リブとベル
イディアスの提案によりイシスと警護の二人のみを連れてフレイヤと共にテントに迎えられた。
そのほかのアマゾネスとオークは遺跡の外に出ないとの約束のもとその場に待機させた。
保険のため、外に出さないようにオタルやフルドやその他の警備が付き、大魔道士マリーがそれに協力した。
待っている間、アマゾネスとオークは、食事をするものや、雑談をするもの、それぞれが腰を休めていた。
フレイヤ「いいんですか?」
マリー「ええ、その方が適役かと、大事なお話があるのでしょう?」
フレイヤ「・・・ありがとうございます。助かります」
マリー「いいんです。私のただの好奇心ですから」
フレイヤ「マリー様、、、」
フレイヤは呆れたように笑った。
そうだマリーはそういう人だと、フレイヤは改めて理解し
た。
フレイヤ「オタル、フルド、頼むわね。まあ、マリー様が一人いればどうにでもなるとは思うけど」
オタル「うん」
フルド「ああ、オタル様とマリー様がいれば安心安心」
フレイヤ「油断だけはダメよ。多分結構な奴いるから」
フルド「わーってるよ」
フレイヤ「すぐにセトの軍がくると思うから。
ーーーーーー
フレイヤとイディアスがイシスと警護二人つれ遺跡の外に出でいった後
アマゾネスとオークがそれぞれ騒いでいる。
食料まで持参しているところまで見ると、かなりの準備を整えていたとフルドは予想した。
フルド「オタル、腹減ってねーか?」
オタル「大丈夫」
オタルはフルドに目を合わせずに返答する。オーク達の警戒にしか興味がないようだった。
クリス「この状況で余裕だなフルド」
フルド「あーんー、大丈夫だと思うぜ、蛮族って言われててもあれはかなり理性的だと思うぜ」
クリス「そうか?俺にはそうは見えないが」
クリスの視線の先にはいつのまにか腕試しに殴り合いをするオーク二頭を囲んでアマゾネスとオークが騒いでいた。
フルド「あれくらい、こっちでもよくあるだろ」
クリス「・・・・・」
フルド「チヨ、怖かったら出て行ってもいいんだぞ」
チヨ「だ、大丈夫」
フルド「もしかして、オタルも怖いのか?」
チヨ「い、いや、そんなこと」
フルド「ほら、オタルやっぱお前殺気ムンムンだぜ、他の奴らもビビってる」
オタル「あ、ご、ごめん」
そう言ってオタルは頬を指でかいた。
その姿を初老のオークが見た。
何か驚いたような、初老のオークはそんな顔をしていた。
フルド「なんか俺らも腹減ったな、なんか持ってこようか」
???「良ければ食わないか?」
オタルを見ていた初老のオーク、
爆破の際に一番最初にアマゾネスに現れた二人のうちの一人だ。
初老のオークはそう言ってフルド達に食料を手渡した。
初老のオーク「俺たちがよく食べている干し肉だ。毒はない」
フルド「おー悪いな」
警戒するオタルをよそにフルドが受け取る。
初老のオーク「敵意はない。俺はリブ」
フルド「フルドだ、よろしく」
リブ「そちらのオーク、よければ名前を聞かせてはくれないか?
