『第十三話 偉大なる聖アンドレイ帝国より』
『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』
登場人物
神野 カナメ 16歳男子
本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。
相園 トワネ 16歳女子
本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。
若葉 ソウヤ 16歳男子
カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。
浅木 チヅル 16歳女子
カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。
九音 ヒヨリ 18歳女子
カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。
真弓 マナカ 18歳女子
ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。
シィア 15歳女子モデル
長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。
四季 イズミ 16歳女子
・・・???
梢 トキコ 36歳女子
“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。
神野 タエ 78歳女子
“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。
日向 リュウマ 36歳男子
日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。
神野 アキラ 44歳男子
カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。
神野 アイラ 女子
カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。
ゲストキャラクター
MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル
シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。
トキコがバーで出会った男 30代後半男子
・・・???
イザベル・カーフェン 16歳?女子
一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。
アマネ・カーフェン 18歳?女子
イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。
ルシファリア 年齢?女子
・・・???
ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子
・・・???
ヒラン・アンドレイ 14歳女子
・・・???
ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子
・・・???
クレナ・アンドレイ 21歳女子
・・・???
九音 アリカ 40歳女子
ヒヨリの母親。
博士 17〜18歳女子
本名不明。”あるもの”を連れている。
タカヤ 30代前半男子
・・・???
ヨハリル 20代前半?男子
・・・???
C 16歳?女子
リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。
キファー 16歳?男子
Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。
ユーリ 60歳?男子
Cの叔父。
ガラファリア 20代後半?女子
・・・???
神野 アイハ 40代前半女子
カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。
イ・ジヨン 20代前半女子
韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。
リツ 27歳女子
ある過去を抱えている信仰者。
スグル 30代前半男子
・・・???
◯1帝都/聖アンドレイ城前(日替わり/朝)
快晴
帝都は中世のヨーロッパのような町並みをしている
聖アンドレイ城は巨大で派手なバロック様式の金の装飾がされている
聖アンドレイ城前には何百万人もの人たちが集まっている
聖アンドレイ城の頂上近くのバルコニーには剣と鎧で武装した聖アンドレイ帝国の数十人の傭兵が立っている
聖アンドレイ城前に集まっている何百万人もの人たちは”アンドレイ!!!!”、”アンドレイ!!!!”、”アンドレイ!!!!”と繰り返し叫んでいる
マナカ「(声 ナレーション)西暦85166年。聖アンドレイ帝国は、30000年以上続く巨大独裁国家として栄えていた」
少しすると聖アンドレイ城の中からワイングラスを持っているヒヨリの父、ウラジーミル・アンドレイ、ヒヨリの妹、ヒラン・アンドレイ、ヒヨリの姉、クレナ・アンドレイが聖アンドレイ城の頂上近くのバルコニーに出て来る
ウラジミールの年齢は60歳
ヒランの年齢は14歳
クレナの年齢は21歳
ウラジミールはカフタン風の派手な装束を、ヒランは紫の派手なドレスを着ており、クレナは剣と鎧で武装している
聖アンドレイ城の中からウラジーミル、ヒラン、クレナが城の頂上近くのバルコニーに出て来ると、城の前に集まっていた何百万人もの人たちが大きな歓声を上げる
聖アンドレイ城の頂上近くのバルコニーにいるウラジミールはワイングラスで赤ワインを一口飲む
◯2帝都/大広場/処刑場(日替わり/昼過ぎ)
快晴
帝都は中世のヨーロッパのような町並みをしている
大広場には処刑台がある
大広場にいるシィアとヒラン
ヒランは紫の派手なドレスを着て、エンジン付きのグライダーに乗っている
処刑台は木製の高い台になっている
処刑台の上にはボロボロの服を着ている3人の男がいる
ボロボロの服を着ている3人の男には手錠と足かせがかけられている
処刑台の周りにはたくさんの人が集まっている
ヒランはグライダーに乗ったまま処刑台の近くにいる
グライダーに乗っているヒランの近くにいるシィア
マナカ「(声 ナレーション)皇帝ウラジミールは、第六の力を権力の象徴とし、国民に一定の平和をもたらす代わりに高額な税を納めさせた」
ヒランはグライダーに乗ったままシィアの胸元に手を当てる
グライダーに乗ったままヒランがシィアの胸元に手を当てた瞬間、シィアの体が小さなブラックホールのようなものに変わる
グライダーに乗っているヒランが持っている小さなブラックホールがナイフに変わる
グライダーに乗っているヒランが持っているナイフは、シィアがヒランと契約して”姫”になった姿
ヒランはグライダーから降りて処刑台の上に立つ
マナカ「(声 ナレーション)皇帝に奉仕出来ぬ貧しき者は処刑されるか、帝国から追放され野垂れ死んだ」
ヒランはボロボロの服を着ている男1の首を素早くナイフで斬る
ヒランに素早く首をナイフで斬られたボロボロの服を着ている男1は首から血を噴き出す
首から血を噴き出しながら倒れて死ぬボロボロの服を着ている男1
ボロボロの服を着ている男2は首から血を噴き出しながら死んでいる男1のことを見て怯えている
マナカ「(声 ナレーション)聖アンドレイ帝国は、過激なほど保守的思想に染まった人々と、政治に興味のない金持ちたちで成立していた」
ボロボロの服を着ている男2は怯えながら首から血を噴き出し死んでいる男1のことを見るのをやめる
怯えながら処刑台から飛び降りるボロボロの服を着ている男2
ボロボロの服を着ている男2は怯えながら走って大広場から逃げようとする
怯えながら走って大広場から逃げようとしているボロボロの服を着た男2に向かって楽しそうにナイフを投げるヒラン
楽しそうにヒランが投げたナイフは、怯えながら走って大広場から逃げようとしていたボロボロの服を着ている男2の正面に回り込む
怯えながら走って大広場から逃げようとしていたボロボロの服を着ている男2のおでこにヒランが楽しそうに投げたナイフが突き刺さる
ボロボロの服を着ている男2はおでこにナイフが突き刺さったまま白目を剥いてその場に倒れる
ヒランは楽しそうに笑いながら処刑台の上から飛び降りる
マナカ「(声 ナレーション)第六の力は、契約する者も、契約される者も、偽りの快楽を得る」
楽しそうに笑いながら、おでこにナイフが突き刺さって白目を剥き倒れたボロボロの服を着ている男2のところに行くヒラン
ヒランは楽しそうに笑いながら、白目を剥き倒れたボロボロの服を着ている男2のおでこからナイフを引き抜く
ヒランが楽しそうに笑いながら、白目を剥き倒れたボロボロの服を着ている男2のおでこからナイフを引き抜くと、周囲にボロボロの服を着ている男2の血が飛び散る
マナカ「(声 ナレーション)他人の魂を道具に変えられる喜び。帝国に魂を道具に変えられる喜び」
◯3イングマールの城砦前(日替わり/夜)
弱い雨が降っている
イングマールの城砦の前にいるトワネ、剣と鎧で武装した数十人のイングマールの傭兵、数人の地方諸外国の首相たち、地方諸外国の首相たちを守るそれぞれの国家の剣と鎧で武装した傭兵たち
イングマールの城砦はルネサンス洋式の建築になっている
イングマールの城砦の前には10台ほどの馬車が止まっている
イングマールの城砦の前にいるトワネと数十人のイングマールの傭兵たちは、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている
トワネと数十人のイングマールの傭兵たちが付けているカラスがデザインされた鉄仮面は、マナカが付けている鉄仮面と完全に同じ
イングマールの傭兵たちの数人は松明を持っている
話をしているトワネと数人の地方諸外国の首相たち
