表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編 夢

作者: kosatai

何かしたいこと…将来の夢とかありますか?


こんな質問をされた人は世の中に大勢いるだろう。

俺はしたいことなんてわからないし、夢もない。しかし、実際ないことはないのだ。だが、それを公にして口に出せるほど俺は馬鹿じゃない。出したところで鼻で笑われるだけなのは分かってる。容姿端麗、才色兼備、なんてこともない平凡な俺は口をつぐんでありきたりな人生を送るだけなのだ。


ある放課後。


「わたし、声優になる!」

隣の席の女の子が口走っていた。なれるわけないだろうと俺はスマホの画面を見ながら小さく鼻を鳴らした。

「ちょっと何笑ってんの!」

俺の肩がびくりとあがり心臓がドキッとした。

しかし、会話の矛先が俺に向くことはなかった。

「いやさ、あんたずっと言ってるなって」

「だってわたしの夢だもん!」

「いや、うちは応援するよ?……なんか、真っ直ぐなあんたが眩しくてさ」

確かに眩しい。一部の選ばれた人間が放つ光だ。

「ねぇ君もそう思うよね?」

このタイミングでか

「ああ、なれたらすごいな」

「なれたらじゃなくてなるんだよ!!」

すごい光だ。

「まぁ、俺はごく普通に就職とかするから…夢とか羨ましいよ」

さてと、帰る準備でもするか、と立ち上がった時

「君には夢がないの??」

何度も聞かれた魔の言葉。夢。

「悪いけど俺は、現実見れてるから。」

感じが悪かっただろうか。そのままロッカーの方へ行きカバンを背負い帰路に着く。

嫌なやつなんて言っているようなそんな気がする。


帰り道。後ろで俺を呼ぶ声がした。


「おいっ!」

俺は振り返る。

「現実なんて言葉で夢を諦めるな!わたしは知ってるぞ!あんたが何やりたいのか!何になりたいのか!」

そう、俺のために言ってくれた彼女は今。俺の横にいる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