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『第十話 契約者、恋する者、天使、魔女』前編

『サイクルラヴの叫び、少年少女のセイセンネンリョ』


登場人物


神野(じんの) カナメ 16歳男子

本作の主人公。高校一年生。人に対して距離があり、どこか性格も冷めている。


相園(あいぞの) トワネ 16歳女子

本作のメインヒロイン。高校一年生。”第六の力の女王”で、カナメの契約相手。性格はわがままで愛想がなく、たびたびカナメのことを困らせることになる。無類のカルボナーラ好き。


若葉(わかば) ソウヤ 16歳男子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の王子”。成績と容姿が優れている上に、人当たりも悪くないため、同級生たちからよくモテているが・・・信心深く、よく礼拝堂に訪れている。


浅木(あさき) チヅル 16歳女子

カナメたちと同じ高校一年生で、”第六の力の姫の一人”。カナメやトワネほどではないが、馴れ合うことが苦手な性格をしており、口調もキツい。契約相手のソウヤとは幼馴染。


九音(くおん) ヒヨリ 18歳女子

カナメたちよりも2つ歳上の先輩に当たる、”第六の力の姫の一人”。ロシアからの帰国子女で、強い正義感の持ち主。その性格の通り優秀な戦士であり、面倒見も良い。


真弓(まゆみ) マナカ 18歳女子

ヒヨリと同じくロシアからの帰国子女で、”第六の力の姫の一人”。常に顔面にカラスがデザインされた鉄仮面を付けていて、お嬢様口調で話をする。ヒヨリとは古くからの仲であり、契約相手でもある。


シィア 15歳女子モデル

長く”ANDREI”で働く美少女アンドロイド、正式名称はSI-A49。一応梢トキコの助手という役職だが、雑用も淡々とこなす。長く人間に仕えて来たからか、皮肉屋ところがある。口癖は『アホ』。


四季(しき) イズミ 16歳女子

・・・???


(こずえ) トキコ 36歳女子

“ANDREI”の科学者で、カナメたちが暮らすオンボロアパート”花色荘”の管理人。大人気なく怒りっぽい性格をしている。カナメたちに対して厳しい言い方をすることが多いが、一応彼らの保護者だったりする。


神野(じんの) タエ 78歳女子

“オソレ”の破壊を目的とした組織”ANDREI”の司令であり、カナメの祖母。カナメとは長く疎遠だったが、”オソレ”を破壊するために彼の力を借りようとする。


日向(ひなた) リュウマ 36歳男子

日本帝国軍から派遣された軍人で、階級は陸佐。ただし、軍人らしさは全くない。戦略班のリーダーだが、実質的に”ANDREI”のトップ2の立場におり、タエの側近的な役割を担っていることが多い。トキコとは過去に色々あったとか、なかったとか。


神野(じんの) アキラ 44歳男子

カナメの父親。いつも仕事で帰って来るのが遅いため、カナメとは上手くコミュニケーションが取れておらず、そのことを気にしている。

 

神野(じんの) アイラ 女子

カナメの母親。カナメが幼い頃に亡くなっている。




ゲストキャラクター




MA-RA337型のアンドロイド 18歳女子モデル

シィアよりも後に登場したアンドロイド。シィアと比較するとかなり人間的な表情が出来るのに加えて、欠陥も少ない。


トキコがバーで出会った男 30代後半男子

・・・???


イザベル・カーフェン 16歳?女子

一生懸命、真面目、純粋の三拍子が揃ったドジっ娘。良くも悪くもまっすぐな性格のため、気合いが空回りすることもしばしば。ある時カナメたちと出会い、そこから交流を深めるようになる。


アマネ・カーフェン 18歳?女子

イザベルの姉。何かとやらかすことが多いイザベルのことをいつも厳しく叱っている。一人称は『俺』だが、食器集めが趣味という可愛い一面も。


ルシファリア 年齢?女子

・・・???


ウラジーミル・アンドレイ 65歳男子

・・・???


ヒラン・アンドレイ 14歳女子

・・・???


ロベール=フォン・アンドレイ 18歳男子

・・・???


クレナ・アンドレイ 21歳女子

・・・???


九音(くおん) アリカ 40歳女子

ヒヨリの母親。


博士 17〜18歳女子

本名不明。”あるもの”を連れている。


タカヤ 30代前半男子

・・・???


ヨハリル 20代前半?男子

・・・???


C 16歳?女子

リュウマの話に登場した好奇心旺盛な少女。ある日、キファーと出会うことになる。


キファー 16歳?男子

Cと同じくリュウマに登場した少年。Cとは違い大人しく、いつも寂しげな様子をしている。


ユーリ 60歳?男子

Cの叔父。


ガラファリア 20代後半?女子

・・・???


神野(じんの) アイハ 40代前半女子

カナメの叔母。”夢路村”で、喫茶”四重奏の夢”を経営している。


イ・ジヨン 20代前半女子

韓国から来た留学生。喫茶”四重奏の夢”を経営を手伝いながらアイハの家でホームステイをしている。


リツ 27歳女子

ある過去を抱えている信仰者。


スグル 30代前半男子

・・・???

◯1花色荘リビング(夜)

 外は雨が降っている

 花色荘のリビングにいるカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 トワネはピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 話をしているカナメたち


ヒヨリ「あの女がだと?」

カナメ「はい」

ヒヨリ「奴はトワネを狙っているのか?」

トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)いや・・・」


◯2回想/私立東堂高校一年C組の教室(朝)

 外は弱い雨が降っている

 10分休み

 校庭には水溜まりが出来ている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメ、ソウヤ、チヅルは自分の席で英語の授業の準備をしている

 カナメ、ソウヤ、チヅル、トワネ、その他一年C組の生徒たちの机の上にはパソコンが置いてある

 黒板には”文化祭の出し物 メイド&執事喫茶”と書かれてある

 イザベルの席の近くにいるトワネ

 トワネはイザベルと話をしている


トワネ「私に何の用だ」

イザベル「え、えっと・・・あっ、あなたは・・・」

トワネ「相園トワネだ」

イザベル「偽物さん・・・ですね」

トワネ「偽物?」

イザベル「なっ、何でもないです、に、偽物さんには特に用はありませんから」


◯3回想戻り/花色荘リビング(夜)

 外は雨が降っている

 花色荘のリビングにいるカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 トワネはピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 話をしているカナメたち


トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)私は偽物らしい」


 少しの沈黙が流れる


マナカ「第六の力を狙っているのかもしれませんわ」

カナメ「そんなふうには見えないですけど・・・」

ヒヨリ「お前に分かるのか」


 再び沈黙が流れる


◯4回想/私立東堂高校一年C組の教室(昼)

 外は弱い雨が降っている

 昼休み

 校庭には水溜まりが出来ている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネの席は窓際にある

 カナメはトワネの前の席でコンビニの鮭おにぎりを食べている 

 トワネは自分の席でコンビニの梅おにぎりを食べている

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている

 チヅルは自分の席で隣の女子生徒とコンビニのパンを食べている

 イザベルは自分の席で俯きモジモジしている

 コンビニの鮭おにぎりを食べ終えるカナメ

 カナメは立ち上がる


トワネ「どこへ行くんだ」

カナメ「(立ち上がって)ちょっと・・・」


 カナメは自分の席で俯きモジモジしているイザベルのところに行く


カナメ「何してるの?」

イザベル「(顔を上げてモジモジするのをやめて)だっ、大天使様!!」

カナメ「僕、神野って言うんだけど」


 トワネは自分の席でコンビニの梅おにぎりを食べながら話をしているカナメとイザベルのことを見ている

 再び俯いてモジモジし始めるイザベル


イザベル「(俯きモジモジしながら)だ、大天使様は大天使様です・・・」

カナメ「いや・・・違うって・・・」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「君は留学生なの?」

イザベル「(俯きモジモジしながら)あの・・・じ、自分の番ですから・・・」

カナメ「君の番って?」


 再び沈黙が流れる

 俯きモジモジしているイザベルのお腹が鳴る

 俯きモジモジしているイザベルの顔が赤くなる


カナメ「お昼、食べたら?」

イザベル「(俯きモジモジしながら顔を赤くして)もっ、持って来ていないので・・・」

カナメ「そうなんだ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「軽くで良いなら何か奢るけど」


 イザベルは顔を上げてモジモジするのをやめる


イザベル「(顔を上げてモジモジするのをやめて)いっ、良いんですか大天使様!!」

カナメ「良いけど、変な呼び方はやめてよ」

イザベル「へっ、変な呼び方・・・ですか・・・?」

カナメ「うん」

イザベル「あっ、あっ、あだ名とか・・・で・・・よっ、呼んでも大丈夫でしょうか・・・」

カナメ「いや、あだ名なんてないから、神野か・・・カナメで良いよ」

イザベル「な、なら・・・か、カナメさんで・・・」


 トワネは変わらず自分の席でコンビニの梅おにぎりを食べながら話をしているカナメとイザベルのことを見ている

 話をしているカナメとイザベルのことを見ながらコンビニの梅おにぎりを一口食べるトワネ


トワネ「(話をしているカナメとイザベルのことを見ながらコンビニの梅おにぎりを一口食べて不機嫌そうに)ふん・・・下僕のくせに・・・」


◯5回想/私立東堂高校ラウンジ(昼)

 外は弱い雨が降っている

 昼休み

 私立東堂高校のラウンジにいるカナメとイザベル

 私立東堂高校のラウンジにはテーブル、椅子、おにぎり、パン、お菓子などが売られている自動販売機がある 

 私立東堂高校のラウンジにはカナメとイザベル以外にもたくさんの私立東堂高校の生徒がいる 

 私立東堂高校のラウンジにいるたくさんの生徒たちは昼食を食べたり勉強をしたりしている

 テーブルを挟んで向かい合って椅子に座っているカナメとイザベル

 イザベルはハンバーガーを食べている

 話をしているカナメとイザベル

 イザベルはハンバーガーを一口食べる


イザベル「(ハンバーガーを一口食べて)おっ、美味しいです!!とっ、とても!!」

カナメ「そっか。(少し間を開けて)名前はイザベルだよね」

イザベル「はっ、はい!!イザベル・カーフェンと申します!!」

カナメ「イザベル・・・」

イザベル「な、何でしょうか、だいて・・・か、カナメさん」

カナメ「良い名前だと思って」

イザベル「あっ、ああああありがとうございましゅ・・・」


 少しの沈黙が流れる

 イザベルは再びハンバーガーを一口食べる


カナメ「君はトワネに会いに来たの?」

イザベル「い、いえ、ち、違います」

カナメ「じゃあ誰に会いに来たの?」

イザベル「じっ、自分の目的はルシファリアの破壊とカナメさんを連れ戻すことです」

カナメ「僕を?連れ戻すってどこに?」

イザベル「は、はい。墜落者なのか見極めて、そうでないなら連れ戻したいんです」

カナメ「この前も墜落者って言ってたけど、それってどういう意味なの?」

イザベル「使命を放棄すると・・・墜落者になります。(少し間を開けて)墜落者は破壊されるのがルールです」


◯6回想戻り/花色荘リビング(夜)

 外は雨が降っている

 花色荘のリビングにいるカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ヒヨリ、マナカ

 トワネはピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 話をしているカナメたち


トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま不機嫌そうに)つまり、蓋を開けてみれば変な女に追いかけ回されてたのは私ではなくお前だったと」

カナメ「ぼ、僕あんな奴のことは知らないよ」

トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま不機嫌そうに)しかし向こうはお前のことをよくよく知ってるようだが?」


 少しの沈黙が流れる


トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま不機嫌そうに)餌付けなんかして、ストーカーが調子に乗っても知らんぞ私は」

カナメ「え、餌付けって・・・君だってアイスで同じようなことをしただろ」

トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま不機嫌そうに)私は良いんだ」

カナメ「どうしてだよ」

トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま不機嫌そうに)パートナーだからだ」


 再び沈黙が流れる


マナカ「嫌だわカナメさんったら、よくおモテになるのね」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「モテてなんか・・・」

ヒヨリ「(カナメの話を遮って)奴がそういう考えなら我々もカナメを餌にしよう」

マナカ「良いですわね、その女の他の目的も探れるかもしれませんわ」

トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを膝の上に乗せたまま)何故そんなリスクを馬鹿に背負わせるんだ」

