ヴァンヘルトへ
翌日、フレイヤと共にオタルや俺達はアマゾネスのベル達と共に、昨日、アマゾネスとオークたちが現れた遺跡に向かい。その後ヴァンヘルトが掘り整備した洞界の道を歩いていた。
整備されたと言っても馬車が通れないほど道は悪い、魔物に乗り移動する。
洞界の魔物も現れる可能性があるためアマゾネス達やオーク、セトの兵士が要人の警護をしている。
ちなみにセト王は来ていない、代理の影武者と補佐の何人かが同伴している。
一つ予想外のことが起きた。
大魔女のマリーと、チヨ、クリスが付いてきてくれることになった。
もちろんセトの連中はいい顔をするはずもなかったが、断るわけにもいかず。
まあ何があっても天下のマリー様がいれば心強い。
セトの要人も少し焦っていたのは気持ちよかった。
そしてフレイヤと共にガノリアの使者としてヴァンヘルトへと向かう。
洞界の道はかなりにら整備されている。
光源の設備もされてある。
10年以上をかけてアマゾネスとオークが建設した道に素直に感心した。
オタル「すごいなぁ」
フルド「なぁ、ガノリア洞区より整備されてるよなこれ」
オタル「うん、でもこれ元々あったのかな?
ほら新しいのと古いのが混じってる」
フルド「言われてみれば、」
??「お、わかるか」
声をかけてきたのは先日オタルと試合をした大柄なアマゾネス。
オタル「アロさん」
アロ「よおオタル、くると思ったよ。あんたは、、」
まだ顔が腫れているが、何も気にしていないように気軽に声をかけてきた。
アロと目が合う
フルド「フルドだ」
アロ「フルドか、、、、昨日から思ってたが、あんた、オタルの仲間にしちゃえらく弱そうだな」
フルド「まあな。よく言われるよ」
アロ「変わったやつだな、怒んねーのかよ」
フルド「理解してるつもりだ。
なあここ、もしかして初めからある程度道ができてたのか?」
アロ「ああそうだよ、昔の遺跡らしいけどな、補強やら修繕やらしかしてねぇよ、
それでも10年以上はかかったけどな」
フルド「大層なこって」
アロ「あんたらの国にもこんなところあんだろ?、やっぱ違うのか?」
フルド「遺跡があるのを除いてはほとんど一緒だな、興味あんのか?」
アロ「少しな、森を出るのは初めてだしな、セトみたいなところが他にも沢山あるんだろ?」
フルド「そうだな」
アロは少し、外に興味があるようだ。
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いくらショートカットできる洞窟でも距離は長い。
この洞界、簡素ではあるが停泊場まで作られていた。
ずっと緩やかな下り坂だったが、
おそらくかなり深い位置に居ると思う。
途中セトの使者の何人かが魔力酔いで引き返したのを見た。
しばらくして停泊場で腰を下ろす。
洞窟の中は昼か夜かもわからない。
とりあえず食事と一眠りをしてまた出発するらしい。
フレイヤ一行用の、簡素なテントをセトの役人が用意した。
簡素と言ってもさすがというべきか。
小さな平家の一軒家ほどの広さのあるテント、部屋もいくつかに分かれ、防音保温にも優れた一品だ。普通に住みたい。
しかも暖炉まである。
そんな高級テントでくつろいでいると、
ベルが訪ねてきていた。
ベル「あんた意外と下まで来れるんだな」
フルド「ん?下?あぁ魔力酔いか?」
ベル「そっちじゃそういうのか?こっちは呪いって言ってるよ」
フルド「呪いね、まあ分からんでもないが」
ベル「慣れてるのか?」
フルド「まあな、そこそこなら潜れるぞ」
おそらく加護のお陰だろう
ベル「そうか、、オタルは魔法使い二人も」
フルド「別室で話し合いだ。んだよオタル目的か?」
ベル「いや、暇つぶしだ、セトの連中は堅苦しくて楽しくない」
フルド「はは、役人ばっかだもんな、まともなもんは出せねぇけど食ってくか?」
クリス「それセトの人からもらったやつだろ」
ベル「ああ、いただくよ、あーと、ベルだよろしく頼む」
ベルは俺のそばにいた、チヨとクリスに目をやる。
