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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
62/70

ティンタン

ヴァンヘルト建国から数ヶ月が経った。


ガノリアを含む数国はヴァンヘルトを国と認めた。最初のヴァンヘルト試験的留学者達の二人ははゲラルドワーカーズに迎えられた。


ソル、イリーナ、アマゾネスの建築士の家系のパシ、


他もガノリアの適材適所に迎えられた。


フレイヤの幅を聞かせてイリーナも勇都学院に入学することができた。

ソルもイリーナの世話役として共に学園に出入りできる。


ソルは乗る気はなかったが


フレイヤ「あんたの家族でしょ、面倒見なさい」


という言葉に反論できなかったみたいだ。


帰ってからは大忙しだった。

助け屋ハッシュドアの仕事が溜まっていた。

忙しいのいいことだ、がオタルお節介で利率はいいものではない。

まあ貯金できる程度には安定はしている。


この日はオタルと共に学院に向かった。

休みの日を利用しては学院に向かう。

単位を取り卒業すれば公務員や憲兵になれる資格が手に入る。フレイヤはオタルにこれを取らせてやりたいわけだ。


フレイヤに学費を払ってもらっている分、まじめに行かなくては。

オタルは歴史と武術系を学び

俺は薬学を学ぶ。

まあ楽しい。


今回はソルとイリーナの具合を見ることも兼ねている。この日はブロスやプルートゥもここに集まる予定だ。

イリーナはその後所定の手続きを済ませて

この学園に入学した。

ソルはその付き添い人として共に学園に、


おそらくかなりの気まずい目線にさらさられることだろう。

オタルでさえ少しの人間を除いて、未だに警戒されている。


イリーナ「オタル!フルド!やっほ!」


オタル「こんにちは」

フルド「おう」


オタル「調子はどう?」


イリーナ「楽しいよ、ソルはつまんなそうだけど」


ソル「そんなことは、、」


フルド「そっちは?」


イリーナの後ろに気まずそうに青年が一人立っていた。


イリーナ「友達!ティンタンって言うの!」


ティンタン「あ、錬金学部のティンタン・ルイスベインです。よ、よろしくお願いします。」


気弱そうな男だった。


ーーーーー


ティンタン「すごいダンジョンの中の仕事をしてるなんて」


フルド「すごいのはあいつな」


そう言ってオタルを指差す


フルド「俺は雑用みたいなもんだ」


ティンタン「いえすごいですよ」


フルド「あんたもすごいじゃねーか、ルイスベインってアルテリアの豪家じゃなかったか?」


ティンタン「豪家といっても分家の分家の三男ですし、親の力で入っただけで僕自身は、、」


フルド「イリーナと同じ学科なんだろ?じゃあ魔法使えんじゃねぇか?」


ティンタン「ほんとギリギリ程度しか使えませんが、クラスでは一番下手なんですよ」


フルド「使えるだけでもすげぇじゃねぇか」


ティンタン「実用にできるレベルでもないですが」


ティンタンの掌を見える。所々に肉刺の跡があるのをオタルが発見する。


オタル「何か槍術でもしてるんですか?」


ティンタン「はい、クフリ先生のところでたまに習ってます。てんでダメですけど、

オタルさんの先生との稽古たまに見てましたよ。

同い年なのにすごい」


オタル「いえ、そんな、、えへへへ」


フルド「なんつうか、オークに慣れてんな、怖くねえのか?」


