十五階 ギントはステータス画面を調べた!
「それじゃあ誰の武器から作ろうか? そうだな……ウル、まずはお前からだ」
「は、はい!」
俺がまず最初にウルの武器を作ると言うと、名前を呼ばれた彼女は目を光らせて俺の近くまでやって来た。
ウルを最初に選んだのにはそこまで深い理由はない。ただ単に、最初に屍人形の魔術で復活させて部下にしたのがウルだったので、武器を作るのも彼女を最初にしただけだ。それなのに……。
「ウル、立派になって……」「ウルが最初だなんて……」「やっぱり彼女がギント様の……」「……羨ましい」
何やらウルは誇らしげな表情を浮かべているし、そんな彼女に対してガルは成長した我が子を見るような目を、他のアマゾネス達は羨む目を向けていた。……一体どうしたんだ、こいつら?
「ウル、お前は一体どんな……ん?」
気を取り直してウルにどんな武器を作ろうか聞こうとした俺は、彼女の目を見た時に奇妙な感覚を覚えた。それが何なのかはよく分からないが、ウルの奥底にある「何か」がもう少しで見えてきそうな気がしたのだ?
「……? ギント様? どうかしましたか?」
突然動きを止めた俺を見てウルが首を傾げて話しかけてくるが、俺はそれに答えず彼女の顔を凝視して、やがて一つの考えに行き当たった。
「もしかして……。ステータス画面、ウル」
俺が小声で呟くと次の瞬間、目の前に一枚の光の板が出現した。それは個人の能力を正確に記したステータス画面であったが、今呼び出したのは俺のステータス画面ではなかった。
[ウル]
力量:14
生命:16/16
魔力:14/14
才能:0
[能力]
筋力:7
耐久:7
敏捷:9
精神:6
[魔術]
★鋼の肉体Lv10、身体能力強化Lv10、追加強化「敏捷」Lv8、追加強化「剣撃」Lv10、追加強化「双剣」Lv6
[異名]
族長の娘、双剣初心者、部族一の双剣使い、次期族長候補、女蛮人の屍人形、最初の復活者
[装備]
鋼の肉体Lv10の魔石(体内)、革のビキニ
これはウルのステータス画面か?
「ウル。お前、両手に剣を持って戦うのが得意なのか?」
「えっ!? ギント様、どうして分かったんですか?」
魔術と異名の所に双剣と書いてあるからもしかしてと思い尋ねてみると、当たっていたみたいでウルは驚いた顔となる。やっぱりこのステータス画面は彼女のものだったか。
それにしてもウルの能力値って俺のよりも低くないか? 戦闘の時は魔術で体を強化するから大丈夫かもしれないけど、やっぱりこの世界はRPGに似ているようで違うんだな。
「まあいいか。双剣だったら二本剣が必要だな。一本はこれを渡しておく」
「はい! あ、ありがとうございます!」
「それじゃあ、早速もう一本作って……」
「ギント様!」
さっき試しに作った石のサバイバルナイフをウルに渡してもう一本、刀かナイフを作ろうとした時、まだ移動迷宮に帰ってきていなかったアマゾネス数人が、慌てた表情で戻ってきた。
「どうした? 慌てて?」
「人間の軍隊が! 私達を襲ったトリアル王国の兵士が数人、この移動迷宮にやって来ます!」
『『……………!?』』
アマゾネスが口にした言葉に、俺を始めとするこの場にいる全員が緊張に息をのんだ。