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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
56/70

プルートゥ

朝だ。

座具で寝ていた俺は俺は背伸びをした。首をゴキリと鳴らす。


クリス「おはようねぼすね」


フルド「あ、ああ、なんだ、もうそんな時間?」


クリス「ああ準備しといた方がいいぞ」


フルド「了解」


クリス「大分遅くまで起きてたろ」


フルド「わからん、オタルは?」


クリス「朝はピンピンしてたよ」


オタルはフレイヤとマリーさんの変化治療の後、

少し体調を崩した、倒れるまでは行かなかったが少しの発熱を起こしたからだ。

最初は様子見程度だったらしいが

思った以上の様子にあのフレイヤが少し後悔しているように見えた。


あの人と一緒でフレイヤは意外と弱いのかもしれない。


オタル「おはようフルド、準備しないと遅れるよ」


フルド「んだよもう、平気なのか?」


オタル「うん!ごめんね心配かけて」


フルド「してねーよ、フレイヤ達は?」


オタル「起きてるよ、朝ご飯食べない?」


フルド「軽いもんもらうわ、その前にしょんべん」


ーーーーーーー


準備を整えて、いよいよヴァンヘルトの王の元へと移動を始める。

セトの重役達と共に馬車を進める。

セトの重役達は50人程、俺らはたった6人、うち二人はババアとガキ、、が、

不思議と不安はない、ババアは最強と言われる魔女でフレイヤもかなりの魔女だ。

チヨはまあいいとして、

病み上がりの心配はあるがオタル

鉄壁の加護を持ったクリスもいる。

何かあったらよろしくお願いしますと心の中でお願いをする。 


ヴァンヘルトの住人達の視線を浴びながら、クリフォードがいる場所へ向かう。


中でもフレイヤの後ろをにいるオタルが珍しいようだ。

外からのオーク、赤い肌、

さぞ目立つだろう。


しばらく移動して、一際大きな建物が姿を現す。

近づくほど、歓声の声が聞こえる。

おそらく大きな円形の形をした建築物、

石造の中へ足をすすめる。再び外に出る。

石造建築物の中庭に出たようだ。


ある程度察していたが、闘技場だった。

稽古場程度の小さな闘技場だ。


闘技場の中に盾を持った戦死達が円形に並びその中でオークが二人闘技試合を行っていた。

盾で囲むのは、闘技場が小さい分客席に吹っ飛ばされるのを防ぐためだろうか。


外まで聞こえていた歓声はこれだったか、


目を客席に向ける。一際豪華な観客席がある。

あそこが目的のクリフォードはそこにいた。


白いオークが数人のアマゾネスとオークと共に闘技をくつろいで見ていた。


フルド「なあフレイヤ、こう言う時の礼儀ってどうすんだ?」


フレイヤ「別に、突っ立てりゃいいんじゃない?」


フルド「えーーテキトー」


セトの10人ほどの役人達と一緒に彼の前に立った。

近くでみると異質さを感じた。

骨格も他のオークと違う。気がする


セトの使徒「クリフォード王、この度はお招きいただき感謝いたします」


セトの役人はクリフォードを前に膝をつく。

フレイヤはと言うと無言で立っていた。


クリフォード「遠くからの訪問、ヴァンヘルト王クリフォード・ヴァンヘルトだ。

長旅ご苦労であった。そちらはガノリアの使者か?」


フレイヤ「ガノリアの連絡役を務めております。フレイヤガーネットです。」


フレイヤの対応は淡白だった。王の謁見というよりも初対面の挨拶程度の挨拶だった。


クリフォードの後ろの女がムッととしいるのがわかる。


セトの役人も、フレイヤの対応に焦り出す。


セトの役人「フレイヤガーネット様、王の御前で失礼ではありませんか?」


フレイヤ「申し訳ありません、ガノリアは第一にヴァンヘルトを国として承認しておりませんし、

国の名前を知っているのもここにいる者だけです。

あなた方は私達だからすれば部族でしかありませんから敬意は払いますが敬服することはありません」


ひゅーっとフレイヤの強気な発言に肝を冷やす。

クリフォードは反応はないが、後ろの巨乳美女さんの顔が怖い。


フルド「フレイヤさん、ここ一応敵国ですよ」


アルテミシア「フレイヤガーネット様、王の御前で失礼、、」


巨乳美女さんの声をクリフォードが腕を上げて遮る。そして王座から立ち上がる。


クリフォード「その通りだ、こちらの願いで来てもらったのだ、頭を下げる必要はない、立ったままではなんだ、座ってくれ」


フレイヤ「はい、そうさせてもらいます」


ーーーーーー


セトの役人「素晴らしい闘技場だ、ここはヴァンヘルト領土への中継地点と聞き及びましたが、さぞ本土の方は立派なのでしょう」


アルテミシア「そうでもありません、ここは比較的新しい建物がおおいので、どちらかといえばこちらの方が見栄えはよろしいかと」


アルテミシアと数人のアマゾネスがセトの役人の相手をしている。

チラチラと役人の目がアルテミシアの豊満な谷間に落ちている。


アルテミシア(ゲスが、、、)