ヒヨリ「マナカが言っただろう、他の目的を探れるとな。カナメには悪いが付き合ってくれ」

カナメ「でも餌って何をすれば・・・」

ヒヨリ「心配することはない。何かあった時は私とマナカで対処する」

マナカ「ええ、私たちがいればカナメさんの身は鳥籠の中で保証されたようなものですわ」

カナメ「それなら・・・良いですけど」


 トワネはピンクの大きな熊のぬいぐるみを抱き抱えたまま立ち上がる


トワネ「(ピンクの大きな熊のぬいぐるみを抱き抱えたまま立ち上がって)勝手にしろ、付き合ってられん」


 ピンクの大きな熊のぬいぐるみを抱き抱えたまま自分の部屋に戻ろうとする


カナメ「と、トワネ」


 トワネはカナメの声を無視してピンクの大きな熊のぬいぐるみを抱き抱えたまま自分の部屋に戻る

 ヒヨリのことを見るカナメ


ヒヨリ「何故私を見る?」


 カナメはヒヨリのことを見るのをやめる

 俯くカナメ


◯7第八話◯5の回想/アイスクリーム屋前/花色荘に向かう道中(夕方)

 夕日が沈みかけている

 花色荘に向かう道中にあるアイスクリーム屋の前にいるカナメとトワネ

 カナメは千円札を持っている

 トワネは空を見上げている 

 話をしているカナメとトワネ


トワネ「(空を見上げたまま)でもある時、トキコに言われた。優しくする必要なんてない、冷たくても構わない、だけど、分かち合える相手がいるのは悪くないことだと」


◯8回想戻り/花色荘リビング(夜)

 外は雨が降っている

 花色荘のリビングにいるカナメ、ヒヨリ、マナカ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、ヒヨリ、マナカ

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 俯いているカナメ

 少しするとカナメは俯くのをやめる

 立ち上がるカナメ

 カナメはトワネの部屋に行く


ヒヨリ「愚か者め・・・」


『第十話 契約者、恋する者、天使、魔女』


◯9ANDREI総本部第一ロイヤル待機室(夜)

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室にいるソウヤとチヅル

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室には椅子とロッカーがある

 ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 椅子に座っているソウヤとチヅル

 チヅルは俯いている

 話をしているソウヤとチヅル


チヅル「(俯いたまま)あたし・・・自信ない」

ソウヤ「チヅルなら出来るよ、僕よりも適性が高いんだから」

チヅル「(顔を上げて)それってデータの話じゃん、そんなん言われても出来る気がしないよ」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「ソウヤは良いの?」

ソウヤ「僕は・・・チヅルと一緒にいたいだけだから」


 再び沈黙が流れる


ソウヤ「今度の文化祭、僕と回ってくれないかい」

チヅル「あんた、執事役だから遊んでる暇なんかないよ」


◯10私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/朝)

 外は曇っている

 校庭には水溜まりが出来ている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室ではHRが行われている

 HRで文化祭の出し物であるメイド&執事喫茶について話し合っている

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメ、ソウヤ、チヅル、イザベルは真面目にHRを聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 文化祭実行委員の男子生徒、文化祭実行委員の女子生徒、教師1が黒板の前に立っている

 黒板には”受け付け”と書かれている

 

文化祭実行委員の男子生徒「では次にメイド&執事喫茶の受け付けを二人決めようと思います。誰かやっても良いよっていう人はいますか」


 少しの沈黙が流れる

 イザベルは手を挙げる


イザベル「(手を挙げて)はっ、はいっ!!」

文化祭実行委員の男子生徒「ではカーフェンさんが・・・」

イザベル「(手を挙げたまま文化祭実行委員の男子生徒の話を遮って)じっ、自分!!う、受け付けはカナメさんが良いと思います!!」


 吹き出すチヅル

 カナメは手を挙げているイザベルのことを睨む

 手を下ろすイザベル


文化祭実行委員の女子生徒「神野くんが?」

イザベル「は、はい!!おっ、お店の顔ですから!!頼りになるカナメさんが良いと思いますっ!!」

文化祭実行委員の女子生徒「神野くんが・・・?」

イザベル「はいっ!!」


 再び沈黙が流れる


文化祭実行委員の男子生徒「では受け付けは神野くんですね」

カナメ「(イザベルのことを睨むのをやめて)ま、待って」

文化祭実行委員の男子生徒「何ですか」

カナメ「い、いや・・・」

文化祭実行委員の女子生徒「異論がないならもう一人を決めますけど」


 少しの沈黙が流れる


私立東堂高校一年C組の女子生徒1「私女子は相園さんが良いと思いまーす」

トワネ「(驚いて外を眺めるのをやめて)なっ!?何故私がそんな雑用を・・・」

私立東堂高校一年C組の女子生徒1「えっ、だっていつも一緒にいんじゃん」

トワネ「い、いつもなど・・・」

文化祭実行委員の女子生徒「(トワネの話を遮って)確かに、昼休み二人でご飯食べてるよね」

トワネ「そ、それはあいつがパートナーだからで・・・」

私立東堂高校一年C組の男子生徒1「(小声で)パートナーだってさ、付き合ってんのあいつら」


 カナメの顔が真っ赤に、トワネの顔が少し赤くなる


トワネ「(顔を少し赤くしながら)ち、違う!!そ、そういう関係じゃ・・・」


◯11ANDREI総本部第一実験室(夕方)

 ANDREI総本部の第一実験室にいるトワネ、ソウヤ、チヅル、白衣姿のトキコ

 トワネは赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部の第一実験室には診察台が2つあり、トワネとチヅルがそれぞれ診察台の上で横になっている

 ANDREI総本部の第一実験室にある2つの診察台の周りにはたくさんのコンピューターがある

 それぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルの顔面には、魔法陣のような紋章が描かれて光っている

 それぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルは頭に脳波測定器を付けている 

 ソウヤはそれぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルの近くに立っている

 トキコは2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作している

 話をしているトワネたち


トワネ「(診察台の上で横になったまま不機嫌そうに)全部あいつが悪いんだ」

トキコ「(2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作しながら)良いんじゃないの、たまにはそういう青春らしいことがあったって」

チヅル「(診察台の上で横になったまま)でもトワネとカナメが受け付けじゃうちの店は大赤字じゃん」

トワネ「(診察台の上で横になったまま不機嫌そうに)う、うるさい」

ソウヤ「(少し笑って)今のうちに実行委員に頭を下げておきなよ」

トワネ「(診察台の上で横になったまま不機嫌そうに)ふざけるな、どんだけ損しても私は謝らん」

トキコ「(2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作しながら)頑固ねえ」

ソウヤ「だけどあのイザベルって子はカナメたちから聞いてた印象とは少し違ったな」

トキコ「(2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作しながら)イザベル?」

チヅル「(診察台の上で横になったまま)カナメを追っかけて編入してきた外国人ですよ」

トワネ「(診察台の上で横になったまま不機嫌そうに)カナメも悪いがあいつも悪い。きっと疫病神だぞ」

チヅル「(診察台の上で横になったまま少し笑って)普通に良い子そうじゃん」


◯12ANDREI総本部シャワー室(夕方)

 ANDREI総本部のシャワー室にいるヒヨリとマナカ

 ANDREI総本部のシャワー室にはたくさんのカーテン付きのシャワー室がある

 ヒヨリとマナカはそれぞれANDREI総本部のカーテン付きのシャワー室に入っている

 全裸でシャワーを浴びているヒヨリとマナカ

 ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を手に持ちながらシャワーを浴びている 

 ヒヨリとマナカが浴びているシャワーから湯気が立っている

 マナカの顔はシャワーから立っている湯気で見えなくなっている

 シャワーを浴びながら話をしているヒヨリとマナカ


マナカ「(シャワーを浴びながら)いけませんわヒヨリ様。あのような態度では全くいけませんことよ」


 少しの沈黙が流れる 

 ヒヨリはレバーを回してシャワーをお湯を止める


マナカ「(シャワーを浴びながら)彼に認めさせないと」


 ヒヨリはカーテン付きのシャワー室のカーテンを開ける

 カーテンを開けたままシャワー室から出るヒヨリ

 

ヒヨリ「(カーテンを開けたままシャワー室から出て)奴は・・・私の実力を疑っていると思うか?」

マナカ「(シャワーを浴びながら)もちろん、そんなこと絶対にありませんわ」


 マナカはレバーを回してシャワーのお湯を止める

 カラスがデザインされた鉄仮面を顔に付けようとするマナカ 


マナカ「(カラスがデザインされた鉄仮面を顔に付けようとして)でも・・・」


 マナカがカラスがデザインされた鉄仮面を顔に付けようとすると、ガチャッという音が鳴ってカラスがデザインされた鉄仮面がマナカの顔に付く

 マナカはカーテン付きのシャワー室のカーテンを開ける

 カーテンを開けたままシャワー室から出るマナカ


マナカ「(カーテンを開けたままシャワー室から出て)力を誇示しないといけませんわね。ヒヨリ様が一番であり、カナメさんが他の誰よりも弱いことを示さなくては」

ヒヨリ「ああ・・・そのためにもまずはイザベル・カーフェン・・・(少し間を開けて)そしてトワネにも・・・」


◯13グライダー練習場(夕方)

 ANDREI総本部のグライダー練習場にいるカナメとシィア

 ANDREI総本部のグライダー練習場は広く、地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱がある

 ANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の周りには、グライダーをコントロールするためのたくさんのコンピューターと機械がある

 カナメとシィアはANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の中にいる

 カナメは紺の”ミラースーツ”を着ており、エンジン付きのグライダーに乗っている

 カナメが乗っているグライダーはグラグラ揺れて不安定な状態になっている

 カナメはグライダーから落下する


カナメ「(グライダーから落下して)うわっ!!」


 カナメはグライダーから落下してスポンジで出来た地面に頭をぶつける


◯14ANDREI総本部第一実験室(夜)

 ANDREI総本部の第一実験室にいるトワネ、ソウヤ、チヅル、白衣姿のトキコ

 トワネは赤の”ミラースーツ”を、ソウヤは黒の”ミラースーツ”を、チヅルは白の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部の第一実験室には診察台が2つあり、トワネとチヅルがそれぞれ診察台の上で横になっている

 ANDREI総本部の第一実験室にある2つの診察台の周りにはたくさんのコンピューターがある

 それぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルの顔面には、魔法陣のような紋章が描かれて光っている

 それぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルは頭に脳波測定器を付けている 

 ソウヤはそれぞれ診察台の上で横になっているトワネとチヅルの近くに立っている

 トキコは2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作している

 話をしているトワネたち


トキコ「(2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作しながら)もうすぐ継承が終わるわ」

トワネ「(診察台の上で横になったまま不機嫌そうに)データ社会とは厄介だな、ただ継承するだけならこんな時間もかからんと言うのに」

ソウヤ「トキコさん、僕らはいつ戦えるようになるんですか?」

トキコ「(2つの診察台の周りにあるコンピューターを操作しながら)そりゃ継承が終わればすぐによ。オソレ次第では次の実戦に参加もあり得るわ」


◯15ホテル/シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


◯16花色荘リビング(夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、ヒヨリ、マナカ、シィア、トキコ

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 カナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、ヒヨリは私立東堂高校の制服を着ている 

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、ヒヨリ、マナカ、シィア、トキコ

 テーブルの上にはカルボナーラ、ボロネーゼ、白身魚とアサリのアクアパッツァ、イカとトマトのオリーブ炒めが置いてある

 テーブルの上の料理を見ているカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、トキコ

 話をしているカナメたち


チヅル「(テーブルの上の料理を見ながら)すげー・・・」

ソウヤ「(テーブルの上の料理を見ながら少し笑って)こんな豪華なご飯は初めてです」

ヒヨリ「(少し笑って)ありがとう、ソウヤ」

トキコ「(テーブルの上の料理を見ながら)何?ヒヨリとマナカはイタリアンでも開業しようとしてんの?」

マナカ「違いますわよトキコ博士、私たちは皆さんの胃袋をつかみたいだけですわ。そうでしょう?ヒヨリ様」

ヒヨリ「うむ。やはり我々はまだ馴染めていないからな」


 チヅルはテーブルの上の料理を見るのをやめる


チヅル「(テーブルの上の料理を見るのをやめて)え、そんなことないと思いますけど」

ヒヨリ「いや、まだまだ認められたとは言えない」

トワネ「私もお前たちの料理の腕に感謝してるぞ、振り返ってみればお前たちが戻って来るまで私は毎日ゴミを食べさせられてたしな」

シィア「(淡々と)失礼、ここに極まれり」

トワネ「(不機嫌そうに)味付けをうっすくする奴が悪い、コンビニのおにぎりだって薄味なのに」

シィア「(淡々と)死にますよ、塩分過多で」

トワネ「(不機嫌そうに)オソレにやられるよりマシだと言ってるが」

シィア「アホ」

ヒヨリ「か、カナメも今日の晩ご飯は豪華だと思うか?」

カナメ「ヒヨリさんとマナカさんが作るご飯はいつも手が込んでるし、凄いと思います」


 カラスがデザインされた鉄仮面から僅かに見えるマナカの口が少しだけ動く


◯17私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/朝)

