている


トワネ「(不機嫌そうに)遅刻だな」

カナメ「き、君も同じだろ」

トワネ「(不機嫌そうに)お前が悪い」

カナメ「何でだよ」

トワネ「(不機嫌そうに)お前が悪いからだ」


 少しの沈黙が流れる

 カナメは立ち止まる

 カナメに合わせて立ち止まるトワネ


カナメ「な、何なんだよその態度」

トワネ「どの態度だ」


 再び沈黙が流れる


カナメ「じ、自分だって迷子のくせに偉そうにするなよ」

トワネ「それは悪かった。でも私は迷ってるわけじゃない」

カナメ「か、会議室の場所を知ってるの?」

トワネ「ああ」

カナメ「な、なら何で黙って僕の後ろをついて来たんだよ、君が教えてくれれば時間を無駄にしないで・・・」

トワネ「(カナメの話を遮って不機嫌そうに)お前は道を聞こうとしなかった、それだけだ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「み、道が分かるなら僕の前を歩いてよ」

トワネ「(不機嫌そうに)嫌だ」

カナメ「な、何でだよ」

トワネ「(不機嫌そうに)頼まれてないからだ」

カナメ「こ、これでも僕は頼んでるつもりなんだけど」

トワネ「そうなのか、でも悪いな、私には頼んでるように見えないんだ」


 再び沈黙が流れる


カナメ「ぼ、僕の前を歩いてください」

トワネ「分かった」


 トワネは歩き始める

 トワネに合わせて歩き始めるカナメ

 少しの沈黙が流れる


トワネ「歩くだけで良いのか?それだと永遠に本部の中を彷徨うことになるが?」

カナメ「か、会議室まで案内してください」

トワネ「そうか、カナメは会議室に行きたかったのか。だったら最初からそう口で言えば良かったのにな、あーあ、時間が勿体無い」


◯11ANDREI総本部第一会議室(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部の第一会議室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の第一会議室にはテーブル、椅子、ホワイトボードがある

 テーブルに向かって椅子に座っているソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメとトワネは立っている

 貧乏揺すりをしているチヅル

 話をしているカナメたち


トキコ「(イライラしながら)遅い!!遅過ぎるわよ!!」

トワネ「悪かった、カナメが道草を食ったんだ」

トキコ「(イライラしながら)あんたらが遅刻している間にオソレが来たら人類は絶滅だわ!!」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「(イライラしながら貧乏揺すりをして)おい、何とか言えよ新入り」

カナメ「ごめん」

トキコ「(イライラしながら)ごめんじゃないわよごめんじゃ!!ここは社会なの!!学校みたいに遅刻してはいすみませんでしたで許される世界とは訳が違うのよ!!」


 再び沈黙が流れる


トキコ「(イライラしながら)ったく・・・嫌なガキね・・・あんたなんかに人類の命運を任せた司令の思考が理解不能だわ」


 少しの沈黙が流れる

 トワネはテーブルに向かって椅子に座る


◯12ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメとトワネ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺の”ミラースーツ”を、トワネは赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 カナメはトワネの胸元に手を当てている

 カナメはトワネの胸元に手を当てながらトワネと話をしている


トワネ「(カナメに胸元に手を当てられながら)誇り高き王よ、女王を盾とし、矛とし、世界を守護すると誓うか?」

カナメ「(トワネの胸元に手を当てながら)誓います」

トキコ「(声)イメージよイメージ!!」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 カナメの紺の”ミラースーツ”を、トワネの赤の”ミラースーツ”が光り始める


トワネ「(カナメに胸元に手を当てられながら)第六の力をお前の手に・・・」

 

 カナメの紺の”ミラースーツ”を、トワネの赤の”ミラースーツ”が強く光り、周囲が見えなくなる

 強く光っているカナメの紺の”ミラースーツ”は紺色と赤になっている

 少しするとカナメの紺色と赤の”ミラースーツ”から光りが消える

 トワネの胸元に当てていたはずのカナメの手のひらの上には、一匹のネオンテトラがいる

 カナメの手のひらの上にいる一匹のネオンテトラは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 カナメの手のひらの上にいる一匹のネオンテトラは、ぴちぴちと飛び跳ねている

 

トキコ「(大きな声)武器以外を考えてどうすんのよ!!!!魚とオソレと戦えると思ってんの!?!?」


 少しの沈黙が流れる


トキコ「(大きな声)もう一度!!!!イメージしなさい!!!!」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの大きな声が鳴り響く

 カナメは両目を瞑る

 カナメが両目を瞑っていると、カナメの手のひらの上でぴちぴちと飛び跳ねていた一匹のネオンテトラが熊のぬいぐるみに変わる

 両目を開けるカナメ

 カナメが持っている熊のぬいぐるみは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(大きな声)何で武器を出さないのよ!!!!」


 再びANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの大きな声が鳴り響く

 