マナカ「(声 ナレーション)奉仕と搾取、バイオレンスとラヴのサイクルに危機を覚えた地方諸外国の首相たちは、兼ねてより帝国と不和だった第六の力の出現地でもある独立宗教国家、イングマールの元へ尋ねた」
数人の地方諸外国の首相たちと話をしながらカラスがデザインされた鉄仮面を顔から外すトワネ
トワネはカラスがデザインされた鉄仮面を顔から外し、数人の地方諸外国の首相たちに帰るように言う
マナカ「(声 ナレーション)我が地の女王、相園トワネ様は皇帝ウラジミールに関わりたくないという強い想いから彼らを拒絶」
◯4帝都/聖アンドレイ城クレナの部屋(日替わり/夜)
外は強い雨が降り、雷が鳴っている
聖アンドレイ城のクレナの部屋にいるクレナ・アンドレイ
聖アンドレイ城のクレナの部屋は広く、バロック様式の金の装飾がされている
聖アンドレイ城のクレナの部屋の中心にはカーテン付きの大きなベッドがある
カーテン付きの大きなベッドの前で倒れているクレナ
クレナの首には深い斬り傷がある
カーテン付きの大きなベッドの前で死んでいるクレナ
マナカ「(声 ナレーション)同じ頃、地方諸外国との外交をこなし、帝国唯一の良心と謳われた第一皇女、クレナ・アンドロイが何者かに暗殺されると、若干14歳の第三皇女、ヒラン・アンドレイが彼女の役割の半分を引き継ぐこととなった」
◯5帝都/聖アンドレイ城ヒランの執務室(日替わり/夕方)
夕日が沈みかけている
聖アンドレイ城のヒランの執務室にいるシィアとヒラン
ヒランは紫の派手なドレスを着ている
聖アンドレイ城のヒランの執務室は広く、バロック様式の金の装飾がされており、壁には大きな絵画が飾られている
聖アンドレイ城のヒランの執務室には机と椅子があり、机の上には羊皮紙の書類が散らかっている
机に向かって椅子に座っているヒラン
シィアはヒランの近くに立っている
話をしているシィアとヒラン
ヒラン「ヒランが殺してって言ったの!!」
シィア「ですがお嬢様、血の外交を続けていては反感が生まれ・・・」
ヒラン「(机を何度も思いっきり叩きながらシィアの話を遮り怒鳴り声で)殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して!!!!」
ヒランは机を何度も思いっきり叩き続ける
シィア「(淡々と)かしこまりました」
◯6帝都/聖アンドレイ城皇帝の執務室(日替わり/夜)
外は強い雨が降り、雷が鳴っている
聖アンドレイ城の皇帝の執務室にいるカナメ、ヒヨリ、ウラジミール、数十人のウラジミールの愛人たち
聖アンドレイ城の皇帝の執務室は広く、バロック様式の金の装飾がされており、壁には大きな絵画が何枚も飾られている
聖アンドレイ城の皇帝の執務室の中心には巨大なベッドがある
ウラジミールは上半身裸で執務室の中心に巨大なベッドに座っている
巨大なベッドに座っているウラジミールの前で片膝をついているカナメとヒヨリ
巨大なベッドに座っているウラジミールの後ろでは数十人のウラジミールの愛人たちが全裸で立っている
巨大なベッドに座っているウラジミールの後ろで全裸で立っている数十人のウラジミールの愛人たちは、山羊がデザインされた鉄仮面を付けている
数十人のウラジミールの愛人たちが付けている山羊がデザインされた鉄仮面は、カナメ、チヅル、ソウヤが付けている鉄仮面と完全に同じ
ウラジミールはカナメとヒヨリに命令を出している
マナカ「(声 ナレーション)長女を失った皇帝は、第二皇女の九音ヒヨリ、婿養子の神野カナメに暗殺者の殺害を命じた」
◯7野営地(日替わり/夜)
強い雨が降り、雷が鳴っている
野営地にいるカナメとヒヨリ
野営地の地面は雨でぬかるんでおり、水溜まりが出来ている
野営地は広く、たくさんの軍幕テントが建てられている
野営地にはカナメとヒヨリの他にもたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下と馬がいる
ヒヨリを含む聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちは剣と鎧で武装している
カナメたちは雨で全身がずぶ濡れになっている
野営地の中心にいるヒヨリ
カナメを含むたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちは片膝をついている
ヒヨリ「(片膝をついているカナメに手を差し出して)誇り高き王子よ、皇帝のために盾となり、矛となり、我が聖アンドレイ帝国を守護すると誓うか?」
カナメ「(片膝をついたままヒヨリに手を差し出されて)誓います」
ヒヨリ「(片膝をついているカナメに手を差し出したまま)良かろう。手を取るのだ」
カナメは片膝をついたままヒヨリの手を取る
片膝をついたままヒヨリの手の甲にキスをするカナメ
カナメはヒヨリの手を取ったまま立ち上がる
自分の胸元にヒヨリの手を当てるカナメ
ヒヨリ「(カナメの胸元に手を当てたまま)カナメの第六の力を・・・私の手に・・・」
突然、自分の胸元にヒヨリの手を当てているカナメの体と、カナメの胸元に手を当てているヒヨリの体が強く光る
◯8戦場(深夜)
強い雨が降り、雷が鳴っている
戦場にいるヒヨリを含む聖アンドレイ帝国のたくさんの兵士たちと、地方諸外連盟国軍の兵士たちが激しく戦っている
戦場の地面は雨で酷くぬかるんでおり、大きな水溜まりが出来ている
ヒヨリは鎧を着て2本の刀を持っており、腰には剣が差してある
ヒヨリが持っている2本の刀はカナメがヒヨリと契約して”王子”になった姿
ヒヨリを含む聖アンドレイ帝国のたくさんの兵士たちと、地方諸外連盟国軍の兵士たちは剣や槍、鎧で武装し交戦している
ヒヨリを含む聖アンドレイ帝国のたくさんの兵士たちと、地方諸外連盟国軍の兵士たちは雨で全身がずぶ濡れになっている
戦場ではたくさんの聖アンドレイ帝国軍と地方諸外連盟国軍の兵士たちが入り混じり、ごった返しになっている
戦場では剣、槍、鎧が当たって鳴る金属音が響いている
ヒヨリに向かって思いっきり槍を振り下ろして来る地方諸外連盟国軍の頭領
ヒヨリは地方諸外連盟国軍の頭領が思いっきり振り下ろして来た槍を軽々避ける
地方諸外連盟国軍の頭領が思いっきり振り下ろして来た槍を軽々避け、ヒヨリの後ろで聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下を剣で追い詰めていた地方諸外連盟国軍の兵士の腹を2本の刀で斬るヒヨリ
地方諸外連盟国軍の兵士は腹から血を噴き出して倒れる
地方諸外連盟国軍の頭領は再びヒヨリに向かって槍を構える
ヒヨリの持っている2本の刀のうちの1本が消え、残りの1本が小さなブラックホールのようなものに変わる
ヒヨリが持っている小さなブラックホールは槍に変わる
ヒヨリが持っている槍はカナメがヒヨリと契約して”王子”になった姿
地方諸外連盟国軍の頭領に向かって槍を構えるヒヨリ
地方諸外連盟国軍の頭領はヒヨリに向かって槍を構えたまま走り出す
突然空が光り、大きな音を立てて戦場の近くに雷が落ちる
時間経過
雨は止んでいる
戦場ではたくさんの地方諸外連盟国軍の兵士が倒れて死んでいる
戦場の地面は雨、泥、たくさんの地方諸外連盟国の兵士の血が混ざり合って酷くぬかるんでいる
生き残った聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちはタバコを吸ったり、地方諸外連盟国軍の兵士の死体の上に座って休んでいる
戦場では生き残った数十人の地方諸外連盟国の兵士たちが武器と鎧を取り上げられ、下着姿のまま両膝をつき、両手を頭の後ろに回している
戦場には両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領がいる
ヒヨリは両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領と話をしている
マナカ「(声 ナレーション)ヒヨリはしらみ潰しに暗殺者を探したが、いくら勝利を挙げても姉を殺した犯人は見つけられなかった」
ヒヨリは両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領と話をするのをやめる
素早く槍で両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領の首を刎ね落とすヒヨリ
両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領の生首が戦場のぬかるんだ地面に転がる
両手を切断されて両膝をついている地方諸外連盟国軍の頭領は首から大量の血を噴き出しながらその場に倒れる
◯9戦場跡地(日替わり/昼前)
外は快晴
戦場の跡地の地面では雨、泥、たくさんの地方諸外連盟国軍の兵士の血が混ざり合って酷くぬかるんでいる
戦場の跡地では武器と鎧を取り上げられ、下着姿のまま殺されたたくさんの地方諸外連盟国の兵士と、戦って聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下に殺された死体が山積みになって燃えている
下着姿のまま殺されたたくさんの地方諸外連盟国の兵士と、戦って聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下に殺された死体が山積みになって燃えている近くでは、地方諸外連盟国軍の旗がへし折られて落ちている
マナカ「(声 ナレーション)やがて暗殺者探しは争いへの発端になり・・・」
◯10イングマールの民の隠れ家(日替わり/夕方)
夕日が沈みかけている
イングマールの民の隠れ家にいるマナカ
イングマールの民の隠れ家は広い洞穴になっており、洞穴の中にはたくさんのイングマールの人々が隠れている
イングマールの民の隠れ家にいるたくさんのイングマールの人々たちの中には、カラスがデザインされた鉄仮面を付けている人がいる
