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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
55/70

クリフォードとアルテミシア

フルドの言っていた通信機とやらが羨ましい。


ビンゼルはそう心の中でつぶやいた。


過去に何度も実験を繰り返した通信技術。

空気中に漂う魔素が邪魔をするようで幾人の技術者たちは諦めたという。

いまだこの世界は魔物を使った移動方法が一番早い。


フレイヤ達がヴァンヘルト国へ向かった後、フレビンゼルはセト国の見張りを達を早々に巻き姿を消した。


ビンゼル「簡単すぎるか」


ビンゼルは見張りの手緩さを感じ、自分がわざと逃されてと勘付く。

そこで諦めたようにビンゼルが向かったのは

セト王カルロが滞在する宿屋だった。

豪華絢爛な立物の前に立つ。


宿屋なら前に立つ。すると中から扉が開けられる。


宿舎案内人「いらっしゃいませビンゼル様」


ビンゼル「カルロ様と会いたい、可能かな?」


宿舎案内人「はい、ご案内させていただきます」


ーーーーーーー


宿屋の最上階、最高級の部屋に案内されたビンゼルは中に入る。

そこには窓を見つめるカルロがいた。


カルロ「ようこそビンゼル様、どうぞこちらへ」


広い部屋をカルロに向けビンゼルは周りを警戒しながら歩く


ビンゼル「お時間をいただき感謝します。とても優秀な隠密をお持ちで、一切気配を感じない、もしくは本当に護衛なしで?」


カルロ「この部屋には貴方と私だけですよ」


ビンゼル「どういうおつもりかお聞きしたい」


カルロ「どういうつもりとは?」


ビンゼル「なぜわざと私を見逃したのかと」


カルロ「あーそのことですか、、、そうですね、一つ、少なくともあの者達は貴方を逃すつもりはなかったと思いますよ。

貴方が姿を消してしまっただけです。」


ビンゼル「ではわざと三流の者に見張らせたと?」


カルロ「そう言わないで下さい、少なくとも優秀な隠密ですよ、貴方がそれ以上の隠密だったというだけです。」


ビンゼル「それで納得できると?」


カルロ「体裁ですよ。一応はヴァンヘルトとの接触は表面上隠密に行いたい。しかし丁度良いところにフレイヤ様が訪れ、ヴァンヘルトはセトとガノリアとの国交を望んだ、それだけです。」


ビンゼル「以前からヴァンヘルトの存在をご存知で?」


カルロ「はい、10年くらいでしょうか、今日が来るのを待っていました」


ビンゼル「そんなに、、、」


カルロ「私の目的は簡単です。ヴァンヘルトとの協和、国交です」


ビンゼル「、、、、」


カルロ「昔話をしましょうか、、、


貴方も知っての通り、勇魔戦争以前、セトは魔族の国ガノリアとアマゾネスの領地と小競り合いに挟まれ、脅威に晒されていました。


ある日、アマゾネスの領地を侵略し、その長の娘を捕らえました。

そしてその娘を見た王は恋に堕ちた」


ビンゼル「!?、貴方は」


カルロ「そうですよ。私はアマゾネスです、ああ、もちろん私は生物的にも男ですよ。

珍しいアマゾネスの男です、

父も色黒だったおかげで怪しまれずにすみました。隠居されているペトス元王女とは血は繋がっていません」


ビンゼル「なぜ私に?」


カルロ「もう隠す必要がなくなったからです。少なからず、そのうち自ら明かすつもりです」


ビンゼル「セトをここまで発展させた貴方なら、アマゾネスの血が入っていようと誰もが受け入れると、今まで隠していたのは実績を積むためですか?」


カルロ「それもあります。勇王国と共に奴隷制を撤廃し、雇用を増やし、格差を縮めました。貴族連中からは命を狙われる事も何度もありましたが、、、信頼できる者にも恵まれた、お陰で今も生きています」


ビンゼル「では、クリフォードを放置したのはなぜですか?アマゾネスがオークに支配されるのはいいのですか?」


カルロ「、、、クリフォードは想定外でした。放置せざるを得なかったんですよ

何度か暗殺も考えましたが、なんせ向こう側は情報も少ない、信頼あるアマゾネス達の情報だけが全てでした。軍を送るにも山を越えるか、何十ものアマゾネスの部落と接触しなければいけない。