ティンタン「え、ああ、まあ」


イリーナ「ソルに比べたら本当に優しそうだもんねオタル」


ソル「、、、、、」


フルド「ああ、、、ソルには慣れたのか?」


ティンタン「どうですかね、、、まあ大分、ははは」


フルド「ソルはこっちには慣れたのか?」


ソル「ああ快適だ、わからないことはティンタンが教えてくれる」 


フルド「オタルよりはえぇな」


イリーナ「オタルは時間かかったの?」


オタル「うん、まあ」


フルド「勇都学園はじめてのオークだしな、空気とか嫌がらせとかやばかったぜ」


イリーナ「バッカみたい、危険かどうかなんてわかるもんだと思うけど」


フルド「、、、、、」


ティンタン「、、あ、あぁ、そろそろ授業の時間じゃないかな?」


イリーナ「ええ、もうそんなじかん?そっか、じゃあ行ってきます」


ティンタン「頑張って」


ソルとイリーナは授業のためその場を後にした。


フルド「ん?あんたは?」


ティンタン「あの子のは高等だから僕はね」


フルド「すげえなイリーナ」


ティンタン「はい、あの子は本当に、最初は別の意味で凄かったんですよ」


フルド「敬語やめたらどうだ、楽な方でいいけど」


ティンタン「あ、じゃあ、普通に、」


フルド「何がすごかったんだ」


ティンタン「うん、彼女、見た目も古代エルフの特徴があるから、みんなが仲間に入れようとしてすごかったんだけど、片っ端からそれを蹴ってさ


言ったら悪いけど、結構みんなから距離を置かれてる」


フルド「ソルもいるしな」


ティンタン「それもあるね、でも、ソルさんは怖いけど良い人だってわかるよ、

いつもイリーナのこと大事にしてるのがわかる」


フルド「イリーナが入学するのもソルのねがいだったしな」


ティンタン「うん、だと思った、けどもったいないなソルさん」


オタル「?」


ティンタン「彼、多分とっても強いでしょ、正式に生徒になって軍事に行けばいいのに、、まあ彼の戦ってるところを見たいって理由もあるけど」


フルド「そういや俺もあいつが戦ってるの見たことねえな。プルートゥと同じくらい強いって話だけど」


ティンタン「え!?プルートゥてあのでかいオークだよね」


フルド「ああ、なんだしってんのか?」


ティンタン「一度、実施訓練で軍兵達と一緒にいたんだよ。

模擬試合で生徒で強い生徒を簡単に無力化してさ、僕より年下だって言うからびっくりしたよ、


でもソルさん、そんな強かったのか、いやわかる気がするよ


だったらさらに勿体無いなー」


フルド「本人はそういうの興味ないみたいだしな」


ティンタン「ちなみにだけど、オタルさんとプルートゥさんはどっちがつよいの?」


フルド「もち」


そう言って親指をオタルに向けた。


ティンタン「、、、やっぱりすごいね、是非稽古でもつけてもらいたいな(ヤマト家が諦めるはずだ)」


オタル「うん、僕でよければ、力になれるかはわからないけど」


ーーーーーー


しばらく経ったころ、イリーナが俺とフルドとオタルの住処に訪れた。

タイラとオタルが迎える。


オタル「いらっしゃい、良かったらのんで」


イリーナ「ありがとう、ねえ、何作ってるの?」


フルド「毒やらなんたらだよ、臭かったらすまんな」


イリーナ「いいの、勝手に来たのは私だし」


オタル「ソルさんは?」


イリーナ「適当に嘘ついて撒いてきた」


オタル「ははは」


フルド「撒いてまでここまできたってこった、なんか用か?」


イリーナ「そうなの!!ティンタン!!