その心の中と裏腹にアルテミシアは笑顔を崩さなかった。


フレイヤ、ガノリア側にはベルとイシス、

セトの役人達とフレイヤ一行の間にはクリフォードが座っていた。その後ろにはいかにも強そうなアマゾネスとオークが並ぶ。

後ろからの視線が痛い。


フレイヤがクリフォードは話しかける。


フレイヤ「クリフォード様、単刀直入に、

こちらに我が国の調査隊がいるとのことで、返して頂きたい」


クリフォード「もちろんだ、今この近くに客人として迎えている」


フレイヤ「客人?、襲って捕らえた割には偉く平和な言い方ですね」


クリフォード「我が国に無断で入ったのだ、捕らえないわけにもいかない」


フレイヤ「死者は?」


クリフォード「こちらが迎えているのは15人だ、他は行方不明もしくは魔物にやられたということだが、クルクセス、名簿を」


クルクセスと呼ばれたアマゾネスが名簿をフレイヤに手渡す。


クリフォード「とりあえず一人を伝令役としてアマゾネスと共にそちらに送った。無事に会えたか?」


フレイヤ「ええ、お陰で様で」


クリフォード「フレイヤガーネット、ガノリアにも闘技場はあるのだろう?ここと比べてどうだ」


フレイヤ「どうでしょうか、見劣りはしますね」


クリフォード「だろうなまだ建設途中だ。しかしながら待ちきれずに使っている。」


フレイヤ「そうですか、それで、人質の件、どんな見返りをおのぞみで?」


クリフォード「考えていた。

私としてもガノリアとは友好を望んでいる

協定を結ぶ手助けをしてほしい」


フレイヤ「協定を結ばないのなら人質は返さないということで?」


クリフォード「いや、、何度も言っているが客人だ、全員返すとも、しかし、一応は密入国者だ。

それを私達は許した。そちらもそれなりの恩義がほしいところだ」


フレイヤ「協定を結んで何をするつもり?」


クリフォード「ヴァンヘルトの兵を貸し出す。戦争、討伐、護衛、何にでも使うといい」


フレイヤ「、、、、」


隣の席で食事をしていたフルドとオタル


オタルはクリフォードを警戒の目で観察していた。


フルド「あんま、睨みすぎんなよ、一応王様だぞ」


オタル「、う、うん、ごめん」


フルド「どうだ?念願のクリフォードは」


オタル「どおって、、、すごく強いとおもう」


フルド「お前よりか」


オタル「、、、、、、、わかんない」


フルド(わかんないねー、さすがは強さが序列の王ってわけか)


