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ゼロの支配者  作者: 雲黒斎草菜
九州編
73/109

 おしゃべりなランちゃん

  

  

 食堂に入ると柏木さんの冷ややかな視線が俺に向けられており、

「あなたたち遅いから、先に始めちゃったからね」

 それを言うのを待っていたのか、オムライスに突き刺さっていたスプーンを抜いて右手に持ち直した。

 温厚なようでいて規律を乱すことを許さない性格はまさにリーダーとして申し分無いと思う。悪いのは理由なく遅くなったこっちなのだから。


「今朝はどうしたの?」

 怒りだすことはなかったが、変異体生物を観察する時と同じ眼で尋ねられた。


「麻衣も遅いわね?」

 その質問に瞬間鼓動が跳ね上がったが、ここで刺激を与えると必ず細部まで説明を求められるのは必然なので、あえて平素を装い、

「麻衣は顔を洗ってますよ」

 小さく会釈をして自分の席へ近寄る、そこへ麻由の鋭い指摘が、

「どうしたの? 寝不足?」


 どいつもこいつも詮索好きだなー。


「俺はちょっと日本史の宿題をやってだけです」

 まじい。緊張のあまり麻由に敬語を使っちまった。


 そこへ遅れて麻衣の登場。

「ごめん。遅なった」

「ちょっとー。修一が変なのよ」

 とすかさず麻由が言い。

「そんなん知っとるよ。前から変やん」


 さすがは麻衣だ。物おじせずこの場を取り繕ってしまった。


 何事も無かったように食事が再開。だが……。


「あはぁ……ふぅ」

 麻衣が涙を溜めて深いあくびをした。こっちまでつられて口を開ける。


「……ぅえへんっ」

 対面から意味ありげなイウの咳払い。俺は急いであくびを噛み殺し、麻衣と見つめ合う。


 それを見たイウは、隠されていたアイテムを見つけた冒険者のようにニヘラと気色悪い笑みを浮かべて見せた。

「あの野郎……」

 睨め上げる俺の顔をまるで刑事みたいな目で見て探りを入れようとするイウ。その顔はやめろって言いたい。


「みんなぁー。食べながらでいいから聞いてぇ」

 全員の視線が柏木さんに集まり、俺はホッと安堵の息を吐く。


「明日には『延岡』を過ぎて海に出ます。そうよね、ランちゃん?」


『はい。予定では、本日中には『速日(はやひ)(みね)』を越えて延岡周辺に到着するはずです』


「――というわけ。その後、宮崎まで海岸沿いを走るから、景色はいいわよ」


「この鬱陶しいカビの世界はどこまで続くのですか?」

 と訊くのはミウで、柏木さんは困惑の表情で応える。


「こればっかりはどうしようもないわ。これが今の世の中だもん。ま、宮崎から青井岳までジャングルになるから。そのへんで休息日を作ります」




 朝食後、食器を綺麗に洗って所定位置に収め、家具や道具類すべてを固定させて、アストライアーは九州を二つに分けた亀裂を後にした。


 何度も上下を繰り返えす行程を小一時間ほど走っていたが、徐々に穏やかな下り坂が目立ってきた。とは言っても道などは見えない。ランちゃんは大昔の道路跡を選んで進むと説明していたが、そんなのは糸状菌の分厚い絨毯の下敷きさ。さらにフラクタル的な糸状菌の迷路の中では、勾配の度合いを目視することはできない。感じるのはシートベルトに掛かる加速を除いた重力の変化だけ。それから察するに、今は長い下り勾配のようだ。


 午後になってミウがぽつりとつぶやいた。本来ならそろそろ山の向こうに海が見えると、しかしキャノピーの外は相も変わらず糸状菌の林と子実体のでっかいドーム型の大屋根が続くだけ。よくよく訊いてみたら、ミウが語る九州の地形は1990年代だという。300年以上も昔の話を持ち出されても、俺たちからすると眉唾的な物語りとしてか受け取れず、誰も真剣に聞こうとしなかった。





 行けども行けども糸状菌が絡まる雑然とした世界だ。いいかげんうんざりしてきた。操縦席に座るガウロパも目まいがすると言って、インスペクタ画面もまともに見ようともしない。完全にランちゃんにまかせっきりだ。


 そのランちゃんが、

『南阿蘇から延岡まではおおむね穏やかで、特に問題はありません』

 と告げた後、

『睡眠障害は心的ストレス等が原因になることがあります』

「またかよ……」

 こっちもいい加減やめてほしい。


 俺はジト目でインターフェースドームを睨みつける。

「まだその話を引き摺ってるのか?」

『引き摺る……?』

 ランちゃんは一拍ほど間を空けて、

『現在、動力モータの負荷は35パーセントです。自重以外に負荷になる物は引き摺っていません』

「物理的なものでなく、終わったはずの話題を蒸し返して何度も続けることをそう言うんだ」


『一般的な会話は、音声を利用して言語の交換をすることで意思疎通を図る手段です。同じ話題が連続することもあります。この場合は引き摺ると言わないのですか?』

「くどいなぁ……」

 ランちゃんは理詰めで来るから疲れる。誰かこいつの相手してくんないかな?


