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最強無敵陰陽ガール  作者: 旦爺
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第三の試練~巨竜大戦~

 第一の試練、第二の試練を突破した奏は最後の試練へと辿り着いた。

 第一の試練では闇を克服し、闇の中から小さな案内人を見つけ出した。

 第二の試練では高所を克服し、危険な崖を往復した。

 その二つの恐怖を己を高めながら克服した奏に恐れるものなどない。

 今なら鬼とて恐れるに足らない存在である。

「なんだか納得できないけど、第一の試練、第二の試練突破おめでとうなのだ。」

「呉爾公君、ありがとうございます。」

 日本を代表する怪獣に似た着ぐるみを来たハムスター、呉爾公君にお礼を告げる。

 文句を言いながらもこの修行に付き合ってくれた。

「雪丸もね。」

「チチ!」

 肩に乗った相棒にも声をかけた。

 雪丸がいなければ第二の試練を突破するのには時間がかかったことだろう。

「ボクとしてはここで戻ることをお勧めするのだ。」

「え?どうしてですか?」

 呉爾公君の突然のお勧めに奏は思わず目を丸くする。

「最後の試練はこれまでの試練とは根本的に異なるのだ。まっとうに、真面目に、正面から突破した者であっても、最後の試練を突破出来た者はいないのだ。」

「わたしがズルしたみたいな言い方やめてください。」

「道具を使って闇を照らして、橋を渡らずに突破したズルっこは初めてなのだ。」

「じゃあ、最後の試練を突破する初めてにもなれそうですね。」

 奏は自信を持つ。

 ズルはしてない。ただ暗かったからライトをつけて、地面が動くので空から攻めただけ。

 ズルではない。その証拠に試練突破を示す扉は開いた。

 そしてこれまで突破できなかった試練も、突破する。

 雪丸とスマホを信じて。

「試練を受けるなら、そこの扉を開くのだ。ボクは警告したのだ。せめて、健闘を祈るのだ。」

「はい!」

 奏は最後の扉を開いた。



 扉の向こうは洞窟だった。

 美しい洞窟、その中に大きく綺麗な湖が天井を写している。

「これが最後の試練?」

「そうなのだ。」

 足元から声がしたと思ってみてみると、そこには呉爾公君がいた。

「最後の試練の時、来るのだ!」

 呉爾公君が声を張り上げると、湖からブクブクと激しく泡が溢れ出す。

 そして、その泡が何柱もの水柱となって飛び出した。

「な………」

 その水柱と共に現れたのは巨大な鎌首。一瞬蛇かと思ったが、それにしては巨大すぎる。

「ネッシー!?」

「呉爾公君よ。これが試練を突破した者か?」

 ネッシーにしか見えない水棲爬虫類が声を上げる。

 普通の生物ではない。式神か何かだろう。

「不本意ながらそうなのだ。」

「ほう。小娘、名は何という?」

「え、えっと野守奏です。」

 頭だけでも奏よりも大きなネッシー、プレシオサウルスなどに代表される首長竜に似た相手が語りかけてきて怯みながらも声を紡ぐ。

 奏も陰陽師のはしくれだ。目の前の相手の強さぐらい理解できる。

 強い。前に見してもらった父の式神よりも。

 デカい。

 恐怖に押しつぶされそうになりながらも、奏は相手を見る。

 戦いはもう始まっている。気迫で負けたらもう勝ち目はない。

「試練の内容は簡単。戦って勝つことなのだ。」

 呉爾公君から告げられたのは絶望的な試練内容だ。

 これまでの挑戦者が突破できなかったのも無理はない。こんな相手にどうやって勝てばよいというのか?