いじめられてるかも」


フルド「なんでぇ」


イリーナ「見てないの?」


フルド「昨日までオタルとダンジョン潜ってたんだよ」


ティンタンがいじめか、まあいじめられそうな見た目と性格だが、


イリーナ「ああ、そう、最近あざとかすごいの、多分稽古の時にやられてる」


フルド「敬語してんだからあざとか普通だろ」


イリーナ「ヴァンヘルトならね!でもここじゃ違うでしょ!!他の生徒はそんなに怪我してないもん!あたし達といない時狙って絶対影でなにかされてるの」


フルド「本人はなんて?」


イリーナ「最近稽古が厳しいとか、なんたらではぐらかされるし、

ソルがいるから授業から抜け出せないし」


フルド「ソルは?」


イリーナ「、、関わらないようにしてるみたい、調べようとすると怒るし」


フルド「、、、だから俺らに見てきてほしいって?」


イリーナ「だめ?」


フルド「貴族とか絡んでるとめんどくせえしなぁ」


オタル「調べるだけだよね、やってみるよ」


フルド「待てよ、オタル、お前が行くと目立つだろ」


オタル「でも、友達だよ」


フルド「はぁ、さらにこんがらがったらどうすんだよ」


上の階から足音が聞こえる


フルド「やっと起きたか」


降りてきたのはフレイヤだ


フルド「お前もう昼だぞ」


フレイヤ「うっさい」


タイラ「おはようございますフレイヤさん」

オタル「おはよう」

イリーナ「おはようお姉ちゃん!」


フレイヤ「おはよう」

  

そう言いながらあくびをする


フレイヤはたまに屋根裏の部屋をまるで自分の部屋のように使っている。

あいつに援助してもらったこともあるので断れなかった。


オタル「ご飯できてるよ、たべる?」


フレイヤ「うんいただく、そんで?」


フルド「聞こえてたのか?」


フレイヤ「あらかたね」


フルド「イリーナさんのお友達がいるんだよ、そいつがいじめられてるかもってよ」


フレイヤ「魔専??」


フルド「軍専も」


フレイヤ「灰魔ね」


イリーナ「灰魔?」


フレイヤ「魔法は使えるけど得意ではない、剣も並かそれ以下って意味、器用貧乏って漢字の意味かな?」


イリーナ「なんでわかるの?」


フレイヤ「魔法が得意なら軍専行かないし、

剣が達者なら魔専に行く必要もない

魔法が得意じゃないひとが滑り止め程度に軍専にいくことはよくあるの」


イリーナ「、、、そうなんだ」


フレイヤ「それって前言ってたテントン?って子?」


フルド「ティンタンな」


フレイヤ「ルイスベインの子でしょ?アルテリアの」


フルド「ああ」


フレイヤ「あそこあたりの貴族はめんどくさいのよねー、いじめてる子は?」


イリーナ「わかんない」


フルド「おい、お前も首突っ込む気か?」


フレイヤ「さあね、どうしたもんか、もうちょっと詳しくいい?」


イリーナ「うん!」


フルド「はぁ、」


ーーーーーー


結局、俺らは手伝う羽目になった。

仕事の合間を使い学園に出向きティンタンを探した。


ティンタンの顔にはそれほどの怪我はないが、

時折見える腕には痣がついていた。


ティンタン「うん、まあバレてるよね」


フルド「イリーナは頭いいからな」


ティンタン「イリーナはなんて?」


フルド「心配してたぞ、犯人バレたら特攻しそうだ」


ティンタン「情けないな、年下の子に心配されるなんて」


フルド「どうすんだ?このままでいいのか?」


ティンタン「うん、このままで、、、あれソルさんからは何も?」


フルド「??いや、イリーナ一人だったから」


ティンタン「ソルさんも気づいて力になってくれようとしたんだよ、でも僕がやめるように言ったんだ」


フルド「なんで?」


ティンタン「、、、、、あまり言いたくないんだ。身内のことだし」


フルド「まあ聞かせろよ、イリーナやオタルがうるせえんだよ」


ティンタン「関わらないって約束するなら」


フルド「言わなきゃ、イリーナとオタルの介入を止めないぞ」


ティンタン「、、、、、ずるいなぁ」


フルド「納得しないと止めようがないだろ?」


ティンタン「はぁ、、、わかった、ルイスベイン家が関わってるんだ。ヴァンヘルトの交流が面白くないんだよ」


フルド「、、、なんでぇ?」


ティンタン「アルテリアはまだ人種差別が激しいんだ、多種族親和派とホルム主義で未だに争ってる。ルイスベインはホルム主義なんだ」


フルド「ふん」


ティンタン「だから独立した上に多種族親和国家として発展してるガノリアが面白くないんだと思う。そしてヴァンヘルト、、オークやアマゾネスとの交流まできてしまったから、、