現実的ではない」


ビンゼル「脅威になるとは?」


カルロ「はい、あるでしょうね」


ビンゼル「・・・・・・・」


カルロ「ビンゼル様これを」


ビンゼルはカルロから手紙を受け取る。


カルロ「書状です。勇王へお渡し下さい。陸空海の移動手段を用意しております。お好きなものをお使いください。」


ビンゼル「、、、、最初から私を試すつもりで」


カルロ「ははは、申し訳ありません」


カルロは無邪気にニコリと笑う。ギロリと睨む


ビンゼル「最後に一つお聞きしたい。」


カルロ「はい、喜んで」


ビンゼル「ヴァンヘルト、、、イブヴァンヘルトとの関わりは?」


その質問にカルロはニヤけた顔をさらに吊り上げる。


カルロ「それは私も調査中です。

第一、国の名前を聞いたのも7日前なのですから、、、、

しかしイブヴァンヘルトならば貴方の方がお詳しいのでは?」


ビンゼルの眉間の皺が増える。それをカルロは細い目で観察していた。


カルロ「蘇生禁術をしたとて第1級の大罪者となったイブヴァンヘルト

そして貴方とエルダクロニクルともに旅をした旧友、いえ、仲間、それともそれ以上の御関係ですか?」


ビンゼルの目に殺気が宿るのをカルロは確かに感じた


カルロ「すみません、勝手に調べさせていただきました。しかし情報が少なすぎる。

父がイブヴァンヘルトの死亡を認めただけで死体は見つかってない、貴方の師とも関係が?」


ビンゼル「もう全てをご存じなのでは?」


カルロ「貴方の口から聞いてみたいのです」


ビンゼル「、、、、、彼女の死は間違いない、それだけは断言できる」


カルロ「ほう、、、それはなぜ」


ビンゼル「私が殺したからだ」


ーーーーーーーーーーー


ヴァンヘルトに向けて旅ってから数日が経った。

洞界を抜け、フレイヤ、セト、アマゾネス一行は久々の日光を浴びる。


クリス「久々の外かぁ、空気が美味い」


フルド「ははは!」


チヨ「お師匠様、お身体は大丈夫どうですか?」


マリー「ええ、元気ですよ。この馬車快適、チヨどうでしたか、洞界の世界は」


チヨ「少し怖かったですが、楽しかったです。」


マリー「それは良かった」


マリーは微笑む。


アマゾネス護衛「フレイヤ様、中間地に到着しました。休む場所を手配しております。ご案内させていただきます」


フレイヤ「ええ、ありがとう」


アマゾネス護衛「こちらです」


フルド「はぁ、空気がうめぇ」


俺たちは地上に出た、標高が少し高いのか肌寒く感じる。

空気も薄い気がする。

ヴァンヘルトについたわけではない。山岳の隙間小さな平野そこにある中継地点に出ただけだ。まだ半分の距離。先が思いやられる。


そこには小さな町ができていた。

後々国境を結ぶ目的で作られたこの町、

アマゾネスとオークが共に生活をしていた。

ちらほらと魔族や亜人の姿がみえる。


オタル「、、、、、、」


赤いオークをアマゾネスオーク達が珍しそうにみる。外のオーク、俺たち別の国の人間と同じくらい珍しいらしい。


フルド「こんな注目されんのはなんか久々だよな、なオタル」


オタル「そうかな?、、うん、そうかも」


フルド「まさかまだ嫌いなのか?」


オタル「そういうわけじゃないけど、、わかんない、まだ信用できない、かも」


フルド「ははは!!それは違いねえ」


オタルはオークに対する憎しみは完全に消えたと思っていたが、1年近く殺し続けていた対象を今更信用できるわけもなく、


フルド「お前は許されたろ、あんな気にしてると禿げるぞ」


オタル「、、、うん」


アマゾネスの護衛に案内されながら、観察していたが、建築様式が俺たちの国に似ている。


共についてきたベルに声をかける

よく見れば建設作業しているなかに亜人種の姿が見える。


フルド「ベル、ありゃ拉致してきたのか」


ベル「まさか、別の国から来てもらったんだよ」


フルド「どこの国だ?」


ベル「いろんな国から捕ってきたからな、分からん」


フルド「捕ってきたいうたなお前」


ベル「あ、、、、言い方の問題だって」


フルド「おいおいおい」


ベル「まぁまぁ、お、あそこの宿だ、快適だぞ、セトに比べたら格落ちだけどな」


フルド「おーお、立派じゃねえか」


宿を前に足を下ろす。


フレイヤ「こんな事ならクリシア連れてくれば良かった」


フルド「留守番は可哀想だったか?」


フレイヤ「別に、会いたくなったらくるでしょ」


フルド「今頃近くにいたりしてな」


フレイヤ「ありえる」


オタル「セトの人達疲れてるね」


フレイヤ「、、、そうね、旅慣れしてないんでしょ」


フルド「俺らと違って役人が多いしな、、お、クリス疲れてんな」


クリス「当たり前だろ、安心して寝れなかったし、お前らよくぐっすり寝れるよな」


フルド「場数が違うしな、別にチヨ達は寝れてたぞ」


クリス「そう言われると何も言えない」


フルド「ダンジョンの魔物より、アマゾネス達を警戒した方がいいぞ、多分殺させるならあっちの方だ」


ベル「それ、わたしがいる前でいうか?」


フルド「おっと、これは失礼」


クリス「すまない、こいつはちょっと人間不信で」


ベル「いいよ、警戒するに越した事ないしな、さあ中へ、フレイヤ様御一行、案内いたします」



ーーーーーーーーー


宿に腰を下ろす。安全のため皆男女分けずに同じ部屋をお願いしたところ、ベルはすぐに手配してくれた。


露台に出てどうせ酔わないアマゾネスの酒を飲む、


フルド「、、、」


フレイヤ「酒飲んでんの?」


フルド「飲むか?多分うめぇぞ」


フレイヤ「やめとく、こう言う時はあんたの体質羨ましいわ」


フルド「でも酔えねぇぞ」


フレイヤ「だからこういう時って言ったの」


フルド「へいへい」


フレイヤ「チヨちゃん良い娘ね」


フルド「そうかい」


フレイヤ「偉く好かれてるじゃない」


フルド「同じ故郷だしな、年代は違うが」


フレイヤ「あの子から聞いた、偉く面倒見いいみたいね」


フルド「やめれ」


フレイヤ「あんたってさ、気づいてるんでしょ?