オタル「、、、オタル・・ハッシュドア」
リブ「オタルハッシュドア、、、、ベルと言う名前のオークに心当たりはないか?」
オタル「え?、、、いや、、知らない、、です、、」
リブ「、、、そうか、いや、突然すまなかった」
フルド「?」
リブはそう言って立ち去る。
それをフルドが呼び止める
フルド「なあ、リブさん、そのベルってどんなオークなんだ?」
リブ「、、、どこにでもいるオークだ。」
フルド「オタルに聞くあたり、なんか他にあるんだろ?」
リブ「、、、、、、」
リブはあまり話したくはないようだ。
フルド「、、、ブジマ、フー、ピオ、ズー、カタリナ」
リブ「?」
リブはその名前を聞いても、ピンとは来てないようだった。
しかし別のアマゾネスがそれに反応した。
一番最初にこの遺跡にやってきた際、
リブの隣にいたアマゾネスだ。
アマゾネス「親父、知ってるよそいつら、
ほら、前にオーク殺して逃げた番いを追わせた一連だ」
フルド(親父?、、マジか)
フルド「なんだよ、あんま大した情報でもないみたいだな。それとそのベルってのを交換しようと思ったんだがな」
アマゾネス「いや、知りたい。教えてくれ」
フルド「、、、、、」
そっちが先だ、そんな顔をしてフルドは返答しなかった。
アマゾネス「親父、いいだろ?遠の昔に抜けたオークだろが、頼む。」
リブ「、、、わかった」
リブが話そうとその場に腰掛ける。
しかしベルの話は延期となった。
原因は遺跡の脇で起きていた。
一人の大柄なオークが女警備に絡んでいた。
大柄なオークが女警備の尻を触ろうとして手を弾かれた。それに苛立っていた。
大柄オーク「痛え」
女警備「変な行動はするなよ、仲間のもとへ戻りな」
強そうな口調ではあるが、うっすらと恐怖が見えていた。
大柄なオークの絡みに取り巻きのオーク達が笑い、面白そうにガヤを飛ばしていた。
その光景を見たリブが即座に立ち上がた。
リブ「やめろ、スカロ、問題を起こすな」
スカロ「なんだよ、あんただってホルム等と話してるだろ」
遠目でリブとスカロの会話を聞くフルド達、
クリスはフルドに話した。
クリス「なあフルド、アマゾネスって言葉違うんじゃなかったっけ?」
フルド「ああ、そうだな、かなり前から国全体で語学をやってんだとよ」
アマゾネス「詳しいな、ピオ達から聞いたのか?」
クリスとフルドの会話が聞こえたのか、先程のアマゾネスが声をかけた。
フルド「まあな、なんだ、知り合いか?」
アマゾネス「ああ、何度か話したことがある」
フルド「そうか」
アマゾネス「あいつらは今どうしてる?」
フルド「さあな、半年も前だからなー」
アマゾネス「頼む、あいつらを推したのは私なんだ」
フルド「・・・・元から情報漏洩ためにあいつらを選んだのか」
アマゾネス「別にそういうわけでもないんだが、別に漏れても問題はないからな」
フルド「途中放棄なんて考えなかったのか?」
アマゾネス「その時はその時だ、忠実なブジマが一緒にいた。裏切ることはないだろうが、お前なら知ってるんだろ?」
フルド「さあな知らない」
アマゾネス「、、、ベルはクリフォードの右腕だったオークだ。親父はそのベルにかなり世話になったんだよ、
昔の話だがな」
フルド「なんで見ず知らずのオタルに聞いたと思う?」
アマゾネス「さあ、似てたんじゃないか?そのベルってオークに。言っとくが詳しく聞くなら親父に聞いてくれ」
アマゾネスは私は話したぞ、とばかりにニヤリと笑う。
フルド「・・・・知ってどうする?」
アマゾネス「言ったろ?知り合いだけだ。もし死んだのなら尚更知ってなければ、だろ?」
フルド「ピオは生きてるよ、ズーもカタリナもな。半年は前の話だ、あのあと何してるかは知らん。ブジマとフーは死んだ」
アマゾネス「そうか、、ブジマは戦って死んだのか?」
フルド「誰が殺したか教えてほしいか?」
アマゾネス「いや、戦って死んだならいい、あいつも本望だろ、フーは?」
フルド「ブジマの後を追って自害したよ。一緒に埋めた」