イングマールの人々が付けているカラスがデザインされた鉄仮面は、マナカが付けていた鉄仮面と完全に同じ
イングマールの民の隠れ家には洞穴の奥にトンネルがあり、裏口になっている
マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けていない
マナカの顔面の半分には古い火傷の跡がある
マナカはトワネの写真付きのペンダントを持っている
イングマールの民の隠れ家の広い洞穴の外には、山羊がデザインされた鉄仮面を付けて武器と鎧で武装したたくさんの聖アンドレイ帝国皇帝の親衛隊”クライズ”がいる
イングマールの民の隠れ家にいるたくさんのイングマールの人々たちは、洞穴の奥にあるトンネルへ逃げている
マナカはペンダントの中のトワネの写真を見ている
イングマールの民1「(洞穴の奥にあるトンネルへ逃げようとしながら)マナカ!!逃げるぞ!!」
イングマールの民2「(洞穴の奥にあるトンネルへ逃げようとしながら)急いで!!早く!!」
マナカはペンダントの中のトワネの写真を見るのをやめる
イングマールの民の隠れ家の広い洞穴の外にいるたくさんの聖アンドレイ帝国皇帝の親衛隊”クライズ”のことを見るマナカ
マナカ「(イングマールの民の隠れ家の広い洞穴の外にいるたくさんの聖アンドレイ帝国皇帝の親衛隊”クライズ”のことを見て 声 ナレーション)イングマールは巻き込まれる形で戦争に参加することとなった・・・」
イングマールの民の隠れ家の広い洞穴の外にいるたくさんの聖アンドレイ帝国皇帝の親衛隊”クライズ”のことを見ているマナカの顔面に、魔法陣のような紋章が現れる
『第十三話 偉大なる聖アンドレイ帝国より』
◯11帝都/見張り台(日替わり/朝)
快晴
帝都は中世のヨーロッパのような町並みをしている
帝都の見張り台にいる一人の聖アンドレイ帝国の衛兵
聖アンドレイ帝国の衛兵は剣と鎧で武装している
帝都の見張り台はバロック様式の高い塔になっている
帝都の見張り台には大きな鐘がある
帝都は城壁に囲まれており、一箇所だけ木造の大きな扉がある
帝都の見張り台にいる聖アンドレイ帝国の衛兵は、単眼鏡を覗いて帝都の城壁の外を見張っている
聖アンドレイ帝国の衛兵が単眼鏡を覗いて帝都の城壁の外を見張っていると、馬に乗ったたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下が見えて来る
馬に乗ったたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちは帝都に向かって進んでいる
馬に乗ったたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちの先頭には、同じく馬に乗っているヒヨリがいる
ヒヨリを含むたくさんの聖アンドレイ帝国の兵士たちは、鎧を着て腰に剣を差している
馬に乗ったたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちの中には怪我人が多くおり、血が滲んだ包帯を巻いていたり、体の一部が欠損したりしている
馬に乗ったヒヨリの後ろには箱馬車がいる
聖アンドレイ帝国の衛兵が覗いている単眼鏡からは、僅かにだが箱馬車の中にカナメがいるのが見える
聖アンドレイ帝国の衛兵が覗いている単眼鏡から僅かに見えた箱馬車の中のカナメは、両手が無くなっている
聖アンドレイ帝国の衛兵は慌てて単眼鏡を覗くのをやめて、見張り台にある大きな鐘を何度も叩く
◯12帝都/聖アンドレイ城ヒランの部屋(朝)
聖アンドレイ城のヒランの部屋にいるシィアとヒラン
聖アンドレイ城のヒランの部屋は広く、バロック様式の金の装飾がされている
聖アンドレイ城のヒランの部屋の中心にはカーテン付きの大きなベッドがある
聖アンドレイ城のヒランの部屋では帝都の見張り台の大きな鐘が聞こえて来ている
カーテン付きの大きなベッドの上で全裸で眠っているヒラン
ヒランは眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めて眠っている
ヒランが抱き締めながら眠っている眼帯を付けた紫色の大きな熊のぬいぐるみは、第九話でカナメが購入してヒヨリにプレゼントした熊のぬいぐるみと完全に同じ物
眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま眠っているヒランの近くに立っているシィア
シィア「(淡々と)お嬢様、ヒヨリ殿下のお戻りです。起きてください」
少しの沈黙が流れる
シィア「(淡々と)お寝坊をかましたお嬢様が殿下に叱られるのは理解出来ますが、そのついでに世話係の私まで殿下に叱られるのは納得がいきません」
眼帯を付けた紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めているヒランがモゾモゾ動き始める
シィア「(淡々と)わー、ロベール=フォン殿下までお帰りにー」
ヒランは慌てて眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま体を起こす
ヒラン「(慌てて眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま体を起こして)お、お兄様の凱旋なの!?」
シィア「(淡々と)お姉様の、凱旋ですね」
再び沈黙が流れる
ヒランは眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたままシィアの頬を平手で思いっきり殴る
シィア「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めているヒランに頬を平手で思いっきり殴られて)申し訳ございません、どうしてもお嬢様を起こしたかったので、ついジョークが炸裂してしまいました」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま)今度またヒランのことを騙したら独房に入れちゃうからね」
シィア「承知しました。(少し間を開けて)このままお休みになりますか」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま不機嫌そうに)知らない」
シィア「(淡々と)知らない、とは」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま不機嫌そうに)知らないったら知らないの」
シィア「はあ」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま不機嫌そうに)知っててもシィアちゃんには教えてあげないわ、あなたは旧人類の油臭くて嫌いだもの」
シィア「そうですか」
少しの沈黙が流れる
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま)シィアちゃんがヒランが起きなくてどうしても困るって言うなら、しょうがないから起きてあげても良いけど・・・」
シィア「(淡々と)ではどうしても困るので起きてください」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま)しょうがないわね、シィアちゃんったらほんとに子供なんだから」
ヒランは眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたままカーテン付きの大きなベッドから降りる
ヒランの下半身には大きな火傷の跡がある
シィア「お召し物はどうしますか」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま)要らない」
シィア「ですがヒヨリ殿下が・・・」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたままシィアの話を遮って不機嫌そうに)ヒランは要らないって言ってるの」
シィア「裸のお嬢様を見れば、殿下が心配するかと」
ヒラン「(眼帯を付けている紫色の大きな熊のぬいぐるみを抱き締めたまま少し笑って)ヒランの命令を聞かなきゃ、またシィアちゃんの腕とか足をもいじゃうよ?」
再び沈黙が流れる
シィア「(淡々と)食事の準備をします」
◯13帝都/市場(朝)
帝都は中世のヨーロッパのような町並みをしている
帝都の市場は広く、小さなお店がいくつも開いており、パン、魚貝類、野菜、果物、クルミ、ナッツ、ピスタチオなどの種実類やたくさんの食材が売られている
帝都の市場からは聖アンドレイ城が見えている
聖アンドレイ城は巨大で派手なバロック様式の金の装飾がされている
帝都の市場には買い物に来たたくさんの人たちで賑わっており、騒がしくなっている
少しすると帝都の市場に馬の蹄の音が聞こえて来る
パン屋の店主「みんなヒヨリ殿下のお戻りだぞ!!」
たくさんの買い物客で賑わって騒がしかった帝都の市場が一瞬で静かになる
馬に乗ったヒヨリと、同じく馬に乗った聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちが帝都の市場にやって来る
馬に乗ったヒヨリは聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちの先頭を歩いており、聖アンドレイ城に向かっている
ヒヨリを含むたくさんの聖アンドレイ帝国の兵士たちは鎧を着て腰に剣を差している
馬に乗ったたくさんの聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちの中には怪我人が多くおり、血が滲んだ包帯を巻いていたり、体の一部が欠損したりしている
馬に乗ったヒヨリの後ろには箱馬車がいる
馬に乗った聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちに留まるようにハンドサインをする