 部屋を見渡すが、変異体三バカトリオはカニの観察だとか言って研究室にこもったままだし、イウは自分のテントの中に逃げ込んでいた。


 操縦席は――。

 と見ると、ガウロパがいて、その肩にミウがよじ登ってちょこんと座る。まるで人の肩にとまる小鳥のようだ。


 そう言えば昨日からあの二人は不思議とくっ付いている。時間があるとガウロパに寄り添うミウだが、いったい何を相談し合うことがあるのだろう。


 時間の流れを飛び交うことができる能力者どうし。やっぱ俺には理解できない不思議な関係なんだと思う。


「おいおい……」

 操縦席から元の場所に視線を戻すと、まだランちゃんが喋っていた。

『……音声に頼らず、文字による意思疎通は手紙、電子メールなど多種に渡り……』


「ランちゃん。お喋りは嫌われるぞ」

 放っときゃ永遠と喋るランちゃんを無視して、俺はミウとガウロパの様子を背後からそっと窺った。


 二人は主従関係で、ガウロパはミウの身を守るために従者としてそばに居ると言う。野生の熊を素手で押さえ込むような無茶苦茶なヤツだから、思うに、ミウにとってはこんな心強い家来は頼もしい限りだろう。


 世界屈指の時間跳躍を誇る奇跡の少女、ミウ。その身を敵から守りつつ、刃物の切っ先の上を裸足で歩くみたいに緊張した世界で生きる二人が、互いに寄り添い同じ時間を共有する。その後ろ姿からは普段見せる厳しい空気は消え去り、(なかむつ)まじく見える。


