『第二十四話 小惑星ノスタルギア』後編
『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』
登場人物
神野 カナメ 16歳男子
本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。
相園 トワネ 16歳女子
本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。
若葉 ソウヤ 16歳男子
カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。
浅木 チヅル 16歳女子
カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。
九音 ヒヨリ 18歳女子
カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。
真弓 マナカ 18歳女子
ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。
シィア 15歳女子モデル
長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。
四季 イズミ 16歳女子
・・・???
梢 トキコ 36歳女子
“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。
神野 タエ 78歳女子
“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。
日向 リュウマ 36歳男子
日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。
神野 アキラ 44歳男子
カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。
神野 アイラ 女子
カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。
ゲストキャラクター
MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル
シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。
トキコがバーで出会った男 30代後半男子
・・・???
イザベル・カーフェン 16歳?女子
一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。
アマネ・カーフェン 18歳?女子
イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。
ルシファリア 年齢?女子
・・・???
ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子
・・・???
ヒラン・アンドレイ 14歳女子
・・・???
ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子
・・・???
クレナ・アンドレイ 21歳女子
・・・???
九音 アリカ 40歳女子
ヒヨリの母親。
博士 17〜18歳女子
本名不明。”あるもの”を連れている。
タカヤ 30代前半男子
・・・???
ヨハリル 20代前半?男子
・・・???
C 16歳?女子
リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。
キファー 16歳?男子
Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。
ユーリ 60歳?男子
Cの叔父。
ガラファリア 20代後半?女子
・・・???
神野 アイハ 40代前半女子
カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。
イ・ジヨン 20代前半女子
韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。
リツ 27歳女子
ある過去を抱えている信仰者。
スグル 30代前半男子
・・・???
『第二十四話 小惑星ノスタルギア』後編
◯22夢路村/給水塔(昼過ぎ)
外は雪がパラパラ降っている
古い給水塔の中にいるチヅルと第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男
古い給水塔の中には机、2脚の椅子、ストーブ、本棚、機織り機があり、壁には十字架がかけられてある
机の上には夢路村や鶴の写真が数枚置いてある
古い給水塔の中の本棚には聖書が置いてある
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
チヅルの肩には機織り作られた真っ白な布がかけられている
チヅルの全身は池の水で濡れている
第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男は一眼レフカメラを首から下げている
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままストーブの前で椅子に座っている
机に向かって椅子に座っている第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男
話をしているチヅルと第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男
第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男「寒くないかい?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)は、はい・・・」
第六話の温泉街のバー、第十六話のロボット博物館でトキコが出会った男「僕はソウガ。夢路村でカメラマンをしてるんだ」
少しの沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままソウガのことを見る
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたままソウガのことを見て)あの、何であたしやカナメのことを知ってるんですか」
ソウガ「君たちがオソレとかいう怪物と戦うところをテレビで見たんだ」
再び沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままソウガのことを見るのをやめる
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま俯くチヅル
ソウガ「どうしたんだい、チヅル」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま俯いて)昔の友達を思い出して・・・」
ソウガ「君は間違えてるよ」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま顔を上げる
チヅル「(肉塊になったソウヤのことを抱き抱えたまま顔を上げて)ま、間違えてるって何がですか?」
ソウガ「自分のせいで彼がいなくなってしまった、最期にもっと彼と話をすれば良かった、そう考えたくなるのは分かるけど、それは間違ってる。だってチヅルの友達は・・・」
ソウガはチヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤを指差す
ソウガ「(チヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤを指差して少し笑って)ここにいるわけだから」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)で、でもこんな形はやだ・・・こんなの・・・初めからあたしは望んでなかった・・・」
ソウガはゆっくりチヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤを指差すのをやめる
ソウガ「(ゆっくりチヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤを指差すのをやめて)世界が思い通りにならない割には、良い形に収まってるよ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま大きな声で)ぜ、全然良くなんかない!!!!最悪だよ何もかも!!!!」
少しの沈黙が流れる
ソウガ「去った者は・・・こう思うだろう。すまないことをした・・・だけど、これが正しいことをしようとした、その時に出来る最良の行動だった・・・だから・・・拒まないで欲しいと」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま大きな声で)逆に生きてる奴はこう思うんだよ!!!!何で引き止められなかったんだって!!!!」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま涙を流す
ソウガ「チヅルは十分引き止めてるじゃないか。彼の魂も、(少し間を開けて)それから僕も・・・」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま)ずっと・・・二人だけで生きて来たのに・・・あたし・・・これからどうしたら良いのか・・・分からないよ・・・」
ソウガ「(少し笑って)世の中は二人だけで生きるにしては少し広過ぎると思わないかい?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま)広い世界なんて要らない・・・あたしとソウヤの世界は、ちょうどこの部屋くらいで良かった・・・」
ソウガ「(少し笑いながら)確かに、悪くない大きさではあるよね。僕も迷った時はたまに使ったんだ。(少し間を開けて)でもいつか必ず、僕たちは懺悔室から出て行かないと」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま)懺悔室・・・?」
ソウガ「もしかして、ここが給水塔の中だと思っていたのかい」
◯23ANDREI総本部礼拝堂 (昼過ぎ)
ANDREI総本部の礼拝堂にいるチヅルとソウガ
ANDREI総本部の礼拝堂の中は広く、たくさんの椅子がある
ANDREI総本部の礼拝堂のガラスはステンドグラスになっている
ANDREI総本部の礼拝堂の中には祭壇があり、その後ろには大きなマリア像がある
ANDREI総本部の礼拝堂の中には懺悔室がある
ANDREI総本部の礼拝堂の中にはチヅルとソウガ以外誰もいない
ANDREI総本部の礼拝堂の中の懺悔室にいるチヅルとソウガ
懺悔室の中には椅子があり、真ん中に網目状のつい立てがあって懺悔室が完全に仕切られている
チヅルとソウガは懺悔室の中の網目状のつい立てで仕切られた椅子に、向かい合って座っている
懺悔室の中は薄暗く、チヅルとソウガは互いの顔がほとんど見えていない
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
チヅルの肩には機織り作られた真っ白な布がかけられている
チヅルの全身は池の水で濡れている
ソウガはキャソックを着ている
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま懺悔室の中を見ているチヅル
ソウガ「夢路村も君たちにとってはただの大きな懺悔室なんだ」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま懺悔室の中を見るのをやめる
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、網目状のつい立ての向こうにいるソウガのことを見るチヅル
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、網目状のつい立ての向こうにいるソウガのことを見て)ソウガさんは・・・神父なの・・・?」
ソウガ「違うよ。僕は君にだけ仕える天使の一種、鶴だよ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え、網目状のつい立ての向こうにいるソウガのことを見たまま)鶴・・・?でも・・・何であたしにだけ・・・」
少しの沈黙が流れる
ソウガ「お願いがあるんだチヅル」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らす
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らして)な、何ですか?」
ソウガ「今晩、天文台で僕とノスタルギアを見て欲しい」
再び沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らしたままポケットから小さなスイッチを取り出す