どうにかその関係を壊したいんだと思う。


ここに僕より本家に近いルイスベインの息子がいるんだけど、彼からイリーナやソルさん達を蔑める提案が来たんだ」


フルド「断ったから影でボコられてんのか?」


ティンタン「そんなとこ」


フルド「おー、漢じゃん、」


ティンタン「そんなことないよ、だから下手にイリーナやソルさん達が入ってくるのは良くないんだ。だからイリーナを止めるようにソルさんに頼んだ、そんなとこかな」


フルド「うわー、めんどくせぇ」


ティンタン「フルドって正直にいうよね、あ、本当に他言無用で頼むよ」


フルド「オタルとイリーナには言わねーよ。」


ティンタン「それ以外にはいうんだ、、、」


フルド「でもなんでホルム主義の人間が島越えてここに入学したんだ?」


ティンタン「厄介払いと体裁じゃないかな、表向きはアルテリアとガノリアは協定間にあるから」


フルド「ほー、、、ボコられてんのは稽古の時だけか?」


ティンタン「うー、うん」


フルド「それ以外でもやられてんのな」


ティンタン「ははは」


ティンタンはオタルに似てる。

強くないオタルって感じだ。他人に気を使いすぎてる。家のことも、貴族のしがらみってやつか。


ーーーーーー


オタルとフルドの自宅


フレイヤ「国家問題じゃん」


フルド「そんなこたねーだろ」


フレイヤ「大いにある、イリーナもソルもヴァンヘルトの留学生、そんでガノリアとヴァンヘルトは交易を望んでる。アルテリアはそれを邪魔したいんでしょ?」

 