 ミウたちは後ろで聞き耳を立てる俺の存在には気づかず、互いに語り合っていた。

「どう? あなたにも何か感じません?」

「感じるでござる。異様な時間の流れが(よど)む不愉快な気分を……」

「……この先、何かありますわね」


 なんだかあまり楽しくない話題が聞こえてきたので、俺は再びランちゃんのインターフェースドームへ視線を戻した。


『――それ以外にも、テレパシーと呼ばれる超常的な方法があります。これは2129年。野村博士が……』

 まだ喋ってたんかよぉー。


「うっせえなぁ。ラン助! もういい、喋るな!」

 イウが眼帯をしたほうの目を吊り上げてテントから出てきた。


「修一よぉ。こいつにつまらん知識を与えるなよ。うるさくってしかたがないぜ」

「俺じゃないよ。もともとは麻衣が悪いんだよ」


 イウは文句を言う俺を軽くあしらいながら、腕を大きく広げてぐりぐりと背筋を伸ばした。そして操縦席でガウロパの肩に座るミウに気づくと、

「何やってんだ、あいつら?」

 眼帯をペロッと捲って、色の異なる宝石のような両眼で二人を見た。


 イウが醸し出す胡乱な様子に俺は久しぶりに緊迫した。

 ヤツの眼帯はただのフェイクで、ミウの付ける超視力抑制ゴーグルと同じモノなのだ。つまりだ。未来や過去を視る能力がある。

 このことはミウには内緒だと言っていたが――今確実に何かを視たはずだ。


 十数秒ほどイウは二人を見つめ、

「……なるほど。それでみんな浮き足立ってるのか」

 意味ありげにつぶやいて、階下へ歩き出そうとしたので慌てて止める。

「何だよ。どうしたんだ。何か怖いことでも起きるのか?」


 イウは短く舌打ちをした。

「聞こえたか……。いいんだよ。気にするな」

「気になるって。メチャクチャ気になる」

「時間規則だ。言えねえ」

 なんちゅう都合のいい言葉だ。


「お前がそのセリフを使うなよ。なー、ちょっとでいいから教えてくれ」

 イウはまとわりつく俺を無視して歩き出した。


「どこ行くんだよ? ガウロパと離れて大丈夫なのか?」

「ごちゃごちゃオマエもうっせぇえなー。オレに気があるのか? こっちは男の趣味はねえからな。オマエはコピーねえちゃんと遊んでりゃいいんだよ」

 イウはぞんざいに言い捨てて部屋を出ようとしたが、ちらっと振り返った。

「ションベンだ!」

 ミウたちに聞こえるほどの大音声だった。


「下品な男……」

 ガウロパの肩から半身を振り返らせたミウが、階下に降りていくイウを()ね付けた。


「このあいだアンクレットを外してやったときに、この中なら爆発しないと解かったようで、アヤツはだんだんと態度が大きくなっておる」

 ガウロパも苦々しく口を開くと、階下の様子を映すインスペクタ画面を睨んだ。

 画面にはトイレに入っていく眼帯男の後ろ姿が映し出されていた。


 俺もつられてモニターを見るものの、すぐに目を離してミウに尋ねる。

「なぁ。何かおかしいな気配でもあるのか?」


 ミウはガウロパの肩から腕を伝って軽快に降りてくると言った。

「あなたが気にする問題ではありません」

 返って来たのはイウと同じ言葉だった。


「だから、それが気になるんだって……」

 すがりつく俺に、やはりミウも無視を決め込んで麻衣たちがいる研究室へ消えた。


 ランちゃんが俺たちの会話を聞いていたのだろう。誰に語ることの無く話し出した。

『気になる……。心配すること。不安に思う気持ち。何か起きるかもしれないと心の隅で思い悩むこと……』


 だらだらと辞書に書かれたのとよく似た味気の無い単語を並べたくった後、ランちゃんは豹変した。


『どうしたの? 修一』


 一気に鼓動が倍ぐらいに跳ね上がる。機械の合成音ではあり得ない気持ちの入った優しく甘い声音だった。つまり女言葉だ。すげぇぇ。感動したぞ。


 俺の知る限りこれは人工の声音ではない。

 それにしてもこの口調……聞き覚えがある。みんなは麻衣たちのお母さんだと口をそろえるが、俺には面識が無い。もちろん麻衣や麻由にも感じは似ているが、どこかが違う。もっと大人っぽい……。やさしく自愛に満ちた声で、柏木さんにも近いがもう少し落ち着いた感じだ。


 家の近所にこんな口調の人はいなかったし。学校の先生か?

 いや違う。

 プロムナードの店員さん?

 あの人か?

 いろいろ思い浮かぶが当てはまる人はいない。

 誰だっけ……。

 しかしいくら考えてもなにも思い出せなかった。


『何か悩んでるの? 修一……』

 また同じ口調で尋ねてくるランちゃん。機械を相手にする感覚は消え失せており、俺は声に魅せられ心が奪われた。

 じっとインターフェースドームを見つめて考えに(ふけ)る。


 この声を聴いていると、心の奥底に眠る何かが目覚めてくる。漠然とした思いが次々と湧き出す気配を感じるが、実態が見えてこない。すぐに雑念の坩堝(るつぼ)に引っ込んでしまう。でもただ一つだけ言い切れることがある。俺はこの声の主と会っている……だけどどこの誰と、特定できない。


『どうしたの?』

 あまりに長い間合いに、ランちゃんが先に口を開いた。

「あのさ。どこかでランちゃんと会ったことある?」


『そ……』

「えっ!」

 寸時だったがランちゃんは口ごもった。しかし……。

『それは既視感と呼ばれる人間の脳の誤動作です』

 誤動作って言われてしまったら何も言い返せない。しばらく頭を掻きつつ自嘲する。


 三輪バギー相手に何を本気になってんだろう。俺とランちゃんが初対面を果たしたのはグレイスハンティングの倉庫裏さ。

 あまりに馬鹿げた質問をしたと思い直して軌道修正をする。


「俺が気にしているのは、この先で何かが起きる気配を感じることなんだよ」

『なにも問題無いわよ。修一がそう結論を出した根拠は何なの?』


「いや、未来組がそろっておかしなことを言うし。麻衣は昨夜ミウの幽霊を見たって言うし……何か起きるんじゃないかと思って……」

『ミウの……?』

「ああ」

 妙な間が空いたが、ランちゃんはこともなげに訊き直した。

『それだけ?』

「え? それだけだぜ」


『あなたは何事に対してもまだ経験不足なの。そのため自信が無く常に物事を悪い方向へ考える傾向があるわ。もっと自分を磨いて強い男になってちょうだい』


「なんと……」

 何も言い返せなかった。人工知能相手に人生相談持ちかける気は無かったのに、見事にまとめあげられてしまった。


 しかも……。

『麻衣は強い男が好みよ』

 恋愛相談までするとは……。


 何とも釈然としない気分で俺は黙り込んだ。

 ズバリと的を射た内容を人工物に語られたおかしな気分をさ。

 そう言えばミウが以前つぶやいていた。ランちゃんはこの時代にそぐわない技術だと。


 麻衣たちが生まれた時からすでに教授の家に設置されていたらしいが、進化の止まった暗黒時代にこんなにも進んだ人工知能はあり得ないし……ミウはこの不釣り合いを差して言ったのかもしれない。これも時空進の影響なのだろうか。


