九階 女蛮人達は復活した!
数時間後。俺は全てのアマゾネスの死体を復活させた。
俺が復活させたアマゾネスは七十五人。屍人形の魔術で一人復活させるのは数秒で終わるのだが、これだけ数がいれば結構時間がかかってしまった。
「ウル! 貴女、無事だったの!?」
「ううん! 私も死んでしまったの。それでギント様に復活させてもらったの」
俺が見ている先ではウルと復活したアマゾネスの一人が抱き合って、お互い復活した事を喜んでいた。他のアマゾネス達も同じようにこうして復活した事を喜んでおり、中には嬉しさのあまり涙を流している者もいた。
こうして喜んでもらえると復活させた俺も悪い気はしないではないのだが……。
「あいつら、いい加減服着ろよ……」
俺の目の前にいるアマゾネス達は、ただでさえウルと同じように革でできたビキニのような露出度の高い格好をしているのに、戦いによってそのビキニは破かれて半裸、または全裸となっていた。しかしアマゾネス達はその事を全く気にしていない様子だった。
アマゾネス達は全員スタイルが良くて美人な若い女性ばかりで、そんな彼女達が半裸か全裸でいる姿は正直眼福だと思うのだが、ここまで隠す気がなく堂々とされたら逆にこちらが恥ずかしい気がしてくる。
「皆の姿はご満足いただけましたか?」
俺がそんな事を考えながらウルを始めとするアマゾネス達の姿を見ていると、そこに一人の女性が近づいてきて話しかけてきた。話しかけてきたのは逞しい筋肉と非常に大きくて柔らかそうな爆乳を合わせ持つ二十代後半くらいに見えるアマゾネスで、彼女の顔立ちはウルによく似ていた。
「ああ、族長さんですか」
「ガルとお呼びください主人様。それと今は主人様が私達の主人なのですから敬語は不要です」
話しかけてきたアマゾネスはウルの母親、つまりこの部族の族長であった。俺が族長に話しかけると彼女、ガルはそう言ってきた。
「そ、そうか……。分かった。それで満足とはどういう意味だ? というかお前も少しは体を隠したらどうだ?」
俺はガルにさっきの言葉の意味を聞くのと同時に、彼女の格好を指摘した。生首から復活したガルは衣服を全く身につけていない全裸なのだが、恥ずかしいところなど一つもないとばかりに堂々と立っている。その堂々とした態度と均整のとれた肢体にウルによく似た美貌から、女性の裸を見ているというより美術品を見ているような気分だった。
「おや? 主人様は私達の体に興味があるように見えたのですが?」
「……興味があったら何だ? 俺の『相手』でもしてくれるのか?」
「はい。喜んで」
首を傾げたガルに本心を言い当てられた俺は、少し苛立ったのでわざと挑発するように言うと、彼女は綺麗な笑みを浮かべて即答した。この時のガルの笑みは自然なもので演技には見えず、俺に対する嫌悪感などは一切なかった。
あれ、おかしいな? 今の俺って、頭が猪のオークだよね? 前世の漫画やアニメとかだったら人間の女性からの印象最悪のはずなんだが?
「ガル、お前は俺を醜いとは思わないのか? いや、それより普通オークの相手をするなんて嫌じゃないのか?」
「? 主人様は銀色の毛皮が見事なご立派な銀色猪豚鬼に見えますが? それに私達は猪豚鬼と子を作る事など何とも思っていません。現に私も何回も猪豚鬼と子を作っていますし」
俺の質問にガルは首を傾げた後、かなり衝撃的な発言をしてきた。
「そうなの?」
「はい。私達女蛮人は同種族の女しか産めません。だから人間の他にも猪豚鬼や小鬼、大鬼からも子種をもらって子を作ります。確かウルも父親が猪豚鬼だったはずです」
確かに同種族の女性しか生まれなくてこんな山奥に暮らしていたら、人間だけじゃなくて人に近い姿の魔物と子作りした方が効率がいいよな。でも確かって、ウルの父親が誰か分からないのかよ……。
「そ、そうか……」
「そうです。ですが今、私達部族は主人様だけのものです。主人様に復活させていただいた私達部族は主人様に抱かれて子を作る事を至上の喜びとし、主人様以外の雄に犯される事を何よりも耐え難い屈辱とします。ですので、主人様が私達の体に興味を持ってくれたなら、これほど嬉しいことはありません。ほら」
「えっ? あ……」
ガルがウルを始めとするアマゾネス達を指差すと、彼女達は喜び合うのを止めて俺の方を見ていた。アマゾネス達は全員頰を赤く染めており、その表情は憧れの異性を見るものであった。
これって異世界転生系でよく見るハーレム展開? 俺ってば、ダンジョンマスターの次はハーレムマスターになっちゃった?