アマゾネス「、、、そうか、教えてくれてありがとう。強かったろうブジマは?」
フルド「、、、、ああ、まあな」
アマゾネス「フフ、一つ聞くが、コランとミルというオークとアマゾネスはしっているか?」
フルド「??、、いや、すまんが、知らん」
アマゾネス「そうか、、ならいい、ありがとう。
どっちにしてももう私達は追うつもりは無い、安心しろ」
フルド「そうですかい」
アマゾネスはフルドの嘘を見抜いたように笑った。
フルド「とりあえず、あんたの親父さんに聞くか、あーあんた。名前は?」
アマゾネス「私はベル・ウォード、オークのリブウォードの娘だ。」
フルド「フルドキャンセムだ。オークからもあんたみたいな別嬪が生まれるんだな」
ベル「はは、ありがとう、言っておくが私は自分より弱い雄はごめんだぞ」
フルド「ナンパじゃねーよ、社交辞令ってやつだよ気にすんな。、、あ、これ美味えな何使ってんだ?」
ベル「はは、いける口だな、私らの中にも苦手な奴がいるのに」
フルド「まあ、人選ぶなこれは、クリス食うか?」
クリス「お前なー、、ああ、、、」
クリスは恐る恐るリブから頂いた肉を口にする。
味合う顔はなんとも言いがい顔だった。
フルド「、、、だめぽいな」
クリス「鼻から牧場の匂いがする」
フルド「俺は癖になるなこれ、オタル!お前も食おうぜ、美味いぜこれ」
オタル「う、うん、」
ーーーーーーーーー
フレイヤ「ガノリアにもヴァンヘルト国を認めろと。」
イシス「はい、ガノリアからの客人もそちらにお返しいたします」
フレイヤ「客人ではなく人質ではないのですか?」
イシス「はい、客人です。お断り頂いてもお返ししますよ」
フレイヤ「帰ってきた調査隊の話では襲われてときいたけど?」
イシス「国に不法侵入する者を捕らえるのは当たり前ではありませんか?」
まあ、そうかと、納得してしまったフレイヤ
イシス「こちらで保護している客人の名簿です」
渡された名簿を読むフレイヤ。
その途中、外がガチャガチャと騒がしく動く。
足音と共に現れたのは
褐色の肌の若い青年だった。
???「すみません、遅れてしまいました」
フレイヤ「はあ!?」
聞き覚えのある朗らかに謝る成年の声にフレイヤは振り返る。
???「いやー、申し訳ない、私一応セトを治めております。カルロ・エルフィルズ・セトです。
どうかお見知り置きを」
ーーーーーーーー
私はありえない訪問にフレイヤ驚愕と苛立ちを感じていた。
話し合いを終えて一足先にオタル達の元へと脚をすすめていた。
カルロは最初からクリフォードの動向に気づいていた。それがどのくらい前かはわからないが、
少なくともあいつはわざと放置していた。
首都から離れたこの街にこんなタイミングでたまたまいるなんて出来すぎている。
調査隊の協力を断った理由もこれか
あの腹黒野郎
どうする?急いで戻って報告するべきか、
ここにとどまるべきか
急いで戻るにしても腹黒野郎の邪魔が入るかもしれない。
セトとヴァンヘルトが同盟すれば国のバランスが崩れる。
戦争の危険性がさらに高まってしまう。
混沌派の動きも活発になるかもしれない。
なんで予想できなかった。
とりあえずオタルとフルドをビンゼルと合流して、
せめてオタルとフルドだけでもガノリアにもどしてあげないと。
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フレイヤがオタルの元へといく。
オタルは強い、マリー様もいる。
大丈夫だろうが、
フレイヤはそう考えながら、足をすすめた。
オタル達やヴァンヘルトのアマゾネス、オークがいる遺跡へと急ぐ。
遺跡の周辺にはセト王カルロの精鋭軍が取り囲んでいた。
フレイヤを軍兵が止める。
軍兵「申し訳ありませんが、ここはお通しできません」
フレイヤ「さっき、テントでセト王が兵に何かあったら言えって許しはえてるんだけど」
軍兵「え、そう、、はい、少々お待ち下さい」