 しかしこの喋り口調が気になる。会話をするほどに精神的に安らぐのはどういう理由からだ。それから俺の記憶に焼き付いているのはなぜか。


「ちょっと訊いていいか?」

『なあに?』

 これこれ。この喋り方さ。

「ランちゃんは俺に接する時だけ口調を変えるのはどういうワケさ?」


『それはエモーショナルエンジンが搭載されているからです』

 機械的で感情の抜けた答えが返った。もちろん機械なんだからこれで普通なのだが違和感が拭えない。


「エモーショナルって?」

『感情分析処理です。話者から受けるイントネーションや語調などから適切なセリフが演算されます。また発声スペクトルでは個人の鼓膜の特性を分析して適切な周波数帯に分散しています』


「よく解らんけど、相手によって、微妙に声色を変えるってことか?」

『はい。話し手の気分や精神状態によっても口調を変えることが可能です』


「じゃあ。俺の精神状態を察するとそういう喋り口調になるのか……。記憶にあるのではなくて、記憶から作成されるのかな?」

 俺の考えを読んで会話するってことか。


 大きく頭を振る。

「ないない。それは無いよな」

 摩訶不思議な振る舞いをする俺の態度が気になったのか、

『何か思い悩むことがあるようでしたら、精神状態診断処理を起動しましょうか?』


「心配ないよ。ランちゃんと会話をしていてすこぶる気持ちが良くなった。安心してくれ。たぶん俺の精神状態は良好に戻ったよ」

『そう。よかったわ』


「う……」

 素直に喜んでいいのだろうか。





 走行は順調で、勾配の気配もほとんど消えた。少し前から地面が平坦になったのが体で感じる。だけど外は何も変らない。緑の光で覆われた糸状菌の林と巨大なキノコの傘の下を走っていた。


「今日はここまでにしましょう」

 柏木さんのひと声でモーター音が消える。同時に振動が収まり、しんと静まり返った。


「今日の給食当番はダレ?」

 イウとガウロパが手を上げた。

「掃除当番は?」

 麻由と麻衣がゆるゆると挙手をした。


「えっと。じゃ『ミグ』の餌やりは、修一くんがやりなさい」

「へぇーい」


「他に連絡事項のある人?」


 毎回そうだが、この雰囲気は高校のホームルームを思い出してしかたがない。



 ランちゃんにああは言われたが、俺の不安と疑問とも言えるモヤモヤしたものが頂点に達しようとしていた。

 誰も何も言わないのはどうしてか。そこらあたりも踏まえて俺から問題提起するのは、別に心配性でもないだろう。尋ねるだけさ。


「あのう……いいっすか?」

「なぁに、修一くん?」

「帰りなんっすけど……またあの亀裂を通って戻るんですよね? どうすんですか?」

 何度でも言う、これは問題提起だからな。



「アホちゃうか。いま帰りの話なんかせんといてよ」

「まだ旅は始まったばかりよ」

 案の定、麻衣と麻由から猛烈なブーイングを喰らい、柏木さんも尖った視線で俺を見た。

「私たちの未来がどうなるか分からない状況で、あなた帰りのことを考えてるの?」

 そしてミウが諭すように言う。

「よくお聞きください、修一さん。時空震はこの夏休み中に必ず起きます。ここで止めないと、あなたの宿題、いえ。学校自体の存在が危ぶまれるのですよ」


「危ぶまれる?」


「そうです。学校の存在自体抹消するかもしれないのです」


「それはそれでいいかもな。宿題もしなくていいし」

「何をバカなことを……あなたの知る世界とは一変してしまうと、わたしは言いたいのです」


 責められてんだか悟らされてんだか、よく解らなくなってきた。

「とにかく時空震さえ阻止すれば、いくらでもリーパーを呼べます。そしたらすでに実績があるのです。あんな亀裂など、どうにでもなりますわ」


「つまり宿題はやれと……」

「なっ!」

「違うの?」


 どうやら説明するだけ無駄と思われたのか、ミウは絶句の後、黙り込み、麻衣は俺の頭をポカリとやった。

「宿題なんかまだ三週間以上あるやろ。ほんまあんた気の小さい男やな……あれやな、宝くじ買うて抽選日も来てないのに、賞金盗られたらどうしょ、って考えるアホやろ!」

 なんちゅう例えにするんだ。


「――はい。みんなぁ解散! 晩御飯にするわよ」

 さんざん俺を弄んで、女連中は散って行った。


「ここのグループは女が強えからなぁ……」

 虚しく部屋に取り残された俺の肩へ手をポンと置いて、イウがつぶやく。

「ミウの言うとおりだ。時空震さえ止めりゃどうにでもなる」

 質問をするつもりが、まさか墓穴を掘っちまうとは。


 俺は天井のインターフェースポッドを横目で覗き見た。

「やっぱマズったな……」

 何か言いたそうにしているランちゃんの雰囲気を感じ取ることができたが、よくできた人工知能は俺の気持ちを察して黙っていてくれた。

  

  

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