カナメ「僕だって、努力はしてるんだ・・・」


◯13ANDREI総本部シミュレーション監視室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にいるソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にはマジックミラーがあり、そこからシミュレーション室にいるカナメと、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体の姿が見える

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメは熊のぬいぐるみを持っている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメが持っている熊のぬいぐるみは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室には二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体がいる

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室からは監視室が見えておらず、ただの鏡になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室ではカナメの音声が聞こえている

 ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 ソウヤ、チヅル、シィア、トキコはANDREI総本部のシミュレーション室で熊のぬいぐるみを持っているカナメのことを見ている


トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で熊のぬいぐるみを持っているカナメのことを見ながら大きな声で)結果のない努力は無駄なの!!!!分かったら早く武器を出しなさい!!!!」


◯14ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 カナメは熊のぬいぐるみを持っている

 カナメが持っている熊のぬいぐるみは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(大きな声)早く!!!!」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの大きな声が鳴り響く

 カナメは両目を瞑る

 カナメが両目を瞑っていると、カナメが持っていた熊のぬいぐるみが消しゴムに変わる

 両目を開けるカナメ

 カナメが持っている消しゴムは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(声)時間切れよ、死になさい」


 再びANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えて来る

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、カナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、カナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁に勢いよく体をぶつけるカナメ

 カナメが持っていた熊のぬいぐるみはANDREI総本部のシミュレーション室の床に転がる

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れている


トキコ「(声)何グズグズやってんの、早く立って戦う覚悟を見せなさいよ」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 少しの沈黙が流れる

 カナメはフラフラ立ち上がる

 フラフラ歩きながら転がっていた熊のぬいぐるみを拾いに行こうとするカナメ

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、フラフラ歩きながら転がっていた熊のぬいぐるみを拾いに行こうとしていたカナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、再びカナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れるカナメ


トキコ「(声)ばっかじゃないの!!そんなゆっくり歩いていたらやられるでしょうが!!」


 再びANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く


◯15ANDREI総本部シミュレーション監視室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にいるソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ、リュウマ

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にはマジックミラーがあり、そこからシミュレーション室にいるカナメと、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体の姿が見える

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れている

 宙に浮かんだまま、ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れているカナメの近くにいる二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体

 ANDREI総本部のシミュレーション室には熊のぬいぐるみが転がっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室に転がっている熊のぬいぐるみは、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室からは監視室が見えておらず、ただの鏡になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室ではカナメの音声が聞こえている

 ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 ソウヤ、チヅル、シィア、トキコはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れているカナメのことを見ている


チヅル「(ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れているカナメのことを見ながら)あいつ、マジで使えねーじゃん」


◯16私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は晴れている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは隣の席の女子生徒と話をしている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 カナメは机に突っ伏している

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち


ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒1「わ、若葉くん、明日の放課後、私たちと遊びに行かない?」

ソウヤ「ごめん、明日も訓練があるんだ」


◯17ANDREI総本部に向かう道中(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部に向かっているカナメとトワネ

 トワネはカナメの20メートルほど後ろを歩いている

 

◯18ANDREI総本部第一会議室(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部の第一会議室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の第一会議室にはテーブル、椅子、ホワイトボードがある

 テーブルに向かって椅子に座っているソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメとトワネは立っている

 貧乏揺すりをしているチヅル

 話をしているカナメたち


トキコ「(イライラしながら大きな声で)何で今日も遅刻したのよ!!!!」

トワネ「またカナメが道草を食ったんだ」


◯19ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメとトワネ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺の”ミラースーツ”を、トワネは赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 カナメはトワネの胸元に手を当てている

 カナメはトワネの胸元に手を当てながらトワネと話をしている


トワネ「(カナメに胸元に手を当てられながら)誇り高き王よ、女王を盾とし、矛とし、世界を守護すると誓うか?」

カナメ「(トワネの胸元に手を当てながら)誓います」


 時間経過


 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 カナメはカッターナイフを持っている

 カナメが持っているカッターナイフはトワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(声)死になさい」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、カナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、カナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁に勢いよく体をぶつけるカナメ

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れる


トキコ「(声)立って、もっと強い武器をイメージをするのよ」


 再びANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 カナメはフラフラ立ち上がる

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、フラフラ立ち上がったカナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、再びカナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れるカナメ


◯20私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は曇っている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは隣の席の女子生徒と話をしている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 カナメは机に突っ伏している

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち


ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒2「そ、ソウヤって、浅木さんと昔からの・・・」


◯21電車内/ANDREI総本部に向かう道中(夕方) 

 夕日が沈みかけている

 電車に乗ってANDREI総本部に向かっているカナメとトワネ

 電車の中にはたくさんの学生、サラリーマン、OLが乗っており、座席は空いていない

 カナメは電車の車両の連結部分の近くで、トワネは扉の近くで立っている


◯22ANDREI総本部第一会議室(夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部の第一会議室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の第一会議室にはテーブル、椅子、ホワイトボードがある