肉塊になったソウヤを抱き抱え、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らしたまま小さなスイッチを見るチヅル
肉塊になったソウヤを抱き抱え、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らしたままチヅルが見ている小さなスイッチをオフになっている
ソウガ「ダメかな」
チヅル「(塊になったソウヤを抱き抱え、網目状のつい立ての向こうにいるソウガから顔を逸らしてオフになっている小さなスイッチを見たまま)ダメじゃ・・・ないです・・・」
◯24夢路村/運河沿いの道(昼過ぎ)
雪がパラパラ降っている
小さな運河沿いの道にいるカナメとジヨン
小さな運河は山に囲まれている
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
カナメとジヨンの頭の上には少し雪が積もっている
カナメとジヨンの正面の山頂付近には古い天文台がある
カナメとジヨンは小さな運河沿いの道を歩いている
少しするとカナメとジヨンは小さな運河にかかっている古い橋の前を通りかかる
小さな運河にかかっている古い橋の前で立ち止まるカナメとジヨン
カナメ「(韓国語で)渡ってみる?」
ジヨン「(韓国語で)怖いわ」
カナメは小さな運河を覗き込む
小さい運河にはたくさんの水死体が浮かんでいる
小さな運河に浮かんでいるたくさんの水死体を見ているカナメ
ジヨン「(韓国語で)死者の川なの」
小さな運河に浮かんでいるたくさんの水死体の中にはジヨンの遺体がある
カナメは小さな運河に浮かんでいるジヨンの遺体を見ている
カナメ「(小さな運河に浮かんでいるジヨンの遺体を見たまま韓国語で)じ、ジヨンがいる」
少しの沈黙が流れる
ジヨン「(片言の日本語で)こ、怖い、ですか?」
カナメ「(小さな運河に浮かんでいるジヨンの遺体を見たまま)ううん・・・君はここにいる」
再び沈黙が流れる
カナメは小さな運河に浮かんでいるジヨンの遺体を見るのをやめる
ジヨン「(片言の日本語で)渡りたい?」
カナメ「どうかな・・・その先に何があるのか気になるけど」
ジヨン「(片言の日本語で)カナメの探してるもの、行ってもないわ」
カナメ「そうなんだ。それでも、渡ることに意味がある気がする」
少しの沈黙が流れる
ジヨンは小さな運河にかかっている古い橋を渡り始める
ジヨン「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら片言の日本語で)鶴橋こーか」
カナメは小さな運河にかかっている古い橋を渡り始める
カナメ「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら)鶴橋じゃなくて、吊り橋ね」
カナメとジヨンが渡っている古い橋は揺れている
ジヨン「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら片言の日本語で)吊り橋こーか」
カナメ「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら)あるのかな、そんな効果」
ジヨン「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら片言の日本語で)多分、ない」
再び沈黙が流れる
カナメは小さな運河にかかっている古い橋の中心で立ち止まる
小さな運河にかかっている古い橋の中心で立ち止まったまま、小さな運河を覗くカナメ
小さな運河で浮かんでいたはずのジヨンの遺体を含むたくさんの水死体は無くなっている
ジヨンは小さな運河にかかっている古い橋を渡り終える
ジヨン「(小さな運河にかかっている古い橋を渡り終えて片言の日本語で)や、やっぱり、怖い?」
カナメは小さな運河にかかっている古い橋の中心で立ち止まったまま、小さな運河を覗くのをやめる
カナメ「(小さな運河にかかっている古い橋の中心で立ち止まったまま小さな運河を覗くのをやめて)少しね」
ジヨン「(片言の日本語で)私、少し怖い」
カナメは小さな運河にかかっている古い橋を進み始める
カナメ「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら)同じだね」
ジヨン「(片言の日本語で)一緒、ですか?」
カナメ「(小さな運河にかかっている古い橋を渡りながら)うん、一緒だ」
カナメは小さな運河にかかっている古い橋を渡り終える
ジヨン「(片言の日本語で)バイク、乗れる?」
カナメ「ううん」
ジヨン「(片言の日本語で)大丈夫、多分、乗れるようになる」
◯25夢路村/喫茶”四重奏の夢”(昼過ぎ)
外は雪がパラパラ降っている
喫茶”四重奏の夢”にいるイズミとアイハ
喫茶”四重奏の夢”の中には暖炉があり、火がついている
喫茶”四重奏の夢”の中にはテーブルと椅子がたくさんある
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
暖炉の近くのテーブルに向かって椅子に座っているイズミとアイハ
イズミの前には空になったオムライスの皿と、同じく空になったココアのマグカップがある
話をしているイズミとアイハ
アイハ「今晩、オペラがあるの」
イズミ「ワオ、アイハさんって歌手もやってるの?」
アイハ「(少し笑って)私は観客よ。初公演なんだけど、良かったらイズミちゃんも見てみない?」
イズミ「オペラか・・・」
アイハ「きっと楽しいわよ」
少しの沈黙が流れる
イズミ「兄さんたちと相談してみるね」
アイハ「(残念そうに)あら・・・あなたは好奇心が強いから、乗ってくれるかと思っていたのだけれど・・・」
イズミ「興味はあるんだ。でも、少し嫌な予感がね・・・」
アイハ「イズミちゃん」
イズミ「うん」
アイハ「知ることは、怖くないわ」
再び沈黙が流れる
アイハ「(少し寂しそうに小さな声で)現代のアダムとイヴって、想像よりも落ち着いているのね」
◯26夢路村/給水塔前(夕方)
雪がパラパラ降っている
古い給水塔の屋根には雪が積もっている
古い給水塔の隣には大きな池がある
古い給水塔の横にはバイクが止まっている
少しすると古い給水塔の扉が開き、古い給水塔の中からチヅルとソウガが出て来る
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
ソウガ「送るよ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)ひ、一人で帰れます」
ソウガ「(少し笑って)遠慮しないで、四重奏の夢までは遠いんだから」
ソウガは古い給水塔の横に止まっているバイクに跨る
ソウガ「(古い給水塔の横に止まっているバイクに跨って)後ろに乗って」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、少し悩んで恥ずかしそうにソウガが乗っているバイクの後ろに乗る
ソウガ「(バイクに跨ったまま)しっかり掴まるんだよ、チヅル」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え、ソウガが乗っているバイクの後ろに乗ったまま少し恥ずかしそうに)は、はい」
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗ったまま、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、少し恥ずかしそうにもう片方の手をソウガのお腹に回す
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗ったまま、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガのお腹に掴まって少し恥ずかしそうに)お、お願いします」
ソウガ「(バイクに跨りチヅルにお腹を掴まれたまま)了解」
ソウガはバイクに跨りチヅルにお腹を掴まれたまま、片足でバイクのスタンドを外す
バイクに跨りチヅルにお腹を掴まれたまま、バイクのエンジンを入れるソウガ
チヅルとソウガが乗っているバイクのマフラーから勢いよく煙が出る
バイクに跨りチヅルにお腹を掴まれたままバイクのアクセルを回すソウガ
ソウガとチヅルが乗っているバイクが進み始める
ソウガとチヅルが乗っているバイクは雪の山道を駆け下りる
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)こ、転ばないで!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)大丈夫だよチヅル!!」
雪の山道には狐がおり、木々に隠れながら山道をバイクで駆け下りているチヅルとソウガのことを見ている
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)風が冷たいだろう!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)うん!!でも!!あたしはこういうの嫌いじゃない!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)僕もだ!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)なんかさ!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)何だい!?」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)ずっとこんなデートがしたかったんだと思う!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら少し笑って)おじさんとバイクに乗って!?」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)ち、違うよ!!こんなふうにどっかから抜け出そうとするデート!!」
少しの沈黙が流れる
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)聞こえてますかソウガさん!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)ああ!!聞こえてるよ!!僕もしたかったと思ってさ!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま少し笑って)おじさんにはもう遅いんだ!?」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)そうだね!!僕は何もかも手遅れだよ!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま少し笑って)つまんないことを言わないでよ!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら少し笑って)僕がつまらないのはチヅルが素敵過ぎるからだろうね!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま少し笑って)ありがと!!褒めてくれて!!」
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま、ソウガの頬にキスをする
◯27夢路村/レンタルバイクショップ前(夕方)
雪がパラパラ降っている
レンタルバイクショップの前にいるカナメとジヨン
レンタルバイクショップの前にはたくさんのバイクが並んでいる
レンタルバイクショップの周りは山に囲まれており、レンタルバイクショップの向かいには小さな運河がある
レンタルバイクショップの前には店員がいる
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
カナメとジヨンの頭の上には少し雪が積もっている
レンタルバイクショップの店員は右手が無くなっている
カナメはバイクに跨っている
話をしているカナメとレンタルバイクショップの店員
カナメ「(バイクに跨ったまま)僕・・・グライダーにしか乗ったことないんだけど・・・」
レンタルバイクショップの店員「そんだけのもんに乗れるならバイクもいけるだろ」
少しの沈黙が流れる
ジヨンはカナメが乗っているバイクの後ろに乗る
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗って片言の日本語で)一周して帰ろう、お店に」
カナメ「(バイクに跨ったまま)う、うん」
レンタルバイクショップの前にバイクに乗ったチヅルとソウガがやって来る
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガのお腹に掴まっている
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが片手で抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