タイラもそうだけど」


フルド「やめろ、それは流してくれ」


フレイヤ「あんたのことだから、どうこういうつもりないけど、」


フルド「ありがとよ」


フレイヤ「、、、、、チヨちゃん、マリー様が見込んだ通りすごい才能があるわ、でも」


フルド「まだ自分の魔法怖がってたか?」


フレイヤ「ええ、前の世界が原因?」


フルド「、、、、、ああ、あいつは同じ国だが、俺の生まれる何十年も前の時代にいたんだよ」


フレイヤ「、、、、それ赤の他人が聞いて良い話?」


フルド「俺もチヨからしたら赤の他人だろ」


フレイヤ「あっちはそう思ってなさそうだけど」


フルド「まあ、そん時国は戦争しててな、あいつの街に原子爆弾が落ちてな」


フレイヤ「原子爆弾?」


フルド「街一つ無くせるぐらいの爆弾だよ、原理は忘れた、爆発したあとはそこら一帯が毒に侵されるんだ」


フレイヤ「、、、?」


フルド「まあそこであいつは死んだんだよ、母親と一緒にな、だからあった時はずっと母親を探してたよ。」


フレイヤ「、、、、、」


フルド「爆発の時にすんげぇ衝撃はがくるんだ、母親はチヨを庇って、爆風で飛んだ小さいガラス?が至る所にささってたらしい。

そんで熱戦の火傷で皮膚が剥がれてく、生き残っても毒みてえなもんでまた死んでいく。


ずっと夢に見てたみたいでよ、毎晩うなされて寝れなかった」


フレイヤ「じゃあ、あの子の火傷は」


フルド「いやあれはこっちでできたもんだ、暴発したんだよ、一瞬でわからなかったが、あたり一面火の海になってた。

あれはそん時の火傷だ」


フレイヤ「犠牲者は?」


フルド「いない、俺と森が焼けたぐらいだ」


フレイヤ「それはよかった」


フルド「あ?まあ、そんでアーノルドと出会って知り合いの魔法使いに魔力の使い方教わったって感じか、少なからず暴発は無くなって克服したと思ってた」


フレイヤ「後悔してんの?」


フルド「少し、お前はどうなんだよ」


フレイヤ「?」


フルド「オタルのこと決めたのか?」


フレイヤ「まだ、、、、」


フルド「一生オタルの透析続ける気か?」


フレイヤ「それも良いかもね」


フルド「、、、、、」


フレイヤ「なに?」


フルド「いや、なんでも」


フレイヤ「ご飯はうまいし、ビンゼルより口うるさくないし、私の世話役として働かせもいいかな」


フルド「おいおい、、、まてよ、それ給料いいのか?」


フレイヤ「もちろん」


フルド「俺も噛ませろよそれ」


フレイヤ「あんたも??あんたの味濃いのよ」


フルド「好きだろ?」


フレイヤ「酒のつまみにはね、まあでも、考えてあげてもいいか、私の吸収平気だし」


フルド「おまえそういうの先に言っとけよな、俺じゃなかったらやばかったぞ」


フレイヤ「だから最初に別れろ言ったんじゃん」


フルド「忘れた」


フレイヤ「やっぱそれ頂戴」


フルド「んだよ飲むのかよ」


フレイヤ「ちょっとよちょっと」


フルド「がははは!ちょっとつまみとってくるわ」


ーーーーーーーー


翌日


結局俺とフレイヤは酒瓶を一本開けた。

翌朝カーテンで仕切られた向こう側からフレイヤ、チヨ、マリーが現れる。


フルド「おー二日酔いなってねーか?」


フレイヤ「舐めんな」


フルド「おーー」


チヨ「オタルさんクリスフルドおはよう」


クリス「おはよう」フルド「ういーす」

オタル「おはよう、よく眠れた?」


チヨ「うん」


オタル「おはようございます」


マリー「おはようございます」

フレイヤ「うん、おはよ」


部屋の扉の呼び鈴が鳴る音が聞こえた。


ベル「朝食をお持ちしました。」


フレイヤ「いいわ、入って」


ベル「皆様おはようございます。お日柄もよく、、、、えーと、」


後ろにいたアマゾネス達が朝食を運び、配膳していく


フレイヤ「おはよう、今日の予定は?」