軍兵が困っているとひとりの役人のような女が兵に声をかける。
女性役人「その方はガノリアの要人です。お通しして下さい」
軍兵「は!!、失礼しました!申し訳ありません!」
フレイヤ「ありがと」
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フレイヤは驚愕し頭をかかえた。
遺跡の中に入り見た光景は予想外だった。
オタルの拳が大柄のアマゾネスを打ち抜く。
大柄なアマゾネスは両腕でどうにか受けるも取り囲むオークとアマゾネスの群衆に撃ち飛ばされる。
大柄アマゾネスは群衆の中から嬉々として笑いながら立ち上がる。
心なしかオタルも楽しそうに見える。
フレイヤ「うっそでしょ」
フレイヤは早脚で近づくアマゾネス、オークの群衆と一緒になって騒ぐひとりの男を見つけ、急足で歩み寄る。
そして後ろからその男の頭を鷲掴みにする。
フレイヤ「おい、どういうことですか?」
フルド「あらフレイヤさん?」
フレイヤ「なにこれ?ねー?」
フルド「言っとくけど言い出したのはそこの婆さんだからな」
フルドが指差したのはあの大魔女のマリーだった。
一瞬疑ったが、うふふと笑うマリーを見てフレイヤは眉間に皺をよせる。
マリー「ごめんなさい、楽しそうで」
フレイヤ「マリー様!!」
フルド「いいじゃねーか?みろよオタル楽しそうだぜ」
フレイヤ「どっ、、、、はあ」
どこが!?というつもりだったフレイヤ、しかし女アマゾネスと拳闘試合をするオタルを見てため息を吐いた。
そうだ、争いごとは嫌うオタル。矛盾したようだが、腕を競うのは好きなのだ。
彼は研鑽を積むことを心から好いている。半年以上の付き合いでそれは馬鹿と言うほど理解していた。
現在もそうだ。
普段女性には手を上げないオタルだが、相手が戦士と分かれば敬意を持って戦うのだ。
今の大柄のアマゾネスとの戦いもおそらく真面目に戦っている。
フレイヤはオタルに、少年が一生懸命遊んでいるような生き生きとした表情を感じた。
相手のアマゾネスにも感心する。
素手でオタルと渡り合っている。
武器付きならまだしも同じ条件の素手だ。
しかしながら素手による戦いは弱体化している現在のオタルでも、技力ともに上のようだった。
オタルの拳に再び吹き飛ばされ倒れたアマゾネス。
今度こそ決着だった。
殴り飛ばされたアマゾネスが仲間のアマゾネスに肩を支えられながら立ち上がる。
そしてオタルに近づく。
大柄なアマゾネス「子を孕ませたくなったらいつでも来い、孕んでやる」
オタル「や、き、来ません」
恥ずかしそうに嫌がり後退りオタル、そこにフレイヤが後ろから立ち寄り背中を叩いた。
フレイヤ「、、、なんか言うことある?」
オタル「あ、いや、えっと、、、ごめん」
フレイヤ「こっち来なさい」
大柄なアマゾネス「なんだ番いがいたのか。別にいいぜ2番目でも3番目でも」
フレイヤ「ごめんなさい、そんなんじゃないの、ハイっこっち来て!」
そしてオタルを群衆の外に連れて行く。
その後ろ姿に大柄なアマゾネスは声をかけた。
大柄なアマゾネス「オタル!!」
オタル「!?、は、はい!」
大柄なアマゾネス「次は勝つ」
オタル「!・・・はい!またやりましょう!」
ーーーーーーーーー
フレイヤ「ほんとバカ!」
オタル「ごめんフレイヤ」
フレイヤの叱咤にオタルは落ち込む。
その姿を見ながらフレイヤは布でオタルの擦り傷から出た血を拭う。
オタル「いてて」
フレイヤ「こんくらい我慢しなさい・・・楽しかった?」
オタル「ん??」
フレイヤ「試合は楽しかった?」
オタル「・・・うん、オークとも闘ったんだ、けど、
楽しかったかもしれない」
フレイヤ「そ」
オタル「フレイヤ、僕、多分、ああいう試合が好きなんだ」
フレイヤ「うん、しってる」
オタル「やっぱり僕、野蛮なオークなのかな?」
その言葉にフレイヤはふっと笑った
フレイヤ「馬鹿、私からご飯取られても取り返せないようなヤツが野蛮?