クリス「クリスだ」
チヨ「ち、チヨです」
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ベル「異世界人か、初めて見る」
フルド「こっちじゃ、探せばどこかしらに居るしな、然程珍しくないかもな」
ベル「なんだ、そこらの奴と変わらないんだな、もっとへんな奴らかと」
フルド「はは!違いねぇ」
チヨ「変なのはフルドだけでしょ」
ベル「あんたらの世界はどんなところなんだ?」
フルド「そだな、俺らの所はホルムみたいな人種しかいなかったな、魔法なんてないし」
ベル「聞いたことはあるが、そんなんで発展できるのか?」
クリス「その分、機械が進歩したんだ」
ベル「なんだそれ、機械?」
クリス「難しいな、フルド」
フルド「しるかよ、もう10何年も前のことだぞ説明なんてできるか」
クリス「んー、そうだな、地球の裏側に一瞬で連絡できたりとか、情報知ることができたり、この世界に比べたらかなり便利だったな」
ベル「なんだそれ、魔法よりすげえじゃねえか、
、、、まてよ、その異世界人の知識に頼って機械?ってのが作られねーんだ?」
フルド「んー、まず、専門知識ある奴が早々に転移するかもわからん。一番は、物質やら化学反応やらがどうも違うらしい、魔素も邪魔してるみたいでな、過去に何人も挑戦したぽっいんだが、結局魔法が一番ってなったんじゃねーか?」
ベル「そうか、まあ、わからんがわかったことにしておこう、他にはどんなのがあったんだ?」
ベルは別の世界に興味深々なようだ。
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アロ「ベル、親父さんが呼んでるぞ」
ベル「わかった、じゃあな、チヨちゃん、楽しかったよ」
チヨ「はい!またお話しして下さい」
いつのまにかベルとチヨは馬があったようだ。
先輩後輩のように楽しく話していた。
ベルとアロがその場を後にし、
クリス「ベルさんはすごいな、人見知りのチヨとすぐに打ち解けるなんて」
フルド「同じ性癖だからだろ?」
チヨ「性癖じゃなくて好み!」
フルド「へいへい、まあ身についた技能だろな。あいつ多分外交的な立ち位置にいると思う。
他の国の言葉も知ってたろ?打ち解けると簡単に情報なんて手に入るしな。」
クリス「じゃあ俺たちから情報を?」
フルド「いや、それならフレイヤあたりに近づくだろ、いや外堀からとか、まあ、あんま信用しない方がいいかもな」
チヨ「フルドって疑り深い」
フルド「褒めるな照れる」
そういいながら酒をぐびっと飲んだ。
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オタル達へ声掛けに隣の部屋とをつなぐ扉代わりカーテンを開ける。
クリスもチヨもその部屋を覗く。
上半身を脱いだオタルが座り、それを挟むようにマリーさん、フレイヤがオタルの手を取り、調整を行なっていた。
オタルの上半身を見たチヨとクリスは「おぉ」
とその筋肉に驚いていた。
フルド「どうだ?とりあえずチヨとクリスは寝せるぞ」
オタル「あ、もうそんな時間?」
フルド「まだかかりそうか?」
フレイヤ「いや、丁度いいし、もう終わる」
フルド「そうか」
クリス「じゃあご飯頼んでくるよ」
フルド「悪りぃな」
フルド「で、どうなんだよ」
オタル「んー、わかんない」
チヨ「マリー様、楽しそう、何かあったんですか??」
マリー「チヨ、ええとても、ちゃんと沢山食べましたか?」
チヨ「は、はい」
チヨは少し困った顔をしている。どうしたんだろうか。
フレイヤもフレイヤで少し険しそうに悩んでいるようだった。
オタル「フレイヤ大丈夫だよ、もうこのままでもいいか」
オタルはそう言った。
もう元の強さには治らないということだろうか、
今でも十分に強いわけだが、
マリー「これは提案です。命の危険がないかと言えば嘘になりますが。
わたしは出来うる限り協力いたしますよ」