その場で馬の手綱を引き馬の歩みを止める聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たち
馬に乗っているヒヨリは馬の手綱を引きその場に止まる
ヒヨリ「(馬に乗ったまま大きな声で)どうか心配しないで欲しい!!!!地方諸外連盟国軍は実質壊滅した!!!!生き残った一部の首相たちはイングマールに合流したようだが、直に彼らも滅びるだろう!!!!戦争の終結は近い!!!!聖アンドレイ帝国第二皇女の九音ヒヨリが国民の皆さんに平和をもたらすと約束しよう!!!!」
少しの沈黙が流れる
パン屋の店主「(大きな声で)殿下万歳!!!!」
買い物客1「(大きな声で)で、殿下万歳!!!!」
買い物客2「(大きな声で)殿下万歳!!!!」
買い物客3「(大きな声で)殿下万歳!!!!」
パン屋の店主、買い物客1、2、3、4に続いて帝都の市場にたくさんの買い物客たちと、市場の店主たちが”殿下万歳!!!!”と繰り返し叫び始める
ヒヨリ「(馬に乗ったまま大きな)皆さんの支援に心から感謝する!!!!」
馬に乗っているヒヨリは馬の手綱を引き、帝都の市場の中を通りながら聖アンドレイ城に向かい始める
馬に乗っているヒヨリに続いて、聖アンドレイ帝国のヒヨリの部下たちは馬に乗ったまま馬の手綱を引いて聖アンドレイ城に向かい始める
帝都の市場にいるたくさんの買い物客たちと、市場の店主たちは”殿下万歳!!!!”と繰り返し叫び続ける
◯14帝都/聖アンドレイ城大広間(朝)
聖アンドレイ城の大広間にはたくさんのメイドがいる
聖アンドレイ城の大広間は広く、天井が高くなっている
聖アンドレイ城の大広間はバロック様式の金の装飾がされており、壁にたくさんの彫刻が彫られ、天井と床には絵画が描かれている
聖アンドレイ城の大広間には大きな扉がある
たくさんのメイドたちはヒヨリの出迎えをするために聖アンドレイ城の大広間で待機している
少しすると聖アンドレイ城の大広間の大きな扉が開き、ヒヨリが聖アンドレイ城の大広間の中にやって来る
ヒヨリは鎧を着て腰に剣を差している
メイド1「お帰りなさいませ、殿下」
ヒヨリ「出迎えはこれだけか・・・?」
メイド1「ほ、他の者は食事の準備に取り掛かっていまして」
ヒヨリ「城の兵士たちはどうしたのだ」
メイド1「さ、昨晩、女王様が不審な者を目撃したとのことで、夜通しで警備に当たり、今はほとんどが仮眠を取っています」
ヒヨリ「母上が?」
メイド1「はい」
ヒヨリ「馬鹿な、母上の部屋はこの城の中で最も安全な場所だぞ」
メイド1「け、警備は女王様自らのご命令です殿下」
少しの沈黙が流れる
メイド1「し、失礼ですが・・・だ、旦那様は・・・」
ヒヨリ「カナメなら体の破損の治癒をするためにやむ無く博士の元に預けて来た。今回、急な帰りになったのも戦争が長期化して、私以外の皆に疲れが溜まってしまったからだと言わざるを得ないだろう」
メイド1「では次のご出征はいつ頃に?」
ヒヨリ「そのことを踏まえても父上と話がしたいのだが・・・」
メイド1「こ、皇帝陛下は5日前から城を留守にしております」
ヒヨリ「5日前だと?父上が出かける予定など聞いていないぞ」
メイド1「わ、私どもも陛下がどちらかに行かれたのか・・・お帰りの目処も立っていません」
ヒヨリ「まさか・・・父が不在の間、母上に帝都と城の管理をやらせているわけではないだろうな・・・」
メイド1「いえ、それらはヒランお嬢様とシィアちゃんが」
ヒヨリ「(小声で)あの二人だけを城に残すとは父上の奴め・・・」
メイド1「で、殿下?」
再び沈黙が流れる
ヒヨリ「ヒランには私が風呂から出るまで、食事の席で待つように伝えてくれ」
メイド1「はい殿下」
◯15帝都/聖アンドレイ城大浴場(朝)
聖アンドレイ城の大浴場にいるヒヨリと2人の若いメイド
聖アンドレイ城の大浴場は広く、巨大な丸い浴槽があり、壁には絵画が描かれている
聖アンドレイ城の大浴場の巨大な丸い浴槽には、溢れそうなくらいお湯が張っており、周囲には湯気が立ち込めている
ヒヨリは全裸で聖アンドレイ城の大浴場の巨大な丸い浴槽に浸かっている
ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある
2人の若いメイドは装束を着て聖アンドレイ城の大浴場の巨大な丸い浴槽に浸かっている
巨大な丸い浴槽に浸かっている2人の若いメイドの装束がお湯に濡れ、肌が透けて見えている
全裸で聖アンドレイ城の大浴場の巨大な丸い浴槽に浸かっているヒヨリの体を、同じく巨大な丸い浴槽にいる2人の若いメイドがタオルを使って洗っている
◯16帝都/聖アンドレイ城食堂(朝)
聖アンドレイ城の食堂にいるシィアとヒラン
聖アンドレイ城の食堂は広く、バロック様式の金の装飾がされている
聖アンドレイ城の食堂の中心には長いテーブルと椅子がある
長いテーブルの上には豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキが置いてある
ヒランは全裸でテーブルに向かって椅子に座っている
ヒランの下半身には大きな火傷の跡がある
ヒランが座っている椅子は長いテーブルの一番端にある
ヒランの近くに立っているシィア
話をしているヒランとシィア
ヒラン「またお豆と牛肉だわ」
シィア「(淡々と)食糧難ですから、お嬢様」
ヒラン「またあれを出してよ」
シィア「あれですか」
ヒラン「そうあれ。ヒラン、もういつものご飯には飽きちゃったもん」
シィア「(淡々と)しかしお嬢様、あれは衛生面的に・・・」
聖アンドレイ城の食堂の扉が開き、ヒヨリが聖アンドレイ城の食堂の中に入って来る
シィア「お帰りなさい、殿下」
ヒヨリは長いテーブルを挟んでヒランと向かい合って椅子に座る
ヒヨリが座っている椅子はヒランが座っている椅子の反対側で、長いテーブルの一番端にある
ヒヨリ「ヒラン」
ヒラン「お姉様」
ヒヨリ「服を着ないのは最近の子供の流行りなのか?」
ヒラン「開放感があって良いでしょ?」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリ「食事にしよう」
時間経過
フォーク、スプーン、ナイフを使って豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキを食べているヒヨリ
ヒランは素手で豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキを食べている
ヒランの口の周りは食べかすがついて汚れている
ヒランの手は食べ物で汚れている
ヒランは素手で牛ステーキを引き千切る
ヒラン「(素手で牛ステーキを引き千切って)お姉様、ヒラン、200人も処刑したのよ」
ヒヨリは牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分ける
ヒヨリ「(牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分けながら)そうか、それは凄いな」
ヒランは引き千切った牛ステーキを素手で口の中に詰め込める
ヒラン「(引き千切った牛ステーキを素手で口の中に詰め込めて)お父様も褒めてくれたの。お前には女帝としての才能があるって」
ヒランが引き千切った牛ステーキを食べながら喋ると、ヒランの口から食べかすが飛び出る
ヒヨリは牛ステーキを一口食べる
ヒヨリ「(牛ステーキを一口食べて)シィアちゃん」
シィア「はい」
ヒヨリ「父上はどちらに行かれたのだ」
シィア「(淡々と)ギャスパード城です」
ヒヨリ「ギャスパード城?何故今更あのような場所に?」
シィア「(淡々と)クレア殿下の兵士たちに報酬を出すとか」
ヒヨリ「ケチな父上がそのようなことするわけがないだろう」
ヒランは素手でソーセージを一口食べる
ヒラン「(素手でソーセージを一口食べて)ヒラン知ってる。ロベール=フォンお兄様が帰って来るのよ」
ヒヨリ「馬鹿を言うなヒラン、ロベールなど使い者になるどころか災いを持ち込むだけだ」
ヒヨリは豆料理を一口食べる
再び沈黙が流れる
ヒラン「(不機嫌そうに)手」
シィア「はいお嬢様」
シィアは一歩前に出てヒランに近付く
シィアの服で両手についた食べ物の汚れを拭くヒラン
ヒラン「(シィアの服で両手についた食べ物の汚れを拭きながら少し笑って)そういえばお姉様」
ヒヨリ「ああ」
ヒラン「(シィアの服で両手についた食べ物の汚れを拭きながら少し笑って)未だにイングマールの相園トワネを見つけられないんだとか?」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリはパンを一口食べる
ヒヨリ「(パンを一口食べて)何が言いたいのだ?ヒラン」
ヒラン「(シィアの服で両手についた食べ物の汚れを拭きながら少し笑って)お父様はご立腹よ」
ヒヨリ「私は常に帝国に勝利をもたらしているのだぞ」
ヒランはシィアの服で両手を拭くのをやめる
ヒラン「(シィアの服で両手を拭くのをやめて少し笑って)じゃあ早くトワネを殺してよ?ヒラン、お姉様の代わりに戦場に行くなんて御免だからね?」
ヒヨリ「お前が戦地に赴くのは、帝国が滅びるか否かの時だ。つまりヒランが傲慢にも私に代わって武器を取ることは、現実では起こらないだろう」
ヒラン「(少し笑いながら)ヒラン、お姉様が思ってるよりもずっと強いの。だから血の繋がりさえなければ、きっとお姉様のことも簡単に殺してたわ」
ヒヨリは牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分ける
ヒヨリ「(牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分けながら)大口を叩く暇があるのなら姉上の暗殺者を探し出せ」
ヒラン「クレナお姉様なんて・・・もう過去の人じゃない」