 外は晴れている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室ではHRが行われている

 HRで文化祭の出し物であるメイド&執事喫茶について話し合っている

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメ、ソウヤ、チヅル、イザベルは真面目にHRを聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている

 チヅルは折り鶴のネックレスをつけている

 文化祭実行委員の男子生徒、文化祭実行委員の女子生徒、教師1が黒板の前に立っている

 黒板には”執事役 若葉ソウヤ メイド役 浅木チヅル”と書かれている

  

チヅル「(イライラしながら)は?何でだよ!!あたしがメイドとかふざけんな!!」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら少し笑って)これで喫茶店の赤字にさらに拍車がかかるわけか」

チヅル「(イライラしながら)受け付けは黙ってろ!!」

文化祭実行委員の女子生徒「お、落ち着いて浅木さん。だ、誰もあなたに押し付けようってわけじゃ・・・」

チヅル「(文化祭実行委員の女子生徒の話を遮ってイライラしながら)いや押し付けてるだろうが!!」

文化祭実行委員の女子生徒「で、でもね・・・し、執事役のソウヤくんが、浅木さんがメイドをやらなきゃ執事を降りるって言ってて・・・」

私立東堂高校一年C組の女子生徒2「やば・・・幼馴染効果ってやつ・・・?」

私立東堂高校一年C組の女子生徒3「何あの女・・・調子に乗ってんの?」


 チヅルは振り返ってソウヤのことを睨む

 睨んで来ているチヅルに笑顔を見せるソウヤ


 時間経過


 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしていて、騒がしくなっている

 カナメはトワネの前の席でコンビニの鮭おにぎりを食べている 

 トワネは自分の席でコンビニのおかかおにぎりを食べている

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている

 チヅルは自分の席で隣の女子生徒とコンビニのパンを食べている

 イザベルは自分の席に座っている

 小声で独り言を言っているイザベル


イザベル「(小声で)たっ、確かめるんだ・・・つ、墜落してるのかどうか・・・うん・・・まずはカナメさんの評判を人から聞いて・・・」


 イザベルは小声で独り言を言い続ける

 コンビニのパンを食べながら隣の席の女子生徒と話をしているチヅル


チヅルの隣の席の女子生徒「良いな・・・チヅル・・・」


 チヅルはコンビニのパンを一口食べる


チヅル「(コンビニのパンを一口食べて)何が」

チヅルの隣の席の女子生徒「文化祭・・・ソウヤくんと一緒にいられるでしょ・・・?私なんて校庭で呼び込みだから・・・」

チヅル「へぇーそうなんだ、どうしてもっていうなら変わってあげようか」

チヅルの隣の席の女子生徒「(驚いて)い、良いの?」

チヅル「(少し笑って)良いわけないじゃん、馬鹿なの?」

チヅルの隣の席の女子生徒「え・・・?」


 チヅルはコンビニのパンを一気に口の中に詰め込む

 コンビニのパンを口の中に詰め込んだまま立ち上がるチヅル


チヅル「(コンビニのパンを口の中に詰め込んだまま立ち上がって)あんたは校庭で呼び込みしてる方がお似合いね、あたしと違ってソウヤからも好かれてなさそうだし」


 チヅルは口の中に詰め込んでいたコンビニのパンを飲み込む


チヅル「(口の中に詰め込んでいたコンビニのパンを飲み込んで)じゃ、あたし幼馴染と大事な話をして来るから」


 チヅルは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べているソウヤのところに向かう

 コンビニの弁当を食べながらたくさんの女子生徒たちと話をしているソウヤ


ソウヤ「(少し笑って)そうかな、僕は執事っていうよりは罪人ってタイプだと思うけど」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「(少し笑いながら)みんなもそう思わないかい?」

私立東堂高校一年C組の女子生徒1「(少し笑って)ど、どうかなー、う、うちら若葉くんみたいに頭良くないし、と、時々若葉くんの言ってること分かんないなーみたいな」

私立東堂高校一年C組の女子生徒2「う、うんうん、やっぱソウヤって天才かも」

私立東堂高校一年C組の女子生徒3「それに比べたらあたしとかちょー凡人で・・・」


 チヅルはコンビニの弁当を食べながらたくさんの女子生徒たちと話をしているソウヤの前で立ち止まる

 チヅルのことを見る私立東堂高校一年C組の女子生徒2


私立東堂高校一年C組の女子生徒2「(チヅルのことを見て)邪魔、今私たちソウヤくんとご飯食べてるって分かんないの?」


 再び沈黙が流れる

 カナメとトワネはコンビニのおにぎりを食べながらチヅルのことを見る


チヅル「(笑顔で)あーごめんなさいねー、あたしあんたたちとおんなじ馬鹿の凡人だから天才美少年の若葉ソウヤとお昼ご飯を食べているのが全然分からなかったんだー。あ、つかあたし馬鹿じゃなかったわ、だってクラス順位2位だし?1位はこいつね、馬鹿でブスでキモいあんたらと仲良くご飯を食べてる若葉ソウヤくんね。どう?凄いでしょ、幼馴染コンビで金銀取っちゃったんだよねー」

私立東堂高校一年C組の女子生徒2「(チヅルのことを見たまま)死ね、オソレに殺されろ」


 騒がしかった私立東堂高校一年C組の教室の中が静かになる

 少しの沈黙が流れる


チヅル「あたしが死ぬ時はお前たちも終わりだよ」

私立東堂高校一年C組の女子生徒3「は?何自惚れちゃって・・・」

チヅル「(私立東堂高校一年C組の女子生徒3の話を遮って)いや自惚れとかじゃないから。つかあんたらさ、ソウヤのどこが良いと思ってるわけ?こいつ、オソレに負け過ぎてANDREIから実質戦力外になったような男だけど?てか知らないよね?ソウヤのせいであたしが表立って戦うようになったんだわ、マジムカつく」


 再び沈黙が流れる


私立東堂高校一年C組の女子生徒1「(馬鹿にして笑いながら)いや、お前にそんな大役務まるわけないでしょ、勉強以外に取り柄のないクズみたいな性格をしてる女だよ?何一人で妄想しちゃってんの?厨二病?」


 私立東堂高校一年C組の教室の中が笑い包まれる


私立東堂高校一年C組の男子生徒1「(馬鹿にして笑いながら)あ、あいつちょっとおかしいんじゃねえの」

私立東堂高校一年C組の男子生徒2「(馬鹿にして笑いながら)ちょっとどころじゃねえだろ」

私立東堂高校一年C組の女子生徒4「(馬鹿にして笑いながら)昔からの知り合いってだけであんな思考回路になれるの凄いよね」

私立東堂高校一年C組の女子生徒5「(馬鹿にして笑いながら)マジそれ、何考えてんのかね」


 カナメはチヅルのことを見たまま立ち上がろうとする

 勢いよく立ち上がるイザベル

 イザベルはチヅルのところに行く

 チヅルの前で立ち止まるイザベル


イザベル「(チヅルの前で立ち止まって)あっ、あの・・・」

チヅル「何だよ、お前」


 イザベルはチヅルに向かって勢いよく頭を下げる


イザベル「(チヅルに向かって勢いよく頭を下げて大きな声で)じっ、じっ、じっ、自分と一緒にお昼ご飯を食べてください!!!!」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「あたしもう食べ終わったんだけど」

イザベル「(頭を上げて)えっ!?えっ!?ええええええぇぇぇぇぇえええええええええっ!?」

チヅル「うっさい」


 再び沈黙が流れる


チヅル「ソウヤ、話」


 ソウヤは立ち上がる

 

私立東堂高校一年C組の女子生徒1「ちょ、何やってるの若葉くん」

ソウヤ「チヅルと話をするんだよ」

私立東堂高校一年C組の女子生徒2「子、こんな女と?」

ソウヤ「(少し笑って)こんな女って何?」

私立東堂高校一年C組の女子生徒2「な、何って」

ソウヤ「(少し笑いながら)そういう言い方をする君の方こそこんな女じゃないかい?」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「早くしてよソウヤ」

ソウヤ「ごめん」


 ソウヤとチヅルは教室の扉に向かって歩き始める


イザベル「あっ、あの!!お、お昼・・・」


 チヅルは教室の扉の前で立ち止まる

 チヅルに合わせて教室の扉の前で立ち止まるソウヤ


チヅル「また今度ね」

イザベル「ま、また・・・こ、今度・・・」

チヅル「うん」


 チヅルは教室から出て行く

 教室から出て行くソウヤ

 再び沈黙が流れる 

 カナメは立ち上がろうとするのをやめる 

 トボトボ自分に席に戻るイザベル

 トワネはおかかおにぎりを一口食べる


トワネ「(おかかおにぎりを一口食べて)最近のチヅルとソウヤは見てて清々しいな」

カナメ「清々しいって・・・」

トワネ「(少し笑って)それにしてもお前、今チヅルのことを助けに行こうとしなかったか」

カナメ「ち、違うよ」

トワネ「いや、私はちゃんと見たぞ。カナメが正義のヒーローのふりをして、チヅルを助けるために立ち上がったのが」

カナメ「正義のヒーローなんて、どこにもいないよ」


◯18私立東堂高校階段(昼過ぎ)

 昼休み

 私立東堂高校階段の踊り場にいるソウヤとチヅル

 私立東堂高校階段では私立東堂高校の生徒たちが登り降りしている

 チヅルは折り鶴のネックレスをつけている

 話をしているソウヤとチヅル


ソウヤ「(少し笑って)ああするしかなかったんだよ、文化祭で一緒に過ごすにはね」

チヅル「でもあんなやり方・・・大体あたしはソウヤと文化祭を見て回りたいなんて・・・」

ソウヤ「(チヅルの話を遮って)言ってないだけだろ?」

チヅル「じゃ、じゃあ今はっきりあんたと一緒に文化祭を過ごすつもりはないって言ってやる」

ソウヤ「(少し笑って)君がメイド役をしなければ僕は執事役を降りて、文化祭でデートして欲しいと君に言うだろうし、君がメイド役を引き受けてくれるなら、その時は僕も一緒に執事をやる。結局のところどちらを選んでも僕の思惑通り、一緒に文化祭を過ごすことになるだろうね」

チヅル「あたしがメイド役を引き受けず、文化祭の日に学校を休むってパターンもあるけどね」

ソウヤ「それ、教室内でのチヅルの立場が危うくなるだけだよ」


◯19ANDREI総本部シミュレーション室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルとヒヨリ

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室の壁の上の方には鏡があり、マジックミラーになっている

 チヅルは白黒の”ミラースーツ”を、ヒヨリは紫と緑の”ミラースーツ”を着ている

 チヅルは山羊がデザインされた鉄仮面を付けている

 チヅルは小さなブラックホールのようなものを持っている

 チヅルが持っている小さなブラックホールはソウヤがチヅルと契約して”王子”になった姿

 ヒヨリは2本の刀を持っている

 ヒヨリが持っている2本の刀はマナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿

 話をしているチヅルとヒヨリ


ヒヨリ「意識を集中させるのだチヅル」


◯20ANDREI総本部シミュレーション監視室(夕方)

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にいる白衣姿のトキコとリュウマ

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にはマジックミラーがあり、そこからシミュレーション室にいるチヅルとヒヨリの姿が見える

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは白黒の”ミラースーツ”を、ヒヨリは紫と緑の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは小さなブラックホールのようなものを持っている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルが持っている小さなブラックホールは、ソウヤがチヅルと契約して”王子”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるヒヨリは2本の刀を持っている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるヒヨリが持っている2本の刀は、マナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室からは監視室が見えておらず、ただの鏡になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルとヒヨリは話をしている 

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室ではチヅルとヒヨリの会話の音声が聞こえている

 トキコとリュウマはANDREI総本部のシミュレーション監視室で話をしているチヅルとヒヨリのことを見ている


ヒヨリ「(声)今ソウヤはお前の物だ、彼は王子だが、そんな王子を支配出来るのはチヅルしかない。(少し間を開けて)黒洞を武器に変えられるか?」


 チヅルは両目を瞑る

 少しするとチヅルが持っていた小さなブラックホールが弓と矢に変わる

 チヅルが持っている弓と矢はソウヤがチヅルと契約して”王子”になった姿

 両目を開けるチヅル


ヒヨリ「(声)素晴らしいぞ、チヅル」

トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション監視室で話をしているチヅルとヒヨリのことを見たまま)彼女、才能があるわ」