フルド「俺はお前がもちっと分別がある人間だと思ってた」


フレイヤ「何を今更、いい?もしルイスベインのバカ息子がヴァンヘルトの留学生から暴力振るわれたなんて嘘吐くなんてことがあったら、

今までどうにかなってた国交が面倒臭いことになる。そんで最悪パーよ、わかる?」


フルド「はいはいわかりますわかります」


フレイヤ「早急にどうにかしないと、これだから一神教は嫌い」


フルド「おーおー、世界の半分を敵にするぞその発言は」


フレイヤ「ティンタンって子、味方にしときなさい、最悪その子にも手伝ってもらうから。」


そう言ってフレイヤは外に出る。


フレイヤ「オタル一緒にきて、ことが冷めるまでイリーナとソルは休ませる、フルドは、、、、潜る準備でもしてなさい」


オタル「うん、わかった」


フルド「へーい」


オタル「ふふ」


オタルは嬉しそうだ。そんな人助けが好きかね。


ーーーーーーーー


フレイヤの後を追うオタル


フレイヤ「楽しそうね」


オタル「そうかな?」


フレイヤ「そんなに人助けがすき?」


オタル「嫌いじゃないけど、助けた後に喜んでもらえるのは嬉しいよ」


フレイヤ「そりゃそうだろうけど」


オタル「いや、フルドのことだよ」


フレイヤ「なに?」


オタル「最近わかってきたんだ」


フレイヤ「、、、、、、」


オタル「金にならない人助けはしないとか、めんど臭いとか言うんだけど。

最後はいつも手伝ってくれるから、ちょっとおかしくて」


フレイヤ「ああ、そうゆうこと、、、そうね、現実主義者の皮を被った甘ったれっ感じがする。」


オタル「ははは」


フレイヤ「あんたよ、少しらフルドの疑いぶり屋なところを見習わないと、ほんととんでもなく痛い目みるからね」


オタル「ははは、はい、気をつけます」


フレイヤ「わかってる本当に」


オタル「少しは疑えだよね」


フレイヤ「うん」


オタル「ティンタンのこと、僕はどう手伝ったらいいの?」 


フレイヤ「ダンジョンに一緒に潜って」


オタル「え!?」


フレイヤ「魔専でも軍専でもダンジョンの実地訓練なら単位が取れるし、とにかくルイスベイン家との接触を少なくする方が一番でしょ?」


オタル「んー確かに」


フレイヤ「ハッシュドアも実績あるし、問題ないわ」


オタル「イリーナも?」


フレイヤ「流石にそれはね、大丈夫よ、あの子の実力なら半年くらい休んでも卒業できるわ。


でも交流目的だから何かしらさせないとねー

そこは私が考えとく。」



オタル「フレイヤの仕事のお手伝いとかは?」


フレイヤ「それでもいいかなー、というか学園も私が一緒に行けばいいのか」


オタル「大丈夫なの?」


フレイヤ「うん、全然」


オタル「、、、、あ、じゃあソルさんも一緒に潜ってもいいかな?」


フレイヤ「いいけど、珍しい、あんたから誰か誘うなんて」


オタル「ティンタンとソルさん仲良いし、連携もしやすいかなって」


フレイヤ「いいじゃん、やってみな」


ーーーーーーーー


助け屋ハッシュドア


フルド「んで、なんでプルートゥとユーシさんがいるんだ?」


ティンタンと共にダンジョンへ潜る前日。追加のメンバーが加わった。

