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五階 ギントはただのしかばねを見つけた!

「よし。次はこの魔術だ」


 九百九十九ポイントの才能を消費して「武器創造」、「屍人形」、「生霊操作」の三つの魔術のレベルを最大まで上げた俺は、丁度いい魔術を見つけてそれを新しく覚えると同時にレベルを最大まで上げた。新しく覚えた魔術は「身体能力強化」という魔術で、その名の通り自分の身体能力を強化する魔術だ。




[身体能力強化]

 白魔術。

 消費魔力1。

 自分の身体能力を強化する魔術。

 発動して「精神基本値」分ごとに魔力を1消費する。

 生命を「100+(精神基本値×魔術Lv)」増加。

 筋力、耐久、敏捷を「(各基本値+精神基本値)×魔術Lv」増加。




 この魔術は非常に使い勝手がいい上に、修得とレベルアップに必要な才能の量も一と非常に助かった。これですぐに敵に襲われて死んでしまうということはないと思うが安心はできない。幸いまだ日が高く時間もあるようだし、次の移動迷宮の防衛の手段を用意しないとな。


「ここだったら移動迷宮がすぐ見つかるとは思えないから、少しくらい離れても大丈夫だろ」


 どうやらここは山の奥深くのようで、俺は周囲に人間や他の魔物がいないことを確認してから「あるもの」を探すために移動迷宮から離れることにした。


 俺がこれから探すもの。それは人間、あるいは魔物の「死体」だ。


 ☆


 俺は前世から受け継いだ魔術の一つ「屍人形」のレベルを最大に上げた。これによって人間や魔物の死体があれば、それを復活させて部下にできると同時に移動迷宮の強化ができて一石二鳥だ。


 そう考えた俺は何でもいいから手頃な死体がないかともう一時間くらい探しているのだが、人間や魔物の死体どころか獣一匹見つからなかった。


「やっぱり死体なんてそう簡単に見つかるものじゃな……んん?」


 今日のところは諦めて一旦移動迷宮に戻ろうとしたその時、草むらの中に肌色の「何か」が見えたような気がした。一体何だろうかと近づいて見てみると、それは人間の女性の死体であった。


「死体……簡単じゃなかったけど見つかったな……」


 一時間以上探してようやく見つかったのだが、探していたのが死体だけに素直に喜ぶ気になれなかった。こんな山奥に一人だけ野晒しになっている、全身傷だらけで苦悶の表情を浮かべた女性の死体なんて見ているだけで痛々しい。


「全身、特に手足に傷が大量にあるがどれも致命傷には程遠い。これはここに来るまでに何度も転んでついた傷ってところかな? 外傷で死んだわけではなく苦悶の表情を浮かべて事切れているってことは死因は毒物の可能性が……いいや、止めとこう」


 女性の死体を見て彼女の死因は推察していた俺は、頭を横に振ってその考えを追い出した。どうも前世の記憶が甦ったのと同時に刑事であった頃の癖も甦ったようだが、もうそんな事はしなくていい。


 今の俺は自分の力を世の為人の為に使う忍者でも死霊魔術師でも刑事でもない。自分の力を自分の為だけに使って思うままに生きる一匹の魔物なのだ。


 それにこの女性の死因なんて、これから本人に直接聞けば済む話だ。


「さっそくやるか。『屍人形』」


 俺は女性の死体を復活させるため屍人形の魔術を発動させた。魔力を生命の代わりに送り込んだ瞬間、女性の死体が光に包まれ、光が収まった思ったら手足を初めとする全身にあった無数の傷が全て消えていた。そして……。


「あ、あれ? ここは……?」


 俺の魔術により屍人形と化して復活した女性は、苦悶の表情を不思議そうなものに変えて周囲を見回していた。


 復活は無事に成功したようだがこれは凄いな。


 今の屍人形となった彼女の表情に発言に態度……俺は何の指示も出していない。前世では死体を喋らせたり簡単な命令をさせることしかできず、死体に意思なんて宿るはずもなかったのに、今の彼女には確かな自分の意思が宿っている。


 これがレベルを最大まで上げた屍人形の力というやつか……。

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