バイクに乗りチヅルにお腹を掴まれたまま、バイクをレンタルバイクショップの前に止めるソウガ
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)カナメたちじゃん」
カナメ「(バイクに跨ったまま)何やってるの?チヅル」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)見ての通り、送ってもらってるんだよ」
カナメはバイクに跨ったままバイクに乗っているソウガのことを見る
カナメ「(バイクに跨ったままバイクに乗っているソウガのことを見て)その人は・・・」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手でソウガのお腹に掴まったまま)ソウガさん」
カナメ「(バイクに跨りバイクに乗っているソウガのことを見たまま)ソウガ・・・」
ソウガ「(バイクに乗りチヅルにお腹を掴まれたまま)君らも四重奏の夢に?」
カナメはバイクに跨りバイクに乗っているソウガのことを見たまま頷く
ソウガ「(バイクに乗りチヅルにお腹を掴まれたまま)なら一緒に行こうか」
カナメ「(バイクに跨りバイクに乗っているソウガのことを見たまま)はい」
カナメはバイクに跨ったままバイクに乗っているソウガのことを見るのをやめる
バイクに跨ったまま、片足でバイクのスタンドを外すカナメ
カナメ「(バイクに跨ったまま、片足でバイクのスタンドを外して)掴まれる?」
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗ったまま片言の日本語で)うん」
ジヨンはカナメが乗っているバイクの後ろに乗ったまま、右手でカナメのお腹に手を回してお腹に掴まる
バイクに跨りチヅルにお腹を掴まれたまま、バイクのエンジンを入れるカナメ
カナメとジヨンが乗っているバイクのマフラーから勢いよく煙が出る
バイクに乗りチヅルにお腹を掴まれたまま、バイクのアクセルを回すソウガ
ソウガとチヅルが乗っているバイクが進み始める
カナメはバイクに乗りジヨンに右手でお腹を掴まれたまま、バイクのアクセルを回す
カナメとジヨンが乗っているバイクが進み始める
カナメとジヨンが乗っているバイクと、チヅルとソウガが乗っているバイクが小さな運河沿いの道を走って喫茶”四重奏の夢”に向かい出す
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まったまま片言の日本語で)昔思い出す!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)昔って!?」
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まったまま片言の日本語で)いつか!!一緒に空飛んだわ!!」
◯28回想/川(夕方)
夕日が沈みかけている
川の上でエンジン付きのグライダーに乗っているカナメと、同じく川の上でエンジン付きのグライダーに乗っているソウヤ
夕日の光が川に反射してキラキラと光っている
カナメは紺色と赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは白と黒の”ミラースーツ”を着て、それぞれ山羊がデザインされた鉄仮面を付けている
グライダーに乗っているカナメとソウヤは剣を持っている
グライダーに乗っているカナメが持っている剣は、トワネがカナメと契約して”女王”になった姿
グライダーに乗っているソウヤが持っている剣は、チヅルがソウヤと契約して”姫”になった姿
カナメとソウヤはグライダーに乗ったままグライダーで川の上を飛行している
◯29回想戻り/夢路村/喫茶”四重奏の夢”に向かう道中(夕方)
雪がパラパラ降っている
バイクに乗って喫茶”四重奏の夢”に向かっているカナメとジヨン、同じくバイクに乗って喫茶”四重奏の夢”に向かっているチヅルとソウガ
カナメとジヨン、チヅルとソウガはバイクに乗って小さな運河沿いの道を走っている
小さな運河は山に囲まれている
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガのお腹に掴まっている
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが片手で抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
ジヨンはカナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まっている
バイクに乗って小さな運河沿いの道を走り続けているカナメとジヨン、チヅルとソウガ
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)僕らは変わってない!!あの頃から!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)そうなのかな!!この1年間で全部壊れちゃった気がするけど!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)前に進めた人とそうじゃない人に分かれただけだ!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)前に・・・」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手をソウガのお腹に掴まったまま)あたしたちはどっちの人間!?」
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まったまま片言の日本語で)カナメたち!!前に進まなくてはいけない人!!」
ソウガ「(チヅルにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)止まって良いのは夢路村の人間だけさ!!」
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えもう片方の手をソウガのお腹に掴まったまま)あたしはこの村にいたかった!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)僕も!!」
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まったまま片言の日本語で)それは出来ない!!もう押されてるから!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)だったら僕たちの世界に来てよ!!」
ジヨン「(カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まったまま片言の日本語で)前に行ってたでしょう!!」
カナメ「(右手でジヨンにお腹を掴まれバイクの運転をしながら)前じゃなくて今が良いんだ!!」
少しの沈黙が流れる
カナメとジヨン、チヅルとソウガが乗っているバイクのエンジン音だけが周囲に響き渡っている
◯30夢路村/喫茶”四重奏の夢”前(夕方)
雪がパラパラ降っている
喫茶”四重奏の夢”の前に一人いるイズミ
喫茶”四重奏の夢”は古い木造の喫茶店
喫茶”四重奏の夢”の周りは山に囲まれており、喫茶”四重奏の夢”の向かいには小さな運河がある
イズミは小さな運河を見ている
少しの沈黙が流れる
イズミ「(小さな運河を見たまま)ラッキー、ラッキー、ラッキー。私はちょーアンラッキー」
イズミは小さな運河を見たまま自分のお腹を触る
イズミ「(小さな運河を見たまま自分のお腹を触って)役割を果たさない限り何も終わらないとか、世の中嫌なもんだねえ」
再び沈黙が流れる
少しするとバイクに乗っているカナメとジヨン、同じくバイクに乗っているチヅルとソウガが喫茶”四重奏の夢”の前にやって来る
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガのお腹に掴まっている
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが片手で抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
カナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手でカナメのお腹に掴まっているジヨン
カナメとソウガはバイクをそれぞれ喫茶”四重奏の夢”の前で止める
小さな運河を見たまま自分のお腹を触るのをやめる
イズミは小さな運河を見るのをやめる
イズミ「(小さな運河を見るのをやめて)おかえり・・・って誰?その人」
イズミはバイクに乗っているソウガのことを見ている
ソウガ「(バイクに乗りチヅルにお腹を掴まれたまま)僕は木花ソウガ、よろしく」
イズミ「(バイクに乗っているソウガのことを見たまま)あ、どーも・・・四季イズミっていう名前でやってます」
チヅルはソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、もう片方の手で掴んでいたソウガのお腹を離す
チヅル「(ソウガが乗っているバイクの後ろに乗り、片手で肉塊になったソウヤを抱き抱えたままもう片方の手で掴んでいたソウガのお腹を離して)性別年齢不詳のクローン人間の挨拶は適当ね」
イズミはバイクに乗っているソウガのことを見るのをやめる
イズミ「(バイクに乗っているソウガのことを見るのをやめて)設計上はそこまであんたと変わらないよ?」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままソウガが乗っているバイクの後ろから降りる
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたままソウガが乗っているバイクの後ろから降りて)設計とかあんのあんただけだし」
イズミ「まあそれはそうなんだけど」
ジヨンはカナメが乗っているバイクの後ろに乗り、右手で掴んでいたカナメのお腹を離す
カナメが乗っているバイクの後ろから降りるジヨン
ソウガはバイクから降りる
バイクのスタンドを下ろすソウガ
イズミ「兄さんたちはダブルデート?」
カナメ「(バイクに乗ったまま)ち、違うよ」
イズミ「そうなの?でもバイクデートにしか見えないよ?」
カナメ「(バイクに乗ったまま)い、イズミの目が悪いんだろ」
イズミ「あ、また怒った。兄さんカルシウム不足じゃない?」
カナメはバイクから降りる
バイクのスタンドを下ろすカナメ
カナメ「(バイクのスタンドを下ろして)怒ってはないけどね。叔母さんは?」
イズミ「お店の中。夜にオペラを見に行かないかって誘われたよ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)オペラって何の?」
イズミ「さあ」
ジヨン「(片言の日本語で)仮面のオペラだわ」
ソウガ「それも体育館でね」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)あ、あたし天文台に行きたいんだけど?」
カナメ「ノスタルギアを見に?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)うん」
ソウガ「天文台に行く人と、オペラを見に行く人で別行動をしたらどうだろう」
ジヨン「(片言の日本語で)アイハさん、ご、ご飯の予約してる」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)え、どこで?」
ジヨン「(片言の日本語で)屋形船」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)ご、ご飯の後でもノスタルギアは見れるよね?」
カナメ「うん」
イズミ「因みにもう帰りたいって人はー?(少し間を開けて手を挙げて)はーい、ここにいまーす」
ジヨン「(片言の日本語で)夢路村を、好きになれなかった?」
イズミは手を下ろす
イズミ「(手を下ろして)好き、好き、好きだけど・・・」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)帰るのは明日の予定っしょ。もう少し遊んでこうよ」
イズミ「いや、でもこの村は変だし・・・」
カナメ「変って?」
イズミ「(囁き声で)妊婦の石像が私を追いかけ来る」
イズミは小さな運河の反対側を指差す
イズミ「(小さな運河の反対側を指差して囁き声で)ほら、もうすぐそこまで来てるでしょ?」
カナメとチヅルはイズミが指差している小さな運河の反対側を見る
カナメとチヅルはイズミが指差している小さな運河の反対側を見るが、小さな運河の反対側には何もない
カナメ「(イズミが指差している小さな運河の反対側を見たまま)何もないよ、イズミ」
少しの沈黙が流れる
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えイズミが指差している小さな運河の反対側を見たまま)あんたの方が変じゃん」
イズミは小さな運河の反対側を指差すのをやめる
小さな運河の反対側を見るのをやめるカナメとチヅル