ヒヨリは牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分けるのをやめる
ヒヨリ「(牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分けるのをやめて)無礼だぞヒラン」
ヒラン「(不機嫌そうに)だってクレナお姉様の殺した犯人を見つけるのはヒヨリお姉様の役割でしょ」
ヒヨリ「努力している」
ヒラン「(不機嫌そうに)ふーん」
再び沈黙が流れる
ヒヨリは再び牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分ける
牛ステーキを一口食べるヒヨリ
ヒラン「ところでお姉様」
ヒヨリ「何だ?」
ヒラン「伝染病の噂を知ってる?」
ヒヨリ「(呆れて)またくだらないことを・・・」
ヒラン「う、嘘じゃないのよ!!城の中でもメイドが話をしてたもん!!」
ヒヨリ「母上に聞かれたらどうするつもりだ、あれほど私は負荷をかけさせるなと・・・」
ヒラン「(ヒヨリの話を遮って)ヒランだって数日前に初めて聞いたことだわ!!」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリ「私は長く戦場を回り、諸外国の連中とも話をして来たが、伝染病の噂など一度も耳にしていないぞヒラン」
ヒラン「そりゃそうよ。旧東洋から流れた未知の病気らしいわ」
ヒヨリ「馬鹿馬鹿しい、もしそんな病が流行っているのなら、今頃イングマールは滅びているではないか」
ヒラン「違うのお姉様。その病気は人間の人格を変えるんですって」
ヒヨリ「人格?」
ヒラン「うん。イングマール人が突然戦争に参加するようになったのは、その病気に感染したからじゃないかって話なの」
ヒヨリ「つまり・・・彼らは伝染病の影響で好戦的になったということか・・・」
ヒラン「ただ好戦的になるだけではなく、あらゆる欲求に従順になったり、粗暴で下品な性格になっちゃうんだって」
再び沈黙が流れる
ヒラン「おかわり棒」
シィア「はい」
シィアは聖アンドレイ城の食堂から出て行く
豆料理を一口食べるヒヨリ
ヒヨリ「(豆料理を一口食べて)根も葉もない噂だと思いたいが・・・用心しよう」
ヒラン「(少し笑って)ヒラン、いつでもお姉様の跡を継げるわ」
ヒヨリ「(少し笑って)戦地に行きたくない小娘なのにか?」
ヒラン「(少し笑いながら)あら、戦争をしなくても人を殺す方法ならヒランだって知ってるんだからね?」
ヒヨリ「(少し笑いながら)ほう・・・それは興味深いな。ぜひ我が妹君が戦争もせずにどうやってトワネを殺すのか教えて欲しいものだ」
ヒラン「(少し笑いながら)そうね、ヒランだったら寝ている隙をついて暗殺するかな」
聖アンドレイ城の食堂の扉が開き、バケツと直径2センチほどの長い棒を持っているシィアが聖アンドレイ城の食堂の中に戻って来る
ヒヨリ「(少し笑いながら)姉上のようにか?」
ヒラン「(少し笑いながら)うん、スマートにぶっ殺すの」
ヒヨリ「(少し笑いながら)しかし暗殺者では次期皇帝とはいかないだろう」
ヒラン「(少し笑いながら)皇帝の座はお兄様に譲るわ、ヒランは右腕で良いもの」
シィアはヒランの近くで立ち止まる
ヒヨリ「次期皇帝はこの私だ」
ヒラン「(少し笑いながら)それは違うわ。お姉様はその器に相応しくないもん」
ヒランは口を大きく開く
ヒランの大きく開いた口の中に直径2センチほどの長い棒を入れるシィア
シィアはヒランの大きく開いた口の中に直径2センチほどの長い棒を無理矢理押し込む
パンを一口食べるヒヨリ
ヒヨリ「(パンを一口食べて)噂に振り回されているようでは、右腕にもなれまい」
ヒランは大きく口を開き、シィアに直径2センチほどの長い棒を口の中に無理矢理押し込まれたまま涙を流す
豆料理を一口食べるヒヨリ
ヒヨリ「(豆料理を一口食べて少し笑って)私は今回の出征で4桁近くの人間の首を刎ねたのだぞ」
大きく口を開き、シィアに直径2センチほどの長い棒を口の中に無理矢理押し込まれたまま涙を流しているヒランはえずき始める
ヒヨリは牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分ける
ヒヨリ「(牛ステーキをフォークとナイフを使って切り分けながら少し笑って)仮に伝染病の噂が本当だとしても、この私がウイルスそのものを滅ぼしてしまえば良いだろう」
シィアは涙を流し、大きく口を開きながらえずいているヒランの口の中に無理矢理押し込んでいた直径2センチほどの長い棒を抜く
涙を流しながらえずいているヒランの前にバケツを出すシィア
涙を流しながらシィアが持っているバケツに向かって豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキを吐き出すヒラン
ヒヨリは笑顔になって牛ステーキを一口食べる
ヒヨリ「(牛ステーキを一口食べて笑顔で)しかし我が家の料理は最高だな。特に肉が素晴らしい」
ヒランは涙を流しながらシィアが持っているバケツに向かって豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキを吐き出し続けている
ヒヨリ「(笑顔のまま)料理人たちに礼を言わなければならないな、世話にもなっていることだし」
ヒランは涙を流しながらシィアが持っているバケツに向かって豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキを吐き出すのをやめる
涙を流しているヒランの口の周りは吐瀉物と食べかすで汚れている
ヒランは涙を流しながらシィアの服で口の周りの吐瀉物と食べかすを拭く
ヒヨリ「(笑顔のまま)処刑した反逆者共は、ネズミの肉と一緒に土鍋で煮込んで部下たちに振る舞うように頼んでくれ、シィアちゃん」
シィア「(涙を流しているヒランの口の周りの吐瀉物と食べかすを服で拭かれながら淡々と)はあ。ご自分で頼まれたらいかがですか」
ヒヨリ「(笑顔のまま)私は偉大なる聖アンドレイ帝国の次期女王なのだ、シィアちゃん。ゴミのような頼みごとなど貴様に押し付けて当然の身分だろう?」
ヒランは涙を流しながらシィアの服で口の周りは吐瀉物と食べかすを拭くのをやめる
涙を流しながらシィアの服に向かって痰を吐き出すヒラン
シィア「(涙を流しているヒランに服に痰を吐き出されて淡々と)痰もバケツに吐けば良いのでは」
ヒランは涙を流しながら笑顔になる
ヒラン「(涙を流しながら笑顔で)ヒランの唾液にはとっても価値があるのよ、シィアちゃんには特別に保存することを許してあげる」
シィア「(淡々と)そうですか」
ヒヨリ「(笑顔のまま)上品になったな、ヒラン」
ヒラン「(涙を流しながら笑顔で)ヒランはもう大人だもの。シィアちゃん、涙を拭いて」
シィアはヒランの涙を舌で舐めて拭う
ソーセージを一口食べるヒヨリ
シィアはヒランの涙を舌で舐めて拭い終える
ヒラン「どう?」
シィア「(淡々と)お嬢様は今日も砂漠に咲いた一輪のバラの如し美しいかと」
ヒラン「(笑顔で)それは素敵ね、ヒランに優しくしてくれるシィアちゃんには、腕を1本プレゼントしてあげても良いわ」
シィア「それはもう結構です」
ヒラン「どうして?ヒランからのプレゼントなのに」
シィア「(淡々と)私の部屋は、既にお嬢様から頂いた腕やら脚でいっぱいになっているからです」
ヒラン「(不機嫌そうに)ならお部屋を大きくすれば良いじゃない」
シィア「(淡々と)お嬢様は以前私に対して、お前のような人形に物置部屋以上の価値はないと仰いましたが」
ヒラン「ヒランそんな昔のことは覚えていないわ」
ヒヨリ「ヒラン、お前はそろそろシィアちゃんから卒業しろ」
ヒラン「卒業って何?」
ヒヨリ「シィアちゃんから離れ、婿を取るのだ」
ヒラン「やだ、ヒランお兄様と結婚するもん」
ヒヨリ「またそうやってわがままを・・・」
ヒラン「(不機嫌そうに)お兄様と結婚出来ないなら、シィアちゃんを婿に取るわ」
シィア「(淡々と)うわお、突然の大胆発言にシィアちゃんも驚愕」
ヒヨリ「では私がシィアちゃんを廃棄処分にするぞ」
シィア「(淡々と)うわお、またしても突然の大胆発言にシィアちゃん連続驚愕」
ヒラン「(不機嫌そうに)この子はヒランが8歳の時にお兄様からお誕生日プレゼントで貰った物なのよ、だから捨てるなんて絶対嫌」
ヒヨリ「処分するのが面倒になったロベールがお前に押し付けただけだろう」
ヒラン「違うもん、ヒランはお姉様と違ってお兄様から愛されてるのよ。そうでしょ?シィアちゃん」
シィア「人間の感情は私には計りかねますので」
ヒラン「(不機嫌そうに)使えないポンコツ。もう良いわ、デザートを持って来てちょうだい」
シィア「(淡々と)かしこまりました」
シィアはヒランが吐き出した豆料理、ソーセージ、パン、牛ステーキの吐瀉物が入っているバケツと、直径2センチほどの長い棒を持ったまま聖アンドレイ城の食堂から出て行く
ヒラン「ところでさっきの伝染病の話なんだけどね・・・」
ヒヨリ「(呆れて)またそれか・・・」
ヒラン「病気の名前はオソレって言うらしいわ」
◯17イングマール城砦女王の執務室(昼前)
イングマール城砦の女王の執務室にいるトワネと数十人のイングマールの兵士たち
イングマールの城砦の女王の執務室は広く、ルネサンス洋式の装飾がされているが、部屋全体が暗くなっている
イングマールの城砦の女王の執務室には大きな机があり、聖アンドレイ帝国の地図が置いてある
数十人のイングマールの兵士たちの中にはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている人がいる
数十人のイングマールの兵士たちが付けているカラスがデザインされた鉄仮面は、マナカが付けていた鉄仮面と完全に同じ
数十人のイングマールの兵士たちは剣と鎧で武装している
イングマールの兵士たちの数人は松明を持っている
トワネと数十人のイングマールの兵士たちは聖アンドレイ帝国の地図を見ている
字幕「独立宗教国イングマール女王 相園トワネの城砦」