ベル「どうだ、フレイヤ御一行様」


フルド「どうだって、生きた心地すると思うか?」


ベル「いやー私だって向こう行った時はそうだったんだから、お互い様だろ」


フルド「いやお前、めっちゃ余裕あったじゃねーか」


ベル「そうだっけか?、まあ楽しんでくれ」


フルド「たのしめるかっての」


ベル「オタル、どうだ?」


オタル「あ、うん。ごめん、まだ食べてなくて」


ベル「ちがう、闘技だよ」


オタル「え、うん、どうって、、、」


ベル「やりたくならねーか?」


フルド「やめろ、腕試しにきたわけじゃねぇ」


ベル「悪い悪い、昨日も熱出して寝込んでたんだっけか」


フルド「知ってんのかよ」


ベル「クリス君に聞いた」


フルド「くそ、あのクリス」


そうするとベルはフルドの耳元で囁く


ベル「安心しろ、訳ありみたいなんだろ?誰にも言ってない」


フルド「まだだろ?」


ベル「へへへへ」


闘技場の決闘がおわった。勝ったオークが雄叫びをあげていた。負けたオークも引き上げ次の対戦者が現れた。

アマゾネスと一人の茶色々の肌をしたホルム人。


オタルとフルドも遠目に気づく。


フルド「あれってガノリアのだよな」


オタル「、うん」


その男の装備を見てフレイヤは眉間に皺を寄せる。


フレイヤ「どういうこと?」


クリフォード「本人たちの意志だ、強制は一切してない」


フレイヤ「どう信じれと?」


クリフォード「後で本人に聞くといい」


フレイヤ「今じゃダメなの?」


クリフォード「戦士が己の意志で決闘に応じ闘気を練っている。邪魔するほど無粋じゃない。ガノリアの女性には理解できないかな?」


フレイヤ「っち」


フレイヤ舌打ちをする。

それはアルテミシアにも聞こえ。

アルテミシアの目が怒りに満ちる。


片やクリフォードは気にも留めていない。

むしろ感情を出すフレイヤを面白く感じていた。


闘技場の中

対戦者、二人が面と向かって目を合わせる。

片方、調査隊の部隊長エルバ・アドリース

片方はグリア・ボー


グリア「嬉しいなおい、ちゃんと絶好調なんだろうな」


エルバ「ああ、約束だからな」


二人は武器を構える。そしてアマゾネスの声で火蓋が切られる。


フルド「おーおー、さっきのやつとは段違いだな」


ベル「グリアボーだ、かなり強い、あんたんとこの戦士もやるな」


フルド「なんでガノリアの兵が戦ってんだ?」


ベル「さぁ、一応言っとくが本人達の意思だからな、わたしは知らん、

親善試合みたいなもんだよ」


フルド「親善試合ねー?」


オタル「、、、、」


クリフォードは試合を見るオタルをチラリと見る。


クリフォード「フレイヤガーネット、どうしてオークを連れている?、お前たちの国ではオークも魔物だろう」


フレイヤ「偶然あったのよ使えるから連れてるだけ」


クリフォード「使える人間ならいくらでもいるだろう」


フレイヤ「随分と興味あるみたいね」


クリフォード「外のオークは珍しくはないが、

地位を得たオークはいない」


フレイヤ「、、、、」


クリフォード「お前のような地位の人間と対等に接している。功績を残したか、気に入られたから、どちらにしても有能なことには変わりない」


フレイヤ「クリフォード、わたしの国では親しくもないのにお前なんて呼ぶのは失礼だって知ってる?」


クリフォード「そうか、それは失礼を、お許し下さい、ガーネット姫」


フレイヤ「、、、、、、調査済みってことね」


クリフォード「出来うる限り調べた。部下がアマゾネスとオークだけではないということだ。


闘技場の中で凄まじい攻防が繰り広げられる。

グリアの鉈刃とエルバの剣が激しくぶつかり合う

しばらくエルバは防御が続きいている。