 テーブルに向かって椅子に座っているソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメとトワネは立っている

 貧乏揺すりをしているチヅル

 話をしているカナメたち


トワネ「またカナメが道草を・・・」


◯23ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 カナメはハンマーを持っている

 カナメが持っているハンマーはトワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(声)死になさい」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、カナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、カナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁に勢いよく体をぶつけるカナメ

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れる


◯24私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は雨が降っている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは隣の席の女子生徒と話をしている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 カナメは机に突っ伏している

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち


ソウヤの席の周りに集まっている女子生徒4「ソウヤが来ないなら、私たちをANDREIの本部に・・・」


◯25ANDREI総本部通路(夕方)

 ANDREI総本部の通路を歩いているカナメとトワネ

 トワネはカナメの数メートル後ろを歩いている

 カナメとトワネはANDREI総本部の第一会議室の場所が分からず、完全に迷子になっている


◯26ANDREI総本部第一会議室(夕方)

 外は弱い雨が降っている

 ANDREI総本部の第一会議室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の第一会議室にはテーブル、椅子、ホワイトボードがある

 テーブルに向かって椅子に座っているソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメとトワネは立っている

 貧乏揺すりをしているチヅル

 話をしているカナメたち


トワネ「道草を・・・」


◯27ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 カナメはノコギリを持っている

 カナメが持っているノコギリはトワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(声)死になさい」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、カナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、カナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁に勢いよく体をぶつけるカナメ

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れる


◯28私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は強い雨が降っている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 ソウヤの席の周りにはたくさんの女子生徒が集まっている

 ソウヤと話をしているソウヤの席の周りにいるたくさんの女子生徒たち

 カナメは机に突っ伏している

 立ち上がるチヅル

 チヅルは教室の扉に向かって歩き始める

 机に突っ伏しているカナメの横を通るチヅル


チヅル「(小声でボソッと)お前みたいな奴は迷惑なんだよ」


◯29東堂駅(夕方)

 外は強い雨が降っている

 東堂駅の広いホームにいるカナメとトワネ

 東堂駅の広いホームにはたくさんの学生、サラリーマン、OLがおり、電車が来るのを待っている

 カナメとトワネは離れたところで電車が来るのを待っている

 カナメの体は雨でずぶ濡れになっている


◯30ANDREI総本部第一会議室(夕方)

 外は強い雨が降っている

 ANDREI総本部の第一会議室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部の第一会議室にはテーブル、椅子、ホワイトボードがある

 テーブルに向かって椅子に座っているソウヤ、チヅル、シィア、トキコ

 カナメとトワネは立っている

 貧乏揺すりをしているチヅル

 話をしているカナメたち


トワネ「道・・・」


◯31ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 カナメはハンドガンを持っている

 カナメが持っているハンドガンはトワネがカナメと契約して”女王”になった姿


トキコ「(声)死になさい」


 ANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手が、カナメの体を薙ぎ払う

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から生えている巨大な猿のような右手に薙ぎ払われて、カナメの体の吹き飛ばされる

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁に勢いよく体をぶつけるカナメ

 カナメはANDREI総本部のシミュレーション室の壁の前で倒れる

 少しの沈黙が流れる


トキコ「(声)もう良いわ」


 再びANDREI総本部のシミュレーション室にトキコの声が鳴り響く

 カナメはフラフラ立ち上がる

 ハンドガンを二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向けるカナメ

 カナメは二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向けたままハンドガンの引き金を引く


トキコ「(声)もう良いと言ったの、さっさと契約を解除しなさい」


 カナメは二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かってハンドガンを発砲する

 カナメが二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって発砲したハンドガンからBB弾が飛び出る

 ハンドガンから飛び出たBB弾は二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体にぶつかってANDREI総本部のシミュレーション室の床に落ちる

 カナメの足元に転がるBB弾

 カナメはハンドガンを二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向けたまま俯く

 俯いたまま、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かってハンドガンを連射するカナメ

 カナメが俯いたまま、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって連射したハンドガンからたくさんのBB弾が飛び出る

 ハンドガンから飛び出たたくさんのBB弾は二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体にぶつかり、ANDREI総本部のシミュレーション室の床に落ちて散らばる

 カナメの足元にはたくさんのBB弾が転がっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の中にソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコが入って来る

 ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 

チヅル「はいはいご苦労様、色々やってみたけどこれがあんたの実力ってわけだ、話も出来ないし時間も守れないし道も覚えられないし能力もないんだから、もう来なくて良いよ」


