第八話:決意
・・・話を整理しよう。
まず、ここは異世界。
シェンランという国で、風の神殿を要する五王国のひとつ。
わたし、大月千尋は皆既日食の最中、ここへ落っことされたらしい。
認めたくないけど、精霊を従える力持つ巫女で、太陽と月の巫女、と呼ばれる存在らしい。
皆既日食の周期にあわせて異界より巫女と呼ばれる女性が現われるのは、時代時代に一人だけらしい。(・・・でも気づかないだけで来てる人もいるかもね。)
黒髪に月色の瞳の巫女は、今までいなかったらしい(・・・でも来ていたかも)
黒髪、黒目の娘は黒い太陽の巫女姫、と呼ばれ、五つの国の何れかに居を構えるらしい。(・・・)
その際、国の権威を誇示するためか、精霊を従えることのできる巫女姫の、周囲への影響を考えてか、その国の国王と結婚する。(これって力関係考えると・・・強いのは、国かな?巫女姫かな?)
今のとこ、私の味方は、風の精霊と・・・(ぐおっと風がうなった)
火の精霊(ぐんっとろうそくの火が大きく踊った)
そして、風の長と名乗ってくれたカーシャさん。
あと、情報をくれる侍女サンたち。
そして・・・夢に出てきた巫女様。
うん、味方かって言えば首を傾げる存在よね。一方的に夢ん中で感情曝け出していた人だし。46年も前の失踪女性なんてわたし、知らないもん。
・・・まあ、今わかっていることはこれぐらいか。
そして、最大の難点は。
このままだと間違いなく太陽と月の姫巫女にされて、どっかの国の権威の為に、王様と結婚させられるってことか。
「・・・逃げる。けど、状況もわかんないまま逃げ出してもやがて捕まる、よねえ・・・。」
だから、状況を見よう。味方になってくれそうな人の元に逃れるか、無理なら、少しでも悪意の無い人の下で、知識を得よう。そのためには、もっと私を・・・太陽と月の巫女のことを知らなければならない。
「わたし」がどれほどの力を持つのか。
「わたし」はどれほどの影響力を持つのか。
私は私の為に知らねばならない。