ベル「あ、えっと、はい、今日はご自由に過ごしてください、休むもよし、遊ぶもよし、ですが外に出る際は私をお呼び下さい。

外は野蛮な奴も多いですからそれと明日は外出の予定があります」


フレイヤ「会談?」


ベル「はい、クリフォードがこちらに来ます。」


フレイヤ「、、、そ、わかった、ありがと」


ベル「いえ、また何かありましたらお呼び下さい」


フレイヤ「ええ、あ、世話役はいらないわ、こっちで勝手にとるから」


ベル「わかりました。では御食事が終わりましたら、お呼び下さい、

これにて失礼します。」


立ち去ろうとするベルに話しかける。


フルド「フレイヤと仲悪いのか?なんで敬語なんだ?」


ベル「そりゃ要人だからにきまってんじゃん」


フルド「俺らは?」


ベル「友達だろ?」


フルド「マジかよ」


ベル「はは、じゃあ朝食を楽しんでくれ、よき日を」


フルド「おう、おつかれさん」


ベルが立ち去った後、皆で朝食にいただく。


クリス「一日自由か、フルドはどうする?」


フルド「そうだな、ひたすら寝るかな」


チヨ「グータラ」


フルド「へい、グータラであります」


オタル「フルド、一応ぼくたちフレイヤの護衛だよ」


フルド「え?そうだったっけ?」


フレイヤ「そういえば、ただ着いてきただけだったっけ?よかった給料一人分浮いたわ」


フルド「ごめんって冗談冗談」


その会話を聞きながらマリーさんはクスクスと笑う。


チヨ「お師匠、何か入りませんか?」


マリー「大丈夫、今あるのでお腹いっぱいになりそう、美味しいわね」


チヨ「はい!」


オタル「これ美味しい、不思議な香りするけど」


フルド「なんか蒜草ににてんな」


オタル「うん、蒜草よりスッキリしてていいかも」


ーーーーーーーーーー


食後、フレイヤがオタルを呼ぶ


フレイヤ「オタル、大丈夫?」


オタル「うん、どしたの?」


フレイヤ「治療、この間の」


オタル「あ、うん、変色化させるんだよね」


フレイヤ「怖いなら治療だけにしましょ」


オタル「ううん、やろう、大丈夫」


フレイヤ「うん」


オタルは少し寂しそうな顔をしたが俺には

その理由は分からなかった。


オタル「少し身体洗ってきてもいい?汗かいたから」


フレイヤ「うん、ゆっくりでいいから」


オタルが隣の部屋に移動した後、俺はフレイヤに声をかけた。


フルド「んだよ、あのまま一生治療してもいいんじゃなかったのかよ」


フレイヤ「言ったけど、私に何かあった時のこと考えたら、、、ね」


フルド「それもそうか、なんかあったら言ってくれ」


フレイヤ「ええ。ではマリー様よろしくお願いします。」


マリー「はい、チヨも来なさい、よろしいですか?フレイヤさん」


フレイヤ「はい、もちろん」


マリー「滅多に見れないことよ、」


チヨ「はい」


フルド「じゃあ俺らは見張ってるよ」


フレイヤ「うんお願い」


ーーーーーーーーー


同じ頃、フレイヤ達が訪れていた中継地点に

ヴァンヘルトの王クリフォードが訪れていた。

隣にはアルテミシア。


共に調査隊エルバ、ホランド、マッドの姿があった。


クリフォードは歓迎されながら自分の屋敷に入る。中にはクリフォードとは長年の付き合いのアマゾネスのベルの父親、オークのリブ、アマゾネスのイシスの姿があった。


クリフォード「イシス、リブ、ご苦労だった。問題なく進んだようだな」


リブ「今のところは」


クリフォード「ガノリアの要人も一緒だと聞いたが」


イシス「ああ、幸運にも、こちらの客人を救出するために訪れていたよです。」


クリフォード「そうか、それは都合がいい、奥で話そう積もる話もあるだろ」


ーーーーーーーー


王の部屋


クリフォード「長旅疲れただろう、酒を用意してくれ」


世話役のアマゾネスが頭を下げ、手際よく対応する。