リュウマ「(ANDREI総本部のシミュレーション監視室で話をしているチヅルとヒヨリのことを見たまま)君に似て生意気だからかな」

トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション監視室で話をしているチヅルとヒヨリのことを見たまま)不器用だけど私よりも良い子よ」

リュウマ「(ANDREI総本部のシミュレーション監視室で話をしているチヅルとヒヨリのことを見たまま)そりゃみんなそうさ」


◯21グライダー練習場(夕方)

 ANDREI総本部のグライダー練習場にいるカナメ、トワネ、シィア

 ANDREI総本部のグライダー練習場は広く、地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱がある

 ANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の周りには、グライダーをコントロールするためのたくさんのコンピューターと機械がある

 カナメ、トワネ、シィアはANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の中にいる

 カナメは紺の”ミラースーツ”を着ており、エンジン付きのグライダーに乗っている

 カナメが乗っているグライダーはグラグラ揺れて不安定な状態になっている


トワネ「(少し笑って)おい、揺れてるぞ、浮かぶための乗り物なのに」

カナメ「(グラグラ揺れて不安定な状態になっているグライダーに乗ったまま)む、難しいんだよこれ」

シィア「難しかろうが乗れるようになってください」


 カナメはグライダーから落下する

 

カナメ「(グライダーから落下して)あっ!!」


 カナメはグライダーから落下してスポンジで出来た地面に頭をぶつける

 スポンジで出来た地面に倒れたまま頭を押さえるカナメ

 

カナメ「(スポンジで出来た地面に倒れたまま頭を押さえて)で、出来る気がしないんだけど・・・」

シィア「せっかく応援してるのに」


 カナメは頭を押さえたまま立ち上がる


カナメ「(頭を押さえたまま立ち上がって)応援?君たちが?」


 カナメは頭を押さえるのをやめる 

 トワネとシィアのことを見るカナメ

 カナメから顔を逸らすトワネとシィア


シィア「(カナメから顔を逸らして淡々と)うわー、カナメ頑張れー」

トワネ「(カナメから顔を逸らしたまま)が、頑張ってくれるが良い」


◯22シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


◯23回想/イザベルとアマネの家リビング(夕方)

 夕日が沈みかけている

 イザベルとアマネの家のリビングにいるトワネとイザベル

 イザベルとアマネの家は古いレンガ造りになっている

 イザベルとアマネの家の周囲は数千キロ先まで小麦畑が広がっている

 イザベルとアマネの家の周囲数千キロ先まで広がっている小麦畑は収穫されている箇所があり、そこだけ小麦が生えていない

 イザベルとアマネの家の周囲数千キロ先まで広がっている小麦畑の横には一本道がある

 イザベルとアマネの家のリビングにはテーブル、椅子、暖炉がある

 テーブルを挟んで椅子に座っているトワネとイザベル

 トワネとイザベルは話をしている


イザベル「すすすすすすすっ・・・」

トワネ「好きな人、ね。びっくりし過ぎだよイザベル」

イザベル「だ、だ、だってぇっ!!」

トワネ「だって?」


 イザベルはモジモジする


イザベル「(モジモジしながら)こっ、こ、恋は・・・きっ、禁止・・・されてる・・・から・・・」

トワネ「禁止されてるわけじゃないでしょ、別に」

イザベル「(モジモジしながら)そっ、そうだけど・・・地上の人とは・・・」

トワネ「(少し笑って)イザベルもまた今度地上に連れてってあげる、その時に私の好きな人とも挨拶してってね」


◯24回想戻り/シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


イザベル「また・・・今度・・・」


◯25私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は快晴

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメを含む生徒たちの机の上にはパソコンが置いてある

 教室では歴史の授業が行われている

 カナメ、ソウヤ、チヅル、イザベルは真面目に授業を聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている


教師2「みんな文化祭までにレポートを提出するように」

私立東堂高校一年C組の男子・女子生徒1・2・3・4・5「えー!!」

教師2「課題を出さない奴は文化祭を楽しめないからな。それじゃ今日の授業の終わりだ」


 教師2は教室から出て行く

 私立東堂高校一年C組の教室野中が一気に騒がしくなる

 私立東堂高校一年C組の教室にいる生徒たちが周りの生徒たちと話をしながらパソコンを片付けたり、昼食の準備を始めたりする

 カナメはカバンからコンビニの鮭おにぎり、たらこおにぎり、梅おにぎり、シーチキンおにぎりを取り出す

 パソコンをカバンにしまうソウヤ

 ソウヤはカバンからコンビニの弁当を取り出す

 カバンからコンビニのパンを取り出すチヅル

 

チヅル「(カバンからコンビニのパンを取り出して)あのさ・・・昨日の話なんだけど・・・」

チヅルの隣の女子生徒「(チヅルの話を遮って)私学食行くから、チヅルは一人で食べたら?」


 少しの沈黙が流れる


チヅル「あっそ・・・」


 チヅルの隣の席の女子生徒は立ち上がる

 教室から出て行くチヅルの隣の席の女子生徒

 イザベルは自分の席で俯いている

 コンビニの鮭おにぎり、たらこおにぎり、梅おにぎり、シーチキンおにぎりを持って立ち上がるカナメ 

 カナメは鮭おにぎり、たらこおにぎり、梅おにぎり、シーチキンおにぎりを持って自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネのところに行く 

 トワネの机の上に鮭おにぎり、たらこおにぎり、梅おにぎり、シーチキンおにぎりを置くカナメ

 

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)ん、ご苦労」


 カナメは退屈そうに外を眺めているトワネの前に席に座ろうとする


トワネ「(退屈そうに外を眺めながら小声でボソッと)どうだ・・・」

カナメ「(退屈そうに外を眺めているトワネの前に席に座ろうとしながら)えっ?何?」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)誘ったらどうだ」


 カナメは退屈そうに外を眺めているトワネの前に席に座ろうとするのをやめる

 自分の席で俯いているイザベルのことを見るカナメ


トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)あんな女はどうでも良いが、お前だけを餌にするのは癪だからな、勘違いするなよ」


 カナメは自分の席で俯いているイザベルのことを見るのをやめる

 

カナメ「(自分の席で俯いているイザベルのことを見るのをやめて)ありがとう、トワネ」


 少しの沈黙が流れる 

 カナメは自分の席で俯いているイザベルのところに行く

 自分の席で俯いているイザベルのところの前で立ち止まるカナメ

 イザベルは顔を上げる


イザベル「(顔を上げて)だっ、大天・・・か、カナメさん」

カナメ「一緒にご飯食べない?」

イザベル「じ、自分・・・今日も何も持ってなくて・・・」

カナメ「おにぎりで良ければ分けるよ」

イザベル「ほっ、本当・・・ですか・・・?」

カナメ「うん。君が嫌なら無理には誘わないけど」

イザベル「ぜっ、全然嫌じゃないですっ!!ぜ、ぜひ仲間に入れてくださいっ!」」

カナメ「うん」


 イザベルは立ち上がる

 自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネのところに向かうカナメとイザベル

 カナメは自分の席で一人でコンビニのパンを食べようとしているチヅルの前で立ち止まる


イザベル「カナメさん・・・?ど、どうかしたんですか・・・?」


 イザベルは立ち止まる

 コンビニのパンを食べようとするのをやめるチヅル


チヅル「(コンビニのパンを食べようとするのをやめて)何」

カナメ「チヅルも・・・どうかと思って」

チヅル「は?どうって何が?」

カナメ「一緒にご飯だよ」


 再び沈黙が流れる 

 チヅルは振り返ってソウヤのことを見る

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている


イザベル「きっ、昨日・・・ま、また今度って・・・」

チヅル「(振り返って自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べているソウヤのことを見ながら)言ったっけ、そんなこと」

イザベル「まっ、また今度が・・・な、ないのは寂しいです・・・」


 少しの沈黙が流れる

 チヅルは振り返って自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べているソウヤのことを見るのをやめる


チヅル「(振り返って自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べているソウヤのことを見るのをやめて)あ、あたしが入っても良いの」

カナメ「僕も、最初はそう思ってたよ」


 再び沈黙が流れる 

 チヅルはコンビニのパンを持って立ち上がる


チヅル「(コンビニのパンを持って立ち上がって)別に頼んでないけど・・・でもありがと・・・」

カナメ「うん」


 カナメ、チヅル、イザベルは自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネのところに行く

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べながら話をしている

 チラッと自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べながら、自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネのところに向かっているカナメ、チヅル、イザベルのことを見るソウヤ


ソウヤ「(チラッと自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネのところに向かっているカナメ、チヅル、イザベルのことを見て)そうかな、文化祭なんてつまらないと思うよ」

 

 カナメ、チヅル、イザベルは自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネの前で立ち止まる

 自分の席から退屈そうに外を眺めているトワネの横の席に座るチヅル

 チヅルはコンビニのパンを机の上に置く

 

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)なんかやけに増えたな」

チヅル「カナメに誘われた」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)また余計なことを・・・」


 カナメは退屈そうに外を眺めているトワネの前の席に座る


カナメ「(退屈そうに外を眺めているトワネの前の席に座って)トワネが誘ったらって・・・」

 

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めながら話途中のカナメの足を思いっきり踏みつける


カナメ「(退屈そうに外を眺めているトワネに足を思いっきり踏みつけられて)痛っ!!何するんだよ!!」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)ああすまん足が滑った」

カナメ「何だよ足が滑ったって」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)文字通りの意味だ」


 チヅルはコンビニのパンを一口食べる


チヅル「(コンビニのパンを一口食べて)トワネの考えが変わる前にあんたも座りなよ、転校生」

イザベル「はっ、はい!!」


 イザベルは退屈そうに外を眺めているトワネの斜め前の席に座る


イザベル「(退屈そうに外を眺めているトワネの斜め前の席に座って)な、仲間に入れてくれてありがとうございます、偽物さん」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)偽物と呼ぶな、殴るぞ」

イザベル「ごごごごごごごめんなさいぃっ!!」

カナメ「トワネ」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)しょうがない転校生だ。仕方ないからお前にはトワネ大先輩と呼ばせてやるか」

イザベル「と、トワネ・・・大先輩・・・さん・・・」

チヅル「いや、あんたらタメだよ?」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)この学校に入学したのは私の方が先だ、つまり私の方が偉いということになる」

カナメ「じゃあ僕もトワネの後輩じゃん」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)そうだ、だからお前は死ぬまで私の下僕1号であり続けるし、転校生は死ぬまで下僕3号でいる」

イザベル「よっ、よろしくお願いしますっ!!と、トワネ大先輩さんっ」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)さんは要らん」

イザベル「りょっ、了解しましたっ!!」

カナメ「間に受けなくて良いのに」


 トワネは退屈そうに外を眺めながらコンビニの鮭おにぎりを手に取る


トワネ「(退屈そうに外を眺めながらコンビニの鮭おにぎりを手に取って不機嫌そうに)うるさいぞ下僕2号」

カナメ「鮭おにぎりは僕のなんだけど」


 トワネは退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎりの個装を外す

 

トワネ「(退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎりの個装を外して不機嫌そうに)今日は私が鮭おにぎりの気分なんだ」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「イザベルはトワネに取られる前に選んだ方が良いよ」

イザベル「は、はい!!」


 トワネは退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎりの個装を外し終える

 退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎり一口食べるトワネ

 チヅルはコンビニのパンを一口食べる


チヅル「(コンビニのパンを一口食べて)もしかして昨日もご飯持ってなかったの?」

イザベル「いえ、昨日はコロッケを持ってました」

チヅル「コロッケ?」

イザベル「は、はい、揚げ物屋さんのおじさんが1個持って行くかいって声をかけてくださって」

チヅル「買ったんじゃないのね」

イザベル「30分ほどお店の前で揚がる様子を見ていただけですね」

チヅル「(呆れて)いや、見てるくらいなら買えよ」

イザベル「じ、自分・・・や、宿代にお金を使っちゃって・・・」

カナメ「宿代?」

イザベル「はい・・・ほ、ホテルに」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら不機嫌そうに)この成金娘が」

