表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/71

初めてのお友達

誤字報告ありがとうございます!

 今日は花屋でのお仕事の日。あれから二週間の時が流れて、今日で三回目の出勤です。


 私は朝からせっせとミニブーケを作ります。今日はアネモネがたくさんありますので、アネモネをメインにスカビオサとブルニア、グリーンはユーカリを合わせてナチュラルな色合いで纏めてみます。小振りなバラもありますので、バラをメインにしたものも作りましょうか。バラにトルコキキョウ、グリーンにピットスポラムを散らしたら、小さな小さなウエディングブーケの様です。

 花に触れることで元気が増していく私の側では、相変わらずトリフォリウムが感心した様なお顔をして私の手元を眺めています。作っている間は手の動きに、作り終わってからはブーケにかけられる祝福に、それぞれについて感心した様にじぃぃぃっと眺めています。


「今は何を考えて作っていたの?」

 

 トリフォリウムが聞いてきます。


「花を見た人が少しでも癒されます様に、と」


 店頭に並べる花の為、ざっくりとした思いしか込められません。祝福と呼べる程大層なものでもない気がしますが、完成したときにはいつもほわっと温かいものに包まれますので、何かしら纏っているのだとは思います。


「そっか。花が優しい空気に包まれているのがわかるよ。まぁ祝福なのだから優しいものに決まっているのだろうけどね」


 そういうものなのかしら。よくはわかりませんが、トリフォリウムが楽しそうなので良しとしましょう。




「こんにちはー!マリカちゃん、休憩にしない?」



 元気よくお店にやってきたのは、二軒隣の紅茶店のお嬢さんのリリウムちゃん。お盆にティーセットを載せて来てくれました。

 リリウムちゃんは、初出勤の日にご挨拶をして以来何かと私のことを気に掛けてくれて、普段の家事やお買い物についてもアドバイスをくれる優しい女の子です。こうして、お茶を持って遊びに来てくれる様になりました。すっかりお友達です。


「ありがとうございます!嬉しいです!」


 三人でティータイムにします。が、トリフォリウムは殆ど話しません。ヘリアンサス以外の人と接しているところをあまり見たことがなかったのですが、トリフォリウムはどうやら愛想が良いほうではなかった様です。不機嫌になると言う程でもないのですが、基本、無言。いつもの様に穏やかに笑っている訳でもありません。最初は何だか気まずく感じたものですが、リリウムちゃんに全く気にした様子が無いので私も気にしないことにしました。


「魔法使いさま、マリカちゃんに相談したいことがあるの。ちょっと席を外して頂けませんか?」

「え?」


 私が驚いて声を上げてしまいました。リリウムちゃん、さすがです。無表情で無言のトリフォリウムは結構怖いのに、それを気にしないどころか席を外してほしい、と。トリフォリウムは少し嫌そうなお顔をして答えます。


「僕がいたらダメなこと?」

「女の子同士で話したいんです」


 何だか緊張感が漲っています。お互いに無表情でしばらく見詰めあった後、トリフォリウムが小さく息を吐きました。


「マリカ、僕は奥にいるから。何かあったらすぐに呼ぶんだよ」

「はい。」


 別に何も起こらないでしょうに、と思いますが、心配してくれるのはありがたいので素直にお返事をします。トリフォリウムは安心した様に薄く微笑んで奥へと入っていきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