聖アンドレイ帝国の地図を見ながら話をしているトワネと数十人のイングマールの兵士たち
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら)危険なのは皇帝、第二皇女の九音ヒヨリだ、奴らを何とか破壊出来れば・・・」
イングマールの兵士1「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら)九音アリカはどうしますか?」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら少し笑って)女王は娘を失ってからご乱心らしい。要するに人質としての価値もないわけだ」
イングマールの兵士1は聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめる
トワネのことを見るイングマールの兵士1
少しの沈黙が流れる
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうに)人の顔をジロジロ見て楽しいか」
イングマールの兵士1は慌ててトワネのことを見るのをやめる
イングマールの兵士1「(慌ててトワネのことを見るのをやめて)も、申し訳ありません陛下」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうに)ふん。戦時中じゃなかったらお前から今晩のカルボナーラを取り上げてたところだ」
イングマールの兵士1「は、はい・・・」
再び沈黙が流れる
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうに)言っておくが、私じゃないからな」
イングマールの兵士1「えっ?」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうに)クレナ・アンドレイを暗殺したのは私じゃない」
イングマールの兵士1「も、もちろん陛下ではないと存じております」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうに)ちょっと疑ってたくせに」
イングマールの兵士1「そ、そんなことは・・・」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら不機嫌そうにイングマールの兵士1の話を遮って不機嫌そうに)まあ良い。それより次の動きについて考えるぞ」
イングマールの兵士2「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら)へ、兵士の数が足りてません。これでは戦うにも契約が・・・」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら)地下の魂たちを借りれば良い」
イングマールの兵士3「(聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめて)か、彼らを契約させるのですか?」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながら)そうだ」
数十人のイングマールの兵士たちは聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめる
イングマールの兵士4「(聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめて小声で)しょ、所有時間を無視したような奴らと契約するなんて危険過ぎる・・・」
イングマールの兵士5「(小声で)上手く武器に変化出来なかったら終わりだぞ・・・」
イングマールの兵士6「(小声で)そもそも奴らとはコミュニケーションも取れない・・・」
イングマールの兵士7「(小声で)そんなんじゃ帝国のクライズに勝てるはずが・・・」
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見ながらイングマールの兵士7の話を遮って)私が試す」
少しの沈黙が流れる
イングマールの兵士1「へ、陛下が魂と契約を・・・?」
トワネは聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめる
トワネ「(聖アンドレイ帝国の地図を見るのをやめて)そうだ。私が成功したら、お前たちも私に続いて欲しい」
◯18イングマール城砦地下螺旋階段(昼前)
イングマール城砦の地下螺旋階段を降りているトワネと数十人のイングマールの兵士たち
イングマール城砦の地下螺旋階段は薄暗い
トワネは松明を持っている
数十人のイングマールの兵士たちの中にはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている人がいる
数十人のイングマールの兵士たちが付けているカラスがデザインされた鉄仮面は、マナカが付けていた鉄仮面と完全に同じ
数十人のイングマールの兵士たちは剣と鎧で武装している
イングマールの兵士たちの数人は松明を持っている
話をしているトワネとイングマールの兵士1
トワネ「(松明を持ったまま少し楽しそうに)幽霊が出そうな雰囲気だな。そうだ、ついでにお化けたちとも契約するか」
イングマールの兵士1「あまりふざけないでください陛下」
トワネ「(松明を持ったまま不機嫌そうに)真面目に言ったんだ」
少しの沈黙が流れる
少しするとトワネと数十人のイングマールの兵士たちはイングマール城砦の地下最下層に辿り着く
イングマール城砦の地下最下層は真っ暗で何も見えない
トワネは松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向ける
松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたトワネの足元には、たくさんの肉塊がひしめき合っている
トワネの足元にひしめき合っているたくさんの肉塊には目と口があり、涙を流しながら人間の言葉かどうか分からないような言語をうめいている
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けて足元にいるたくさんの肉塊たちに驚いて)きゃっ!」
イングマールの兵士1「(不思議そうに)陛下・・・?大丈夫ですか・・・?」
松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けているトワネの顔が少し赤くなる
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたまま顔を少し赤くして不機嫌そうに)な、何でもない」
イングマールの兵士1「(不思議そうに)でも今・・・陛下から短い悲鳴が聞こえたような・・・」
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたまま顔を少し赤くして不機嫌そうに)う、うるさい!!」
再び沈黙が流れる
トワネは松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたまま少し咳払いをする
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたまま少し咳払いをして)ご、ごほんごほん・・・だ、誰でも良いから部屋を明るくしろ」
イングマールの兵士2、兵士3、兵士4がイングマール城砦の地下最下層の壁に松明を立て掛ける
イングマール城砦の地下最下層にはトワネの足元以外にもたくさんの肉塊が転がっている
イングマール城砦の地下最下層にいるたくさんの肉塊たちには目と口があり、涙を流しながら人間の言葉かどうか分からないような言語をうめきひしめき合っている
トワネは松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けたまま涙を流しているたくさんの肉塊たちを見ている
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けて涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たまま)凄い数だな」
イングマールの兵士1「全て死に損なった旧人類の末路ですよ」
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けて涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たまま)こんな見た目になるまで殺し合うなんて、旧人類はアホ過ぎるな」
イングマールの兵士1「そんなアホな彼らと契約した前例はありませんよ、陛下」
トワネ「(松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けて涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たまま少し笑って)記録を取る奴がいなかったのもアホだ」
トワネは涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たまま松明をイングマール城砦の地下最下層の地面に向けるのをやめる
たくさんの涙を流している肉塊たちを見たまま松明をイングマールの兵士1に差し出すトワネ
イングマールの兵士1は松明をトワネから受け取る
イングマールの兵士1「(松明をトワネから受け取って)気を付けて」
トワネは「(涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たまま)ああ」
トワネは涙を流しているたくさんの肉塊たちを見たままその場にしゃがむ
少しの沈黙が流れる