ああゆうのが好きなのは、ただ単にあんたが男の子だからでしょ?」
オタル「、、、、そうなのかな?」
フレイヤ「大丈夫、あんたは良い人よ。大丈夫」
フレイヤは優しい声でそう言った。
そしてオタルの頭を撫でる。
オテルは照れたように無言でそれを受け入れた。
少し離れた場所、その光景をフルドは見守っていた。その光景に何を感じたのかフルドは微笑む。
そのフルドの隣に座る大魔導士マリー
マリー「あの二人に随分と大切に思っておられるのですね」
フルド「ん?、ああ、、ああ?」
マリー「まるで親が子を想うような、とても温かい心を感じます」
フルド「・・・・ちょっと待て、もしかして心読んだりしてんすか?」
マリー「まさか、感じているだけです」
フルド「・・・・」
フルドは黙りふたたびフレイヤとオタルに視線を向ける。
マリー「とても不可思議ですね。出会って半年程と聞きましたが、その短い間にそのような赤の他人そのような感情が抱くものかと」
フルド「、、、、、」
マリー「想像通りの方ですね、チヨから貴方のことは聞いておりました」
チヨ「し、師匠!!」汗
フルド「チヨ、」
チヨ「、?」
フルド「今は辛くないか?」
チヨ「・・・・・『わからん』」
チヨの口から出たのは日本語だった。
チヨ『多分じゃがまだ辛え、でん、楽しかことも多て、やりたかこともぎょうさんあって』
フルド「、、、、、」
チヨ「生きたいと思ってる、強くなりたい」
フルド「そっか・・・・いいじゃん」
フルドは満足げな表情をした。
ーーーーーーーーーーーー
セトの宿
その後セトの兵達がその場を収め、フレイヤ一行はセト王に手配された宿に腰を下ろしていた。
そこでビンゼルさんと合流する」
フルド「結局どうなんだ?あっちからきちまったぞ、、、、ビンゼルさん?」
ビンゼル「、、ああ、すまない考えごとをしてた、様子見だ。正式には国を出ることはむりだろうな、、、、」
フレイヤ「、、、、、」
フレイヤはいつもと違う様子をビンゼルに感じた。
いつもよりも余裕がない。
セト国とヴァンヘルト国は協定を結ぶつもりね。その上にガノリアとの協定も出してきた。協定が進むまで国から出してもらえないかも」
オタル「?なんで出れないの?」
フルド「人質だよ、フレイヤって勇王の姪だろ?
