結果論
この作品には、自殺を示唆する表現が含まれています。
苦手な方は閲覧に注意してください。
また、誤字等ありましたらコメントしていただけると助かります。
人は、誰のことも理解できない。出来ることといえば空気を察して静かに読むことくらいだ。人は永久に絶対的個人なのだ。
わからないということはときに艶やかな魅力を所持している。わからないから解ろうとする。解りたいと思う。それを人は愛と呼ぶ。
わからないことは確かに面白いし、楽しい事だ。それは初めて宇宙の未知に触れたときのような胸の高まる感じがある。またそれと同時にとてもつまらない事でもある。言うなればそれは何か理解の到底及ばない難関な試験を解いているときのような感じてある。
これらのことは矛盾していることのようであるが、この二つの形質はいわゆる順序でしかない。人との出会いというのは初めは浮かれるような熱を持つ。相手を知りたいという欲求で満たされる。だがしばらくすると先程まで己を浮つかせていた熱は冷め、そこには室温と同じだけの温度しか持ち合わせないスープのような、コーヒーのような。つまらないに限るものだけが残る。
世の中が結果論だとすれば、人とはとてもつまらないものだ。
私はこの事実に対面するのにはもう疲れた。今だけを生きたい。過去も未来ももう捨ててしまおう。今を、今だけを見て生きていこう。死にたくなったら死ねばいい。
それが私の人生の結果論だ。
私の思想は冬の川の底の猫。