グリアは刃を掻い潜りエルバは一気に距離を積める。下からの斬撃、かろうじてグリアは刃を受けるもその身体が浮き上がる。

同時にエルバは自分の武器を宙に放り投げる。

ガラ空きの腹にエルバの拳が入る。グリアの反撃も束の間、着地の前に足を払われる。

刃を振るう手をエルバの空いた手が遮り、重心を崩したグリアの顔にエルバの拳が食込こみ、地面に叩きつけられた。


一瞬の隙にグリア武器を奪ったエルバが倒れたグリアの首元に刃を当て、勝敗が決した。


グリア「、、、いってぇ、、、」


エルバ「ふぅ、いい試合だった」


エルバ、刃を置き、立ち去る。その後ろ姿を見ながらグリアが上半身を上げる。


グリア「エルバ!」


エルバ「?」


グリア「子が産みたくなったらいつでもこい、産んでやる!」


エルバ「妻子がいると言ったろう。」


グリア「関係あるか?」


エルバ「あるんだ」


グリア「めんどくせえなお前の国は」


エルバ「そういう文化なんだ」


グリア「産んでやるだけだぞ?交尾するだけじゃねえーか」


エルバ「、、そんなことしたら、妻に殺させる。言っておくが、お前よりも怖い」


グリア「かはははは!そうか残念だ、あばよ、元気でな」


エルバ「ああ、グリアも」


闘技場を後にするエルバを見ながらクリフォードは口を開ける


クリフォード「素晴らしい戦士だ、彼とは何度か会話をさせてもらったが、人柄も素晴らしい。

是非指南役としてほしいくらいだ」


フレイヤ「彼は国に妻子がいます。無理な話ね」


クリフォード「残念だ、そちらの国はつがいは一人だけという文化だったな、建前では、」


クリフォード、器を強めに鳴らす。

それに気づいたアルテミシアが使者に話題を振る。


アルテミシア「アベルス使節様?どうですか?良ければ、親善試合などでもどうですか?」


アベルス「試合ですか、、」


アルテミシア「是非ともセト国の武術を拝見したいと思ってまして、こちらからも選りすぐりの戦士をあてがいます」


アベルス「そうですね、、ちょっと、、す、少し話し合いをしてもよろしいですか?」


アルテミシア「ええ、御ゆっくりと」


アベルスは別の席の役人を呼び小さい声で話す。


役人「断っては、怖気付いたと舐められる可能性があります。力で地位を決めている文化です。

ここで勝てば、強さを主張できます。

協定も優位に進められる可能性も」


アベルス「そうですね」


役人「騎士長や部隊長、腕利きを連れてきております。」


アベルス「わかりました。とりあえず騎士長に準備をお願いします。」


役人「はい」


戻ってきたアベルスがアルテミシアの親善試合を了承する。


アルベス「二つの国の交流のため是非ともやりましょう、こちらの選りすぐりの戦士を準備してしましょう」


アルテミシア「それはそれは、嬉しいです。皆も喜ぶでしょう、

ラウ?出番ですよ」 


ラウ「了解」


白い短髪のアマゾネスが前に出る、そのまま闘技場に降りていく。


しばらく後


役人とアベルスの楽観的な考えは数秒で崩れた。

セトの使者達は言葉を失った。


騎士長は圧倒的な格差で無惨にも負けた。


ラウ「「なんだ、これが騎士長かよ」


アマゾネスはガッカリとした顔で気を失った男を見下ろした。闘技場から退場し、

仲間のアマゾネスが声をかける。


アマゾネス「楽勝だったな」


ラウ「ガッカリだ、期待してたのに、あのガノリアの男の方がもっと楽しめたかも」


ーーーーーーー



アベルスはその光景を見て顔を引き攣らせた。


アルテミシア「いい試合でしたね」


アルテミシアの笑みに、アベルスが精一杯の笑顔と虚勢を作るしかなかった。


ーーーー


チヨ「あっという間に終わっちゃった」

 