イザベル「い、いえ、お金はありません。なので目的を果たしたら早く帰る予定なんです。きっ、きっと今頃アマネさんが激怒してるでしょうし・・・」

チヅル「目的って・・・トワネによく似た人を破壊すること・・・?」

イザベル「そっ、そうです。あ、後はカナメさんが墜落したかどうか確かめることですね」

チヅル「全然意味分かんないけど、今んとこカナメは墜落してそうなの?」

イザベル「いえっ!!墜落者とは程遠いと思いますっ!!」

チヅル「そ、ならカナメのストーカー問題も解決ね」

イザベル「(驚いて大きな声で)すっ、すっ、すっ、ストーカーと思われていたんですか自分!?!?」

トワネ「(退屈そうに外を眺めながら)そうだ、お前はやばい女だ、自覚を持て自覚を」

チヅル「あんたも相当やばい女でしょ」


 トワネは退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎり一口食べる


トワネ「(退屈そうに外を眺めながらコンビニにの鮭おにぎり一口食べて不機嫌そうに)そういえばここは最初からやばい奴らの集まりだったな」

イザベル「えぇぇー・・・じ、自分・・・そんなイメージでやっていけるかな・・・」


 時間経過


 夕方になっている 

 夕日が沈みかけている 

 放課後

 私立東堂高校一年C組の教室にはたくさんの生徒が残っている

 私立東堂高校一年C組の教室の机は全て後ろに下げられている

 私立東堂高校一年C組の教室にはたくさんの段ボール、厚紙、色ペン、ガムテープ、折り紙、ハサミ、カッターガムテームなどが床に散らばっている

 ソウヤとチヅルは教室にいない

 カナメ、トワネ、イザベルを含む私立東堂高校一年C組の生徒たちは床に座って文化祭のメイド&喫茶店の準備をしている

 厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作っているカナメとトワネ 

 厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作っているカナメとトワネの近くには、”パンケーキ、パフェ、オレンジジュース、コーラ、メロンソーダ、麦茶”と書かれたメモ書きが置いてある

 イザベルは段ボールと色ペンを使って私立東堂高校一年C組の女子生徒たちと看板を作っている

 厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら話をしているカナメとトワネ


カナメ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)僕、そろそろ帰るよトワネ」

トワネ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)まだメニュー表が完成してないんだが」

カナメ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)でも放課後はシィアちゃんにグライダーの特訓しろって」

トワネ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)それはバグだ、今度オイルを差すように命令しておこうな」


 トワネは厚紙のメニュー表を作るのをやめる

 ”パンケーキ、パフェ、オレンジジュース、コーラ、メロンソーダ”と書かれたメモを手に取るトワネ


カナメ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)いや、バグなんかじゃないと・・・」

トワネ「(”パンケーキ、パフェ、オレンジジュース、コーラ、メロンソーダ”と書かれたメモを見てカナメの話を遮り不機嫌そうに)おい、メニューにカルボナーラがないぞ、どういうことだ」

文化祭実行委員の男子生徒「多数決をした結果カルボナーラをメニューに入れたいっていう人は相園しかいなかったじゃないか」

トワネ「(”パンケーキ、パフェ、オレンジジュース、コーラ、メロンソーダ”と書かれたメモを見るのをやめて不機嫌そうに)馬鹿かお前、ドリンクにオレンジジュース、コーラ、メロンソーダ、麦茶の4種類を割くくらいなら適当に水道水でも飲ませてカルボナーラを追加・・・」

ヒヨリ「(トワネの話を遮って)作業中にすまない、私は三年D組の九音ヒヨリだが、カナメはいるか?」


 私立東堂高校一年C組の教室の前にヒヨリが立っている

 作業をしていた私立東堂高校一年C組の生徒たちが一斉に教室の前にいるヒヨリのことを見る


私立東堂高校一年C組の男子生徒1「(教室の前にいるヒヨリのことを見て小声で)おい嘘だろ・・・九音先輩がうちのクラスにいるぞ・・・」

私立東堂高校一年C組の男子生徒2「(教室の前にいるヒヨリのことを見ながら小声で)つ、つか何で神野なんだ・・・?」

私立東堂高校一年C組の男子生徒3「(教室の前にいるヒヨリのことを見ながら小声で)あんなダサい奴に何の用があるんだよ・・・」


 カナメは厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら俯く

 段ボールの看板を作るのをやめるイザベル


イザベル「(段ボールで看板を作るのをやめて)カナメさんならそこに・・・(教室の前にいるヒヨリのことを見て)あっ、あれ・・・あなたはこの間のヴェージマの偽物・・・?」


 少しの沈黙が流れる

 ヒヨリの腰の後ろに手を回す

 ヒヨリの腰には隠しナイフがある

 腰に隠したナイフの柄を握るヒヨリ


ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握り少し笑って)君か、想像以上に早く出会えたな」

イザベル「へっ、編入したイザベル・カーフェンです、よ、よろしくお願いします」

ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握り少し笑いながら)ああ、よろしく頼む」

イザベル「はっ、はい」

ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握ったまま)カナメ、早く来てくれ」


 カナメは俯いたまま厚紙のメニュー表を作るのをやめる

 少しの沈黙が流れる

 カナメは顔を上げて立ち上がる


私立東堂高校一年C組の男子生徒4「(教室の前にいるヒヨリのことを見ながら小声で)やっぱり神野が呼ばれたんだ・・・」


 カナメは教室から一年生廊下に出る


ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握ったまま)あの女も文化祭の準備にしているのか」

カナメ「イザベルのことですか?」

ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握ったまま)ああ」

カナメ「特に変わったことはないですよ」

ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄を握ったまま小声でボソッと)神の犬めが」

カナメ「えっ・・・?」


 再び沈黙が流れる

 ヒヨリは腰に隠したナイフの柄から手を離す


ヒヨリ「(腰に隠したナイフの柄から手を離して)何でもない。それよりカナメ、文化祭当日はどういう予定なのだ?」

カナメ「喫茶店の受け付けです」

ヒヨリ「そうか」


 ヒヨリは制服のポケットから一枚の紙を取り出す

 ポケットから取り出した一枚の紙をカナメに差し出すヒヨリ

 一枚の紙をヒヨリから受け取るカナメ


カナメ「(一枚の紙をヒヨリから受け取って)何ですか?」

ヒヨリ「演劇だ」


 カナメはヒヨリから貰った一枚の紙を見る

 ヒヨリから貰った一枚の紙には”三年CD組合同による演劇!!『正義と犠牲』”と書かれており、その下には大きく”主演 九音ヒヨリ”と書いてある

 

ヒヨリ「君に見に来て欲しい」


 カナメはヒヨリから貰った一枚の紙を見るのをやめる


カナメ「(ヒヨリから貰った一枚の紙を見るのをやめて)行きたいですけど・・・トワネと受け付けをしないと」

ヒヨリ「そんな雑用はトワネに任せておけば良いではないか」


 少しの沈黙が流れる


ヒヨリ「私はどうしてもカナメに来て欲しいんだ、稽古だって君のために積んだのだぞ」

カナメ「でも・・・」

ヒヨリ「良いから来てくれ」


 再び沈黙が流れる


カナメ「トワネにその時間だけ抜けても良いか聞いてみます」

ヒヨリ「後悔はさせないぞ、カナメ」

カナメ「そうですか」


 少しの沈黙が流れる


ヒヨリ「わ、私はそろそろ本部に行くが・・・カナメも一緒に来るか?」

カナメ「ひ、ヒヨリさんは先に行ってください」

ヒヨリ「(少し残念そうに)そうか・・・では後でな・・・」

カナメ「はい」


 ヒヨリは私立東堂高校の一年生廊下にいるカナメから離れて行く 

 教室の中に戻るカナメ

 トワネは厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作っている 

 厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作っているトワネのところに行くカナメ

 カナメは床に座る


トワネ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら)何の用だったんだ」

カナメ「演劇を見に来いって。トワネ、ヒヨリさんの公演時間だけ一人で受け付けをやってくれないかな」

トワネ「(厚紙と色ペンを使ってメニュー表を作りながら不機嫌そうに)店が破綻するぞ」


◯26ANDREI総本部シミュレーション監視室(夜)

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にいるトワネと白衣姿のトキコ

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室にはマジックミラーがあり、そこからシミュレーション室にいるチヅルとヒヨリの姿が見える

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは白黒の”ミラースーツ”を、ヒヨリは紫と緑の”ミラースーツ”を着ている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは弓と矢を持っている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルが持っている弓と矢は、ソウヤがチヅルと契約して”王子”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるヒヨリは2本の刀を持っている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるヒヨリが持っている2本の刀は、マナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿

 ANDREI総本部のシミュレーション室には真っ白な縦型の直方体がいる

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいる真っ白な縦型の直方体の大きさは、縦に20メートル、横10メートルほどになっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいる真っ白な縦型の直方体は宙に浮かんでいる

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいる真っ白な縦型の直方体に二人目のオソレのホログラムが被さるように投影されている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいる縦型の直方体は、サイズが小さいことを除けば二人目のオソレと完全に同じ姿をしている

 ANDREI総本部のシミュレーション室は広く、壁、床、天井が真っ白になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室からは監視室が見えておらず、ただの鏡になっている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えている

 ANDREI総本部のシミュレーション室にいるチヅルは、二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしている

 ANDREI総本部のシミュレーション監視室ではチヅルとヒヨリの会話の音声が聞こえている

 トワネとトキコはANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見ている


ヒヨリ「(声)これは狩猟だ、狩られたくなければこちらから先に向こうの命を奪うのだ、チヅル」

チヅル「(チヅルは二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら 声)はい」

トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見て)もうすぐなんだって?文化祭」

トワネ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見て不機嫌そうに)週末だ」

トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見て)何やんの?」

トワネ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見て不機嫌そうに)メイド&執事喫茶だ」

トキコ「(ANDREI総本部のシミュレーション室で二人目のオソレのホログラムが投影された縦型の直方体に向かって弓矢を構えながら、ヒヨリと話をしているチヅルのことを見て)信じらんないわね、私が学生の頃もコンカフェだったわよ?」


◯27グライダー練習場(夜)

 ANDREI総本部のグライダー練習場にいるカナメとシィア

 ANDREI総本部のグライダー練習場は広く、地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱がある

 ANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の周りには、グライダーをコントロールするためのたくさんのコンピューターと機械がある

 カナメとシィアはANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の中にいる

 カナメは紺の”ミラースーツ”を着ており、エンジン付きのグライダーに乗っている


シィア「今日はいつもより安定していますね、何か良いことでありましたか?」

カナメ「(グライダーに乗ったまま)べ、別に」

シィア「(淡々と)長く人間に仕えていると、人間様が嘘をつく時の表情が見抜けるようになるのよね」

カナメ「(グライダーに乗ったまま)しゅ、集中したいから静かにして」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「(グライダーに乗ったまま)し、質問して良い?」

シィア「(淡々と)どうぞ」


◯28私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/ 朝)

 外は晴れている

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 カナメの席はソウヤの隣

 トワネの席は窓際にある

 カナメを含む生徒たちの机の上にはパソコンが置いてある

 教室では数学の授業が行われている

 カナメ、ソウヤ、チヅル、イザベルは真面目に授業を聞いている

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めている


カナメ「(声)し、シィアちゃんは、どうしてヒヨリさんが僕なんかを気にかけてくれてるんだと思う?」


◯29グライダー練習場(夕方)

 ANDREI総本部のグライダー練習場にいるカナメ、トワネ、シィア

 ANDREI総本部のグライダー練習場は広く、地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱がある

 ANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の周りには、グライダーをコントロールするためのたくさんのコンピューターと機械がある

 カナメ、トワネ、シィアはANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の中にいる

 カナメは紺の”ミラースーツ”を着ており、エンジン付きのグライダーに乗っている

 カナメが乗っているグライダーはグラグラ揺れて不安定な状態になっている


シィア「(声)アホですね」


 カナメはグライダーから落下する

 グライダーから落下してスポンジで出来た地面に頭をぶつけるカナメ


◯30私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼過ぎ)

 外は曇っている

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネの席は窓際にある

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べている

 カナメは自分の席から退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べているトワネの前の席で梅おにぎりを、チヅルは退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べているトワネの横の席でコンビニのパンを、イザベルは退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べている斜め前の席でたらこおにぎりを食べている

 チヅルは折り鶴のネックレスをつけている

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている

 昼食を食べながら話をしているカナメ、トワネ、チヅル、イザベル


シィア「(声)人間の行動理念は、所詮感情です」


◯31ANDREI総本部シャワー室(夜)