ヴァンヘルトのオーク、プルートゥと、リザードマンの軍人ユーシ・カムラ、フレイヤの顔見知りだ。


ユーシ「俺はプルートゥ達の付き添いだ。規則上できないもんでな」


フルド「そうか、タラムさんは元気か?」


ユーシ「相変わらずだ。タラムは今フレイヤ嬢とイリーナ嬢の警護をしてもらってる」


フルド「そうか、んでなんでプルートゥが?」


ユーシ「ザックスさんの意向だよ、プルートゥにこっちのダンジョンも体験させたいらしい、明日はブロスも来る」


フルド「なんでうちに」


ユーシ「もし何があっても止められる彼がいるからじゃないか?ザックスさんかなりオタルくんのことを信用してるらしい」


フルド「なんだかなー」


ユーシ「すまないな、俺もダンジョンの経験は多くない。まあよろしく、勉強させてもらうよ」


フルド「んー、やりにくれ」


プルートゥ「よろしく頼む」


フルド「おう、どうだガノリアは」


プルートゥ「楽しい、良い国だなここは」


フルド「それは良かった、とりあえず明日だ、昼にダンジョンの待合所に集合でたのむ」



ーーーーー 

ダンジョンに潜るメンバーが決まった。


俺、オタル、ティンタン、ソル、プルートゥ、ユーシ、そしてチヨとクリス


そして雑用に勿体無いがファンとシラド呼ぶ。

いきなりなのにきてくれることに感謝した。


当日、ダンジョンに潜る前に簡単な説明をする。


フルド「なんつうか、すげえメンバーだな」


今回はティンタンを慣らす目的だったため、上層までしか潜らない。

なのに俺とティンタンを除けば下層や深層攻略をしてもいいようなメンツだ。


フルド「まあ今回の目的はティンタンのダンジョン慣れだ」


ティンタン「よ、よろしくお願いします。」


フルド「悪りぃな、変なのがいろいろついてきて」


と小声でティンタンに声をかける。


ティンタン「、そ、そんな」


ブロス「聞こえてるぞ」


フルド「とりあえず、近過ぎず離れ過ぎずで頼む。先頭はオタルと後方はシラドとファンを

中に俺とティンタンとチヨとクリス。あとは適当でいい」


ブロス「??、お前がリーダーなのか?」


ユーシ「ブロス」


フルド「そうだよ、オタルが命令できたらいいんだけどよ。なんせこんなだから」


オタル「あははは、ごめん、」


フルド「ユーシさんやプルートゥとブロスははっきり言って退屈だぞ。出番は多分ねぇ」


プルートゥ「了解した」

ブロス「っち」

ユーシ「わかった」


フルド「ティンタン、今回の目的はお前の接待だ。せめて銅等級取れるまでは頑張ってもらうぞ」


ティンタン「接待、、、うん、頑張るよ」


ブロス「緊急辞退になったらどうすんだ?」


フルド「安全優先でたのんだ」


ブロス「おいおいそんなんでいいのか?」


フルド「最悪俺の指示は聞かなくて良い、でももしオタルが逃げろって言ったらなりふり構わずに逃げろ、わかったか?」


ユーシ「ああ、了解した。

それで一つ、疑うわけじゃないが、この配列の考えを教えてくれ」


フルド「オタルなら大概のことを感知できる。


ファンもダンジョン育ちだからオタル同様に土地勘がある。最悪前後に別れてもファンについて行けば帰り道に苦労しない。シラドは認知能力が高い、ファンとシラドがいれば後ろは安心

