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最強無敵陰陽ガール  作者: 旦爺
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無力無情

「わたしは無力だ。」

 野守奏では部屋で呟いた。

 彼女の家は古くから続く陰陽師の家系であり、彼女自信も式神を操る陰陽師である。

 陰陽師は闇に紛れた鬼を倒すのが使命。

 そこで昨日の夜も鬼の気配を感じて出動し、襲われている女性を見つけたというのに、結果は惨敗。

 式神である雪丸も頑張ってはくれたのだが、結局女性を助け出すことは出来ずに無様に逃げることしか出来なかった。

 雪丸はダメージを受けてダウン。

 自分の力がもっと強ければ、雪丸がダメージを受けることなく鬼を倒せたはずだ。

 自分の力がもっと強ければ、あの女性を救うことだって出来たはずだ。

 自分の力がもっと強くなければ、この町を鬼から守ることは出来ない。

「このままじゃダメ。」

 このままの奏では町を守れない。鬼を倒すにはもっと力をつけなければ。

「そうだ修行に行こう!」

 奏は決意した。


 決意した奏の行動は速い。

 二階の自室から降りて、一階の父の部屋へと向かった。

「お父さん。奏です。」

「入れ。」

 扉をノックすると許しが出て扉を開ける。

 中に入ると、父が椅子に座ったまま奏を正面から見ていた。

「修行に行こうと思います。」

「なに?」

 奏での父もかつては陰陽師として、家の使命を担っていた。

 実際に見たことはないが、かなりの実力者であったらしく、今でも陰陽師が父に相談しに家に来るぐらいだ。

 そんな父もかつて修行をして、実力を磨いたという。

「今のわたしの実力では鬼に勝つことは出来ません。」

「まあそうだろうな。」

 陰陽師は術を操る者だ。

 術というのは世界に対するプログラムのようなもので、あらかじめプログラミングをしておくと、願力を込めることで発動出来る。

 その内容を完璧に記憶していれば、思い出すだけで発動できるが、普通は不可能なので、紙に書いておくのが普通で、かつてはお札型が多かったが、今は防水加工や持ち歩きやすさからカード型が主流となっている。

「だから修行に行きます。」

「その前に式神を増やしたらどうだ?」

 式神は術の一種である。

 そしてその役割りを説明するためには追加の説明を必要とする。

 術を発動するだけなら、術を刻んだカードに願力を込めるだけで発動する。

 ただ、例えば火の術なら発動して、火を起こすことは出来るが、それだけでは火を出し続けることは出来ない。そうしたいのなら術の中に火を出し続けるという術を組み込む必要がある。

 つまり、術はプログラミングしたことしか出来ないのだ。

 かつては複数の術を組み合わせて発動したり、状況に合わせて術を発動したりと色々工夫していたらしい。

 しかし、それでは状況に柔軟に対応するのが難しかった。

 そこで発明されたのが式神である。

 式神は術を制御するための術であり、簡単に言えばはロボットである。

 カードを願力を込めることであらかじめ様々な術を組み込んだ依代を生成し、その依代を制御するAIを組み込んだ術のセットが式神なのだ。

 AI部分が単純だと制御は簡単だが複雑な術は制御できず、AI部分を複雑にすると人のいう事を効かず逆襲することもあるという。

 その中で雪丸は初心者向きの式神だ。大した術も組み込まれておらず、力も弱い。

 鬼の相手をするには力不足である。

「ほら、この鬼火なんてどうだ?簡単そうだし。」

 父は娘の決意を前に『猫又でもわかる式神』を広げてアドバイスをした。

 式神を増やすには3つの方法がある。

 1つは既にある式神を譲ってもらう。博士からサラマンダーをもらうような方法。

 2つ目は神や魔と呼ばれる存在を式神化する方法。言ってしまえばボールを投げて毛虫を捕まえる方法。

 そして最後は自分で式神を組み上げる方法だ。最強を目指してミュウツーを作る方法。

「わたしは敗北を雪丸のせいにはしたくありません。」

「いやそれにしたって限度ってものがだなあ」

 確かに父は強力な式神を何体も所持している。

 しかし式神を扱うには力量と言うものが必要なのだ。

 自分が作った式神以外は、自分が作った式神だとしても強力な式神は言うことを効かない。

 従えるにはまず自分を高めなければならない。

 自分の力量を超えた式神を、自分で作り出したとしても制御不能となり暴走する。

「わたしは修行に行きます!」

「しかしだな」

「行きます!」

「もう少し冷静に」

「行くったら行きます!」

「いや」

「行きます!」

「話聞けや!」

 父の大きな声に奏は目を丸くした。温厚な父が出した大きな声と迫力に思わず目が潤む。

「あ、いや、そうだな!修行は良いと思うんだが、修行場選びとかまだよくわからないだろ?」

 焦った様子の父は早口で言いたいことを並べる。

「うん………」

 そして大きな声を出された娘はなんだか気持ちが沈んでしまって声が小さくなる。 

「ようし!父さんが修行場選んであげるから、そこで修行してきなさい。」

「いいの?」

「もちろんだとも!」

 奏は修行に関して父の協力を取り付けた。

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