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第五十話:前夜祭・3

15禁・・・。

 墓穴を掘ってしまった・・・。

 王様からの愛の告白を受けて、周りは、一時騒然となった。

 ・・・主に、孔雀美女の失神騒動で。

 ・・・つうか、気絶してる暇があったら、根性見せろ!王様に色目使え!身体で迫れ!

 王様達の渦中に私一人残して、消えないでくれー!!!



 リシャール様が、怖い。じーっと見つめられた挙句、『そんな不安を感じないくらい、愛して差し上げます』って言われて、気がついたら、押し倒されて、いやにマジな目で、『楔で繋いで差し上げる』って・・・言われた。

 楔ってなに。

 ・・・なんて言ったら、きっと朝日は拝めない事になる!と、直感がそう言っていた。

 リシャール様の濃厚な口づけに翻弄されながら、あんなこと言わなきゃ良かった、と後悔の涙を零した。

 ・・・リシャール様の暴走を止めてくれたのは、セイラン様とオウランだった。

 でも、セイラン様にも、オウランにも、愛の告白をされてしまって、身動きが取れない。

 がっちりホールドされて、こちらも『わかるまで何度でも』と口づけされてしまった。

 かわるがわる、三人が濃厚な技巧を凝らして、口付けるので、腰も立たなきゃ背骨はどこよ?な感じになって、ぐったりと身を預けるまでそう時間はかからなかった。

 わかった。

 よくわかりました・・・。

 だからもう、はなしてー!

 

 濡れた唇は甘く熟して、格別な味わいだった。

 身に流し込まれた快楽に震える様は、いとおしく、慣れない風情が、情欲を呼ぶ。

 流す涙も甘く、蕩けるようで、いけない。

 この身が、この心が、あれが欲しいと叫ぶのだ。

 この楔打ち込んで、逃げられぬように縛り上げ、快楽の毒を流し込み、その身も心も縛り上げ、縛り付け、全てを。

 揺れる瞳が所在無げに、陰りを見せる。

 優しい彼女は、この国の内包する闇を見つめ、祓おうと心くだく。

 彼女を守る、それは事実。

 そのための力。そのための知恵。

 ・・・では、この狂気にも似た思いは、彼女を損ねはしないのか?

 戸惑いに揺れる心。しかし、それでも。だからこそ、欲しい。

 

 「リシャール殿。貴殿らしからぬ振舞いだな。セイラン殿も、オウラン殿も、いささか、逸りすぎではないか。おかわいそうに、貴殿らの本気に触れて、巫女殿が震えているぞ。明日は、当方における最大の催し。その要の巫女殿に、倒れてもらっては一大事。今宵の宴はここまでとしたいが、いかが?」

 頼りない風情で王達の中に在る華一輪。

 手折りたくなるのも良くわかるその華は、可憐な花弁に色を乗せ、滴る蜜を隠し持つ、胸を騒がせる芳香の、稀なる華。

 いずれの公子が手折るのか、何処の水に馴染むのか。先が知りたい。華のゆくさきが。

 けれども、いまは。

 「・・・巫女殿。部屋までお連れしよう」

 エルレアの言葉に、王達が遮った。

 「・・・いいや。結構だ。チヒロは、我らの手で、部屋に返す。気を使わせた、すまぬ」

 セイランがそう言えば、傍らの王達も頷いた。その彼らを見据え、エルレアはしばし、何事かを呟いた。

 チヒロは、リシャールの胸に顔をうずめ、半眼の目はうつろに溶けていた。

 首筋から頬を指でなぞられ、身を震わせる。砕けそうな細腰を、オウランが支えていた。

 そっと抱き上げられて運ばれた。

 後に残るは、エルレアのみ。



 アレクシスとシャラが交互に三人に目線を合わせた。呟くように、言った。

 「・・・引けないのか?チヒロには、荷が重いだろう?」

 「引く気はない」

 「私も」

 「俺もだ」

 「・・・なあ、お子ちゃまだと言っただろう、もう少し待ってやれよ・・・」

 「そうして、待ち続けて、逃げられるのか?」

 三人の男達は、真剣なまなざしで残る二人を見遣った。

 その目に、アレクシスとシャラが、とうとう折れた。

 「・・・ち!わがままな奴らだ。チヒロを、壊すなよ!心もだ!」

 「チヒロ、隣で待っているから、怖くなったら大声を上げなさい。何といわれても構わない、助け出してあげるからね、いいかい?」

 シャラは三人に向けて言い放ち、アレクシスは、うつろなチヒロに向けて、懇々と説いていた。

 大きなお世話だと言いたげな顔で、男達は分かたれた。

 二人の前で、締まる扉。

 アレクシスとシャラは顔を見合わせ、ため息をついた。



 

 秘めやかに、秘め事は行なわれる。

 リシャールの本気に翻弄され、セイランの技巧に打ちのめされ、オウランの焦らしに咽び鳴いた。

 王の望みのままに、その身を与え。

 王の望みのままに、声を上げ。

 王の望みのままに・・・。


 朝は。

 それでも、やってくる。

 リシャール様が、嬉しそうに髪を梳いてくれた。手触りが気持ちいいのか、しきりに何度も髪を撫でてくれる。

 セイラン様は、冷たく冷やしたキュイの実のすりおろしを、口元まで運んでくれる。

 オウランはされるがままの私を膝に抱え、身体を支えてくれていた。

 そして、わたしは・・・。

 穴があったら入りたい。と、顔を上げられずにいた・・・。

 なんで、許しちゃったんだろう。なんで、かなあ。

 真剣な顔で、乞う様に求められて、その眼差しに、抗う事なんて出来なくなって。

 気がついたら、頷いていた。

 で、ででででも。

 ふと、冷静になって思うのは。

 ・・・思う、事は。


 は、はじめてなのに、さささサンニンッテナンテコトヲオオオオオオ!!

 し、しかも、なんか色々消し去りたい記憶が・・・きおくが・・・。

 

 はかあなをほろう。


 「チヒロ、墓穴と書いてボケツと読むんだよ」


 しってるわあああああああ!!!!!


 記憶を埋めて、なかったことにするための穴を掘りたいの!ボケツよりはかあな!


 「忘れたいと、そう言うの・・・?」

 リシャール様の憂い顔は、破壊力も、迫力も、すごいんです。

 うああ、としか声が出なくなる。

 「私は、嫌だ。チヒロのあのときの顔は、とてもかわいらしくて、食べてしまいたいと、本気で思うほどのモノなのに。チヒロは、どこもかしこも、甘くていい香りがして、チヒロの中はえもいわれぬ快楽の坩堝なのに・・・」


 ・・・・・・・・・いいいいやあああああああああああああああ!!!!


 埋めて!誰か私を埋めてぇぇぇっっ!!!


 がばっと耳を塞いでうずくまる。

 

 追加。


 爆弾発言の破壊力もすごいんです・・・。


 


 チヒロ、

はっと気付いたら、処女喪失・・・。こら。

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