 思わず逃げ出したくなるのを押さえて相手を観察する。

 首が長い。体の大半は水の中にあるようだが、一部は露出している。

 背中の部分はカメのような甲羅に覆われており、凄く硬そうだ。奏と雪丸では砕くことは出来ない。

 狙うなら首や頭になるが、水の中に逃げられたら手の打ちようがない。

 勝てない。シンプルにして間違えようのない結論だ。

「本当に受けるのだ?」

 呉爾公君のその言葉が天啓に聞こえる。

 だけど、奏は知っている。その甘い言葉を受け入れれば、奏はもう戦えない。

 強い相手に逃げれば、修行を受けると決意した前と何も変わらない。変われない。

「当たり前です!」

 せめてと大きな声で応える。

「ボクは無謀と勇気は違うと思うのだ。」

「呉爾公君よ。それを決めるのは汝ではない。挑戦者が受けるというならば応えるのみ!」

 コォォォォォォォとプレシオサウルスが鳴くと洞窟が共鳴するように震える。

 その鳴き声だけで意識も存在も消し飛びそうだ。だけど奏は前に出る。

「雪丸。無理にとは言わないわ。」

 何をとは言わない。

 雪丸が戦いたくないと言うのなら、それは仕方ない。相手はそれだけ強大だ。

 鬼とも比較にならない強さ。雪丸だって酷く傷つくことになるだろう。

 だけど、

「チチ!」

 相棒は景気よく応えてくれた。

「わかったのだ。挑戦者・野守奏、第三の試練を始めるのだ!」

 呉爾公君が宣言する。

「挑戦者よ。力、技、術、ありとあらゆる力を持って戦え!この鈴木、全力で貴様を迎え撃とう!」

 コォォォォォォォとプレシオサウルが鳴くと、再び洞窟が共鳴する。そして、その振動が天井を崩した。

「あ………」

 バラバラと崩れた洞窟の天井がプレシオサウルスの頭へと降り注ぐ。

「………」

 天井の崩落が収まった後、そこにはぷかーんと浮かぶプレシオサウルスの姿があった。

「………」

「えっと……名前、鈴木なんだ?」

「今そこは大事なポイントじゃないのだ!」

 名乗りを聞いた時に怯んで出なかった言葉が今になって出てきた。

「確かにこの最後の試練、最後に使ったのは二十年ぐらい前だったし、業者さんもここまでは入れなかったのだ………」

「洞窟修理の業者なんていないでしょうしね。」

 これは試練突破、そう受け取っても良いのだろうか?

 奏もどうしたらよいのかわからずにきょろきょろしていると、湖の中から鈴木が首を持ち上げた。

「まさか、この私を倒す者が現れるとは………」

「待つのだ鈴木!流石にこれはなんというか……あれなのだ!」

「呉爾公君。戦いの最中、私を倒した。それは事実だ。」

「倒したというか倒れたのだ!ただの事故なのだ!」

「負けは負けだ。」

 潔く負けを認める鈴木、それに抗議する呉爾公君。

「奏。この試練を君は初めて突破した。」

「あ、ありがとうございます。」

 奏すらも受け入れきれず軽く頭を下げる。

「修行を制覇した者、私はそれに力を貸そう。」

「本当にいいのだ?アイツは何もしていないのだ!」

「呉爾公君。負けを認められないほど、私は恥知らずではない。」

「融通が利かないにもほどがあるのだ!」

 呉爾公君の抗議に鈴木は長い首を振った。

「呉爾公君。彼女は私を前に恐れずに立ち向かった。それこそが彼女が私に勝利した要因だ。違うかね?」

「それは………」

「そんな彼女に私はついて行ってみたくなった。それだけのことだよ。」

 よくわからない話が式神二体の間で広がっていく。

「奏。」

「はい!」

 困惑の中に名を呼ばれて思わず背筋が伸びる。

「以後私は君の式神として力を貸そう。」

「え?」

「今後ともよろしく。」

 鈴木はそれだけいうと一枚の札へと姿を変えて、奏の前へとおりてきた。

「えっと、式神ゲットだぜ!」

 取りあえずお札を前にポーズを決める。

「チッチチチィ!」

 雪丸が聞き覚えのあるリズムを刻んだ。

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