イズミ「確かに。私って変だ。女にも男にもなれるクローンなんて変過ぎる」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)気付くの遅くね?」
イズミ「自我の目覚めってやつ?人間にもあるじゃんか」
喫茶”四重奏の夢”の扉が開き、喫茶”四重奏の夢”の中からアイラが出て来る
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
アイハ「あら、木花さん、いらしてたのね」
ソウガ「(少し笑って)チヅルをここに送りたくて」
アイハ「ありがとう、助かるわ。(少し間を開けて)ジヨンちゃんは夢路村の案内を出来た?」
ジヨン「(片言の日本語で)はい、天文台と学校以外は、紹介しました」
アイハ「一番美味しいところを残しておいてくれたのね?」
ジヨン「(頷き片言の日本語で)夜、行くと思ったので」
アイハ「なら先に食事を済ませちゃいましょう」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)そ、ソウガさんは・・・」
アイハ「(少し笑って)一緒で大丈夫よ、食事の人数は変わらないもの」
◯31夢路村/屋形船に向かう道中(夕方)
雪がパラパラ降っている
小さな運河沿いの道にいるカナメ、チヅル、イズミ、アイハ、ジヨン、ソウガ
小さな運河は山に囲まれている
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
カナメたちの正面の山頂付近には古い天文台がある
カナメたちは小さな運河沿いの道を歩いている
話をしているカナメとイズミ
イズミ「(小さな声で)兄さん」
カナメ「何?」
イズミ「(小さな声で)私に与えられた本当の役割は、オソレを倒すことじゃなくて・・・」
アイハ「(イズミの話を遮って少し笑って)イズミちゃん、オペラのことを忘れないでね」
イズミ「うん」
少しの沈黙が流れる
カナメ「(小さな声で)君の本当の役割って?」
イズミ「(小さな声で)破壊じゃないんだ、兄さん。私が作られた目的は、生産することなんだ」
カナメ「(小さな声で)生産・・・?」
イズミは頷く
◯32夢路村/屋形船(夜)
外は雪がパラパラ降っている
屋形船の中にいるカナメ、チヅル、イズミ、アイハ、ジヨン、ソウガ
屋形船の中には大きなテーブルとたくさんの座布団がある
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
大きなテーブルに向かって椅子に座っているカナメ、チヅル、イズミ、アイハ、ジヨン、ソウガ
カナメたちが乗っている屋形船はゆっくり小さな運河を進んでいる
小さな運河をゆっくり進んでいる屋形船の先には船乗り場がある
カナメ、チヅル、イズミの前にはどんぶりに盛られた雪がある
どんぶりに盛られた雪を見ているカナメ、チヅル、イズミ
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えどんぶりに盛られた雪を見たまま)これが・・・・夜ご飯・・・?」
アイハ「まるで音が聞こえそうなくらいサラサラな雪でしょう?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えどんぶりに盛られた雪を見たまま)いや・・・さすがに雪は食べないっていうか・・・そもそもこれ・・・ご飯じゃなくね・・・?」
少しの沈黙が流れる
カナメ「(どんぶりに盛られた雪を見たまま)幸せになる味だ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えどんぶりに盛られた雪を見たまま)は?雪が?」
カナメ「(どんぶりに盛られた雪を見たまま)昔、食べると幸せになれるって言ってる人がいたんだ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えどんぶりに盛られた雪を見たまま)変なの」
イズミ「(どんぶりに盛られた雪を見たまま)今日って変なことばっかだよね」
再び沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままどんぶりに盛られた雪を見るのをやめる
どんぶりに盛られた雪を見たまま雪を手ですくうカナメ
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま驚いて)え、食べるのカナメ」
カナメ「(どんぶりに盛られた雪を見て手のひらに雪を乗せたまま)うん」
カナメは手のひらに雪を乗せたままどんぶりに盛られた雪を見るのをやめる
手のひらに乗せている雪を一口食べるカナメ
再び沈黙が流れる
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)味とかあんの・・・?」
カナメ「ただの雪だけど、少し塩っ辛い気がする」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)雪なのに?」
カナメ「うん」
イズミはどんぶりに盛られた雪を見たまま雪を手ですくう
手のひらに雪を乗せたままどんぶりに盛られた雪を見るのをやめるイズミ
イズミは手のひらに乗せている雪を一口食べる
イズミ「(手のひらに乗せている雪を一口食べて)ほんとだ・・・これ・・・なんかしょっぱいね」
少しの沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままどんぶりに盛られた雪を手ですくう
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま手のひらに乗せている雪を一口食べるチヅル
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま手のひらに乗せている雪を一口食べて)塩味の雪ってこと?」
イズミ「めっちゃそんな感じ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)ソウガさんたちも食べてみてよ」
再び沈黙が流れる
ソウガは立ち上がる
カナメのところに行くソウガ
ソウガはカナメに手を差し出す
ソウガ「(カナメに手を差し出して)帰って来てくれてありがとう、カナメ」
カナメは手のひらに乗せていた雪を払い落とす
手のひらに乗せていた雪を払い落としてソウガの手を取るカナメ
カナメとソウガは握手をする
ソウガ「(カナメと握手をしたまま)本当の友達になれなくて、すまない」
少しの沈黙が流れる
カナメ「(ソウガと握手をしたまま)僕の方こそ・・・その・・・ごめん」
ソウガ「(カナメと握手をしたまま)ううん、もう気にしてないよ」
再び沈黙が流れる
ソウガはカナメと握手をするのをやめる
ソウガ「(カナメと握手をするのをやめて)行こうか、チヅル」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)え、もう?」
ソウガ「ノスタルギアを見逃すわけにはいかないだろう?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま)う、うん」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま立ち上がる
カナメたちが乗っている屋形船は小さな運河の船乗り場に止まる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままジヨンのことを見る
チヅル「(肉塊になったソウヤのを抱き抱えたままジヨンのことを見て)じ、ジヨン」
ジヨン「(片言の日本語で)うん」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えジヨンを見たまま)じゃ、じゃあね・・・」
ジヨン「(片言の日本語で)さようなら」
少しの沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままジヨンのことを見るのをやめる
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま俯くチヅル
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え俯いたまま屋形船から出て行こうとする
ジヨン「(片言の日本語で)チヅル」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え俯いたまま、屋形船から出ようとするのをやめる
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま顔を上げるチヅル
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま顔を上げて)何?」
ジヨン「(片言の日本語で)チヅルは、良い人だわ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま少し笑って)あんたもね」
ジヨンは少し笑う
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま屋形船から出て、小さな運河の船乗り場に行くチヅル
チヅルに続いて屋形船から出て、小さな運河の船乗り場に行くソウガ
再び沈黙が流れる
アイハ「カナくんはノスタルギアを見に行かないの?」
カナメ「僕は良い」
アイハ「どうして?」
カナメ「だって・・・僕・・・」
◯33回想/軍事施設コントロール室(深夜)
軍事施設のコントロール室にいるカナメ、チヅル、イズミ
軍事施設のコントロール室には大きなモニターと、たくさんのコンピューターがある
軍事施設のコントロール室にあるたくさんのコンピューターの中には、小さなスイッチがある
軍事施設のコントロール室にあるたくさんのコンピューターの中の小さなスイッチは、オフになっている
軍事施設のコントロール室にあるたくさんのコンピューターの中のオフになっている小さなスイッチは、◯2の古いローカル線の電車の中でカナメが、◯11の喫茶”四重奏の夢”でイズミが、◯23のANDREI総本部の礼拝堂の讒言室の中でチヅルがポケットから取り出し、見ていたオフになっている小さなスイッチと完全に同じ
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
カナメたちはたくさんのコンピューターの中のオフになっている小さなスイッチを見ている
◯34回想戻り/夢路村/屋形船(夜)
外は雪がパラパラ降っている
屋形船の中にいるカナメ、イズミ、アイハ、ジヨン
屋形船の中には大きなテーブルとたくさんの座布団がある
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
大きなテーブルに向かって椅子に座っているカナメ、イズミ、アイハ、ジヨン
カナメたちが乗っている屋形船は小さな運河にある船乗り場で止まっている
カナメとイズミの前にはどんぶりに盛られた雪がある
少しの沈黙が流れる
アイハ「舞台には来てくれるかしら」
カナメは首を横に振る
カナメ「(首を横に振って)僕、ここに残るよ」
イズミ「兄さんも来てよ」
カナメ「ごめん、舞台を見てると、色々思い出すから」
再び沈黙が流れる
アイハは立ち上がる
アイハ「(立ち上がって)行きましょう、アイハさん」
イズミ「分かった」
イズミは立ち上がる
カナメ「叔母さん」
アイハ「何かしら」
カナメ「僕の家族は、どこにいるの?」
少しの沈黙が流れる
アイハ「カナメ。(少し間を開けて)あなたはとてつもない人嫌いだわ。でも一番嫌いなのは、きっと自分のことよ、あの子と同じようにね」
アイハは屋形船から出て、小さな運河の船乗り場に行く
カナメとジヨンに軽く手を振るイズミ
イズミ「(カナメとジヨンに軽く手を振って)アンニョン、アンニョン、アンニョン」
イズミはカナメとジヨンに軽く手を振りながら屋形船から出て行く
再び沈黙が流れる
屋形船に取り残されるカナメとジヨン
ジヨン「(片言の日本語で)二人だけ」
カナメ「うん」
◯35夢路村/看板前(夜)
パラパラ雪が降っている
夢路村に看板が立っている
夢路村の看板の周りは山に囲まれており、看板の向かいには小さな運河がある
夢路村の看板には”この先 夢路村”と書いてある
夢路村の看板には一本の麻縄、一眼レフカメラ、ボールチェーンとお風呂の栓がぶら下がっている
夢路村の看板にぶら下がっている一眼レフカメラは、ソウガが持っている一眼レフカメラと完全に同じ物
夢路村の看板の横には赤ちゃんを抱き抱えている妊婦の石像がある
夢路村の看板の横にある赤ちゃんを抱き抱えている妊婦の石像は、◯2のイズミが古いローカル線の電車から見た巨大な石像と違って、等身大の人間のサイズをしている
夢路村の看板にぶら下がっている一本の麻縄は、風で揺れている
◯36夢路村/天文台(深夜)
パラパラ雪が降っている
古い天文台にいるチヅルとソウガ
古い天文台はドーム型になっており、中心には大きな天体望遠鏡がある
古い天文台のドーム型の屋根の一部が開いている
大きな天体望遠鏡には雪が積もっている
古い天文台にはチヅルとソウガ以外誰もいない