 カナメは俯いたままゆっくりハンドガンをチヅルに向ける


シィア「アホですね」

ソウヤ「やめなよ神野くん、そんなことをしても意味がないだろ」


 再び沈黙が流れる


チヅル「(俯いているカナメにハンドガンを向けられたまま)それ、ただのおもちゃじゃん。お前、トワネと第六の力を持っても武器はおろかゴミばっか量産してるよね」

トキコ「銃を下ろしなさいカナメ、チヅルも、余計なことを言ってガキを刺激するのは・・・」


 カナメは俯いたまま話途中だったトキコにハンドガンを向ける


トキコ「(俯いているカナメにハンドガンを向けられて呆れて)自分に力がないから人に八つ当たりするなんて、あんたはどこまでガキなの?」

カナメ「(俯きハンドガンをトキコに向けたまま)みんな僕がいなきゃ死んでいたくせに・・・」

チヅル「は?自惚れんなよ新入り、お前なんかいなくてもあたしとソウヤだけで十分なんだよ」

カナメ「(俯きハンドガンをトキコに向けたまま)君たちが戦っている映像を見たけど、ボコボコにされてたじゃないか。それなのによくそんな偉そうなことが言えるよね、どんだけ自分が偉いと思ってるんだよ。自惚れてるのはそっちじゃないか」


 ソウヤは俯いたままハンドガンをトキコに向けているカナメの顔面を思いっきり殴る

 その場に倒れるカナメ

 カナメの唇の端が切れて血が出ている


ソウヤ「どっちが自惚れてるにしてもチヅルに失礼なことを言うのはやめてくれ」

カナメ「(その場に倒れたまま)何今更ボディーガードを気取ってるんだよ・・・教室じゃろくに話もしないくせに・・・」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「お前さ・・・早く死ねよ」


 カナメはその場に倒れたままハンドガンをチヅルに向ける

 カナメがその場に倒れたままチヅルに向けていたハンドガンが小さなブラックホールのようなものに変わる

 カナメがその場に倒れたまま持っているブラックホールが真っ黒な針に変わる

 カナメがその場に倒れたまま持っている真っ黒な針は、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 カナメがその場に倒れたまま持っている真っ黒な針は”イングマールの針”によく似ている

 カナメはその場に倒れたまま真っ黒な針をチヅルに向けている


トキコ「馬鹿、やれば出来るっていうのにそれを味方に向けてどうすんのよ」


◯32神野家カナメの部屋(日替わり/朝)

 外は強い雨が降っている

 自室にいるカナメ

 カナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 ベッドの上で横になっているカナメ

 少しすると誰かがカナメの部屋の扉をノックする

 

アキラ「は、入るぞカナメ」


 アキラがカナメの部屋の扉を開けて部屋の中に入って来る


アキラ「(カナメの部屋の扉を開けて部屋の中に入って)ちょ、調子はどうだ」

カナメ「今日は・・・気分が悪いから休もうと思う」

アキラ「そそうか・・・」


 少しの沈黙が流れる


アキラ「お父さん、なるべく早く帰って来るから、今日はゆっくり休んでなさい、良いね」


 再び沈黙が流れる


アキラ「行って来ます・・・」


 アキラはカナメの部屋から出て行く

 少しの沈黙が流れる

 ベッドの上で横になったまま体の向きを変えるカナメ


◯33ANDREI総本部中央司令室(朝)

 外は強い雨が降っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるシィア、白衣姿のトキコ、タエ、リュウマ、その他大勢のANDREIの職員たち

 ANDREI総本部の中央司令室には正面に巨大なモニターがあり、東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿が映し出されている

 三人目のオソレは体長30メートル以上の巨大な蜘蛛

 ANDREI総本部の中央司令室にはたくさんのコンピューターと椅子があり、たくさんのANDREIの職員たちがコンピューターに向かって椅子に座っている

 ANDREI総本部の中央司令室の巨大なモニターの前にはホログラムが投影されており、二人目のオソレの姿が立体的に映し出されている

 シィア、トキコ、リュウマは二人目のオソレが投影されているホログラムの前に立っている

 ANDREI総本部の中央司令室の後ろは高い椅子があり、タエが座っている

 ANDREI総本部の中央司令室にいるたくさんの職員たちは急いでコンピューターに向かって指示を出している

 シィア、トキコ、タエ、リュウマは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ている

 シィアたちは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら話をしている


トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら)あれが三人目のオソレ!?」

シィア「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら)間違いありません」

タエ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら)カナメトワネペアを前線に出して、若葉くんたちは後方支援に回しなさい」

リュウマ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見るのをやめて)お言葉を返すようですが司令、前線に出すのはソウヤくんたちの方が良いかもしれませんよ。お孫さん、召集の命令を無視して家にこもってるみたいですから」


 トキコは中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら下唇を噛む


トキコ「(中央司令室の巨大なモニターに映し出されている東京タワーの周辺にいる三人目のオソレの姿を見ながら下唇を噛んで)あのガキ・・・」


◯34神野家カナメの部屋(昼前)

