お家での花冠づくり
リリウムちゃんとピオニーちゃんとの約束は、最速で果たされることとなりました。
本当は昨日、今すぐにでも!という思いだった様ですが、ピオニーちゃんはカメリアさまと一緒に帰らなければならなかったので諦めて頂きました。次回の営業日に、と提案しても、泣き喚いて明日が良いと訴えるピオニーちゃんに根負けしました次第です。ピオニーちゃんの粘り勝ちです。
ので、昨日はドライにするのに適した花を多めに家に持ち帰ってきました。トリフォリウムは今日はお仕事ですので、私はお店より家にいる方が安全だということになり、家で花冠づくりをすることになりました。
作業の合間の休憩には甘いものも必要ですので、グレープフルーツのタルトを焼きました。程よい酸味が疲れを癒してくれると良いのですが。
準備を終えたところで、リリウムちゃんがやってきました。リリウムちゃんは普段から家にも遊びに来てくれていますので、慣れたものです。
「マリカちゃん、今日はよろしくね。これ、お母さんから」
そう言って、茶葉の入った缶を差し出します。
「わぁ!いつもありがとうございます!開けても良いですか?」
「もちろん」
蓋を開けて香りを嗅ぐと、キャラメルの甘い香りがします。
「今日はピオニーちゃんがいるから、キャラメルフレーバーのお茶にしたの。こどもにも飲みやすいでしょう?」
確かに。甘い香りだけれど実際は甘くないフレーバーティーなら、ピオニーちゃんもタルトと一緒に飲みやすいことでしょう。
「さすがリリウムちゃん!私もキャラメルフレーバー楽しみです」
ふふ、と笑いあっているところへ、ピオニーちゃんが侍女の方と一緒にやって来ました。いつもカメリアさまと一緒にいる侍女の方ですが、今日はピオニーちゃんの御付きとしてやって来たのですね。お疲れさまです。
と、三人揃ったところで、花冠づくりの開始です。
二人に好きな花を選んで頂きます。
アジサイ、センニチコウ、ペッパーツリー、ユーカリ、カスミ草、スプレーバラ、ライスフラワー等、ドライになっても可愛い花達から其々選んでいきます。
リリウムちゃんは、アジサイ一択。以前私が被っていたアジサイの花冠が気になっていたそうです。ただし、リリウムちゃんは赤紫のアジサイ。リリウムちゃんの栗色の髪に似合いそうです。
ピオニーちゃんは、センニチコウにアジサイにスプレーバラにカスミ草と、多種類選んでいきます。良いですよ、何でも触れてみることが大切です。
其々の花を短く切って、ワイヤーで巻きつけていきます。ピオニーちゃんにはワイヤーは危ないので、私が巻きつけます。
ぐるぐると巻きつけて一周しましたら、全体のバランスを見て整えて完成です。
「完成です。どうですか?」
「わぁ!可愛い!被って見ても良い?」
「ピオニーも!」
「もちろんです。鏡を持って来ますね」
手鏡を掲げて二人の姿を映します。うん。とっても可愛いです。自分でつくったというのが、また嬉しさを倍増させているのではないでしょうか。
「やだ、可愛い!私可愛い!これ、今度のデートにしていっても良いかな?」
「はい!アドニスくんもきっと喜びますよ」
幸せな二人の様子を思い出してニヤニヤしてしまいます。
「マリカちゃん、ピオニーは?ピオニーも可愛い?」
「はい!とっても可愛いです。妖精さんみたいですよ」
「本当?魔法使いさまも可愛いって言ってくれる?」
ピオニーちゃん、まさかのトリフォリウム狙い?だった様です。