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま大きな天体望遠鏡を覗いているチヅル
肉塊になったソウヤを抱き抱えたままチヅルが覗いている大きな天体望遠鏡からは、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”が見えている
地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”は淡い紫色をしている
ソウガ「綺麗だろう?」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え大きな天体望遠鏡を覗き、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”を見たまま)うん・・・こんな綺麗なものは見たことないよ・・・だけどさ・・・」
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え大きな天体望遠鏡を覗き、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”を見たまま涙を流す
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え大きな天体望遠鏡を覗き、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”を見たまま涙を流して)あまりにも恐ろしくて・・・」
◯37夢路村/廃校廊下(深夜)
外はパラパラ雪が降っている
廃校になった高校の廊下にいるイズミとアイハ
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
廃校になった高校の廊下をゆっくり歩いているイズミとアイハ
少しの沈黙が流れる
立ち止まるアイハ
アイハに合わせて立ち止まるイズミ
イズミとアイハの前にはカラスがデザインされた鉄仮面を付けて、緑の”ミラースーツ”を着ている少女が立っている
少女が付けているカラスがデザインされた鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
少女が着ている緑の”ミラースーツ”は、マナカが着ている”ミラースーツ”と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は両手が無い
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は妊娠している
再び沈黙が流れる
イズミ「やあ」
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女「やあ、P」
イズミ「君は誰?」
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女「私は死」
少しの沈黙が流れる
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女「あなたが、あなたが、あなたが欲しいもの」
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女はゆっくり歩き始める
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女について行くイズミとアイハ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女「(ゆっくり歩きながら)人生は果てしないサイクルだわ」
廃校になった高校の廊下のどこからかストロボが焚かれ、廊下がチカチカ光り始める
少しすると廃校になった高校の体育館前に辿り着くイズミ、アイハ、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
廃校になった高校の体育館は扉が開いており、中からストロボが焚かれて体育館と廊下がチカチカ光っている
廃校になった高校の体育館の扉から、ゆっくり体育館の中に入るカラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
イズミとアイハはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女に続いて、廃校になった高校の体育館の扉からゆっくり体育館の中に入る
廃校になった体育館の中にはたくさんパイプ椅子が並べられてある
廃校になった体育館のステージの上にはグランドピアノと椅子が置いてある
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は、いつの間にか廃校になった体育館のステージの上に立っている
たくさん並べられてあるパイプ椅子の真ん中に座るイズミとアイハ
廃校になった体育館の中は変わらずどこからかストロボが焚かれ、体育館の中がチカチカ光っている
◯38夢路村/屋形船(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
屋形船の中にいるカナメとジヨン
屋形船の中には大きなテーブルとたくさんの座布団がある
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
大きなテーブルに向かって椅子に座っているカナメとジヨン
カナメとジヨンが乗っている屋形船は小さな運河にある船乗り場で止まっている
カナメの前にはどんぶりに盛られた雪がある
話をしているカナメとジヨン
ジヨン「(片言の日本語で)それが、私の役割だったの、カナメ」
カナメ「どうして?」
ジヨン「(片言の日本語で)それしか、私なかった」
少しの沈黙が流れる
カナメ「君は・・・僕たちを裏切ったんだよ」
ジヨン「(片言の日本語で)分かってる」
カナメ「全然分かってないよ!!」
ジヨン「(片言の日本語で)分かってるわ、カナメ」
再び沈黙が流れる
ジヨン「(片言の日本語で)本当に、分かっていないのはあなた」
カナメ「僕は分かってるよ・・・何があったのか・・・(少し間を開けて)分かってるよ・・・」
◯39夢路村/天文台(深夜)
パラパラ雪が降っている
古い天文台にいるチヅルとソウガ
古い天文台はドーム型になっており、中心には大きな天体望遠鏡がある
古い天文台のドーム型の屋根の一部が開いている
大きな天体望遠鏡には雪が積もっている
古い天文台にはチヅルとソウガ以外誰もいない
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま大きな天体望遠鏡を覗いているチヅル
肉塊になったソウヤを抱き抱えたままチヅルが覗いている大きな天体望遠鏡からは、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”が見えている
地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”は淡い紫色をしている
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え大きな天体望遠鏡を覗き、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”を見たまま涙を流している
少しの沈黙が流れる
ソウガ「(少し寂しそうに)もうすぐその時間だ」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え大きな天体望遠鏡を覗き、地球に迫って来ている小惑星”ノスタルギア”を見て涙を流したまま)うん・・・」
ソウガは両手で右脚を引っ張る
ソウヤが両手で右脚を引っ張ると、ガチャッという音が鳴ってソウガの右脚が外れる
ソウガの右脚は義足になっている
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま、大きな天体望遠鏡を覗くのをやめる
地面に座るソウガ
ソウガは地面に座ったまま右脚の義足を静かに地面に置く
地面に座ったまま両手で左脚を引っ張るソウガ
ソウガが地面に座ったまま両手で左脚を引っ張ると、ガチャッという音が鳴ってソウガの左脚が外れる
ソウガの左脚は義足になっている
ソウガは地面に座ったまま左脚の義足を静かに地面に置く
ソウガは地面に座ったまま大きな天体望遠鏡にもたれる
肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま、両脚が無くなり地面に座って大きな天体望遠鏡にもたれているソウガのことを見ているチヅル
ソウガ「(地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま少し寂しそうに)これが僕だ」
ソウガは地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、右手で左腕を引っ張る
ソウガが地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま右手で左腕を引っ張ると、ガチャッという音が鳴ってソウガの左腕が外れる
ソウガの左腕は義手になっている
地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、左腕の義手を静かに地面に置くソウガ
◯40夢路村/廃校体育館(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
廃校になった高校の体育館にいるイズミ、アイハ、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
廃校になった高校の体育館にはたくさんのパイプ椅子が並べられてある
廃校になった高校の体育館のステージの上にはグランドピアノと椅子が置いてある
廃校になった体育館はどこからかストロボが焚かれ、体育館の中がチカチカ光っている
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は緑の”ミラースーツ”を着ている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女が着ている緑の”ミラースーツ”は、マナカが着ている”ミラースーツ”と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は両手が無い
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は妊娠している
体育館に並べられてあるパイプ椅子の真ん中に座っているイズミとアイハ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は体育館のステージの上に立っている
体育館のステージの上手側から、カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちが出て来る
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、スーツを着ている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちの鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、体のどこかに障害がある
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、体育館のステージの上で整列している
体育館のステージの上のグランドピアノに向かって椅子に座るカラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女はグランドピアノに向かって両腕を伸ばす
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女「(グランドピアノに向かって両腕を伸ばして)ようこそ、永遠の夢へ、お目覚めなさい、永遠の夢に、サイクルを見ろ、永遠の夢で」
少しの沈黙が流れる
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女はグランドピアノに向かって両腕を伸ばし、ピアノを演奏するふりをする
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の両手は無いのにも関わらず、少女がグランドピアノに向かって両腕を伸ばしたまま演奏するふりをすると、ピアノの鍵盤が自動で叩かれ始める
体育館のステージの上のグランドピアノは、”主よ御許に近づかん”を演奏している
変わらずグランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
イズミとアイハは、グランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けた少女のことを見ている