 外は強い雨が降っている

 自室にいるカナメ

 カナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 ベッドの上で横になっているカナメ

 外では警報が鳴っており、”直ちに近くのシェルターに避難してください”という機械音が繰り返しアナウンスされている

 少しすると誰かがカナメの家のインターホンを押して来る

 ベッドの上で横になったままインターホンを無視するカナメ

 誰かがカナメの家のインターホンを何度も押して来る

 カナメはベッドの上で横になったままインターホンを無視し続ける

 カナメの家のインターホンが止まる

 玄関の方からカナメの家の扉を破壊するような音が聞こえて来る 

 誰かがカナメの家の扉を破壊して家の中に上がって来る

 少しすると突然、カナメの部屋の扉に斧が突き刺さる

 驚いて体を起こすカナメ


カナメ「(驚いて体を起こして)だ、誰?」


 カナメの部屋の扉に突き刺さった斧は引き抜かれる

 再びカナメの部屋の扉に己が突き刺さる

 カナメの部屋の扉に突き刺さった斧は引き抜かれ、もう一度扉に突き刺さる

 再びカナメの部屋の扉から引き抜かれる斧

 カナメの部屋の扉はボロボロで穴だらけになっている

 カナメの部屋の扉の穴から誰かの手が伸びて来る

 誰かがカナメの部屋の扉の穴から手を入れてドアノブを回す

 カナメの部屋の扉の穴から手を抜く誰か

 カナメの部屋の扉が開く

 カナメの部屋の前にはトワネが立っている 

 トワネは赤の”ミラースーツ”を着ており、斧とカナメの紺の”ミラースーツ”を持っている


カナメ「な、何やってるんだよ、ど、どうして扉を壊したりなんか・・・」

トワネ「(カナメの話を遮って)迎えに来たんだ」

カナメ「む、迎えに?」

トワネ「そうだ」

カナメ「あ、相園さんはお婆ちゃんに命令されて来たの?」

トワネ「(不機嫌そうに)相園さんと呼ぶな」

カナメ「えっ、な、何で?」

トワネ「(不機嫌そうに)なんかキモい」

カナメ「ご、ごめん」


 少しの沈黙が流れる

 トワネはカナメの部屋の中に入って来る

 カナメのベッドの上に座るトワネ


トワネ「(カナメのベッドの上に座って不機嫌そうに)タエやトキコに命令されたわけじゃない。私は自主的にカナメのところに来た」

カナメ「どうして?」

トワネ「(不機嫌そうに)私がいないとカナメが戦えないように、私はカナメがいないと戦えない」

カナメ「そ、それだけで来たの?」

トワネ「(不機嫌そうに)それだけだ」


 再び沈黙が流れる


トワネ「ソウヤとチヅルが苦戦してるらしい」

カナメ「そ、そうなんだ」

トワネ「私とお前があいつらを助けたら、みんなを見返せると思わないか」

カナメ「し、シミュレーションでも失敗してばっかりだったのに、実戦なんて無理だよ」

トワネ「なら死ぬか?お前はチヅルたちを見殺して、世界まで終わらせてしまうのか?」

カナメ「で、出来るかどうか分からないことをどうして僕にやらせるんだよ」

トワネ「それが、それがお前と私の運命だからさ」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「私だって怖いんだよカナメ、痛いのも苦しいのも死ぬのも怖い。(少し間を開けて)だが恐怖の共有は力になる」


 トワネはカナメの手を取る

 カナメの手を自分の胸元に当てさせるトワネ


トワネ「(カナメの手を自分の胸元に当てさせて)聞こえるか?これが第六の力の音だ」


 トワネの胸元に当てているカナメの手には、トワネの鼓動の音が聞こえて来ている


トワネ「(カナメの手を取って自分の胸元に当てさせながら)私はお前に頼まなくちゃいけない、もう一度私と全てを共有しろと。(少し間を開けて)カナメ、私と契約するんだ」


 カナメはトワネの胸元に手を当てたままトワネのことを見る


◯35東京タワー周辺(昼)

 強い雨が降っている

 東京タワー周辺にいるエンジン付きのグライダーに乗り大きな盾を持っているソウヤ

 ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着て、山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 東京タワー周辺には三人目のオソレがいる

 三人目のオソレは体長30メートル以上の巨大な蜘蛛

 ソウヤが持っている大きな盾には人間の両目がついている

 ソウヤが持っている大きな盾の人間の両目は、チヅルと完全に同じ瞳をしている

 チヅルの両目を持った大きな盾は、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 東京タワー周辺にはソウヤ以外に誰もいない