ベル「十指だからねー」


チヨ「十指?」


ベル「この国で10本の指に入るくらい強いってこと」


チヨ「へぇ、すごい」


ベル「大丈夫?怖くない?」


チヨ「うん、このくらないなら、『お相撲』とか好きだったし」


ベル『おすもう?』


ーーーーーーーー


クリフォード「どうだ?そちらからも」


フレイヤ「お断りします」


クリフォード「向こうでは拳闘試合を、したと聞いたが?」


フレイヤ「あれは事故みたいなもん、そんなことさせるために連れてきたんじゃないの」


クリフォード「そうか、ならばどうだ、客人の中には怪我人もいる。人数も増えれば危険も増えるだろう。

もし試合で勝てば帰路の安全のために信頼出来る護衛をつけよう」


フレイヤ「それは脅し?」


クリフォード「さて?あそこは魔物が出る、護衛は必要だろう?」


フレイヤ「何がしたいの?」


クリフォード「ただ興味があるだけだ、外のオークの力に」


フレイヤ「わたしでもいいけど?」


クリフォード「怖いな、だがすまない、興味があるのは貴方の連れだ」


フレイヤ「信用できると?」


クリフォード「してもらうしかない」


フレイヤは悩んだ。しばらく考えて、席を立ちオタルの元へいく。


オタル「フレイヤ?」


フレイヤ「ごめんなさいオタル、私のせいで」


あまり聞かないフレイヤの謝罪、オタルとフルドは耳を傾けた。


フレイヤ「クリフォードが貴方の戦いを見たがってる。多分かなりの実力者を出してくる」


オタル「うん」


フレイヤ「調査隊の安全を盾に使ってきた。ごめんなさい。こんなことのために連れてきたわけじゃなかったの、全部私の考えも準備が足らなくて


フルド「お前キャラ変わってるぞ、いつもみたいに命令したらいいだろ」


フレイヤ「、、、、、」


オタル「フレイヤ、戦って勝ったらフレイヤの役に立てる?」


フレイヤ「、、、、ええ、」


オタル「じゃあやるよ、ほら僕、試合好きだし」


フレイヤ「、、、そうね、そうだった。」


フルド「雇い主だろが、堂々としろや」


フレイヤ「あんたが出る?」


フルド「あ、ごめんなさい」


吹っ切れたようにフレイヤの目に力が宿る。


フレイヤ「ふー、オタルきて、」


オタル「うん」


ーーーーーーー


クリフォード「クリフォードヴァンヘルトだ」


クリフォードはそう言ってオタルの前に手を出す。

オタルは少しの沈黙の後、握手に応じた。


オタル「オタル、ハッシュドア、、、」


クリフォード「オタルハッシュドア、リブから話は聞いている腕が立つようだな」


オタル「、、、、」


オタルは警戒していた。

クリフォードの強さを感じ取っていた。


クリフォード「怖いな」


握手を終えるとオタルはフレイヤとフルド共に闘技場へ降りていく。その背中を見守るクリフォード。


アルテミシア「どうですか?」


クリフォード「分からん、、、さて、シャズアいくか?」


アマゾネス「いいのか?さすがクリフォード」


オーク「待ってくれ」


シャズアというアマゾネスが武器を取ろうとすると、大柄のオークが肩を持ちそれを止める。  



シャズア「なんだよ」


オーク「俺にやらせてくれないか?」


シャズア「ふざけんな、」


オーク「頼む、埋め合わせはなんでもする」


大柄なオークの懇願にシャズアは頬を赤らめぷいと反対を向く。


シャズア「しゃぁねぇな、後で後悔するなよ」


オーク「有難う、王よ、よろしいか?」


クリフォード「ふん、構わん、楽しんでこい」


オーク「感謝します」


闘技場でフレイヤがオタルの手に黒い包帯を巻き、フルドが籠手を取り付けていた。



フルド「キツくねえーか?」


オタル「うん丁度いい」


フレイヤ「無理はしないで、」


オタル「うん」


手の包帯をきゅっと巻き終える、かすかに包帯がオタルの魔力に反応して、青紫の光を宿す。


フレイヤ「どう?」


オタル「すごくいい!何もつけてないみたい。」


フレイヤ「そ」


フルド「じゃあそっちにもはめるぞ」


包帯の上に籠手を装着する。


ーーーーーー


フルド「じゃあたのしんでな」


フレイヤ「、、、、、」


オタル「、、、うん」


オタルはフルドに返事をして、

フレイヤをみて、頷いた。フレイヤもそれに応え、客席に戻る。


すれ違うように降りてきた大柄なオーク、そのオークの装備を見ると、

偶然か、オタルと同じ籠手を装備していた。


クリフォードと視線を合わせながら、フレイヤは無視して自分達の席に戻る。フルドも隣に座る。


ベル「あらー、プルートゥかよ」


またチヨのところからやってきたベルが声をかける。


フルド「強いのか?」


ベル「そりゃもう、オークの中じゃ一番上の階級だ、いや2番か」


フレイヤ「白いのでしょ」


フルド「王様除いてってことだよ、、おまえ白いのって」


ベル「私は聞かなかったことにするよ、にしても偶然だな、同じ籠手使いかよ、」


フルド「オタルの場合、籠手てか拳闘術だからなー、籠手で戦うのは初めてだよ」


ベル「え、まじが、じゃあ、申し訳ないがオタルは、、、」


フルド「さあ、どうかねー」


ベル「自信ありげだねー、言っとくが前に戦ったアロロンガはプルートゥの足元にも及ばない。

挑戦する権利すらないくらいだぞ」


フルド「まじで??」


フレイヤ「、、、、、、」


ベル「まあ、死ぬことはないぞ、あいつは必要以上に傷つけないし、国でも1番モテる」


フルド「はぁ!?」


ベル「ほんとだぞ、プルートゥの世話役を競って決闘が起こるくらいだ」


フルド「なんかムカつくな」


ベル「ははは」


フルド「なんだ、やけに教えてくるな、お前の推しか?」


ベル「推し??」


フルド「お前もプルートゥの追っかけかってこと?」


ベル「あー違う違う、私の弟」


フルド、フレイヤ「え」


ーーーーーーー


闘技場の中央に二人のオークが立っている。


オタル・ハッシュドアとヴァンヘルトの十指プルートゥ・リンデ、はるかに体格の大きなプルートゥがオタルを見下ろす。


プルートゥ「プルートゥ・ウォードだ」


オタル「?オタルハッシュドア、、、ベルさん?」


プルートゥ「ああ、ベルは姉だおしゃべりでうるさかったろう」


オタル「いえ、沢山話せて楽しかったです。」


プルートゥ「そうか、この試合を受け入れてくれて感謝する」


オタル「、、、、」


プルートゥ「すまない、浮かれてつい、話してしまった。一つ、絶対に手加減はしないでくれ」


オタル「はい、、、、」


プルートゥ「いい試合をしよう」



二人は構える

プルートゥは前屈みの構えを

オタルは、いつも通りの自然な重心の構えに


アマゾネスの合図で火蓋が切られた。



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