そんくらいか」



ユーシ「わかった、意義はない、従おう」


フルド「わりぃな弱えやつに従うのは癪だと思うが、一応中層まではそれなりに経験を積んだつもりだ、聞ける分は聞いてくれ」



ーーーーーー


ティンタン「すごいね」


オタル「うん?フルド?」


ティンタン「うん、意外だったけど、今は本当にリーダーって感じがする」


フルド「やめろ、本来はこいつがするべきなんだ。ちとじゃあ手続きしてくる、ここで待っててくれ」


オタル「うん」


ティンタン「あ、あの改めてよろしくお願いします。迷惑をかけないように頑張ります」


ブロス「見れば見るほど平和ボケって感じのツラだな」


ユーシ「ブロス、すまない、こいつは口が悪い」


ティンタン「い、いえ大丈夫です」


ブロス「不安だらけだな、なあプルートゥ」


ブロスの言葉にファンが睨みつける。


プルートゥ「行けばわかる」


ファン「嫌ならば来なくても結構ですが?」


ブロス「おぉ?」


ユーシ「すまない、わたしから言っておく、ヴァンヘルトの自分より弱いものにつくことを嫌うんだ。ブロス、口を慎め」


ブロス「へいへい」


ソル「、、、、、」


プルートゥ「貴方と共にするのは初めてだな」


プルートゥがソルに声をかける


ソル「確かにな、」


プルートゥ「ティンタンと言ったか、よろし口頼む」


ティンタン「よろしくお願いします。プルートゥさん」


チヨ「あたし達もよろしくお願いします。チヨです。こっちはクリス」


ティンタン「よろしくお願いします。まさかマリー様のお弟子さんと護衛さんと一緒にできるなんて」


チヨ「いえいえ、やっぱりお師匠ってそんなに有名なんですか?」


ティンタン「そりゃもううちの学園にどれだけマリー様の教えが欲しい人がいるか、よっぽど凄い資質があるんですね」


チヨ「そんなことないですよ、まだまだ全然だめでティンタンさんさせよければ是非教えてください」


ティンタン「やめて下さい、そんな、恐れ多い」


クリス「ははは」


オタル「手続き終わったみたい、皆さん行きましょう」


ーーーーーーー


オタル一行はダンジョンの大空洞を進み始めて半日が経つ。未だ魔物は現れない。


一時休憩する。

オタルとフルドは地図を広げ話し合う。


フルド「ここらは狩り尽くされてるな」


オタル「うん、やっぱり下に行った方がいいと思う。28番は?」


フルド「あそこの下は開拓が進んでなかったか?やめとこう」


オタル「そうだね、2番主道通って10番界は?」


フルド「それがいいかもな、よし」


チヨ「決まった?」


フルド「ああ、」


クリス「なあフルド、なんで開拓が進んでるとやめた方がいいんだ?」


フルド「んー、鉱物とか取ったりしてると掘るだろ?補強もしながらしてくんだが、どうしても滑落することがあるんだよ。」


クリス「それはやめた方がいいな」


フルド「ああ困ったもんだ、いろんな業者が我先にと掘ってるもんだから、定期的に起こるんだよ、おかげでこうやって避けながらいくしかないんだよ」


ティンタン「大変だね」


フルド「つうことで、意見あるやついるか?」


「ない」「ねーよ」「了解だ」「従う」


ーーーー



フルド「いいか、とった資源は持ち帰った大体6、7割は国に取られる」


ティンタン「聞いてた通りかなり取られるね」


フルド「ああ、しかしながら重量計算だ、いい部分はこっちがもらえる。」


チヨ「命懸けで取ってきたのに、、なんかひどい」


フルド「ダンジョンは国のもんだからな、俺らが通ってるこの道だって、国が金出して命がけで業者が整備してるんだ、おかげで安全に深くまで潜れる。」


チヨ「んー、ねえ、あの鉱石とか取ったらダメなの?」


フルド「灯り石はだめだ、取ったのがバレたら二度と入れねぇぞ」


チヨ「ふーん、でも、全然魔物いないね、ヴァンヘルトのは時々出てきたのに」


フルド「整備が進んでるからな、ここらのはほとんど狩られて、どっかに逃げてんだろうよ、上層の初めはもう金にならんだろうな」


オタル「うん、でも気をつけないと」


フルド「あーそうだな、チヨ、逆流ってわかるか?」


チヨ「??逆に流れる?ってこと?」


フルド「ダンジョンでの用語だ、逆流性魔生物暴動災害たまに魔物達がわんさかで出す」


チヨ「どして?」


フルド「オタル」


オタル「んー多分深層で強い魔物の縄張り争いが起こってるんだ、弱い魔物たちは逃げるために上に逃げる。そしたらそこにいるさらに弱い魔物が追われて上に逃げる。

それの繰り返しで普段下にいる強い魔物が上に来たりするんだ」


チヨ「へぇ、なんだかかわいそうに思えてきた」


フルド「気にしてたら死ぬぞ、こっちも生きてんだ」


チヨ「そうだけど」


フルド「、、そろそろ陣形構えるぞ、魔物もそろそろ出てくる」


オタル「うん、先頭いくね」


フルド「ういっす」


ーーーーーー


上層中部大空洞 10番界


チヨ「凄ーい、こんなに明るいなんて」


洞窟を抜け崖の下には大きな空間が広がっていた。鉱石の光がまし昼間のように明るい。

所々には植物が茂っている

棚田のように下に続いていた。