 ソウヤの体は雨でずぶ濡れになっている

 ソウヤはグライダーに乗りながら大きく旋回する

 三人目のオソレの蜘蛛の足がグライダーに乗って旋回しているソウヤのことを叩き落とそうとする


ソウヤ「(三人目のオソレの蜘蛛の足を避けながらグライダーで大きく旋回して)早い!!」


 ソウヤはグライダーに乗りながら三人目のオソレの頭上に上昇する


ソウヤ「(グライダーに乗りながら三人目のオソレの頭上に上昇して)オフレット値プラス40」


 ソウヤがグライダーに乗りながら三人目のオソレの頭上に上昇して”オフレット値プラス40”と呟くと、ソウヤが持っていた大きな盾が小さなブラックホールのようなものに変わる

 ソウヤがグライダーに乗りながら持っていた小さなブラックホールは槍に変わる

 ソウヤがグライダーに乗りながら持っている槍はチヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 ソウヤはグライダーに乗りながら槍を三人目のオソレの頭に向ける

 ソウヤはグライダーに乗り槍を三人目のオソレの頭に向けたままグライダーごと三人目のオソレの頭に突っ込もうとする


ソウヤ「(グライダーに乗り槍を三人目のオソレの頭に向けたままグライダーごと三人目のオソレの頭に突っ込もうとして)上からならば!!」


 ソウヤはグライダーに乗り槍を三人目のオソレの頭に向けたままグライダーごと三人目のオソレの頭に突っ込もうとするが、突然、三人目のオソレの蜘蛛の顔面が90度上を向く

 90度を上を向いた三人目のオソレの蜘蛛の顔面の口が大きく開く

 90度上を向いた三人目のオソレの蜘蛛の顔面の口の中が光っている


シィア「(声)高出力確認!!」 


 ソウヤが乗っているグライダーからシィアの声が聞こえて来る


ソウヤ「(グライダーに乗り槍を三人目のオソレの頭に向けたままグライダーごと三人目のオソレの頭に突っ込もうとして)ま、まずい!!チヅル!!シールドだ!!」


 ソウヤがグライダーに乗り槍を三人目のオソレの頭に向けたままグライダーごと三人目のオソレの頭に突っ込もうとして”チヅル!!シールドだ!!”と叫ぶと、ソウヤが持っていた槍が大きな盾に戻る

 ソウヤが持っている大きな盾には人間の両目がついている

 ソウヤが持っている大きな盾の人間の両目は、チヅルと完全に同じ瞳をしている

 チヅルの両目を持った大きな盾は、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 ソウヤがグライダーに乗りながら三人目のオソレの蜘蛛の顔面に向けていた槍が大きな盾に戻った瞬間、90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から熱光線が発射される

 ソウヤはグライダーに乗りながら大きな盾で三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を受ける

 ソウヤがグライダーに乗りながら90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を受けている大きな盾は、熱で少しずつ溶けていく

 

ソウヤ「(グライダーに乗り大きな盾で90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を受けながら)オフレット値100!!」


 ソウヤがグライダーに乗りながら90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を受けている大きな盾は、熱で溶けていた部分が自然治癒する

 

リュウマ「(声)一旦引けソウヤくん!!」


 ソウヤが乗っているグライダーからリュウマの声が聞こえて来る

 

ソウヤ「(グライダーに乗り大きな盾で90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を受けながら)了解!!」


 ソウヤはグライダーに乗りながら90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を大きな盾で受けるのをやめて盾を引こうとする

 ソウヤはグライダーに乗りながら90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を大きな盾で受けるのをやめて盾を引こうとするが、三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線の勢いが強くなる

 ソウヤはグライダーに乗りながら90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線を大きな盾で受けるのをやめて盾を引くが、引いた勢いで盾が三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線に弾き飛ばされる


ソウヤ「(グライダーに乗りながら大きな声で)チヅル!!!!」


 大きな盾はソウヤから数十メートル離れたところに落ちる

 90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の口から発射された熱光線は空高く上がる

 空高く上がった三人目のオソレの蜘蛛の口から発射されている熱光線の影響で、空高く上がった熱光線の周囲から雲が消え、一部分だけ快晴になる

 少しすると三人目のオソレの蜘蛛の口から発射されていた熱光線が止まる

 90度上を向いていた三人目のオソレの蜘蛛の顔面がグライダーに乗っているソウヤのことを見る

 三人目のオソレの蜘蛛の口からは黒い煙が出ている

 三人目のオソレは蜘蛛の後ろ足を使って立ち上がる

 三人目のオソレの蜘蛛の腹には、人間の裸の女のような痣がある

 

ソウヤ「(グライダーに乗りながら三人目のオソレの蜘蛛の腹にある人間の裸の女のような痣を見て)な、何だあれ・・・人間・・・?」

 

 三人目のオソレは蜘蛛の後ろ足で立ち上がったまま、グライダーに乗っているソウヤに向かって腹の痣にある人間の裸の女の胸から蜘蛛の糸を勢いよく放出する

 ソウヤはグライダーに乗りながら三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸を避けようとする

 ソウヤはグライダーに乗りながら三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸を避けようとするが、三人目のオソレの蜘蛛の糸は空中で大きく広がり、グライダーごとソウヤを捕まえる