 ANDREI総本部のシャワー室にいるヒヨリとマナカ

 ANDREI総本部のシャワー室にはたくさんのカーテン付きのシャワー室がある

 ヒヨリとマナカはそれぞれANDREI総本部のカーテン付きのシャワー室に入っている

 全裸でシャワーを浴びているヒヨリとマナカ

 ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を手に持ちながらシャワーを浴びている 

 ヒヨリとマナカが浴びているシャワーから湯気が立っている

 マナカの顔はシャワーから立っている湯気で見えなくなっている

 シャワーを浴びながら話をしているヒヨリとマナカ


シィア「(声)それだけしかないとは言わないけど」


◯32シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている

 タブレットを見ているイザベル 

 イザベルのタブレットにはトワネの画像が表示されている

 タブレットに表示されているトワネの画像を見ているイザベル


シィア「(声)感情がとっても大事」


◯33私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は快晴

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネの席は窓際にある

 トワネは自分の席から退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べている

 カナメは自分の席から退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べているトワネの前の席で梅おにぎりを、チヅルは退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べているトワネの横の席でコンビニのパンを、イザベルは退屈そうに外を眺めながらシーチキンおにぎりを食べている斜め前の席でおかかおにぎりを食べている

 チヅルは折り鶴のネックレスをつけている

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている

 昼食を食べながら話をしている話をしているカナメ、トワネ、チヅル、イザベル

 チラッと自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べているソウヤのことを見るチヅル


シィア「(声)だって感情がなかったら、人は何も出来ないもの」


◯34ANDREI総本部第一ロイヤル待機室(夜)

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室にいるヒヨリとマナカ

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室には椅子とロッカーがある

 ヒヨリは紫の”ミラースーツ”を、マナカは緑の”ミラースーツ”を着ている

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 ヒヨリとマナカのロッカーが開いている

 ヒヨリのロッカーには私立東堂高校の制服、カバン、第九話◯13でカナメが買った紫の紫陽花がデザインされたハンカチが置いてある

 マナカのロッカーには着替えと古いロシア語の本が置いてある

 ヒヨリは紫の”ミラースーツ”を、マナカは緑の”ミラースーツ”を脱いでいる

 ヒヨリの背中には大きな火傷の跡がある


シィア「(声)だからきっと、ヒヨリがカナメを気にかけるのは感情による行動」


 紫の”ミラースーツ”を脱ぎ終えるヒヨリ

 ヒヨリは下着姿になっている

 下着姿のまま紫の紫陽花がデザインされたハンカチを手に取るヒヨリ

 ヒヨリは下着姿のまま紫の紫陽花がデザインされたハンカチを口の中に詰め込む


◯35ANDREI総本部地下最下層(深夜)  

 ANDREI総本部の地下最下層にいるタエ

 ANDREI総本部の地下最下層には巨大な枯れかけた木がある  

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹には洞穴がある  

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中は薄暗い  

 タエはANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中にいる

 ANDREI総本部の地下最下層の巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中には、木の根っこに縛り上げられた全裸のトワネがいる 

 巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中で木の根っこに縛り上げられた全裸のトワネは、意識を失っている

 巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中で木の根っこに縛り上げられ意識を失った全裸のトワネの周囲には、6本の”イングマールの針”が刺さっており、木の根っこがこれ以上のトワネの体を縛り上げないようにしてある

 “イングマールの針”は2メートルほどの長さの真っ黒な棒

 タエはZIPPOライターで火を付けている

 ZIPPOライターの火を付けたまま、巨大な枯れかけた木の幹にある洞穴の中で木の根っこに縛り上げられ意識を失った全裸のトワネのことを見ているタエ


カナメ「(声)感情ってどんな?」


◯36花色荘ソウヤの部屋(深夜)

 花色荘の自室にいるソウヤ

 花色荘のソウヤの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 ソウヤの部屋の勉強机の上にはパソコンと聖書が置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 ソウヤの部屋の壁には家庭祭壇があり、家庭祭壇の中央に磔されたキリストの十字架が置いてある

 ソウヤの部屋の家庭祭壇以外の壁、天井には私立東堂高校一年C組の教室で話をしたり、お弁当を食べたり、校庭で体操着を着て準備運動をしたり、花色荘のリビングでテレビゲームをしたり、ベッドで眠っていたり、お風呂でシャワーを浴びていたり、浴槽に浸かっていたり、ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室で制服から白の”ミラースーツ”に着替えていたりするチヅルを隠し撮りしたたくさんの写真が貼られてある

 ソウヤの部屋のベッドの上には小さなリモコンのようなスティックが置いてある

 ベッドの上の小さなリモコンのようなスティックにはボタンがある

 ベッドの上の小さなリモコンのようなスティックからホログラムが投影されており、旅館の女子脱衣所で服を脱いで全裸になるチヅルの動作が映し出されている

 ベッドの上の小さなリモコンのようなスティックから投影されているホログラムのチヅルは、旅館の女子脱衣所で服を脱いでは全裸になる動作が永遠と繰り返されて映し出されている

 ソウヤはベッドの上の小さなリモコンのようなスティックから投影されている、旅館の女子脱衣所で服を脱いでは全裸になる動作が永遠と繰り返されて映し出されているチヅルのホログラムを見ている


シィア「(声)動物的欲求の感情です」


◯37シングルルーム(深夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている

 タブレットを見ているイザベル 

 イザベルのタブレットにはトワネの画像が表示されている

 タブレットに表示されているトワネの画像を見ているイザベル

 イザベルはタブレットに表示されているトワネの画像を見ながらズボンの中に手を入れる


シィア「(声)マイルドに表現するなら、恋ですね」


◯38グライダー練習場(日替わり/夕方)

 ANDREI総本部のグライダー練習場にいるカナメとシィア

 ANDREI総本部のグライダー練習場は広く、地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱がある

 ANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の周りには、グライダーをコントロールするためのたくさんのコンピューターと機械がある

 カナメとシィアはANDREI総本部のグライダー練習場の地面がスポンジで出来た大きな透明な円柱の中にいる

 カナメは紺の”ミラースーツ”を着ており、エンジン付きのグライダーに乗っている

 グライダーから落下するカナメ

 

カナメ「(グライダーから落下して)うわっ!!」


 カナメはグライダーから落下してスポンジで出来た地面に頭をぶつける


シィア「(淡々と)いやん、カナメのエッチ」


 カナメはスポンジで出来た地面に倒れたまま頭を押さえる

 少しの沈黙が流れる


シィア「(淡々と)いやん、カナメの・・・」

カナメ「(倒れたまま頭を押さえてシィアの話を遮り)く、繰り返さなくて良いから」


 再び沈黙が流れる


シィア「(淡々と)ドクターシィアちゃんがカナメの童貞脳に少しでも役立つ知恵を加えられたら嬉しいです」


 カナメは頭を押さえたまま立ち上がる


カナメ「(頭を押さえたまま立ち上がって)や、役に立つかは分からないけど・・・ひ、ヒヨリさんは・・・そ、そういうのとはなんか違う気がするよ」

シィア「(淡々と)ふぇー、女性と付き合った経験がないカナメに乙女心が理解出来るのですねー」

カナメ「(頭を押さえたまま)だ、だって普通に考えたらあり得るわけないだろ」

シィア「普通に考えたらあり得ない選択を下すのが、人間の感情というある種のウイルスなわけですが?」


◯39花色荘カナメの部屋(深夜)

 花色荘の自室にいるカナメ

 花色荘のカナメの部屋には勉強机、椅子、ベッドがある

 カナメの部屋の勉強机の上にはパソコンが置いてある

 カーテンの隙間から月の光が差し込んでいる

 ベッドの上で横になっているカナメ


◯40私立東堂高校一年C組の教室(日替わり/昼)

 外は快晴

 昼休み

 私立東堂高校一年C組の教室にいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 私立東堂高校一年C組の教室にはカナメたちの他にもたくさんの生徒がいる

 私立東堂高校一年C組の教室にいるたくさんの生徒たちはお弁当を食べたり、近くの席の人と話をしたりしている

 トワネの席は窓際にある

 トワネは鮭おにぎりを食べている

 カナメは鮭おにぎりを食べているトワネの前の席でたらこおにぎりを、チヅルは鮭おにぎりを食べているトワネの横の席でコンビニのパンを、イザベルは鮭おにぎりを食べているトワネの斜め前の席で梅おにぎりを食べている

 チヅルは折り鶴のネックレスをつけている

 ソウヤは自分の席でたくさんの女子生徒たちとコンビニの弁当を食べている

 昼食を食べながら話をしている話をしているカナメ、トワネ、チヅル、イザベル

 

チヅル「その人、そんなに似てんだ?」


 イザベルは首を何度も縦に振る


イザベル「(首を何度も縦に振りながら)もっ、もうとにかくそっくりですっ!!」

チヅル「へぇー、世の中には自分を含めて3人似た人がいるってやつかな」

イザベル「あっ、でも性格は全然違います!!ルシファリアはこんなに怒りっぽく・・・」

トワネ「あぁ?なんか言ったか下僕」

イザベル「ひぃっごめんなさいぃっ!!」


 チヅルはコンビニのパンを一口食べる


チヅル「(コンビニのパンを一口食べながら)確かにトワネはキレやすいよね」


 トワネは鮭おにぎりを一口食べる


トワネ「(鮭おにぎりを一口食べて不機嫌そうに)お前にだけは言われたくない」

チヅル「う、うるさい」

トワネ「(不機嫌そうに)うるさいって言った奴が一番うるさいんだが?」

チヅル「は?あんただって毎日カルボナーラカルボナーラって騒いでんじゃん」

トワネ「(不機嫌そうに)カルボナーラに罪はない、ついで私にも罪は・・・」

イザベル「(トワネの話を遮って)なっ、仲良くっ!!な、仲良くしましょうっ!?」


 トワネは再び鮭おにぎりを一口食べる


トワネ「(鮭おにぎりを一口食べて不機嫌そうに)日々の日常生活を円滑に進めるための板挟み役に感謝する、下僕3号」

イザベル「いっ、いえいえ」


 イザベルは梅おにぎりを一口食べる

 

チヅル「イザベルさ」

イザベル「は、はい」

チヅル「そどうしてヒヨリ先輩から嫌われてんの?」

イザベル「え、えーっと・・・」


 イザベルはモジモジし始める


イザベル「(モジモジしながら)じ、自分・・・て、天敵みたいなものですから」

チヅル「ヒヨリ先輩の?」

イザベル「(モジモジしながら)はい・・・」

カナメ「ヒヨリさんの一方的な態度は少しおかしいよ」

トワネ「あいつは昔からああいう性格だがな」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「イザベル、僕、試してみたいことがあるんだ」

イザベル「へっ・・・?たっ、試してみたいこと?」


◯41花色荘廊下(夜)

 花色荘の廊下にいるカナメ、トワネ、チヅル、ヒヨリ、マナカ

 話をしているカナメたち


ヒヨリ「前夜祭?」

チヅル「はい、みんなで文化祭の軽い打ち入りをしましょうみたいな」

ヒヨリ「それは構わないが、花色荘でやるのであれば普段の食事時と何も変わらないのではないか?」

トワネ「だからゲストを呼ぶ」

ヒヨリ「ゲスト?」

カナメ「はい」

ヒヨリ「誰が来るのだ?ANDREIのスタッフか?」

チヅル「そ、それは当日のお楽しみで」

ヒヨリ「秘密というわけか・・・」

マナカ「でも良いのかしら?私は皆さんのような高校生というわけではないのですけれど」

チヅル「き、気にせずやりましょうよ、し、シィアちゃんとトキコさんにも参加してもらうんだから」


 少しの沈黙が流れる

 マナカはヒヨリのことを見る

 

ヒヨリ「そこまで言うのならご招待に預かろう、マナカ」

マナカ「(ヒヨリのことを見るのをやめて頷き)分かりましたわヒヨリ様」

カナメ「ありがとうございます、ヒヨリさん、マナカさん」


◯42ANDREI総本部第一ロイヤル待機室(日替わり/夜)

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室にいるカナメとソウヤ

 ANDREI総本部の第一ロイヤル待機室には椅子とロッカーがある

 ソウヤは黒の”ミラースーツ”を着ている

 椅子に座っているカナメとソウヤ

 話をしているカナメとソウヤ


カナメ「コンバートはどう?」

ソウヤ「どうってことはない。順調だよ」

カナメ「そうなんだ」


 少しの沈黙が流れる


ソウヤ「そっちのグライダーは?」

カナメ「やっと安定して乗れるようになったかな」

ソウヤ「実戦で落ちても、僕は助けに行けないからな」

カナメ「うん」


 再び沈黙が流れる


カナメ「昼休み、ソウヤも僕たちとご飯を食べれば良いのに」

ソウヤ「僕がサードドッグスクラブに入れるわけないだろ」

カナメ「えっ・・・?そのサード何とかって何?」

ソウヤ「(少し笑って)クラスメートが君たちグループのことを馬鹿にしてサードドッグスクラブって呼んでるんだよ」


◯43シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


◯44回想/イザベルとアマネの家リビング(昼)

