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十四階 女蛮人達は武器を手に入れた!

 正直な話、ガルの言葉とウル達アマゾネスの視線に俺は激しく心を動かされた。


 ガルやウルを始めとするアマゾネス達は全員若い美女ばかりだ。これは本人達から聞いた話なのだが、女しか生まれないアマゾネスは少しでも子作りの機会を得て種族を存続させる為、死ぬまで若くて美しい姿を保ち続けるそうだ。


 俺も男だ。美人揃いで俺の事を心から慕ってくれているアマゾネス達に囲まれて嬉しくないはずがなく、その魅力的な彼女達の体に興奮するのは当然な事だと言える。


 一瞬、このまま全てを忘れて欲望のままにアマゾネス達の体を味わい尽くそうと思ったが、それはできない。まだ俺にはやるべき事、移動迷宮の防衛を万全なものにするという仕事があるからだ。


 この移動迷宮は俺にとって非常に住み心地がいい住処となりつつある。そしてそれ以前に移動迷宮が攻略されて核が奪われれば俺は死んでしまう。だから侵入者から移動迷宮を守る備えは早いうちに整えておく必要がある。


 異世界転生系小説の主人公みたいに新たな世界での生活を楽しむのはそれからだ。


 そう心に決めた俺は心の中で首を振って煩悩を追い出し、ガル達アマゾネスに声をかけた。


「子作りはまた後だ。その前にお前達に仕事をしてもらう」


「仕事、ですか?」


 俺の言葉に反応したのはウルで、俺は彼女の目を見て頷いた。


「そうだ。仕事と言ってもそんなに難しくはない。ただ……いや、その前にまず食事だな」


 昨日と同じ仙桃一個だけの食事を終えた後、俺はアマゾネス達に一つの仕事を命じた。


 その仕事は、できるだけ多くの石を探して持ってこいというもの。そして仕事を命じてから一時間もしないうちに、アマゾネス達のよって大小様々な無数の石が移動迷宮の二階に運び込まれた。


「これだけあれば充分だろう」


「それで主人? これで一体何をするつもりなのでしょうか?」


 アマゾネス達に集めさせた石を見て俺が呟くと、ガルがこれらを集めさせた理由を聞いてきた。そうだな、まだ探しに行って帰ってこないアマゾネスも何人かいるみたいだが始めるか。


「これはウルから聞いたのだが、オークの中には武器を作れる奴がいて、それを他の種族と取引で渡しているそうだな?」


「はい。私達が使っていた武器にも猪豚鬼オークが作った武器がありました。……ああ、そう言う事ですか」


 俺の質問に答えてからガルは、俺がアマゾネス達に石と岩を集めさせた理由を理解する。


「そうだ。お前達アマゾネスにはこの移動迷宮を守ってもらうつもりだが、今のお前達は丸腰だ。だから今からお前達の武器を作ろうと思う。……こんな風にな」


 そう言うと俺はアマゾネス達が集めた石の中から適当な石を手に取り、武器創造の魔術でその石を一本のナイフに変えた。


『『……………!?』』


 俺が武器創造の魔術で石をナイフに変えると、ガルとウルの親子を始めとするこの場にいるアマゾネス達が全員、驚いたように目を見開いた。


「? どうした?」


「ぎ、ギント様……そのナイフ……」


「ナイフ? これがどうかした……おお!?」


 ウルに言われて今自分で作ったナイフを見ると、そこには石から作ったとは思えないくらい精巧な造りをした片刃のサバイバルナイフがあった。レベルが十の武器創造の魔術だと国宝級の武器が作られると魔術の説明文にあったが、まさかただの石でここまでの武器ができるとは思わなかった。


「そ、そのような見事な武器を私達に作っていただけるのですか?」


 気がつけばガルが期待するような目で俺……正確には俺の手にある石のサバイバルナイフを見ており、ウルを始めとする他のアマゾネス達もガルと同じような目で石のサバイバルナイフを見ていた。


 流石はアマゾネス。強そうな武器を見て、まるで玩具を欲しがる子供のような表情を浮かべるとはな。

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