 グライダーごと三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸に捕まったソウヤは地面に落下する

 ソウヤが乗っていたグライダーは地面に落下した拍子に壊れ、電気を走らせながら煙が上がる

 ソウヤは三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなっている

 三人目のオソレは蜘蛛の後ろ足で立ち上がったまま、前足で蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったソウヤを刺し殺そうとする

 

ソウヤ「(三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったまま、三人目のオソレの蜘蛛の前足で刺し殺されそうになって大きな声で)ま、待ってくれ!!!!こ、殺さないで・・・」


 蜘蛛の後ろ足で立ち上がったまま、前足で蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったソウヤを刺し殺そうとしている三人目のオソレの後ろの方から、一瞬だけ何かが光る

 蜘蛛の後ろ足で立ち上がったまま、前足で蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったソウヤを刺し殺そうとしている三人目のオソレの後ろの方から、勢いよく大きな斧が回転しながら飛んで来る

 蜘蛛の後ろ足で立ち上がったまま、前足で蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったソウヤを刺し殺そうとしている三人目のオソレの後ろの方から。勢いよく回転し飛んで来た大きな斧は三人目のオソレの後ろ足の一本を切断する

 三人目のオソレは蜘蛛の後ろ足の一本を切断されてバランスを崩し、立てなくなる

 三人目のオソレの切断された蜘蛛の後ろ足からは大量の血がシャワーのように噴き出る

 三人目のオソレは痛みでのたうち回りながら切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らし、悲鳴を上げる

 三人目のオソレの後ろの方から勢いよく回転しながら飛んで来た大きな斧は、ブーメランのように旋回して飛んで来た方へ戻る

 ソウヤは三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったまま、勢いよく大きな斧が回転し飛んで来た方を見る

 勢いよく回転しながら一人の人間の手に収まる大きな斧

 大きな斧を持っているのは紺色と赤の”ミラースーツ”を着ているカナメ

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 カナメの体は雨でずぶ濡れになっている

 カナメが持っている大きな斧はトワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 カナメが持っている大きな斧に人間の両目が現れる

 カナメが持っている大きな斧の人間の両目は、トワネと完全に同じ瞳をしている

 走って三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなっているソウヤのところに向かうカナメ

 

カナメ「お、遅れてごめん」

ソウヤ「(三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったまま)い、いや・・・来てくれてありがとう、カナメ、トワネ」


 カナメが持っている大きな斧のトワネの目が、三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなっているソウヤにウインクをする


 カナメ、ソウヤ、三人目のオソレがいるところだけ雨が降らなくなる

 三人目のオソレは変わらず痛みでのたうち回りながら、切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らして悲鳴を上げている


カナメ「僕も・・・君たちと戦うよ」

ソウヤ「(三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったまま)あ、ああ、よ、よろしくカナメ」

カナメ「うん、よろしく」


 カナメは痛みでのたうち回りながら、切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らして悲鳴を上げている三人目のオソレのことを見る

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、のたうち回るのをやめる

 三人目のオソレの悲鳴が止まる

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている蜘蛛の足で大きくジャンプする

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、50メートル近くの高さにまで飛んでいる


カナメ「(切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、50メートル近くの高さにまで飛んでいる三人目のオソレを見て驚いて)と、飛んだ!!」 

 

 切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出ている血が、カナメとソウヤから数十メートル離れたところに落ちている大きな盾にかかる

 切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出ている血を周囲に撒き散らしながら、50メートル近くの高さにまで飛んでいた三人目のオソレは大きな盾の前に着地する


ソウヤ「(三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなったまま大きな声で)チヅル!!!!」


 大きな盾にあるチヅルの両目からは涙が流れる

 カナメは走って大きな盾が落ちているところに向かう

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立ち上がる

 三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸を破ろうとするソウヤ

 カナメは走って大きな盾が落ちているところに向かいながら三人目のオソレに向かって大きな斧を思いっきり投げる

 大きな斧は勢いよく回転しながら、切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らして、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立っている三人目のオソレの方に飛んで行く

 大きな斧は勢いよく回転しながら、切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らして、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立っている三人目のオソレの方に飛んで行くが、三人目のオソレは前足で飛んで来た大きな斧を弾き返す

 大きな盾が落ちているところに向かって走っているカナメの横を、三人目のオソレの蜘蛛の前足で弾き返された大きな斧が勢いよく通り過ぎる

 三人目のオソレの蜘蛛の前足で弾き返された大きな斧は、蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸を破ろうとしているソウヤの近くに落ちて地面に深く突き刺さる

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立ち、大きな盾を蜘蛛の前足で破壊しようとする

 大きな盾にあるチヅルの両目からは変わらず涙が流れている


◯36◯31の回想/ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるカナメ、ソウヤ、チヅル、シィア、白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 カナメは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体から巨大な猿のような右手が生えている