 外は晴れている

 自宅のリビングにいるイザベルとアマネ

 イザベルとアマネの家は古いレンガ造りになっている

 イザベルとアマネの家の周囲は数千キロ先まで小麦畑が広がっている

 イザベルとアマネの家の周囲数千キロ先まで広がっている小麦畑は収穫されている箇所があり、そこだけ小麦が生えていない

 イザベルとアマネの家の周囲数千キロ先まで広がっている小麦畑の横には一本道がある

 イザベルとアマネの家のリビングにはテーブル、椅子、暖炉がある

 イザベルとアマネは立っている

 話をしているイザベルとアマネ


アマネ「良いかイザベル、大天使様が墜落されたか確認出来次第、ルシファリアの破壊に向うんだぞ」

イザベル「はっ、はい!!」

アマネ「地上の奴らに惑わされるなよイザベル、お前まで消えたら俺は・・・」

イザベル「だっ、大丈夫ですよアマネさん!!さ、最速最短で帰って来ますからっ!!」


◯45回想戻り/シングルルーム(夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


イザベル「そろそろ・・・かな・・・」


◯46花色荘リビング(日替わり/夜)

 花色荘のリビングにいるカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 花色荘のリビングにはテーブル、椅子、ソファ、テレビ、ゲームがある

 カナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベルは私立東堂高校の制服を着ている 

 テーブルに向かって椅子に座っているカナメ、トワネ、ソウヤ、チヅル、イザベル

 テーブルの上には箱に入ったたくさんのデリバリーのピザが置いてある

 イザベルはモジモジしている

 話しているカナメたち


ソウヤ「前夜祭って言うから何かあるのかと思ったけど、ただのピザパーティーか」

チヅル「しょうがないじゃん、時間がなかったんだから」

トワネ「追加注文する時はカルボナーラを忘れるな」

チヅル「(呆れて)はいはい」

カナメ「イザベル、大丈夫?」

イザベル「(モジモジしながら)じっ、自分こういう会には出席するのは初めてなので・・・す、少し緊張してます」

トワネ「どこが少しだ、失禁しそうなくらい緊張してるだろ」

イザベル「(モジモジするのをやめて驚いて)しししししし失禁っ!?」

トワネ「料理の前だぞ、下品な言葉を口にするな」

イザベル「ごっ、ごめんなさいっ!!」

カナメ「トワネが最初に言ったんだけどね」


 花色荘の玄関の方から誰かが帰って来た音が聞こえて来る


ソウヤ「帰って来たみたいだ」


 リビングにヒヨリ、マナカ、シィア、白衣姿のトキコがやって来る

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている


マナカ「ただいま帰りましたわ」

ヒヨリ「遅くなってすまな・・・」


 ヒヨリはイザベルのことを見た瞬間口を閉じ、素早くマナカの胸に手を当てる

 ヒヨリが素早くマナカの胸に手を当てた瞬間、マナカの体が小さなブラックホールのようなものに変わる

 ヒヨリは小さなブラックホールをイザベルに向かって投げようとする

 ヒヨリがイザベルに向かって投げようとしていたブラックホールがナイフに変わる

 ヒヨリがイザベルに向かって投げようとしていたナイフは、マナカがヒヨリと契約して”姫”になった姿


カナメ「や、やめてヒヨリさん!!」


 ヒヨリはイザベルに向かってナイフを投げようとしたまま動きを止める


トキコ「あ、あんたこんなとこで何をするつもりよ!!」

ヒヨリ「(イザベルに向かってナイフを投げようとしたまま)場所は関係ないだろう博士」


 イザベルは自分に向かってナイフを投げようとしたまま動きが止まっているヒヨリのことを見る


イザベル「(自分に向かってナイフを投げようとしたまま動きが止まっているヒヨリのことを見て驚いて)あっ、あれっ!?あれっ!?いぃぃいいいいつの間にこんなことにっ!?」

カナメ「ひ、ヒヨリさん、ナイフを下ろして」

ヒヨリ「(イザベルに向かってナイフを投げようとしたまま)カナメは私に頼んでいるのか?それとも命令しているのか?」

カナメ「た、頼んでます」

ヒヨリ「(イザベルに向かってナイフを投げようとしたまま少し笑って)なら・・・」


 ヒヨリはイザベルに向かって思いっきりナイフを投げる


ヒヨリ「(少し笑いながらイザベルに向かって思いっきりナイフを投げて)気持ちが足りていないようだな!!」

チヅル「イザベル!!」


 イザベルは素早くテーブルの上のフォークを手に取る 

 素早くテーブルの上のフォークを手に取ってヒヨリが思いっきり投げて来たナイフをフォークで弾き返すイザベル

 イザベルがフォークで弾き返したナイフは、シィアの真横を通り花色荘のリビングの壁に突き刺さる

 

シィア「危ねえだろアホ」


 少しの沈黙が流れる

 

チヅル「お、落ち着いて二人とも」

ヒヨリ「(少し笑いながら)私は常に怖いくらい落ち着いているぞ、チヅル」

チヅル「じゃ、じゃあその怖い雰囲気を無くしてもらえませんかね」


 突然、ヒヨリの頭上に小さな穴が出来る


ヒヨリ「(少し笑いながら)誰か説明してもらおうか」

トワネ「説明してもらいたいのは私の方だ、ヒヨリはせっかく頼んだピザをダメにするつもりか?」

ヒヨリ「そんなことを気にしているのは貴様だけだ」

カナメ「ぼ、僕がイザベルを誘ったんですヒヨリさん」

ヒヨリ「(少し笑って)ほう、では愚か者の事情を聞いてみるとするか」

カナメ「ひ、ヒヨリさんとイザベルがお互いにしてる誤解を解きたくて」

ヒヨリ「(少し笑いながら)誤解?」


 ヒヨリの頭上に出来た小さな穴が開く

 

カナメ「ふ、二人ともお互いに思っているような人じゃないはずだから」


 ヒヨリの頭上に開いた小さな穴から2本の刀が現れる

 ヒヨリの頭上に開いた小さな穴から現れた2本の刀は、マナカがヒヨリと契約して姫になった姿の一つ


ヒヨリ「(少し笑いながら)そうか・・・・ならカナメの言っていることが正しくて、私が誤っているのか、自らの手で確かめてみよう」

カナメ「や、やめてヒヨリさん、それじゃ意味がない」

ヒヨリ「物事の意味を決めるのはお前ではない、この私だ」


 ヒヨリは頭上に開いた小さな穴から現れた2本の刀を手に取ろうとする

 ヒヨリが頭上に開いている小さな穴から現れた2本の刀を手に取ろうとした瞬間、トキコがヒヨリの手を掴む


トキコ「(頭上に開いている小さな穴から現れた2本の刀を手に取ろうとしていたヒヨリの手を掴んで)ちょっと、この家は私が家賃を払ってんのよ。あんたらを住まわせるために少ない給料を捻り出してるっていうのに、更に修理費まで出させるんじゃないでしょうね」

ヒヨリ「(頭上に開いた小さな穴から現れた2本の刀を手に取ろうとしてトキコに手を掴まれたまま)金など後でいくらでも工面すれば良いだろう」

トキコ「(頭上に開いている小さな穴から現れた2本の刀を手に取ろうとしていたヒヨリの手を掴んで)ガキのくせに生意気言ってんじゃないわよ、あんたに力があってもこの家の物事を決めるのは私よ、分かる?私はあんたたちの保護者であり上司なの」


 再び沈黙が流れる

 ヒヨリの頭上に開いた小さな穴が閉じ、2本の刀が消える

 トキコは渋々ヒヨリの手を離す


トキコ「(渋々ヒヨリの手を離して)今度私情で第六の力を使ったらあんたを作戦から外すように司令にお願いするわ」


 少しの沈黙が流れる


ヒヨリ「契約を切れ、マナカ」


 花色荘のリビングの壁に突き刺さっていたナイフが強く光り、ナイフが消えて全裸のマナカが現れる

 マナカは変わらずカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 カナメは慌てて俯く

 

チヅル「ま、マナカ先輩服服!!カナメとソウヤは下を向いて!!」


 俯いているカナメの顔が真っ赤になる


カナメ「(顔を真っ赤にし俯いたまま)は、はい」


 ソウヤは下を向く


ヒヨリ「何か着て来い、マナカ」

マナカ「了解ですわ」


 マナカは自分の部屋に向かう

 再び沈黙が流れる


ソウヤ「(下を向いたまま)もう良いかな」

チヅル「う、うん」


 カナメとソウヤは顔を上げる

 テーブルに向かって椅子に座るトキコ

 トキコはイザベルのことを見る


トキコ「(イザベルのことを見て)あんたが噂の転校生?」

イザベル「い、イザベル・カーフェンと言いますっ!!みっ、皆さんと晩ご飯を一緒に食べることが出来てとても嬉しいですっ!!」


 トキコはイザベルのことを見るのをやめる


トキコ「(イザベルのことを見るのをやめて)犬みたいな子ね」

イザベル「(照れながら)えへへ、よく言われます」


 シィアはテーブルに向かって椅子に座る


シィア「(テーブルに向かって椅子に座って)匂いも犬みたいですね」

イザベル「(驚いて)うぇえええええええええええええっ!?じっ、自分そんな匂いしますか・・・?」

シィア「(淡々と)シィアちゃんジョークです」

イザベル「じょ、ジョーク・・・ですか・・・?」

シィア「(淡々と)はい」

ソウヤ「彼女はアンドロイドなんだ」

シィア「へ、へぇー・・・ろ、ロボットさんなんですね」

シィア「(淡々と)はい、私はロボットさんなの」

 

 少しの沈黙が流れる


チヅル「ひ、ヒヨリ先輩も座ったら?」


 ヒヨリはテーブルに向かって椅子に座る

 服を着たマナカがリビングに戻って来る

 マナカはテーブルに向かって椅子に座る


マナカ「(テーブルに向かって椅子に座って)お待たせしましたわ、皆さん」

チヅル「あ、はい」

トキコ「それじゃ、食べるとしますかね」


 時間経過


 カナメ、チヅル、トキコはマルゲリータピザを、トワネはバンビーノピザを、ソウヤはペスカトーレピザを、ヒヨリはジェノベーゼピザを、イザベルはペパロニピザを食べている

 シィアとマナカは何も食べていない

 話をしているカナメたち

 チヅルはペパロニピザを一口食べる


イザベル「(ペパロニピザを一口食べて)でっ、出来合いのピザという感じがして美味しいですね!!」

チヅル「褒めてるの、それ」

イザベル「はっ、はい!!」


 トワネはバンビーノピザを一口食べる


トワネ「(バンビーノピザを一口食べて)まあ、カナメが毎朝いそいそ買ってる握り飯よりは美味しいと言ったところか」


 カナメはマルゲリータピザを一口食べる


カナメ「(マルゲリータピザを一口食べて)もう買うのやめるよ、トワネ」

トワネ「(不機嫌そうに)大泣きするぞ?」

カナメ「あくまでも買って来いって姿勢なんだ」

トワネ「(不機嫌そうに)当たり前だろ、食事は命に関わる」

シィア「その点アンドロイドは健康第一の食事を用意しますが」

トワネ「(不機嫌そうに)黙れポンコツ」


 イザベルはマナカのことを見る


イザベル「(マナカのことを見て)、あの・・・」

マナカ「何ですの?」

イザベル「(マナカのことを見たまま)たっ、食べないんですか・・・?」

マナカ「皆さんが食事を終えてからゆっくりただきますわよ」

イザベル「(マナカのことを見たまま)そっ、そうですか・・・」


 イザベルはマナカのことを見るのをやめる


トキコ「マナカは昔から人前でご飯を食べないのよ」

イザベル「えっ?」

マナカ「わたい、顔に傷がありますの」

イザベル「だっ、だからマスク・・・つ、付けてるんですね」

マナカ「ええ」

ソウヤ「チヅル、マルゲリータとペスカトーレを交換してくれないかい」


 チヅルはマルゲリータピザを一口食べる

 マルゲリータピザを一口食べてマルゲリータピザが入っている箱をソウヤの方に流すチヅル


ソウヤ「ありがとう」


 ソウヤはマルゲリータピザを一口食べる

 ソウヤとチヅルのことを見るイザベル


ソウヤ「どうしたの?イザベル」


 イザベルは慌ててソウヤとチヅルのことを見るのをやめる

 