体育館のステージの上にいるカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、グランドピアノの”主よ御許に近づかん”に合わせて合唱を始める
グランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けた少女のことを見たまま、イズミの手を握るアイハ
イズミはアイハに手を握られたまま、グランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けた少女から、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見る
体育館中に、カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちが合唱している”主よ御許に近づかん”が響き渡っている
アイハに手を握られ、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見たまま、深く息を吐き出すイズミ
体育館のどこからか焚かれているストロボの光がより強くなり、体育館の中が激しくチカチカ光る
イズミはアイハに手を握られ、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見たまま、涙を流す
◯41夢路村/天文台(深夜)
パラパラ雪が降っている
古い天文台にいるチヅルとソウガ
古い天文台はドーム型になっており、中心には大きな天体望遠鏡がある
古い天文台のドーム型の屋根の一部が開いている
大きな天体望遠鏡には雪が積もっている
古い天文台にはチヅルとソウガ以外誰もいない
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
ソウガの左腕、両脚は無くなっている
ソウガは地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれている
ソウガの隣にはソウガの左腕の義手、両脚の義足が置いてある
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたまま、地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれているソウガを見ている
肉塊になったソウヤを抱き抱え、地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれているソウガのことを見たまま涙を流しているチヅル
ソウガ「(地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま)手伝ってくれ、チヅル」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え、地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれているソウガを見て涙を流したまま)何をすれば・・・良いの?」
ソウガ「(地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま)右腕を取って欲しいんだ」
少しの沈黙が流れる
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま、地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれているソウガのことを見るのをやめる
肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したままゆっくりその場に座るチヅル
ソウガは地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、涙を流しているチヅルに右腕を伸ばす
ソウガ「(地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、涙を流しているチヅルに右腕を伸ばして)引っ張るだけで良い、お風呂の栓を抜くみたいに」
チヅル「(肉塊になったソウヤを抱き抱え涙を流したまま)うん・・・」
チヅルは涙を流したまま片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガが伸ばして来ているソウガの右腕を掴む
涙を流したまま片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガが伸ばして来ているソウガの右腕を引っ張る
チヅルが涙を流したまま片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガが伸ばして来ているソウガの右腕を引っ張ると、ガチャッという音が鳴ってソウガの右腕が外れる
ソウガの右腕は義手になっている
涙を流したまま片手で肉塊になったソウヤを抱き抱え、もう片方の手でソウガの右腕の義手を静かに地面に置くチヅル
再び沈黙が流れる
ソウガは地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、チラッとチヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤのことを見る
ソウガ「(地面に座り大きな天体望遠鏡にもたれたまま、チラッとチヅルが抱き抱えている肉塊になったソウヤのことを見て少し笑って)これで本物の僕に近付いた、僕の魂にね」
◯42夢路村/廃校体育館(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
廃校になった高校の体育館にいるイズミ、アイハ、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女、カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たち
廃校になった高校の体育館にはたくさんのパイプ椅子が並べられてある
廃校になった高校の体育館のステージの上にはグランドピアノと椅子が置いてある
廃校になった体育館はどこからかストロボが焚かれ、体育館の中が激しくチカチカ光っている
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は緑の”ミラースーツ”を着ている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女が着ている緑の”ミラースーツ”は、マナカが着ている”ミラースーツ”と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は両手が無い
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は妊娠している
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちはスーツを着ている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちの鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは体のどこかに障害がある
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは体育館のステージの上で整列している
体育館に並べられてあるパイプ椅子の真ん中に座っているイズミとアイハ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女はグランドピアノに向かって椅子に座っている
グランドピアノを演奏しているふりをしているカラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の両手は無いのにも関わらず、グランドピアノの鍵盤が自動で叩かれている
体育館のステージの上のグランドピアノは、自動で”主よ御許に近づかん”を演奏している
体育館のステージの上にいるカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、グランドピアノの”主よ御許に近づかん”に合わせて合唱をしている
体育館中に、カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちが合唱している”主よ御許に近づかん”が響き渡っている
アイハはグランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けた少女のことを見たまま、イズミの手を握っている
アイハに手を握られたまま、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見ているイズミ
イズミはアイハに手を握られ、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見たまま、涙を流している
イズミの手を握ったまま、グランドピアノを演奏しているふりをしている、カラスがデザインされた鉄仮面を付けた少女のことを見るのをやめるアイハ
アイハはイズミの手を握ったまま、涙を流しているイズミのことを見る
アイハに手を握られ涙を流したまま、”主よ御許に近づかん”を合唱しているカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちのことを見るのをやめるイズミ
イズミはアイハに手を握られ涙を流したまま、アイハのことを見る
イズミの手を握り涙を流しているイズミのことを見たまま、ゆっくり首を横に振るアイハ
イズミはアイハに手を握られ涙を流したまま、少しの間アイハのことを見続ける
アイハに手を握られ涙を流したまま、アイハのことを見るのをやめるイズミ
イズミはアイハに手を握られ涙を流したまま、再び体育館のステージの上を見る
体育館のステージの上で”主よ御許に近づかん”を合唱していたカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちは、いつの間にかいなくなっている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちが整列していた体育館のステージの上には、赤ちゃんを抱き抱えているたくさんの妊婦の石像が並べられてある
体育館のステージの上に並べられてある赤ちゃんを抱き抱えているたくさんの妊婦の石像は、◯2のイズミが古いローカル線の電車から見た巨大な石像と違って、等身大の人間のサイズをしている
”主よ御許に近づかん”を合唱していたカラスがデザインされた鉄仮面を付けているたくさんの人たちがいなくなっているのにも関わらず、体育館の中では”主よ御許に近づかん”の合唱が響き渡っている
イズミはアイハに手を握られ涙を流したまま、体育館のステージの上に並べられてある赤ちゃんを抱き抱えているたくさんの妊婦の石像を見るのをやめる
アイハに手を握られ涙を流したまま、もう片方の手でポケットから小さなスイッチを取り出すイズミ
イズミはアイハに手を握られ涙を流したまま、小さなスイッチを見る
イズミが涙を流しながら見ている小さなスイッチはオンになっている
◯43夢路村/屋形船(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
屋形船の中にいるカナメとジヨン
屋形船の中には大きなテーブルとたくさんの座布団がある
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
大きなテーブルに向かって椅子に座っているカナメとジヨン
カナメとジヨンが乗っている屋形船は小さな運河にある船乗り場で止まっている
カナメの前にはどんぶりに盛られた雪がある
話をしているカナメとジヨン
ジヨン「(片言の日本語で)カナメを、傷付けた。(少し間を開けて)カナメに傷付けられた」
カナメ「何で?何で裏切ったの?」
ジヨン「(片言の日本語で)さ、先に私の元から離れたのは、カナメだった」
少しの沈黙が流れる
ジヨン「(片言の日本語で)私の話、聞いて欲しかった・・・何故離れたの・・・?(少し間を開けて)な、何故ANDREIから抜けようとしたの・・・?」
カナメ「分からないよ・・・僕だって・・・シィアちゃんとトキコさんに死んで欲しくなかった・・・みんなと友達になりたかったんだ・・・」
ジヨン「(片言の日本語で)私たちは、カナメと友達だったのよ」
カナメ「君たちはオソレになったじゃないか・・・君たちはオソレに・・・」
カナメは涙を流す
カナメ「(涙を流して)何でオソレになったの・・・?イザベルも・・・アマネも・・・シィアちゃんも・・・トワネも・・・どうしてみんなオソレになったの・・・?」
ジヨン「(片言の日本語で)そういう役割だったのよ、それしかなかったの」
カナメ「(涙を流したまま)そんなことないよ・・・もっと他の道があったよ・・・」
少しの沈黙が流れる
ジヨン「すまなかった、カナメ」
ジヨンは片言の日本語ではなく、トワネと同じ喋り方になる