フレイヤは険しそうで、マリーさんは楽しそうだ。どういう状況だよ。
フルド「なあ説明してくんねえか?」
フレイヤ「、、、、、」
マリー「私がしましょう、オタルさん、フルドさんにお話しても?」
オタル「あ、はい、僕は全然」
マリー「フレイヤさんは」
フレイヤ「、、、、はい」
オタル「フルド、マリーさん、チヨさん、すみません、二人にしてもらってもいいですか?」
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オタルとフレイヤを部屋に残し、
俺はチヨと共に別室でマリーさんの話を聞く。
マリー「オタルさんですが、これ以上、本来の力を取り戻すことはできないでしょう?」
フルド「、、、、そうか、いのちの危険ってのは?」
マリー「そうですね。オタルさんの魔力回路にはフレイヤさんの闇型の魔力、私たちはケイオスの因子と読んでいます。これが大量に残っています。
これがオタルさんの魔力操作を困難にしていますが。
フレイヤさんの今までの治療は、大量に残ったこの因子を柔らかく流動的にすることで少しずつケイオスの因子をオタルさんの体から抜くのが目的です。
ただしこれでは表面上の因子しか抜けませんし。
流している魔力にもケイオスが入っています。
完全に抜くことは不可能でしょう」
フルド「血を血で洗うみたいな感じか」
マリー「はい
これがフレイヤさんの治療をやめた場合、
徐々にケイオスの因子が固まりオタルさんは魔力を流せなくなります。
魔力操作が出来なくなるか、もしくは命を落とす可能性もあるでしょう」
フルド「そんでマリーの提案か」
マリー「はい、フレイヤさんの治療をすることを一生行うことをは現実的ではありません。
まあ、フレイヤさんとオタルさんが一生一緒にいれば話は別ですが」
マリーさんはそう楽しそうに言った。
フルド「楽しそうだな」
マリー「はいとても、こんな事例はもうないでしょうからね」
フルド「そんな珍しいんだな、、んで提案って」
マリー「オタルさんの色をフレイヤさんと同じ色にしようかと」
フルド「、、、可能なのか?」
マリー「普通は無理ですね。」
フルド「普通はね、」
マリー「洞界の深層で適応した強靭な魔力回路のお陰で半年もフレイヤさんの治療に耐え、おそらくオタルさんの体はケイオスの因子に適合しつつあります。」
フルド「危険性は」
マリー「少なくとも、オタルさんが亡くなったり弱体化することはないと思います。
危険性はオタルさんの命とは別のことですね」
フルド「別?」
マリー「ケイオスの器、聞いたことがありますか?」
フルド「いや初耳」
マリー「フレイヤとんのような黒色のの魔力が強い人がわずかに持つ危険性です」
マリー「ケイオス、闇の魔力の始祖と呼ばれるケイオスは死んだ後も彼の残り香は未だこの世界に残っています。
ごく稀に彼の意志を感じられる者が現れる言われています」
フルド「言われているってことは」
マリー「はい、未だにわたしも目にしたことはありません」
フルド「、もしかして、ケイオスの意志に乗っ取られるとか?」
マリー「流石ですフルドさん、勘がいいですね」
物語じゃよくある話だ。
マリー「黒色の魔力持ちの稀な持病みたいなものです。しかし、それで自我を失うも方、亡くなる方もいます」
マリー「私が危険性を感じることは一つ。
オタルさんがケイオスの器になりうると期待しているからです」
フルド「え?期待って言った?」
マリー「はい、近代稀に見ない事例だと思っています。御気分を害してしまったなら申し訳ありません
フルド「、、、、、いや、いいんだけど、それフレイヤ達も?」
マリー「はい、危険性に関しては話してあります。私が期待していることは黙ってますが」
フルド「マリーさんはオタルを黒色化したいのか?」
マリー「したくないといえば嘘になりますね」
フルド「、、、強要する気はないんだろ?」
マリー「はい、もちろんです」
フルド「、、、、なら二人に任せるさ」