 その場に倒れているカナメ

 カナメの唇の端が切れて血が出ている

 カナメはハンドガンを持っている 

 カナメが持っているハンドガンはトワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 倒れているカナメの近くにはたくさんのBB弾が転がっている

 カナメと話をしているチヅル

 

チヅル「お前さ・・・早く死ねよ」


◯37回想戻り/東京タワー周辺(昼)

 東京タワー周辺にいるカナメとソウヤ

 カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白黒の”ミラースーツ”を着ており、それぞれ山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 カナメとソウヤの体は雨でずぶ濡れになっている

 カナメとソウヤの頭上は快晴になっているが、その周りは曇っており強い雨が降っている 

 東京タワー周辺には三人目のオソレがいる

 三人目のオソレは体長30メートル以上の巨大な蜘蛛

 ソウヤは三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなっている

 三人目のオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から勢いよく放出された蜘蛛の糸のせいで身動きが取れなくなっているソウヤの近くには、大きな斧が地面に深く突き刺さっている

 大きな斧には人間の両目がついている

 大きな斧の人間の両目は、トワネと完全に同じ瞳をしている

 大きな斧はトワネがカナメと契約して”女王”になった姿

 ソウヤはオソレの蜘蛛の腹の痣にある人間の裸の女の胸から放出された蜘蛛の糸を破ろうとしている

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、後ろ足を使って大きな盾の前で立っている

 大きな盾には人間の両目がついている

 大きな盾の人間の両目は、チヅルと完全に同じ瞳をしている

 大きな盾はチヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿

 大きな盾にあるチヅルの両目からは涙が流れている

 三人目のオソレは切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立ち、大きな盾を蜘蛛の前足で破壊しようとしている

 走って大きな盾と切断された蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている後ろ足を使って大きな盾の前で立ち、大きな盾を蜘蛛の前足で破壊しようとしている三人目のオソレの間に入るカナメ

 三人目のオソレは蜘蛛の後ろ足からシャワーのように噴き出る血を周囲に撒き散らしながら、残っている後ろ足を使ってカナメの正面に立ち、大きな盾の前にいるカナメの腹に勢いよく蜘蛛の前足を突き刺す

 大きな盾のチヅルの両目は涙を流しながら大きく開く


◯38ANDREI総本部病室(日替わり/夕方)

 夕日が沈みかけている

 ANDREI総本部の病室にいるカナメとチヅル

 カナメはベッドの上で眠っている

 ベッドの横には椅子が置いてある

 ベッドの隣には棚があり、小さなテレビが置いてある

 窓際には花瓶が置いてあり、花が飾られてある

 ベッドの横の椅子に座っているチヅル

 チヅルは頭と腕に包帯を巻いている

 少しするとカナメが目を覚ます

 

カナメ「(目を覚まして)えっ・・・ここは・・・」

チヅル「本部の病室だよ。あんた、死にかけたんだ」

カナメ「浅木・・・さん・・・」

チヅル「オソレの前足があんたの腹に刺さったんだ」

カナメ「そ、そうだ、お、オソレは?どうなったの?」

チヅル「大丈夫だよ、あたしとソウヤで倒したから」

カナメ「そ、そうなんだ・・・」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「トワネは?」

チヅル「今ケアカプセル中」

カナメ「ケアカプセル?」

チヅル「あたしやトワネは普段から第六の力を宿してるんだけど、契約解除後は力を使った分に比例して、体に破損が出るんだ。ケアカプセルはそれの回復させるための道具」

カナメ「そっか・・・」


 再び沈黙が流れる


チヅル「お前・・・何であんなことをしたんだよ」

カナメ「あんなことって?」

チヅル「あたしを庇ったじゃん」

カナメ「あ、ああ・・・(少し間を開けて)あ、あれは体が勝手に動いて・・・」

チヅル「(イライラしながらカナメの話を遮って)だからその理由を聞いてんの」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「僕は・・・君に死んで欲しくなかっただけだと思う」

チヅル「(イライラしながら)何でだよ、あたしはお前のことを散々馬鹿にしたのに・・・何でお前はそんな奴のために自分を盾に出来たんだよ」

カナメ「僕が君を庇う前も、君は人類の盾をやってたんだから同じことじゃないか」

チヅル「(イライラしながら)全然同じじゃない、あんたのやったことは意味分かんないよ」

カナメ「ただ・・・死んで欲しくなかっただけだよ」

チヅル「そ、それだけで命を捨てかけたって言うの」

カナメ「うん。(少し間を開けて)それだけだよ」


 再び沈黙が流れる

 チヅルは立ち上がる

 

チヅル「(立ち上がって)あたし、学校行くから」

カナメ「うん」

チヅル「また明日、カナメ」


 チヅルはANDREI総本部の病室から出て行く



 続く。

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