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一階 獅子土謙人は死んでしまった!

「はぁ……! はぁ……!」


 俺、獅子土謙人は夜の町、建物と建物の隙間である路地裏を息を切らせながら必死に走っていた。


 走りながら俺は何度も俺は後ろを振り返り、追っ手が来ていないか確認する。幸い、今は追っ手の姿が見えないがまだ安心は出来ないので、周辺の注意は最大限にしておく。


 現在俺は大勢の人間に追われていた。そして捕まればまず間違いなく殺されてしまうだろう。


 なぜ俺が命を狙われているのかというと、国でも有数の大企業の陰謀にうっかり首を突っ込んでしまったからだ。まるで物語のような話だが、残念ながら作り話ではなく現在進行形の実話である。


 俺の家、獅子土家は古くから続く「忍者」であり「死霊魔術師」の家系だ。


 ……………うん、分かっている。忍者で死霊魔術師だなんてとてつもなく胡散臭い組み合わせだが、これも作り話ではなく実話だ。


 しかし死霊魔術師と言っても、ゲームや漫画のように大量の死体を蘇らせて自由自在に操るなんて真似は出来るはずもない。俺に出来るのは精々、肉のある遺体に魔力を生命力代わりに送り込み、その遺体の生前の情報を聞き出したり簡単な命令をさせる程度だ。


 元々忍者というのは諜報活動が本業なので、獅子土家のご先祖様も任務途中で死んでしまった仲間や要人の死体から情報を得るために、この死霊魔術師の術を修得したらしい。


 俺はそんな獅子土家に伝わる忍者と死霊魔術師の術を少しでも世の為に役立てたいと思い、表向きは刑事として迷宮入りとなった殺人事件の犯人を探すことにした。死霊魔術師の術で殺された被害者本人の口から目撃情報を聞き、忍者の術で犯行の証拠を集め、俺は次々と誰も解決できなかった殺人事件を解決して、一部ではそれなりに有名になった。


 だが、ある殺人事件の犯人を調べたのがきっかけになって俺は大企業の陰謀に巻き込まれしまい、今に至るというわけだ。


「……っ!?」


 路地裏を走っていると急に足が止り、俺はその場で倒れてしまった。続いて体の熱が一気に下がって気が遠くなっていく。


「一体何が……?」


 突然自分の身に起こった異常に驚いた俺は、脇腹に小さな穴が開いていて、そこから血が漏れ出ていることに気づいた。


 そういえば、ここに逃げてくるまでの間に拳銃を撃ちながら追ってくる追っ手がいたが、どうやら一発当たっていたみたいだ。いくら逃げるのに必死だったとはいえ、こんなになるまで気づかなかったなんて、我ながら間抜けすぎる。


「全く……。何をやっているんだ? 俺は……」


 大量の血を流し、自分の命が長く保たないと悟った俺は自然と一人呟いた。


 自分の力を人々の為に使おうと思ったのは、師である父親から獅子土家が忍者であり死霊魔術師の家系だと知らされた十代の時。それから二十年以上の間、俺は獅子土家の力を使って多くの人々を助けてきたと思っている。


 その事を誇りに思っていたからこそ、これまでどんなに危険な修羅場も、俺の正体を知った人達が向けてくる化物を見るような視線にも耐えてこれた。


 しかし自分の力を世の為人の為に使ってきた結果がこれだ。


 悪党の手下達に追いかけ回された挙句の暗い路地裏での孤独な死。


 本当に嫌になる。俺のこれまでの人生は一体何だったのだろうか?


「……もし、ここから生き残れたら……。生まれ変わることができたら……。次は……自分の為に、力を使って……好きに、生きて……や……る……」


 そこまで言ったところで俺は意識を失い、獅子土謙人の人生は終了したのであった。





















【獅子土謙人は???に転生した!】


【???は移動迷宮の核(欠片)を手に入れた!】


【???は移動迷宮の支配者となった!】


【???の魔力が千ポイント上がった!】


【???の才能が千ポイント上がった!】


【???は前世、獅子土謙人の記憶を取り戻した!】

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