カナメ「(涙を流したまま)オソレなんて大嫌いだ・・・」
ジヨン「お前が嫌ってるのはお前自身だろ・・・」
カナメ「(涙を流したまま)違うよ・・・君たちのことが憎いんだ・・・オソレになった君たちのことが・・・何でオソレなんかになったんだよ・・・トワネは僕と一緒にオソレを倒すはずだったのに・・・」
ジヨン「私は元からオソレだったんだ・・・ルシファリアがオソレだったんだよ・・・」
カナメ「(涙を流したまま)君はルシファリアじゃない・・・ルシファリアはもう死んでるんだ・・・」
再び沈黙が流れる
ジヨンは涙を流す
ジヨン「(涙を流して小さな声で)違うんだカナメ・・・死んだのは私なんだ・・・」
涙を流しているカナメとジヨンの体がふわふわ宙に浮かび始める
ジヨン「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら小さな声で)私は死んでるんだよ・・・カナメ・・・」
カナメ「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら)どうしてそんなことを言うの・・・?トワネは生きてるよ・・・」
ジヨン「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら小さな声で)お前たちに殺されたんだ」
カナメ「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら)殺してなんかないよ・・・君は今生きてるじゃないか・・・トワネは今生きてるんだよ・・・」
ジヨン「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら小さな声で)すまないカナメ・・・許してくれ・・・」
カナメ「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら)君は生きてる・・・君は生きてるよ・・・ここにいるんだから・・・トワネは生きてるよ・・・」
ジヨン「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら小さな声で)これは夢なんだ・・・カナメ・・・お前は夢を見てる・・・」
カナメ「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら)夢って何・・・?トワネの言ってることの意味が分からないよ・・・」
ジヨン「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら小さな声で)お前は目を覚さなきゃいけないんだ、生きて現実に帰るんだ」
カナメ「(ふわふわ宙に浮かび涙を流しながら)意味が分からない・・・意味が分からないよトワネ・・・帰るなら君と一緒が良いよ・・・」
◯44夢路村/天文台(深夜)
パラパラ雪が降っている
古い天文台にいるチヅルとソウガ
古い天文台はドーム型になっており、中心には大きな天体望遠鏡がある
古い天文台のドーム型の屋根の一部が開いている
大きな天体望遠鏡には雪が積もっている
古い天文台にはチヅルとソウガ以外誰もいない
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ソウガは一眼レフカメラを首から下げている
ソウガの両腕、両脚は無くなっている
チヅルは涙を流しながら片手に肉塊になったソウヤを抱え、もう片方の手で両手脚が無くなったソウガのことを抱き抱えたまま、ふわふわ宙に浮かんでいる
ふわふわ宙に浮かんでいるチヅルの片手に抱き抱えられている肉塊になったソウヤは、涙を流している
ふわふわ宙に浮かんでいるチヅルの片手に抱き抱えられている両手脚が無くなったソウガは、涙を流している
ふわふわ宙に浮かんでいるチヅルの片手に抱き抱えられ涙を流している両手脚が無くなったソウガは、小さなスイッチを口に咥えている
両手脚が無くなったソウガが口に咥えている小さなスイッチは、オンになっている
ジヨン「(小さな声)私たちはもう帰れないんだ、カナメ、もう契約は終わったんだ」
◯45夢路村/廃校体育館(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
廃校になった高校の体育館にいるイズミ、アイハ、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
廃校になった高校の体育館にはたくさんのパイプ椅子が並べられてある
廃校になった高校の体育館のステージの上にはグランドピアノと椅子が置いてある
廃校になった体育館はどこからかストロボが焚かれ、体育館の中が激しくチカチカ光っている
アイハの両目は失明している
アイハの容姿は両目を失明していて歳を取っていることを除けば、カナメの母、神野アイラと完全に同じ姿をしている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は緑の”ミラースーツ”を着ている
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女が着ている緑の”ミラースーツ”は、マナカが着ている”ミラースーツ”と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は両手が無い
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女は妊娠している
体育館のステージの上には赤ちゃんを抱き抱えているたくさんの妊婦の石像が並べられてある
体育館のステージの上に並べられてある赤ちゃんを抱き抱えているたくさんの妊婦の石像は、◯2のイズミが古いローカル線の電車から見た巨大な石像と違って、等身大の人間のサイズをしている
体育館に並べられてある真ん中のパイプ椅子の近くにいるイズミとアイハ
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女はグランドピアノに向かって椅子に座っている
グランドピアノを演奏しているふりをしているカラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女
カラスがデザインされた鉄仮面を付けている少女の両手は無いのにも関わらず、グランドピアノの鍵盤が自動で叩かれている
体育館の中では”主よ御許に近づかん”の合唱が響き渡っている
アイハはイズミの手を握っている
イズミの手を握りながら涙を流しているアイハ
アイハに手を握られ涙を流しているイズミ
アイハに手を握られ涙を流しているイズミは、もう片方の手でオンになっている小さなスイッチを持っている
アイハに手を握られ涙を流したまま、オンになっている小さなスイッチを見ているイズミ
涙を流しイズミの手を握っているアイハと、アイハに手を握られ涙を流したまま、オンになっている小さなスイッチを見ているイズミの体が宙にふわふわ浮かんでいる
カナメ「(声)大っ嫌いだ大っ嫌いだ大っ嫌いだ・・・みんな大っ嫌いだ・・・」
◯46夢路村/屋形船(深夜)
外は雪がパラパラ降っている
屋形船の中にいるカナメとジヨン
屋形船の中には大きなテーブルとたくさんの座布団がある
テーブルの上にはどんぶりに盛られた雪がある
ジヨンの左腕は無くなっている
ジヨンの容姿は左腕を無くしていて歳を取っていることを除けば、トワネと完全に同じ姿をしている
カナメとジヨンが乗っている屋形船は小さな運河にある船乗り場で止まっている
涙を流しているカナメとジヨン
涙を流しているカナメとジヨンの体が宙にふわふわ浮かんでいる
宙にふわふわ浮かび涙を流しながら話をしているカナメとジヨン
ジヨン「(宙にふわふわ浮かび涙を流しながら)カナメが本当に嫌ってるのは自分のことだけだろ・・・」
カナメ「(宙にふわふわ浮かび涙を流しながら)違うよ・・・僕は小さい頃から世界が嫌いなんだ・・・だから人間もオソレも嫌いなんだ・・・」
ジヨン「(宙にふわふわ浮かび涙を流しながら)そんなことを言うな・・・カナメは人を愛してるよ・・・」
カナメ「(宙にふわふわ浮かび涙を流しながら)大っ嫌いだ・・・」
少しの沈黙が流れる
カナメ「(宙にふわふわ浮かび涙を流しながら)トワネは死んでなんかないよ・・・(少し間を開けて)死んでなかったんだよ・・・この間まで生きてたんだ・・・」
再び沈黙が流れる
カナメと一緒に涙を流し、宙にふわふわ浮かんでいたジヨンはいなくなっている
カナメは宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、ポケットから小さなスイッチを取り出す
宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、小さなスイッチを見るカナメ
宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、カナメが見ている小さなスイッチはオンになっている
宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、オンになった小さなスイッチを見ているカナメの目の前には、一本の麻縄がどこからかぶら下がっている
カナメは宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、オンになった小さなスイッチを見るのをやめる
宙にふわふわ浮かび涙を流しながら、どこからかぶら下がっている一本の麻縄を手に取るカナメ
カナメが宙にふわふわ浮かび涙を流しながらどこからかぶら下がっている一本の麻縄を手に取った瞬間、勢いよくカナメの体が地面に落下する
◯47森(日替わり/深夜)
森にいるカナメとヒヨリ
森にはたくさんの木々が生えている
ヒヨリの右目は潰れている
ヒヨリは2本の刀を持っている
ヒヨリが持っている2本の刀は、マナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿
カナメとヒヨリがいる森の中は、夢路村の山道と少し似ている
一本の木の前で倒れているカナメ
カナメの首には麻縄が巻いてある
一本の木の前で倒れたまま激しく咳き込んでいるカナメ
激しく咳き込んで倒れているカナメの後ろの木の太い枝には、首を吊るための麻縄がぶら下がっている
激しく咳き込んで倒れているカナメの後ろの木の太い枝にある首を吊るための麻縄は、斬られて風で揺れている
ANDREI職員1「(声)クリスマスの夜中に着弾したらしい・・・」
ANDREI職員2「(声)聞いたよ、失敗作のクローンを廃棄するために使ったんだろ」
◯48回想/軍事施設核爆弾実験室(昼過ぎ)
軍事施設の核爆弾実験室にいるカナメ、チヅル、イズミ
軍事施設の核爆弾実験室にはたくさんの軍人と科学者がいる
軍事施設の核爆弾実験室は広く、線路が敷かれてある
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
ANDREI職員1「(声)ああ、村ごと吹き飛ばしたんだとさ・・・」
少しすると軍事施設の核爆弾実験室の線路の上を手押しトロッコが走って来る
軍事施設の核爆弾実験室にある線路と手押しトロッコは、◯4でカナメ、チヅル、イズミが夢路村に向かうのに使った線路、手押しトロッコと完全に同じ
手押しトロッコの上には核爆弾と、科学者が数人乗っている
手押しトロッコの上に乗っている核爆弾には、大きな文字で”NOSTALGIA”と書かれてある
手押しトロッコの上にある核爆弾は淡い紫色をしている
カナメ、チヅル、イズミは手押しトロッコの上にある核爆弾を見ている
ANDREI職員1「(声)ミサイルが着弾する直前には、爆発的なエネルギでーで村中の人間が宙に浮いたらしい」
◯49回想戻り/花色荘ソウヤの部屋(深夜)
花色荘のソウヤの部屋にいるチヅル
ソウヤの部屋の勉強机の上にはパソコンと聖書が置いてある
ソウヤの部屋の壁には家庭祭壇があり、家庭祭壇の中央に磔されたキリストの十字架が置いてある
ソウヤの部屋の家庭祭壇以外の壁、天井には私立東堂高校一年C組の教室で話をしたり、お弁当を食べたり、校庭で体操着を着て準備運動をしたり、花色荘のリビングでテレビゲームをしたり、ベッドで眠っていたり、お風呂でシャワーを浴びていたり、浴槽に浸かっていたり、ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室で、制服から白の”ミラースーツ”に着替えていたりするチヅルを隠し撮りしたたくさんの写真が貼られてある
チヅルは折り鶴のネックレスをつけている
肉塊になったソウヤを抱き抱えているチヅル
肉塊になったソウヤには目と口があり、人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
チヅルが抱き抱えている肉塊は”帰化”したソウヤの魂
チヅルは肉塊になったソウヤを抱き抱えたままベッドの上で眠っている
肉塊になったソウヤを抱き抱えたままベッドの上で眠っているチヅルは涙を流している
ANDREI職員2「(声)可哀想なのは子供たちだよ」
◯50軍事施設コントロール室(深夜)
軍事施設のコントロール室には誰もいない
軍事施設のコントロール室には大きなモニターと、たくさんのコンピューターがある