クリス「凄いな、他にもこんなところが幾つもあるのか」


フルド「大体がここに繋がってる、出入り口の番号見たいなもんだ、6番と8番だけが繋がってない、今のところな」


チヨ「あれ!」


遠くの左方向の岩肌から鎧蜈が現れ、地面を這いずっていた。 


ティンタン「お、おおきいね」


フルド「まだあんな大きいのいたんだな」


オタル「下にから登ってきたのかもかもしれないね」


ブロス「獲らねえのか?」


フルド「取れるもんならな」


その言葉を聞いたブロスは弓を構え引く、すぐに狙いを定め放った



フルド「おいまじか」


矢は見事に遠くの鎧蜈に命中し苦しみ暴れながら下に落ちた。


フルド「やるねい」


ブロス「ふん」


フルド「すこしは退屈凌ぎになったか?」


ブロス「まだまだ」


フルド「我慢してくれ、初が3人もいるんだ」


ブロス「わかってるよ」


ーーーーーーー


半日ほど探索を続けた。

危険な魔物はほとんどオタルが排除し、俺たちは採取に徹していた。


クリス「案外、地上の作業とそんな変わらないんだな」


フルド「まあな上層の仕事つったらこんなんがほとんどだ。」


ティンタン「僕はこのくらいがありがたいけどね」


ブロス「潜ってきてまで草むしりかよ」


ユーシ「これも仕事だ、」


ブロス「っち」


極めて順調だ。赤字にはならない程度に取れそうだ。ティンタンの魔素酔いもないようだ。


オタル「フルド、ちょっと嫌な感じがする」


オタルが俺にだけ聞こえるように言葉をかける


フルド「わかった引き上げるか」


ソル「フルド来てくれ」


フルド「わかった!オタル準備を」


オタル「うん」


フルド「どうしたソル」


ソル「谷の下を見てくれ、」


フルド「?」


谷の下、望遠鏡を使い当たりを見渡す。

ソルの指差した方向に大きな穴があるのが確認できた。


ソル「最近できたもののようだが、人が掘ったとは思えん」 


フルド「まさかな、、、」


しばらく観察すると穴の中から、人間程の大きさの蟻型の魔物が顔を出した。



フルド「ああ、ありゃやばい、早々に帰るぞ」


ソル「ああ」


フルド「みんな!撤収だ」


オタル「なんだった?」


フルド「蟻だ」


オタル「ほんと?」


フルド「間違いないな」


オタル「逆流かな?」


フルド「分からん、見つかる前に逃げるぞ」


クリス「やばいのか?」


フルド「わかりん、だから逃げる。急いでくれ」


クリス「わかった」


フルド「ファン、荷物はいい、先に帰って伝えてくれ、蟻が10番にでた。」


ファン「わかりました」


ブロス「なんだ?緊急事態か?」


ブロスは冗談のように笑って言った。


フルド「ああそうだよ、みんないくぞ、間に合ってない物は捨てていい。


ーーーーーーーー


勇都ダンジョン、8月15日

逆流生魔生物暴動災害発生


死者11名、


行方不明者32名


俺たちがダンジョンから逃げ延びて1日が経った。

蟻は上層を埋め尽くした。

今は元からいた上層の魔物たちと縄張り争いを繰り広げている状態だ。


これが暴動と言われる理由だ。


五日後最終的な発表がされた。

死者25名

行方不明者16名


ティンタン「お疲れだったね」


フルド「ああ、給料遅れてすまんな」


ティンタン「しょうがないよあんなこと怒ったんだから、よくあるの?」


フルド「まあときどきな、蟻は初めてだが、とんだ初冒険になっちまったな」


ティンタン「大丈夫、君がすぐに帰ったおかげでこうやって無事なんだから、こんなにもらっていいの?赤字って聞いたけど」


フルド「だれから?」


ティンタン「あ、、ははは、、」


フルド「ファンかシラドだろうけど」


ティンタン「あははは、でもファンもシラドも良い人だね」


フルド「なんだ?学園で会ったのか?」


ティンタン「前から顔は知ってたから、ほらあの二人上位に入ってるから」


フルド「あー優秀だもんなーあいつら」


ティンタン「そんな人からも信頼されてるんだからフルドはすごいね」


フルド「やめろ、しょせんはオタルの糞だよ」


タイラ「フルドさん、またそんな卑下して.ダメですよ」


フルド「へいへい」


タイラ「はい豆茶」


ティンタン「ありがとうございます」


フルド「学園の様子は?」


ティンタン「生徒の数人がダンジョンで巻き込まれたみたいで、今はそっちで大騒ぎ」


フルド「お前は?」


ティンタン「退学になっちゃった」


フルド「は!?」


ティンタン「色々あったみたいで、ごめんね詳しくは話したくない」


俺たちのせいか?とは言わなかった。


フルド「、、これからどうすんだ、帰るのか?」


ティンタン「もう離縁されたみたいな感じだから、どうしようかなって考えてる」


フルド「仕事なら紹介するぜ」


ティンタン「申し訳ないけど頼もうかな」


タイラ「、、、ひどいです」


ティンタン「いままで親の金でいかせてもらってたんだ、自立しないとね」


フルド「世知辛ぇな」



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