イザベル「(慌ててソウヤとチヅルのことを見るのをやめて)ななななな何でもありませんっ!!」

チヅル「マルゲリータが食べたいならそう言いなよ」

イザベル「ま、マルゲリータは・・・い、いらなくて・・・」


 イザベルはモジモジする

 ジュノベーゼピザを一口食べようとしているヒヨリ

 イザベルはモジモジしながらジェノベーゼピザを一口食べようとしているヒヨリのことを見る

 再び沈黙が流れる

 ヒヨリはジェノベーゼピザを一口食べようとするのをやめる


ヒヨリ「(ジェノベーピザを一口食べようとするのをやめて)何故こちらを見ている」

イザベル「(モジモジしながらジェノベーゼピザを見て)おっ、美味しそうだと思っちゃいました・・・」

ヒヨリ「貴様は人の食事が美味しそうなら直視し続けるのか?」

イザベル「(モジモジしながらジェノベーゼピザを見て)みっ、見るのにお金はかかりませんし・・・」

トワネ「(少し笑って)危なかったなイザベル、私がヒヨリの立場ならお前に金を要求をしてたところだ」


 トワネはバンビーノピザを一口食べる


ヒヨリ「私はトワネほど器の小さい人間ではない」

トワネ「(少し笑いながら)それならヒヨリがすることは決まったようなもんだな」


 少しの沈黙が流れる


カナメ「ヒヨリさん」

ヒヨリ「何だ」

カナメ「イザベルへの誤解は、今なら解けるんじゃないですか」


 ヒヨリはモジモジしているイザベルのことを見る


イザベル「(モジモジしながら)よっ、よろしくお願い・・・し、ししましゅ・・・」

ヒヨリ「(モジモジしているイザベルのことを見ながら)貴様は私を魔女と呼んだのだぞ」

イザベル「(モジモジしながら)じっ、自分・・・良い魔女もいるって・・・あ、アマネさんから聞いたことがあります・・・」


 再び沈黙が流れる 

 トキコはマルゲリータピザを一口食べる


トキコ「(マルゲリータピザを一口食べて)何があったのか知んないけど、イメージは自分で変える努力をしなきゃダメよ」


 少しの沈黙が流れる

 ヒヨリはモジモジしているイザベルのことを見るのをやめる 

 ジェノベーゼピザが入っている箱をモジモジしているイザベルの方に流す

 イザベルはモジモジするのをやめる


イザベル「(モジモジするのをやめて)あっ、ありがとうございますヒヨリ先輩!!」


 イザベルはペパロニピザが入っている箱をヒヨリの方に流す


イザベル「(ペパロニピザが入っている箱をヒヨリの方に流して)こっ、これっ!!美味しいのでどうぞ!!」


 ヒヨリはペパロニピザを手に取る

 ペパロニピザを一口食べるヒヨリ


マナカ「(小声でボソッと)ヒヨリ様のお口に辛いのは合いませんわ・・・」


◯47公園(夜)

 公園にいるトワネ、ソウヤ、チヅル、ヒヨリ、マナカ、シィア、トキコ、イザベル

 マナカはカラスがデザインされた鉄仮面を付けている

 公園にはブランコと滑り台がある

 公園にはトワネたち以外に誰もいない

 話をしているトワネたち


トキコ「30過ぎのクソババアと公園で何すんのよ」

シィア「(淡々と)100過ぎのアホアンドロイドと公園で何するの?」

チヅル「メインイベント」

ヒヨリ「マナカ、帰るぞ」

マナカ「ええ」

チヅル「せ、せめてカナメが来るまでは待っててくださいよ」

ヒヨリ「私は人に待たされるのが嫌いなのだ」

トワネ「(少し笑って)そう言うな、きっとそろそろ戻って来るさ」

イザベル「温泉を掘り起こすための道具でも持って来るのでしょうか・・・?」

ソウヤ「どうして温泉?」

イザベル「み、皆さん、前に旅館に泊まっていたので・・・」

チヅル「え、何でそんなこと知ってんの?」

イザベル「じ、自分・・・ある程度のことなら・・・」


 カナメが走って公園の中に入って来る

 カナメはたくさんの手持ち花火、打ち上げ花火、水の入ったバケツを持っている


カナメ「ご、ごめん遅くなって」


 イザベルはカナメが持っているたくさんの手持ち花火、打ち上げ花火、水の入ったバケツを見る


イザベル「(カナメが持っているたくさんの手持ち花火、打ち上げ花火、水の入ったバケツを見て)何ですか・・・?それ」

 

 カナメは水の入ったバケツを地面に置く


カナメ「(水の入ったバケツを地面に置いて)花火だよ」

イザベル「花火・・・?」


 トキコはポケットから使い捨てライターを取り出す

 使い捨てライターをトワネに投げるトキコ

 トワネはトキコが投げた使い捨てライターをキャッチする


トワネ「(トキコが投げた使い捨てライターをキャッチして)高校生のイベントに花火は必須らしいからな」


 時間経過


 カナメたちは花火をしている

 カナメ、シィア、イザベルはしゃがんで線香花火を持っている

 トワネ、ソウヤ、チヅル、トキコはススキ花火を持っている

 ヒヨリとマナカは手持ちの変色花火を持っている

 ススキ花火を持ちながら話をしているトワネ、ソウヤ、チヅル、トキコ


トワネ「(ススキ花火を持ちながら楽しそうに)我が右手に封印されし禁断の能力を解き放つ時が来たようだな!!」

チヅル「(ススキ花火を持ちながら)厨二病」

ソウヤ「(ススキ花火を持ちながら少し笑って)トワネはクールぶってるだけなんだよね」


 トワネは持っているススキ花火をソウヤとチヅルに向ける


トワネ「(持っているススキ花火をソウヤとチヅルに向けて楽しそうに)カップルはこれでも食らえ!!」

チヅル「(ススキ花火を持ちながらトワネが向けて来たススキ花火を避けて)ちょっと危ないでしょ!!」


 トワネは持っているススキ花火をソウヤとチヅルに向けるのをやめる


トワネ「(持っているススキ花火をソウヤとチヅルに向けるのをやめて不機嫌そうに)火遊びをしてて今更危ないなんて言われても困るんだが?」

トキコ「(ススキ花火を持ちながら)あんたら火傷するんじゃないわよー」

ソウヤ「(ススキ花火を持ちながら少し笑って)さっきのナイフの時と違って冷めた対応をするんですね、トキコさん」

トキコ「(ススキ花火を持ちながら)熱いのは花火だけで十分よ」


 ヒヨリとマナカがしていた手持ちの変色花火の色が黄色から赤に変わる

 変色花火を持ちながら話をしているヒヨリとマナカ

 

ヒヨリ「(変色花火を持ちながら)美しいな、マナカ」

マナカ「(変色花火を持ちながら)火は美しくなんてありませんわ」

ヒヨリ「(変色花火を持ちながら)つ、月夜に照らされた花火が一際輝いているではないか」

マナカ「(変色花火を持ちながら)輝いているのは血でしょう?」


 少しの沈黙が流れる


マナカ「(変色花火を持ちながら)火が死の象徴であることを、ヒヨリ様は忘れたわけじゃありませんわね?」

ヒヨリ「(変色花火を持ちながら)ああ・・・火は恐ろしいものだ・・・」


 ヒヨリとマナカの手持ちの変色花火の火がゆっくり消え始める

 ゆっくり火が消えかけている変色花火を持ちながら、しゃがんで線香花火を持っているカナメのことを見るヒヨリ

 カナメはしゃがんで線香花火を持ちながらシィアとイザベルと話をしている


イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)花火がこんなに綺麗なものだとは知りませんでした」

カナメ「(しゃがんで線香花火を持ちながら)うん。僕も忘れてた」

イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)わ、私は今日が初めての花火です

シィア「(しゃがんで線香花火を持ちながら)左に同じく」

カナメ「(しゃがんで線香花火を持ちながら)そうなんだ、僕は小さい頃に、家族として以来かもしれない」

イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)そういうのも良いですね、私も今度姉妹でやってみたいです」

カナメ「(しゃがんで線香花火を持ちながら)僕が家族と花火をしたのは、もう昔のことだけどね」

イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)それでも、素敵な思い出です」


 再び沈黙が流れる


イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)今日は・・・ありがとうございました、カナメさん」

カナメ「(しゃがんで線香花火を持ちながら)ううん。これでヒヨリさんとの誤解が解ければ良いんだけど」

イザベル「(しゃがんで線香花火を持ちながら)それは心配いらないと思います。私、ヒヨリ先輩のことを信じてみたくなりました、皆さんから信頼されている人だし、きっと私が分かっていないだけで、たくさん良いところがあると思いますから」

カナメ「(しゃがんで線香花火を持ちながら)そっか」


 イザベルがしゃがんだまま持っている線香花火の火がが地面に落ちて消える


 時間経過

 

 カナメとヒヨリはブランコに座っている

 公園の地面には打ち上げ花火が置いてある

 使い捨てライターで打ち上げ花火に火を付けようとしているトワネ

 ソウヤ、チヅル、シィア、マナカ、トキコ、イザベルは打ち上げ花火の周りにいる

 ブランコに乗ったまま話をしているカナメとヒヨリ


ヒヨリ「(ブランコに乗ったまま)平和だな」

カナメ「(ブランコに乗ったまま)そうですね」


 トワネは使い捨てライターで打ち上げ花火に火を付ける

 火の付いた打ち上げ花火から離れるトワネ


ヒヨリ「(ブランコに乗ったまま)これはカナメが一人で考えたことなのか」

カナメ「(ブランコに乗ったまま)トワネやチヅルと話し合ってしたことです。最初に考えついたのは僕だけど」


 火の付いた打ち上げ花火から空に向かって数発の花火が上がる

 トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、マナカ、トキコ、イザベルは火の付いた打ち上げ花火から空に向かって上がった数発の花火を見ている


チヅル「(火の付いた打ち上げ花火から空に向かって上がった数発の花火を見ながら)これでオソレが倒せたらよかったのに」


 イザベルはチラッと火の付いた打ち上げ花火から空に向かって上がった数発の打ち上げ花火を見たまま、チヅルのことを見る

 火の付いた打ち上げ花火から空に向かって上がった数発の打ち上げ花火を見るのをやめるイザベル

 イザベルは俯く

 火の付いた打ち上げ花火から連続で空に向かって花火が上がる

 ブランコに乗りながら、火の付いた打ち上げ花火から連続で空に向かって上がった花火を見ているカナメとヒヨリ

 カナメとヒヨリは変わらずブランコに乗り、火の付いた打ち上げ花火から連続で空に向かって上がった花火を見ながら話をしている


ヒヨリ「(ブランコに乗り、火の付いた打ち上げ花火から連続で空に向かって上がった花火を見ながら)私は決して、お前の言っていることの全てを否定するつもりはない。だが・・・な・・・私は私の中にある正義が大事なのだ、その基準は世界でもなければ、カナメでも、あのイザベル・カーフェンという女でもない」


 打ち上げ花火に付いていた火が消える

 打ち上げ花火から花火が上がり終える

 トワネ、ソウヤ、チヅル、シィア、マナカ、トキコは空を見るのをやめる


トワネ「(空を見るのをやめて退屈そうに)なんだ、もう終わりか」

チヅル「花火ってのはどれも呆気ないもんだね」


 ヒヨリはブランコに乗ったまま空を見るのをやめる


ヒヨリ「(ブランコに乗ったまま空を見るのをやめて)結局のところ、私に必要な正義は私にしかなく、お前に必要な正義も私の中にあるのだ」

カナメ「(ブランコに乗り空を見他まま)僕はヒヨリさんだけじゃなくて、みんなに選んで考える権利があって良いと思います」


 イザベルは顔を上げる

 ブランコに乗っているヒヨリのところに行くイザベル

 イザベルはブランコに乗っているヒヨリの前で立ち止まる

 ブランコに乗っているヒヨリに向かって頭を下げるイザベル


イザベル「(ブランコに乗っているヒヨリに向かって頭を下げて)ご、ごめんなさい・・・」

ヒヨリ「(ブランコに乗ったまま)何の謝罪だ」

イザベル「(ブランコに乗っているヒヨリに向かって頭を下げたまま)そ、その・・・自分・・・ま、魔女の偽物と決めつけてしまったので・・・」

ヒヨリ「(ブランコに乗ったまま)これは始まりに過ぎない・・・(少し間を開けて)お前が私を受け入れた時、第六の女王の道が新たに切り開かれるだろう」


◯48シングルルーム(深夜)

 ホテルのシングルルームにいるイザベル 

 ホテルのシングルルームは狭く、小さなベッドとテレビしかない 

 イザベルはベッドの上で横になっている


『第十話 契約者、恋する者、天使、魔女』 後編へ続く。

10話を分割する予定はなかったのですが、文字数を超えてしまったため分けて投稿することになりました。。。

すみません。。。

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