トワネはその場にしゃがんだまま、涙を流しているたくさんの肉塊たちの中から1匹の肉塊を捕まえて抱き抱える
トワネ「(その場にしゃがんだまま、涙を流しているたくさんの肉塊たちの中から1匹の肉塊を捕まえ抱き抱えて)お前にしてやる。ほら、よく見ると目がクリクリしてて少しだけ可愛いだろ」
イングマールの兵士1「(松明を持ったまま)そう・・・ですかね。自分にはどちらかと言うと気持ち悪いんですけど・・・」
トワネ「(その場にしゃがみ、涙を流している1匹の肉塊を抱き抱えたまま不機嫌そうに)失礼な奴だ。だが悔しくても私は何もしてやらん。お前が自分の手で・・・第六の力を使え」
再び沈黙が流れる
トワネは涙を流している1匹の肉塊を抱き抱えたまま立ち上がる
トワネ「(涙を流している1匹の肉塊を抱き抱えたまま立ち上がって)誇り高き旧人類の戦士よ、イングマールの民のために盾となり、矛となり、戦争を止めることを誓うか?」
突然、トワネが抱き抱えていた涙を流している1匹の肉塊の体が強く光り、周囲が見えなくなる
少しの沈黙が流れる
トワネが抱き抱えていた涙を流している1匹の肉塊から光りが消える
トワネが抱き抱えていたはずの涙を流している1匹の肉塊はいなくなっており、トワネは赤い剣を持っている
トワネが持っている赤い剣は、トワネが抱き抱えていたはずの涙を流している1匹の肉塊がトワネと契約して”王子”になった姿
トワネは抱き締めていた赤い剣を掲げる
トワネ「(抱き締めていた赤い剣を掲げて)第六の力をこの手に!!」
◯19聖アンドレイ城アリカの部屋(夕方)
夕日が沈みかけている
聖アンドレイ城のアリカの部屋にいるヒヨリと、ヒヨリの母、九音アリカ
聖アンドレイ城のアリカの部屋は広い温室になっており、たくさんの花と草木が育っている
聖アンドレイ城のアリカの部屋の壁には絵画が描かれている
聖アンドレイ城のアリカの部屋の中心にはカーテン付きの大きなベッドがある
アリカの年齢は40歳
アリカは絵画が描かれた壁を見ている
アリカが見ている絵画が描かれた壁にはナイフが刺さったような跡がある
少しの沈黙が流れる
アリカは変わらず絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見ている
少しすると聖アンドレイ城のアリカの部屋の扉が開き、ヒヨリがアリカの部屋の中に入って来る
ヒヨリ「(聖アンドレイ城のアリカの部屋の中に入って)母上」
再び沈黙が流れる
ヒヨリ「母上、先ほど戦場から戻りました」
アリカは絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめる
アリカ「(絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめて微笑んで)あら、お帰りなさい」
ヒヨリ「お、お元気でしたか?母上」
アリカ「(微笑んだまま)もちろんよ。あなたが今回も無事に帰って来てくれてとっても嬉しいわ」
ヒヨリ「せ、戦況は依然、イングマールサイドが不利です。必ずや次回の出征で相園トワネの首を刎ね、母上の元へ持ち帰ってみせましょう」
アリカ「(微笑んだまま)良いのよ、そんなに張り切らなくてもあなたが生きていればそれで」
少しの沈黙が流れる
アリカ「(微笑んだまま)私は皇帝陛下にあなたを推薦しているわ」
ヒヨリ「あ、ありがとうございます、母上」
アリカ「(微笑んだまま)きっとあなたは、聖アンドレイ帝国誕生初の女帝になるわ」
ヒヨリ「(少し笑って)私もそうなれることを望んでいます」
アリカはヒヨリと腕を組む
腕を組んだまま聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回り始めるヒヨリとアリカ
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら)綺麗でしょう?私が毎日面倒を見ているのよ」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら少し笑って)母上は数多の品のない才能の持ち主ですね。ガーデニング、美術、音楽、それから料理も、全て恐ろしいほどに下品です」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら少し笑って)恥ずかしいわ、私にも子供たちのように人を殺める素敵な力があれば良かったのだけれど」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら少し笑って)母上が上品さとは程遠くても、私は母上のことだけを愛し続けるでしょう」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら少し笑って)あらあら、そんなことを言って。カナメさんが悲しむわよ」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら)も、もちろんカナメのことも愛していますが・・・」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら)どうかしたの?」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら)彼は私に心を閉ざしているのです・・・私がいくら戦争で人を殺しても、カナメは喜んでくれません・・・」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら)信頼を勝ち得るのは難しいことよ。私だって皇帝陛下・・・ウラジミールとはほとんど会えていないもの・・・」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら)ち、父上もヒランもロベールも、皆母上に冷た過ぎます。このような狭いところにあなたを一人にするなんて・・・」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んで聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回りながら微笑んで)大丈夫よ。こうしてあなたが来てくれたのだから」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んで聖アンドレイ城のアリカの部屋を見て回りながら)し、しかし昨晩母上が不審な者を目撃したとメイドから聞きました」
アリカはヒヨリと腕を組んだまま聖アンドレイ城の自分の部屋を見て回るのをやめて立ち止まる
アリカと腕を組んだままアリカに合わせて立ち止まるヒヨリ
アリカ「(ヒヨリと腕を組んだまま)そうなの・・・私・・・あんな恐ろしい人は見たことがないわ・・・」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んだまま)その不審者とは、一体どのような姿で・・・?」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んだまま)革で出来た・・・紫色と緑色の服を着て・・・すっごく不気味な笑い方をしているの・・・」
ヒヨリ「(アリカと腕を組んだまま)男か、女かは?」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んだまま)分からないわ・・・だって人間じゃないように見えたし・・・それになんだか・・・全身が燃えているようで・・・」
再び沈黙が流れる
アリカはヒヨリと腕を組んだまま、絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を指差す
アリカ「(ヒヨリと腕を組んだまま、絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を指差して)あの傷をつけて行ったのよ」
ヒヨリはアリカと腕を組んだまま、アリカが指差している絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見る
ヒヨリ「(アリカと腕を組んだまま、アリカが指差している絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見て)何なのですか・・・?あれは・・・」
アリカ「(ヒヨリと腕を組んだまま、絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を指差して)ナイフでやったの・・・」
アリカはヒヨリと腕を組んだまま、絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を指差すのをやめる
ヒヨリと腕を組むのをやめるアリカ
アリカは絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡の元に行く
絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見ているアリカ
アリカ「(絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見たまま)あの人はオソレだと思うわ・・・」
ヒヨリは絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめる
ヒヨリ「(絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめて)お、オソレなど存在していません母上」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリ「全くヒランは・・・何故母上が怖がるような話をするのか・・・」
アリカ「(絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見たまま)誰がオソレから私のことを守ってくださるのかしら・・・」
