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第十五話:お茶会。しかしてその実態は!

 ・・・ちょっと叫んでみようかと思います。

 ここまで溜まったフラストレーション、どうして晴らさずにいられましょうか。


 立ち上がり、肩幅まで両足を開き、大地を踏みしめ、すううっと息を大きく吸って。

 「セイラン様のむっつりすけべえええええええええっっ!!!」

 「オウランのボケなすうううううううううううううっっ!!!」


 ああ、すっきりした。

 周りに控えてる侍女サンたちが青くなってわたわたしてる。

 ふん。

 ここは宮殿の中庭。

 そよと吹く風が木々を揺らし、土の香りと太陽の香りと相まって、穏やかな時間を演出している。

 しっかり大地を踏みしめて、腹から叫ぶと気持ちいいなあ。



 くすくす笑いながらセイラン様登場。

 苦ーい顔したオウランも一緒だ。

 「なんだ、今の。」

 「悪口。」

 ぽすんと椅子に座る。

 「悪口なのは解るが。なんだ、「むっつり」って。「すけべ」ってのも意味が良くわからん。」

 「ぼけなす・・・。」

 セイラン様が呟きながら、オウランを見てる。

 あ、なんか、頷いてる。わかるのか?

 「解説は断固拒否します。」

 「せんでいい。」

 


 はああっとため息をつく。

 優雅なお茶の時間。

 芳しい、お茶の香り(でも、すっぱからかった・・・(泣)。)

 目の前には、当たり前のように鎮座する、セイラン、オウランのふたり。

 ・・・はああ・・・。

 「誘拐犯と、強姦魔とお茶する日がこようとは・・・」

 ああ、やれやれと頭を振りながら呟くと、「んぐっ」とむせた、以外に常識人なオウラン。

 強姦・・・と呟き、遠い目をしたセイラン様。


 はあ、すこし黄昏はいってます。

 だってここ、シェンラン国じゃないんだよ。

 なんか、寝てる間に移動して、ここは木の国、ハクオウ国。

 どうすんのさ、シェンラン以外から界渡りしたら、それこそどこに出るのか、解らないじゃないか・・・。

 「姫の同意なしでは、あんな事はもうしない」

 「同意するはずないでしょう! 座ってお茶してるじゃないですか。不自由なのは否めないけど」

 つんと明後日の方を向いて呟けば、オウランが笑って頷いた。

 「ああ、そういえば、もうポットは飛んでこなくなったな」

 「ん。椅子もな」

 「いつぞやは、テーブルごとだったっけ・・・」

 こらそこの二人!しみじみ呟くな!

 「まあ、僕達の状況もわかってくれただろう。あのまま、シェンランにいたら、やがてチヒロはアレクシスを選んでいたはずだよ。僕らを知って欲しかったんだ。」


 ・・・実に過激な自己紹介ですね。この国の男性はどういう神経してるんだ?



 風の国への連絡は、セイラン様が態よく取り繕っててくれていました。

 ・・・私「が」わがまま言って、ハクオウ国に来ちゃった事になってるそうです。そんで,あわよくばそのまま、なし崩しに「住み着いちゃった」ことにしようと謀っていたようで・・・。よく言うよ。多分誰も信じてなかったのは明白ですね。


 ・・・あぶない、あぶない。


 ・・・その時、鷹揚と王様っぽく佇んでたセイランさまが、ふと顔を上げた。

 緑の木々がざわめいて、セイランさまの纏う気が変化した。

 次にオウランも、黒いオーラがただ漏れになる。・・・隠そうよ、そういうの・・・。

 風は優しくそよぐけど、私の声は運んでくれない。何もできないのは、この宮殿のどこかに、精霊封じの呪が施されているかららしい。

 

 

 「・・・やはり、隠すのはむずかしいね。」

 「ま、そろそろ潮時じゃないかな。風だけじゃなく、火も、水も騒いでいるからね。」


 じゃりっと土を踏みしめる音がした。

 「蜜月は終わりってことだ。」

 その場に男の人の声が響いた。

 赤い髪、赤い瞳の・・・。

 「シャラ殿がお迎えかい?良くここが解ったね。」

 オウランが椅子にすわったまま、にこやかにたずねた。

 「んー。解ったって言うか、聞こえたって言うのか・・・。城に着いた時に、姫の声が。」

 

 ・・・・わたしのこえ?


 「なんなんだあの、「むっつりすけべ」に「ぼけなす」って?」



 「あはは・・・・・。聞かないほうが・・・。」

 遠い目で彼方を見つめる。

 きょとんとした目が痛いです。シャラ様。

 

 「君がお迎えってことは、次は、シャザクスか。姫、各国を回って見聞を広め、願わくばまたここへ戻ってくださると、うれしいね。」

 

 「まだまだ、教えていないことがたくさんあるからな。早く帰って来いよ」


 最初の印象は最悪なふたり。(だってそうでしょ、強姦未遂だ。)


 わたしが、ミントな香りの毒草を食べちゃって、自殺を図ったと勘違いしたセイラン様が真っ青な顔で解毒してくれた事が切欠で、ゆっくり歩み寄れるまでは、チヒロ特製からいお茶(氷入り)をポットごと投げつけたり、いろいろやってやった。

 遠くに姿を見かけると、速攻逃げた。

 でも、根気良く、謝ってくれて、私の疑問にもちゃんと答えてくれた。

 食用以外の有用植物探そうと思ってあちこちの葉っぱ食べては昏倒してた私を助けてくれたし・・・。

 うん、後、それぞれの国の力関係を知ってからは、仕方のない事だったのかな、と思えるようにもなったけど、なったけどね!


 ムリヤリはいけない!!

 始めては、やっぱり、好きな人とじゃないと!!!

 

 

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