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7話

「あはは~…… 魔法(まほお)! 魔法(まほお)が動き始めた!」

「それはいくらなんでも無理がありますよ」

「だよね~……」

 いくらなんでも抜けすぎてないかこの教師。

 選定の時に数名の中に含まれ駆け付けた位だ、他の教員や学園長からの信頼はとても厚いだろう。

 にしてはテンションがコロコロ変わったり、爆弾発言投下したり。

 いつかポロっとマーシャルの事を言ってしまうのではないか?


「コホン…… まぁ、君には知っておいて貰った方が、もしかしたら対策が見付かるかもしれないか。

 まだ市民には伝わってない情報だから、誰にも言わないでね。

 言った通り東の国から魔王が動き始めたという噂が入ってきたの」

「……それは本当ですか? 魔王が存在しているとなると魔獣による被害の報告があると思うのですが……」

「そこが不思議なんだよね~」

 魔獣は魔王が誕生すると共に全世界へ放たれる厄災の生き物。

…………しかし、中には例外もある。

 もし今回の魔王()放たないタイプだとしたらマズいな。


「まぁ今まで何も情報が無かった所に噂が入ってきた程度だからね。

 2週間後その噂が上がった国に、国の精鋭部隊が調査に行ってくれるみたいだからそれまでは待機かな」

「…………その精鋭部隊に、俺も入れてもらえませんか?」

「……君、本気で言ってる?」

「お願いします。もしかしたら魔王の倒し方、分かるかもしれないんです」

 事実。()()には魔王を倒した実績がある。

……まぁ今の俺じゃ倒し方は分かれど倒せないんだけども。

 

「……かのマーシャルである君がそう言うんだ、正直行ってもらいたい所ではある。

 でも君の実力を考えてみなさい。

 もし噂が本当で、もし魔王と遭遇するような事態になったらどうするの?

 マーシャルという特異を以てしても、あなたは逃げる間もなく即座に死ぬわよ」

 これも事実。

 魔王の強さは尋常ではない。

 今の俺が魔王と対峙したら塵のように存在すら残さず殺されるだろう。


「お願いします。今からその調査の日まで死ぬ気で鍛錬します。

 当日自分すら守れない状態なら置いてって構いません」

「……とりあえず学園長に掛け合ってみるわ。

 そこからどうなるかは上の判断。

 それはそうと、死ぬ気で鍛錬しないといけないのは、行く行かないの話が無くとも当たり前よ!

 国の為、君には頑張ってもらうんだから!」

「……! ありがとうございます!」


 天束先生が話の通じる優しい人で良かった。

 多分選定の時にこの先生と言い合いをしていた魔人(推定)の教員が今日の先生だったら、精鋭部隊に入れてもらう話なんて即却下されていただろう。

……そもそも魔王の話をポロっと出してしまうボロは出さないと思うが。

 それにしても魔獣について何か忘れている事があった気がするが、まぁいいか……。


「さ、切り替えましょ。私はこう見えて体術に長けてるから安心して!

 同じ真人同士で良かったわ、ビシビシ鍛えるからね!」

 やはり肉体強化の鍛錬になるか。というかそれ以外無いんだけどさ。

 2週間で自衛可能レベルまでレベルアップ……か。

 一か八かで()()を試してみるか。

「先生、強化鍛錬の内容ですが俺から案があります」




――――――――――――――――――――




「失礼いたします、国王陛下」

「待っていたぞ、ガルシア君。それで、例のマーシャルについての話とは何かね?」

「多々良君……マーシャルの彼ですが、東の国へ調査に行く精鋭部隊の話を聞き、魔王を倒す鍵を見つけにそれに加わりたいと彼の担当教員から伺いまして」

「精鋭部隊にか。……ふむ」

「多々良君の実力は現状、一般市民にも劣ると言って良い程の物です。

 それを考慮して決断を下して頂きたく存じます」

 

……国王陛下は多々良君を道具としか思っていない。

 彼がマーシャルの選定を受けた事については正直伝えるべきではなかったが、国の王への報告が義務付けられている以上、避けられなかった。

 

「うん、本人がそう言うんだ、連れて行っちゃって良いよ! ただし、マーシャルである事は絶対バレないように。

 ま、今はまだ定証(ていしょう)の印が刻まれてないから大丈夫だろうけど。

 これからも引き続きマーシャルに何かあれば、必ず私に伝えてくれたまえ」

「……畏まりました」

 出来れば却下して貰いたかったが仕方あるまい。

 私……いや、我々は多々良君が死ぬ事が無い様、サポートに徹しなければならんな。





――――――――――――――――――――

 千載一遇のチャンスだ!

 いや~、我が国にマーシャルが誕生した所までは良い。とても良かった。

 しかし、その少年が使い物にならない程の病弱で! 体力無しで! 市民以下!

 それを聞いた時は絶望したね。

 きっとこの道具(マーシャル)は即死ぬだろうと。

 そしたらこの国はどうなる? 戦になったら一番に攻め込まれるだろう我が国は。

 しかも、攻めてくるのは全世界の国となる我が国は。

 滅亡の他ない!

 だが良かった! ああ、良かった!

 自ら魔王の調査に行ってくれるとは!

 これでもし魔王を倒す鍵を本当に見つけ、我が国が魔王を倒す様な事があれば全世界に恩が売れる!

 もし道中魔王や魔獣に殺される様な事があってもマーシャルの存在が消える!

 どちらに転んでも我が国は安泰!

 やったね国王(じぶん)

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