ヒヨリ「オソレはただの噂に過ぎませんが・・・私が噂から母上をお守りしましょう」
アリカは絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめる
アリカ「(絵画が描かれた壁にあるナイフが刺さったような跡を見るのをやめて)本当に?」
ヒヨリ「ええ」
アリカ「お、オソレは私を殺しに来るの・・・」
ヒヨリ「ご心配なく母上。もし指一本でもあなたに触れる者がいれば、この私が死をよりも恐ろしい罰を与えます」
アリカ「私を地獄に堕とさないで、クレナ」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリ「母上・・・私は姉上ではなく・・・」
アリカ「(ヒヨリの話を遮って)サタンが天使殺しの私たちのことを待っているわ・・・口と股で罪人を食べて待っているのよクレナ・・・」
ヒヨリ「私は姉上ではありません母上、次女のヒヨリです」
再び沈黙が流れる
アリカ「クレナも私と同じ苦しみを感じているのね・・・可哀想に・・・」
ヒヨリ「私はヒヨリだ」
アリカ「オソレは分かっているのかしら・・・私たちアンドレイ一家の罪を・・・」
ヒヨリ「お、オソレは私が殺した・・・カナメでもトワネでもチヅルでもソウヤでもない・・・この私にしかオソレは殺せないのだ・・・」
アリカ「く、クレナ、これからは私と一緒にいて、お願い」
ヒヨリ「わ、私は姉上ではない・・・」
アリカ「ねえ聞いてるのクレナ・・・あなたがそんな態度でいるなら皇帝にヒランを推薦するわよ・・・クレナは妹に負けて・・・」
ヒヨリ「(アリカの話を遮って怒鳴り声で)私は九音ヒヨリだ!!!!この私が皇帝になるのだ!!!!」
少しの沈黙が流れる
ヒランは笑顔になる
アリカ「(笑顔で)違うわ、あなたはクレナよ」
ヒヨリ「姉上は・・・半年以上前に殺されました」
アリカ「(笑顔のまま)そんなことないわ、だってあなたがクレナだもの」
ヒヨリ「私は聖アンドレイ帝国皇帝、ウラジミール・アンドレイの次女、九音ヒヨリです」
再び沈黙が流れる
アリカ「(笑顔のまま)そんなはずないわ」
ヒヨリ「これが現実です。母上は姉上を亡くしたショックで記憶違いを起こしているんです」
アリカ「(笑顔のまま)でもあり得ないのよ。だって次女は体に醜い傷があったし、戦いに負けてばかりのゴミみたいな女だったもの。あまりにも醜い子供だったから、私がこの手でドブに捨ててしまったわ」
少しの沈黙が流れる
ヒヨリ「体に火傷の跡があるのは母上も同じです」
アリカ「(笑顔のまま)ヒヨリほど使えない子はいなかったわ。死んで当然よ」
ヒヨリ「私がヒヨリです母上」
アリカ「(笑顔のまま)クレナもロベールもヒランもあんなに可愛かったのに、何故ヒヨリだけあれほど醜くて、泣き虫で、負けてばかりだったかしら?本当に不思議だわ。いっつも母上母上って近寄って来て気持ち悪かったのよね。実の親がこんなことを思うんだから、あの子はきっと魔女だったんだわ」
再び沈黙が流れる
アリカ「(笑顔のまま)どうしたの?クレナ」
ヒヨリ「わ、私が・・・(少し間を開けて)は、母上から憎まれていた次女のヒヨリです・・・火傷の跡があって・・・な、泣き虫で・・・修行中・・・いつも弟に負けていたのが・・・私です・・・は、母上・・・」
アリカの顔から笑顔が消える
少しの沈黙が流れる
アリカ「脱いで」
ヒヨリ「えっ・・・?」
アリカ「(怒鳴り声で)服を全て脱ぎなさい!!!!」
ヒヨリはアリカの怒鳴り声に一瞬驚く
アリカ「早く、脱がなきゃ処刑するわよ」
ヒヨリはゆっくり服を脱ぎ始める
アリカ「早くって言ったの、聞こえなかったの?あなたの耳は飾り?」
ヒヨリは急いで服を脱ぎ始める
急いでブラを外すヒヨリ
ヒヨリは急いでパンツを脱ぐ
全裸になっているヒヨリ
ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある
ヒヨリは右腕で胸を隠し、左手で股間を隠す
右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯くヒヨリ
ヒヨリ「(右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いて)い、命だけは・・・母上・・・」
再び沈黙が流れる
アリカは右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いている全裸のヒヨリのことを見ている
右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いている全裸のヒヨリのことを見て涙を流すアリカ
アリカ「(右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いている全裸のヒヨリのことを見て涙を流して)う、嘘・・・わ、私のクレナは・・・?」
ヒヨリ「(右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いて)姉上は・・・何者かに首を斬られたのです・・・」
アリカ「(右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら俯いている全裸のヒヨリのことを見るのをやめて涙を流して大きな声で)クレナ!!!!私の可愛いクレナはどこなの!?!?」
ヒヨリ「(右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら顔を上げて)あ、姉上を殺した者は必ず私が・・・」
アリカ「(涙を流しながらヒヨリの話を遮って怒鳴り声で)死ね魔女!!!!」
少しの沈黙が流れる
アリカは泣きながらカーテン付きの大きなベッドに顔を埋める
アリカ「(泣きながらカーテン付きの大きなベッドに顔を埋めて)クレナぁ・・・私の可愛いクレナぁ・・・魔女を殺して・・・娘を返してください・・・お願いします・・・あいつが代わりに死ねば良いんです・・・あいつが地獄に堕ちれば良いんです・・・あいつが生きているせいで世界中の戦争がなくならないんです・・・」
ヒヨリは右腕で胸を隠し、左手で股間を隠しながら再び俯く
◯20聖アンドレイ城通信室(夜)
聖アンドレイ城の通信室にいるヒヨリ
聖アンドレイ城の通信室は広く、壁、床、天井の全てが鏡張りになっている
ヒヨリは片膝をついている
聖アンドレイ城の通信室には大きなホログラムが投影されてウラジミールの姿が映し出されている
大きなホログラム姿のウラジミールは聖アンドレイ城の通信室の壁、床、天井の鏡に反射して映っており、部屋中がウラジミールのホログラムだらけになっている
片膝をついたまま大きなホログラムで投影されているウラジミールと話をしているヒヨリ
ウラジミール「お前の母親のことか」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)はい・・・」
ウラジミール「俺の帝国に女王の存在など必要あるまい。お前もそう思うだろう?ヒヨリ」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)女王はともかく・・・母上は私の大切な人です」
ウラジミール「(少し笑って)そうだった・・・そうだったな。だが皇帝の方が大事ではないか?」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)はい・・・」
ウラジミール「(少し笑いながら)よろしい、頑固なお前から素直な答えが聞けるのは喜ばしいことだ」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)は、母上は私を推薦してくださったと」
ウラジミール「お前の母親が?誰に何を推薦した?」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)は、母上が・・・私のことを次期皇帝にするべきだと・・・ち、父上に推薦してくださったと聞きました」
ウラジミール「(少し笑って)勇敢だなヒヨリ!!素晴らしいぞ!!」
少しの沈黙が流れる
ウラジミール「実を言うと俺は痺れを切らし始めているんだ」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)しょ、承知しています」
ウラジミール「これ以上相園トワネを野放しにしたら、長く栄えて来た聖なる帝国に泥を塗ることになる」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)ち、地方諸外連盟国軍は壊滅しました。そ、それは私が戦争で勝利を得続けて・・・」
ウラジミール「(ヒヨリの話を遮って)首相たちを殺してトワネの居場所を聞き損ねたな」
ヒヨリ「(片膝をついたまま)も、申し訳ありません。首を刎ねることが帝国のためになるかとおも・・・」
ウラジミール「(ヒヨリの話を遮って)次は貴様の首が刎ねられるぞヒヨリ」
ヒヨリは片膝をついたまま汗だくになっている
再び沈黙が流れる
ウラジミール「お前がしくじった時のために、俺は保険を用意している」
ヒヨリ「(片膝をつき汗だくになったまま)じ、次回の出征で必ずトワネを殺します」
ウラジミール「そうした方が良いヒヨリ。お前の双子の弟は足場を崩す気でいるぞ」
ヒヨリ「(片膝をつき汗だくになったまま)ろ、ロベールをお使いになるのですか?」
少しの沈黙が流れる
ウラジミール「(少し笑って)帝国とお前のためになる報告を待っているぞ、ヒヨリ」
聖アンドレイ城の通信室に投影されていたホログラムが消え、ウラジミールとの通信が終わる
片膝をつき汗だくになっているヒヨリの正面の鏡にナイフが刺さったような跡がある
ヒヨリは片膝をつき汗だくになったまま正面の鏡にあるナイフが刺さったような跡を見ている
続く。