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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
49/71

マリーとチヨ

セトの国


古代の遺跡が次々と発見される国、沢山の学者が訪れ、パルミアに並ぶ発展国だ。


広大な苦さと高さを誇るベガルタ山脈の麓、遺跡の発掘を行う集団があった。

数十名の発掘隊の中に、ゴブリンの考古学者イディアス・ジョンズの姿があった。

テントの中で見つかった発掘物の記録を行なっていた。

共にいるのは勇都学園の生徒でもあり、助手として同行したエルフのヒルズィ。


ヒルズィがイディアスを呼ぶ。


「先生、見てください。これ」


「ん?」


「おそらくですが、魔法式です。魔力を流すと微かに反応します」


「なんと、素晴らしい発見だ、君が来てくれて助かった」


「いえ、私でなくとも誰かが見つけてましたよ」


「いやいや、そんなことはない、すごいなここまで風化してもまだ反応するとは、他のも見てくれ」


「はい!!」


ーーーーーーーーーーーー


「すごい」


大きなとんがり帽子を被った少女が。発掘中の遺跡を見つめながら言葉を漏らした。


「そうですね」


隣にいるフードの老婆がそれにこたえる。


「チヨ?、なぜ、今よりも発達していた古代文明が石材ばかり使われているのはなぜだと思いますか?」


「・・・・・魔力の影響を受けにくい、魔力伝導が少ないから魔素の変動が大きくても、風化に強く残しやすいからです」


「はい、そうです。勉強しましたね、この世界の言葉ももう教えることはなさそうです」


「そんなことないです。まだまだ・・・・古代の人は滅ぶことを予想していたのでしょうか?だから永く残る石に情報を?」


「はい、その説が有力です。建築技術も今のはるか上の域にいた彼らが、それでも石材に大量の情報を残したのは、何世代、何十、何百と残していきたかったのでしょう」


マリーの言葉に少し沈黙したチヨはとある考えが頭によぎる


「・・・・なぜ滅んだのですか?」


「なぜだと思いますか?」


「・・・・・戦争ですか?」


「はい、私もそう考えています。」


「どうして繁栄していたのに戦争なんて」


「争うことに文明の域など関係ありません。繁栄していようが、衰退していようが、人は争うものなのですよ」


「人って馬鹿ですね」


「そうですね。でもだからこそ学ぶのですよ。先人達の知恵を、失敗を、大丈夫、人はまだまだ賢くなれます。あなたも私も」


ーーー




海の恐怖に解放されたように陸の安定感に感謝しながら、


セトの港町から数日、巨大な山脈のそばの街にフレイヤ達は4人は到着していた。


「宿は取ってあります。私は先に生還者の情報を聞いてきます」


そう言ってビンゼルは紙をフレイヤに手渡す。


「うん、よろしく」


フレイヤが、それ受け取るとビンゼルはそのまま港町の人混みに消えていった。


「忙しいな」


「うん、そうだね」


フルドがビンゼルに関心し、オタルも肯定する。


オタルはジロジロとした目線が気になっていた。

オークの姿にセトの住民たちは、警戒もしくは好奇の目を向けていた。


「お腹減った!すぐに移動!はい荷物持って」


「あ、うん」


「急かすなよ」


ーーーーーーーー


「これはこれはよくぞお越し下さいました。」


イディアスは魔女マリーに深々と頭を下げた。

マリーもお辞儀を返す。


「いえお知らせを下さりありがとうございます。また、お会いできて嬉しいですイディアス・ジョンズ博士、いえ、今は先生でしたか」


「どちらでも、呼びやすい方で構いません、こちらは助手のヒルジィです。ヒルジィ、この度の、発掘事業に出資して下さった魔女マリー様だ、あ、すみません、そちらの方は?」