返してほしければヴァンヘルトとセトの協定を結べってことだろ」
オタル「そうなんだ、、、え?姪??」
フルド「あれ?知んなかったのか?」
オタル「え、いや、すごい人だとは思ってたけど、、、あ、僕呼び捨てで呼んでた」
フレイヤ「今更、さんとか様とか付けたら怒るからね」
フルド「ビンゼルさん、外はどうだ?」
フルドはビンゼルと共にセト王に手配された宿屋から街を見下ろす。
ビンゼル「分かるか?」
フルド「んー、あの青い屋根の店にいるやつか?」
ビンゼル「その建物の二階、向かいの宿屋、数える方が手間だ」
フルド「全方位見張られてるとするとすんげえかずだな」
ビンゼル「相手はフレイヤ様だ、全力で逃したくないらしい」
フルド「まさかセトに牙剥かれるとはなぁ、なあフレイヤさんどうしますかい?」
フレイヤ「ごめんなさい、今考えてる」
普段フレイヤから口にしない言葉を聞いて呆気に取られるフルド。
予想外の出来事にフレイヤも困惑しているようだ。
フルド「・・・・・・・」
ガチャリと宿の戸が開く。
こちらの応答も待たずそのアマゾネスは入ってきた。アマゾネスのベルだった。
ベル「よう」
ベルを知らないビンゼルは身構える。
フルド「ビンゼルさん大丈夫だよ多分、一応顔見知りだ」
ベル「突然悪いな」
遅れて扉から中に入ってきたのはセト王カルロだった。
カルロ「いやいやー、約束も取らずに申し訳ない、お話しがあるのですが宜しいですかな?」
カルロはにこやかにいった。
フレイヤ「話って脅し?命令?」
カルロ「フレイヤさんそんな、本当にただのお話しですよ」
フルド「なあ、誰だ?」
フレイヤ「セト王、しかも本物」
フルド「うっわまじか」
オタル「こ、国王様!?」
オタルは慌てて膝をつくお辞儀をする
カルロ「やめてくださいよ、オタルさん、顔を上げてください。かしこまらなくてもいいのですよ。フレイヤさんのご友人なんですから」
そうやって警戒もせずオタルの元へ歩み出す。
護衛の騎士が阻もうとすると手を使い阻止させる。
そしてオタルに手を差し出す。
カルロは「是非ともカルロとお呼び下さい。」
オタル「あ、いやそんな、」
オタルは押され気味に手を差し出し握手をする。
カルロ「いきなりはご迷惑でしたね。すみません。楽にしていて下さい。
あ、ここのデザートは食べましたか?。
絶品なんですよ。」
オタル「あ。あの、、いえ、まだです。」
フレイヤ「さっさと要件を言って」
フレイヤは国王を睨んだ。
フレイヤのその目にセト王カルロはにたりと目を細めた。
フルドはフレイヤの国王に対して無礼な態度を「ヒュー」と息を吐いて煽った。
そしてフルドはベルに目を向けた。
フルド「なんで国王と一緒にいるんだ?」
ベル「頼んだら許してくれてな」
フルド「あんたもしかして、結構すげえ立ち位置?」
ベル「そーでもないさ、ここの王様が軽いんだよ」
ーーーーー
ほぼ貸切状態の最高峰の大宿の大間
フレイヤとビンゼル、そしてアマゾネスのイシスとオークのリブ、セト王カルロとその秘書らしき
人物が同じテーブルで国王直々にフレイヤへの交渉を行っていた。
少し離れた席でベル、フルド、オタル、カルロの護衛騎士の一人が、同じ食台に座っている。
少しの沈黙の後、最初に言葉を発したのはベルだった。
ベル「なあフルド、ひとつ聞きたいんだが」
フルド「ん?」
ベル「あの黒髪の魔女が本物の国王って言ってたよな、」
フルド「ああそうだな」
ベル「あれはあれか?ここの王は別のやつがやってるのか?それとも影武者か?」
フルド「ああ、そんなもんだ。普段人が見れるとこにいるのは影武者だってよ。上の立場のやつでも本物を拝んだことはないって言ってたな」
ベル「じゃあなんであの魔女、フレイヤだっけか、本物をしってるんだ?」
フルド「告られたことあるってよ」
ベル「王からか?」
フルド「らしい」
ベル「おもしろい話だな」
ゴフンと、セトの王の護衛が咳払いをし閉じた目を開いた。
フルド「おっと、やめといた方が良さそうだ」
ベル「だな」
不思議と二人は気が合うようだ。
オタルはフレイヤに気を取られてるようだ。
フルド「気になるか?」
オタル「あ、うん、まあ」
ベルが食台にある菓子を頬張る。
ベル「うっめぇなこれ」
ベルはこちらの茶菓子がお気に召したようだ。