軍事施設のコントロール室にあるたくさんのコンピューターの中には、小さなスイッチがある
軍事施設のコントロール室にあるたくさんのコンピューターの中の小さなスイッチは、オンになっている
たくさんのコンピューターの中のオンになっている小さなスイッチは、◯42、◯45の夢路村の廃校になった高校の体育館でイズミが見て、◯44の夢路村の天文台で両手脚が無くなったソウガが口に咥えて、◯46の夢路村の屋形船でカナメが見ていたオンになっている小さなスイッチと完全に同じ
ANDREI職員2「(声)「いくら暮らしていたのが欠陥品のクローンとは言え、彼らにミサイルを落とさせるなんてあんまりだ」
ANDREI職員1「(声)「政府の連中は、契約者からオソレが2人出たことを気にしてるんだ」
ANDREI職員2「(声)「あの子たちが信用出来るか試すために人殺しをさせたんだろ・・・?」
ANDREI職員1「(声)「それだけじゃないんだ・・・」
◯51回想/産婦人科病院一階ロビー(夕方)
夕日が沈みかけている
産婦人科病院の一階ロビーにいるイズミ
産婦人科病院の一階ロビーは広く、たくさんの椅子が設置されている
産婦人科病院の一階ロビーにはたくさんのカウンターがあり、診察の受付に来た人や、医療費の支払いをしている人がいる
産婦人科病院の一階ロビーの椅子には数人の妊婦が座っており、診察に呼ばれるのを待っていたりしている
産婦人科病院の一階ロビーには大きなテレビがあり、ニュースが流れている
椅子に座っているイズミ
イズミの正面には赤ちゃんを抱っこしている妊婦が椅子に座っている
イズミは正面に座っている赤ちゃんを抱っこしている妊婦のことを見ている
イズミが見ている赤ちゃんを抱っこしている妊婦は、◯2、◯4、◯42、◯45でイズミが見た赤ちゃんを抱き抱えている妊婦の石像によく似ている
ANDREI職員1「(声)司令は欠陥したクローンを反乱分子になり得ると判断したんだよ・・・」
ANDREI職員2「(声)そんな馬鹿な・・・うちには四季イズミだっているんだぞ」
ANDREI職員1「(声)だから奴には、あれを約束したんじゃないかって噂が流れてるんだよ」
◯52回想戻り/ANDREI総本部資料室(深夜)
ANDREI総本部の資料室にいるANDREI職員1とANDREI職員2
ANDREI総本部の資料室にはたくさんの棚があり、様々な箱が置いてある
ANDREI総本部の資料室の床にはラジオが置いてある
ラジオからはノイズ混じりで”主よ御許に近づかん”の合唱が流れている
ANDREI職員1とANDREI職員2はココアを飲んでいる
話をしているANDREI職員1とANDREI職員2
ANDREI職員2はココアを一口飲む
ANDREI職員2「(ココアを一口飲んで)役割を果たすまで終われないってのは、不便なもんだな・・・」
◯53森(深夜)
森にいるカナメとヒヨリ
森にはたくさんの木々が生えている
ヒヨリの右目は潰れている
ヒヨリは2本の刀を持っている
ヒヨリが持っている2本の刀は、マナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿
カナメとヒヨリがいる森の中は、夢路村の山道と少し似ている
一本の木の前で倒れているカナメ
カナメの首には麻縄が巻いてある
一本の木の前で倒れたまま激しく咳き込んでいるカナメ
激しく咳き込んで倒れているカナメの後ろの木の太い枝には、首を吊るための麻縄がある
激しく咳き込んで倒れているカナメの後ろの木の太い枝にある首を吊るための麻縄は、斬られて風で揺れている
ヒヨリ「(少し笑って)カナメ・・・貴様は私のもの、勝手に死ぬことなど許されていないのだよ。(少し間を開けて)貴様は私に殺されない限り、永遠に生きるのだ。それくらい、カナメはとっくに理解しているだろう?」
少しすると一本の木の前で倒れているカナメの咳が落ち着く
カナメは立ち上がる
ヒヨリ「(少し笑いながら)ホームレスを処刑しに行くか、カナメ。夜通しでデートを楽し・・・」
カナメ「(ヒヨリの話を遮って)どうしていつも僕に付きまとうんだよ・・・一人にさせてくれよ」
少しの沈黙が流れる
突然、パラパラと雪が降り始める
ヒヨリ「(少し笑いながら)見ろ、カナメ、雪だ」
再び沈黙が流れる
ヒヨリ「(少し笑いながら)雪は幸せの味がするのだ。たくさん食べたら、私たちはそれだけ幸せになれるぞ、カナメ」
ヒヨリはカナメのことを見るが、カナメはいつの間にかいなくなっている
カナメのことを探すヒヨリ
ヒヨリ「(カナメのことを探しながら不安そうに)か、カナメ・・・?どこに行ったのだ・・・?か、かくれんぼでもしているのか・・・?」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリはカナメのことを探すが、カナメの姿はどこにもいない
一人森の中に取り残されるヒヨリ
ヒヨリはカナメのことを探すのをやめる
ヒヨリの頭にパラパラと雪が降りかかっている
◯54花色荘リビング(深夜)
花色荘のリビングにいるヒヨリとマナカ
花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある
花色荘のリビングはテーブルの上の電気だけが付いていて、薄暗くなっている
マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている
テーブルを挟んで向かい合って椅子に座っているヒヨリとマナカ
ヒヨリはテーブルに突っ伏して眠っている
テーブルに突っ伏して眠っているヒヨリの頭にパラパラと塩を振りかけているマナカ
テーブルに突っ伏して眠っているヒヨリの頭は塩だらけになっている
少しするとテーブルに突っ伏してマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられていたヒヨリが目を覚ます
ヒヨリ「(テーブルに突っ伏してマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたまま目を覚まして)か、カナメ・・・」
マナカ「(テーブルに突っ伏しているヒヨリの頭にパラパラと塩を振りかけたまま)塩と死はとっても似ていると思いますのよ」
ヒヨリ「(テーブルに突っ伏してマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたまま)なんだ・・・マナカか・・・」
ヒヨリはマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままテーブルに突っ伏すのをやめる
マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたまま頭を軽く振るヒヨリ
ヒヨリの頭からは大量の塩が落ちて来る
ヒヨリはマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままテーブルに落ちた塩を指ですくう
マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままテーブルに落ちた塩を指ですくって舐めるヒヨリ
ヒヨリ「(マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままテーブルに落ちた塩を指ですくって舐めて)塩か」
マナカ「(ヒヨリの頭にパラパラと塩を振りかけたまま)魔除けですわヒヨリ様」
ヒヨリ「(マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたまま)それは素晴らしいな。今度私も、カナメに塩を1キロ入れたカルボナーラを作って塩分過多にさせてみよう」
マナカ「(ヒヨリの頭にパラパラと塩を振りかけたまま)まあ、とっても素敵ですわね。きっとカナメさんも喜んでくれますわ」
ヒヨリはマナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままマナカのことを見る
ヒヨリ「(マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられたままマナカのことを見て)ところでマナカ」
マナカ「(ヒヨリの頭にパラパラと塩を振りかけたまま)何でございますの?ヒヨリ様」
ヒヨリ「(マナカに頭にパラパラと塩を振りかけられマナカのことを見たまま)何故マナカの体は濡れているのだ?」
マナカはヒヨリの頭に塩を振りかけるのをやめる
自分の体を見るマナカ
マナカの体はずぶ濡れになっている
ヒヨリ「(大きな声で)マナカ!!!!大丈夫かマナカ!!!!」
◯55花色荘風呂(深夜)
花色荘のお風呂にいる全裸のヒヨリと同じく全裸のマナカ
浴槽の中にはお湯が張ってある
ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある
マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている
浴槽に浮かんだまま意識を失っているマナカ
ヒヨリ「(大きな声で)マナカ!!!!」
ヒヨリは急いで浴槽に浮かんだまま意識を失っているマナカを浴槽から引っ張り出す
意識を失っているマナカの体からは湯気が出ており、全身が赤くなっている
ヒヨリ「(大きな声で)しっかりするのだマナカ!!!!今私が助けてやるぞ!!!!」
ヒヨリは意識を失っているマナカが付けているカラスがデザインされた鉄仮面を引っ張る
ヒヨリが意識を失っているマナカが付けているカラスがデザインされた鉄仮面を引っ張ると、ガチャッという音が鳴ってマナカの顔から鉄仮面が外れる
カラスがデザインされた鉄仮面をその場に落とすヒヨリ
マナカの顔面はマナカの体から上がっている湯気のせいで見えなくなっている
ヒヨリは意識を失っているマナカに人工呼吸をする
少しの間意識を失っているマナカに人工呼吸をし続けるヒヨリ
ヒヨリは息継ぎをするために意識を失っているマナカに人工呼吸をするのをやめる
意識を失っているマナカの体から上がっている湯気が少しずつ晴れる
ヒヨリは再び意識を失っているマナカに人工呼吸をする
少しの間意識を失っているマナカに人工呼吸をし続けるヒヨリ
ヒヨリは息継ぎをするために意識を失っているマナカに人工呼吸をするのをやめる
突然口から大量の水を吐き出し、マナカの意識が戻る
ヒヨリ「ま、マナカ!!だ、大丈夫か!?」
マナカは激しく咳き込んでいる
マナカ「(激しく咳き込みながら)ゲホッゲホッ・・・ひ、ヒヨリ様・・・ゲホッ・・・」
ヒヨリ「し、心配をかけさせるな!!わ、私にはお前しかいないのだぞ!!」
マナカ「(激しく咳き込みながら)ゲホッ・・・し、失礼しましたわ・・・ゲホッゲホッ・・・ご、ご迷惑を・・・ゲホッ・・・おかけ・・・」
ヒヨリ「(マナカの話を遮って)も、もう良いマナカ、お、お前が無事ならばそれで良いんだ」
マナカ「(激しく咳き込みながら)ゲホッゲホッ・・・私が無事なのは・・・ゲホッ・・・ひ、ヒヨリ様のおかげですわ・・・ゲホッ・・・」
ヒヨリ「そ、そうか・・・」
少しするとマナカの咳が落ち着く
ヒヨリ「きょ、今日はもうお風呂から出ようマナカ」
マナカ「1日でたったの23回しかお風呂に入っていないのに・・・もう出なきゃいけないなんて寂しいですわ・・・」
ヒヨリ「明日、50回入れば良いではないか」
マナカ「仕方がありませんわね・・・また倒れてヒヨリ様にご迷惑をかけたくはありませんし、今日のところは大人しく過ごしますわ・・・」
ヒヨリは床に落ちているマナカのカラスがデザインされた鉄仮面を手に取る
お風呂の栓を引き抜くヒヨリ
ヒヨリはお風呂の栓を引き抜き、カラスがデザインされた鉄仮面をマナカに差し出す
カラスがデザインされた鉄仮面をヒヨリから受け取るマナカ
マナカ「(カラスがデザインされた鉄仮面をヒヨリから受け取って)感謝致しますわ、ヒヨリ様」
ヒヨリ「わ、私としては、お前は可愛いのだし、仮面なんて物は付けなくても良いと思うのだが・・・」
マナカ「私は恥ずかしがり屋ですもの。それに、ヒヨリ様とは違ってとても人様に見せられるような容姿はしていませんことよ」
ヒヨリ「ま、マナカは十分可愛いではないか」
マナカ「照れますわヒヨリ様ったら、そんな褒め言葉、私親にも言われたことがありませんのよ」
ヒヨリ「わ、私だって親からはいつも醜く、穢らわしいと罵られて来たぞ」
マナカ「おかしなご両親ですわね、ヒヨリ様ほど美しく、完璧な存在はいませんのに」
ヒヨリ「(少し笑って)私は第六の力の女王だからな」
マナカ「(ヘラヘラ笑って)その通りですわ」
ヒヨリとマナカは立ち上がる
お風呂の扉を開けるヒヨリ
ヒヨリとマナカは花色荘の洗面所に出る
花色荘の洗面所の鏡にはマナカの顔面が反射して映っている
花色荘の洗面所の鏡に反射して映っているマナカの顔面は、両目の眼球が空っぽで鼻が無くなっている
第十三話、第十四話のマナカとは違って、花色荘の洗面所の鏡に反射して映っているマナカの顔面に火傷の跡は全くない
マナカは両目の眼球が空っぽで鼻が無いことを除けば、ヒヨリと完全に同じ姿をしている
マナカの正体は、ヒヨリをモデルにした欠陥クローン
花色荘の洗面所の鏡に反射して映っているマナカの顔面は、ヘラヘラ笑っている
花色荘の浴槽では、お風呂の栓が抜かれ残っているお湯がぐるぐる渦を巻いている
続く。