クリフォード「これがセトの硝子の器か、美しい」


セトからの土産に感心するクリフォード。


リブ「気に入ってくれたのならよかった」


クリフォード「そういえば、ガノリアの要人に同胞もいたそうだな」


リブ「そのことなんだが、」


クリフォード「どうした」


リブ「、、、、、、、ベルの面影を感じた」


クリフォードはギョッと目を見開いた、

隣にいたアルテミシアも驚いた表情を隠せなかった。


クリフォード「、、、話せ」


リブ「かすかに、一瞬同じ存在感を感じた。

ただの勘違いかもしれんが、」


クリフォード「はは、はははは、そうかあいつの子か、」


リブ「ベルと言う名を知らなかった。親の事は母体のことしか知らんと」


クリフォード「そうか、、今はどこに」


リブ「客人用の宿で休んでもらっている。会うか?」


その言葉にクリフォードはしばらくの沈黙した。


クリフォード「いや、明日にとっておこう」


先ほどとは違いクリフォードは感情なく言葉を口にした。


クリフォード「イシス、どう思う」


イシス「見た目からは何も、、、似てるとすれば、愚かな程に温厚なオークだと言うことしか」


クリフォード「親と子が似るとは限らんが、、、」


イシス「ただ恐ろしく強い、ロンガの次女を素手で圧倒した」


クリフォード「ほう、、、、、」


イシス「肌は赤い、大きさ並だったが、」


クリフォード「まて、今はいい、この目で見たい明日は絶対に連れてこい」


イシス「ああ、絶対に」


ーーーーーーーー


イシス、リブが後にした部屋で、セトの硝子細工を手にクリフォードは暖炉の火を見つめていた。


アルテミシア「ベルのことをお考えなのですか?」


クリフォード「ああ、あれから20年以上経ったか、、、あのベルの名を耳にするとは思わなかった」


アルテミシア「本当にベルの子だったらどうしますか?」


クリフォード「それも考えている。お前ならどうする」


アルテミシア「わかりません、ベルは少なくとも貴方と袂を分けた。」


クリフォード「子なら話は別だろう」


アルテミシア「跡継ぎにするつもりで?」


クリフォード「、、、」


アルテミシア「どうかしたので?」


クリフォード「あいつが旅立ってから沢山の仲間が命を落とした」


アルテミシア「後悔しているので?」


クリフォード「いや、、後悔だけはしてはいない。ただ考えてしまうのだ、あいつがいたのなら違う今があったのではないかと

失わなくてもよかった命が、、、

勇敢な戦士達も、お前の同胞達も」


アルテミシア「貴方は優しすぎるのです」


アルテミシアは衣類をはだけ、椅子に座るクリフォードがの対面に、手を首に回しながらクリフォードの太腿に座る。


アルテミシア「セス、何度も言いましたが、アマゾネスがどうなろうもどうでもいいのです。

貴方がアマゾネスの絶滅を望むなら喜んで喜んで実行しましょう

セス、私は貴方さえいればどうでもいいのですよ」


クリフォード「文化も習慣も消えてもか?そういえば、お前からアマゾネスの言葉もしばらく聞いてない


アルテミシア「あの言葉は忘れました」


クリフォード「ふふ、何を」


アルテミシア「貴方にいただいたこの言語だけで十分です。

この言語は好きです沢山の文明が混ざり合い形成された言語。

貴方への想いを言い表す言葉が沢山あるんです。

アマゾネスの言葉は少なすぎる。

何より貴方に教えていただいた言語なのですから」


クリフォード「お前は本当に変わっているな」


アルテミシア「お嫌いですか?」


クリフォード「いや、そのままでいい」


クリフォードは硝子の器を置き、アルテミシアの腰に手を回す。


アルテミシア「はい、、、、」


アルテミシアは愉悦の笑みでクリフォードに身体を預けた。




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