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リリウムちゃんの相談事

「ふうー。相変わらず怖いねー、魔法使いさまは」


 ちっとも怖くなさそうにリリウムちゃんが言いました。


「んー、普段はもっとにこやかなのだけど、人見知りなのかしら?」

「まぁ、女の子にあまり良い感情がないみたいよ?地味だけど顔は整ってるし、平民だけどエリートっていう珍しい立場だから、大商会のご令嬢からも貴族のご令嬢からも狙われて、色々と嫌な思いもしたらしいし」


 まぁ。初耳。


「それはお気の毒な」

「それ以前に、そもそも他人に興味がないのもあるかも知れないけどね。うちのお父さんは、魔法使いさまが小さい頃からこのお店に遊びに来てたのを見てたらしいけど、大体いつも本を読むかちょっとした魔法を試したりしてて、同年代の子と遊んだりもしていなかったって言ってたわ」


 そうなのですか。まぁ、初めて会ったときから寝癖と目の下のクマが標準装備だったことからも想像はつきますが、思った以上にインドアで内向的だったのですね。内向的、とはちょっと違うのかしら?あ、でも最近は寝癖は私が直していますので付いていませんし、家にいけている花の効果なのか、目の下のクマも薄くなってきている気がしますよ。


「トリフォリウムも大変だったのですねぇ」

「でもマリカちゃんには優しいよね。いーっつも優しい顔してるもの!」

「そう・・・?あー、親戚だから?かしら?」


 遠い親戚という設定を思い出して言ってみます。実際はまぁ、多分巫女姫だから?第一発見者として責任を感じてくれているのと、祝福に興味があるからでしょう。が、そんなことを言える筈も無いので適当に濁します。


「ふーん。そうなのかなー?まぁそう言うことにしておくけど。それで、相談なんだけどね」


 やっと本題に入る様です。




 リリウムちゃんの相談事というのは、デートの為に、何か自分の身を飾るものを花で作ってほしいというものでした。友達以上恋人未満の、薬師見習いのアドニスくんと初デートなのだそう。ちなみに二人とも十七歳。青春ですね。何だかキラキラ眩しいです。


 花で身を飾ると言うと一番に浮かぶのは髪飾りですので、髪飾りを提案してみます。


「髪に花を挿すのは可愛いけど、すぐに萎れちゃうでしょう?萎れた花を付けた姿なんて見せたくないわ」


 その乙女心に胸がきゅんとします。ああ、なんて可愛いのかしら!


 ところで、こちらの女性は髪に花を飾る際は、短く切った花をそのまま髪に挿すそうです。吸水もしていないのですから、2〜3時間もすると萎れてきてしまうのでしょう。貴族の女性は、夜会等では替えの花を従者に持たせたりもするそうですが、やはり髪に花を飾るのは短時間のお出掛けのみとされている様です。


「大丈夫!リリウムちゃんのその乙女心、私が必ず守ってみせます!すぐに萎れない髪飾りを作りましょう!」


 私は高らかに宣言したのでした。

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