イディアスはマリーの後ろにいる少女に目を向けた。


「チヨ、挨拶を」


「は、はい!マリー様のお付きをさせてもらっています。チヨ・ヤマモトです。よろしくお願言いましたます。」


「こちらこそ、しかし珍しい、マリー様は弟子を取らないと聞きましたが」


「人間、考えは変わるものです」


「ははは、そうですな、あ、すみません、ヒルジィご挨拶を」


「お初にお目にかかります。ヒルジィ・ポートマンです。あの有名なマリー様にお会いでき、とても感激しております。」


「初めまして、私もお会いできて嬉しいわ、」


「ささ、立ち話もなんですので、どうぞ奥に、長旅でお疲れでしょう、お茶菓子を用意してます。もちろん出土品も」


お茶菓子の言葉を聞いてチヨは無言で目を輝かた。


ーーーーーーー


「マリー様が来ると知ってヒルジィは大はしゃぎだったんですよ」


「先生!!」


「それは嬉しいことですね」


「彼女は歴史だけでなく古代魔法を研究しています。私の生徒の中で1番優秀です」


「え、いや、」


「ええ、わかります。この魔具のかけら、私も見逃していたかもしれません。良い目と感覚が無ければこの、魔術回路は見つけられません」


「!?、、こ、光栄です!!」


マリーは遺跡のカケラを見つめながらヒルジィを褒める。その言葉にヒルジィは感激した。


「良かったなヒルジィ」


「はい!」


ーーーーーーーー


セトの首都フラムティア


ビンゼルを待つ間、オタルとフルドとフレイヤは、オタルの要望で、とある場所へ足を運んだ。


ここにくる途中、オタルは奇異の目に晒された。

共にいるフルドはフレイヤもそれを感じていただろう。しかし3人は少しそれに慣れていた。オタル自身もそれを不思議に感じていた。


ーーーーーーーーー


「イディアス博士」


「はいはい」


亜人の警備員がイディアスを呼んだ。


「3名のお客様です。オタルといえば分かると」


ーーーーーーーー


イディアスは勇都の教師をしながら研究を続けていた。オタルが生徒になってから今は亡き旧友のゲラルドに育てらてたと言うこともあり。勉強熱心な彼を気に入っていた。

のちに地界深層の文明の発見者ということもあり、イディアスにとっては優秀な生徒の一人だった。

オタルが旅立つ2ヶ月ほど前、遺跡が見つかったとしるや勇都学園の休暇を出し、真冬にもかかわらずこのヒルズィを連れてこのセトへ赴いていたのだ。

オタルもその時誘われたのだが、その時は助け屋の仕事もあり行けなかった。


「フレイヤ様、オタル君、フルド君あえて嬉しいよ」


「仕事中にすみません。挨拶がしたくて」


「そうか、わざわざありがとう、ささ中を案内しよう」


「え、でも仕事があって、あんまり長いは・・・」


オタルはイディアスに誘われるが困った顔をする。あくまで仕事中だ。フレイヤを見る。


「大丈夫ちょっとくらいなら、私も中見てみたいし」


「ありがとうフレイヤ」


ーーーーーーーーー


「ヒルズィさん、お久しぶりです」


「お久しぶりです。こんな遠くで会えるなんて、嬉しいです。フルドさんも」


「おう、」


ビンゼルのテントへの道中。2ヶ月ぶりの再会を喜ぶヒルズィとオタルとフルド、少ない期間であったが、同じ教室でイディアスの授業を受けた仲間だ。

ヒルズィも最初はオタルを警戒していたが、オタルが深層文明の発見者と知り、一気に見る目を変えた。話すうちにオタルのことを知りいつのまにか友達になっていた。


オタルの姿をみた作業員たちが奇異の警戒の目線をやった。

その目線に気付いたヒルズィ


「き、気にしないで下さいね。皆さんいい人たちで、」


「あ、大丈夫ですよ。ごめんなさい」


オタルは気にしていないようだ。

逆に心配してくれたヒルズィに申し訳なさそうに謝った。


ーーーーーーーー


テントのなかで休んでいたマリーとチヨ、テントの外から声がイディアス、ヒルズィと知らない聞こえイディアス達が帰ってくることを察した。

ジョンズが迎えに行く前、オタルがオークであると伝えられたチヨは少し緊張していた。


「大丈夫ですよチヨ、ジョンズさんも優しいオークさんだと言ってらしたでしょ」


「は、はい」


テントの外の声が近づいてくる。

チヨはその声の一つに聞き覚えのある名と声を聞いた。


「フルド!」


「クリスか?」


その声を聞いた瞬間チヨはテントを出た。


ーーーーーーー


テントから、勢いよく飛び出たチヨ。

その姿を見たフルドもギョッとする。


言葉をいう間もなくチヨはフルドに向けて走り出しフルドの胸にとびついた。

驚くフルド。クリスと呼ばれた剣士は少し嬉しそうに微笑んだ。


周りは訳もわからず静まり返った。


「なにしてたの?」


チヨは涙声でフルドの胸の中で問いかけた。


「・・・・・あーまあ、いろいろ」


後ろでフレイヤが問いかける。


「知り合い?」 



「ああ、前言ってたろ、スダチの時の仲間・・・あ、クリス、あいつらもいる?」


「いや、あいつらは抜けたよ、ケンカ別れかな」


「おうよかった。そりゃ嬉しいね」


ーーーーーーーーーーー


テントの中に入り皆、話したい相手と話をしだした。

イディアスとヒルズィとオタルは外に遺跡の見学に出て行った。

フレイヤとマリーもお茶を挟み会話をする。


奥の部屋でクリス、マリー、フルドは再会の話をしていた。


「元気そうで何よりだよ」


そういってクリスは飲み物をフルドとマリーに手渡す。


「まあな、オルマリン出たのか?」


「いや、俺と数人、とマリーだけだよ」


「数人?」


「フルドが出て行った後に入った人」


「ふーん、んでユーリは?」


フルドはかつてのスダチの仲間の名を口に出した。


「ああ、君が抜けた後、スダチの方針で揉めたんだ。そりゃもう色々とね」


「どんなふうに」


「ユーリは外の魔物退治とか危ないことで稼ぎたかったみたいだけど、俺は今まで通りで行くべきだって揉めたんだ」


「そんで?」


「とりあえずリーダーは僕だったしね。皆んなの多数決でも僕寄りだったからどうにかはなったけど。ユーリが何人か連れて抜けたよ」


「大丈夫か?あいつ言葉わかんのか?」


「ティジルがいるからね、大丈夫だとは思うけど」


「あいつもか、」


二人の会話にマリーが入る。


「ティジルさん、多分ユーリさんのこと心配だったんだと思う。」


「・・・・んー、まあ、前からその気あったもんなあいつら、、あれ?あいつは?ヨシハル」


「スダチに残ってるよ、名前だけね」


「名前だけ?」


「色々と軍棋やらの大会めぐりの旅に出てる。将棋の普及もね」


「まあ、あいつらしいつったらあいつらしいな」


「手紙もくれるよ、賞金をスダチの資金に送ってくれるんだ。彼が一番の稼ぎ手だよ」


「やるねー」


「彼もキミがいなくなって寂しがってたよ。いい相手がいないって」


「なにがいい相手だ、こちとら2枚落ちで負け越してんだぞ?お前にも負けたしよ」


チヨ「いいほうじゃない。私なんて王だけで負けた」


「たははは!!」








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