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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
40/70

ヤマト・ミコト

考古学ジョンズにゲラルドの息子のことを聞いたオタルは、その足でレオンの元へ向かった。

話の内容には興味はあった。


しかし、それはオタルの口から聞くことにしよう。


しばらくオタルは考えに更けていた。

落ち込んでいるようではなかった。


オタルが入学してから早くも3日、

当たり前のようにオタルの噂は学園に広がった。


今日はジュンズの講義の後に、学園内にある。稽古場へと足を向けた。

レオンと奴隷区で世話になったザックスというホルム人の紹介らしい。


大きな中庭のような稽古場


芝生だ、金かかってるー


まだ小さい子供が素振りをしている。

どいつもこいつも身なりがいい、


稽古風景を見学している。

師範らしき狼型の獣人、牙狼族というらしい。

カッコいい


レオンさんの古い知り合いだという。

稽古を見学しているとシュっと後ろから木剣が飛んできた。

オタルはそれを上半身を曲げて軽くよける。


投げてきたのは四人ほどの男と女、

赤い肌、額の角、オーガ族だ。

中央のリーダー的存在の見た目には見覚えがあった。

緑の瞳をしていた。


「なんだ?オタル?お前の親戚か?」


その言葉に取り巻きの女オーガの凄まじい蹴りが俺に向けられた。

パシンとオタルはその蹴りを手のひらいで防ぐ


女はそのまま身を回転し次はオタルに向けてもう片方の脚で蹴りを入れる。

しかしながら、オタルにとっては然程でもないのだろう。それも軽く手のひらで防ぐ。


ムキになったのか、女は拳も使い攻撃を繰り返す。


「あの、やめて下さい、話を」


オタルの言葉も無視して女は攻撃を続ける。

俺は薄情にもそそくさと距離を空けた


ほか三人はその一部始終を見ているだけだ。


「すみませんが、あの人止めてくれません?」


俺の言葉を無視してギョッと睨む


「あいつもやりますか?」


後ろのオーガが緑の瞳のオーガにそう言う

物騒な


「さっきの言葉、土下座すれば許してやる」


「え?はて??」


バァン!!と緑の瞳のオーガの横蹴りが俺に直撃した。吹っ飛ばされた俺がぶつかった木造とレンガの壁が半壊する。


「フルド!?」とオタル心配の声が聞こえると思った。

しかし少しちがった。


「フルド大丈夫?」


「・・・・・・クソいてぇ」


オーガ女の攻撃を軽くいなしながら、

まるで椅子で脛を打った程度のテンションでオタルは俺にそう聞いた。

まあそうだ、オタルの拳を毎日受けていた俺が、こんな蹴りで怪我をするはずもない。


痛がりながらも立ち上がる。


「頑丈だな」


緑目のオーガはそう言った。

もう1発来るな、

そう思った瞬間、ひとりの男が俺と緑目オーガの間に入った。


「やめなさい、」


先程、師範をしていた牙狼族の音が静かに強く、そう言った。


「・・・・シュリ、やめろ」


師範の声に緑の瞳のオーガがシュリと言うらしい女オーガを、止めさせた。


師範、止めるの遅くね?


「ミコト、何の騒ぎだ」


「一族を侮辱された」


ミコトと言う緑の目のオーガはそう言った。


「んだよ俺のせいかよ、最初に木剣投げてきたののそっちじゃん」


平気で立ち上がった俺にギョッとするオーガ、


オタルが10なら5ってところだな。

いや手加減してたか?


それでも半壊かた壁をみたらかなりの威力で蹴られていたことがわかる。


戦闘をやめたオタルが俺に近寄る。

シュリとか言う女オーガは俺らを睨む。

よくみりゃ美人だ。


「大丈夫?」


「おん、あ、服破けた」


オタルがミコトを睨む


「睨むな睨むな」


「う、うん」


ミコトもシュリも取り巻きも俺らを睨み返していた。


「稽古以外の戦闘は禁止だぞ」


「俺らはしてませーん、そっちのオーガさんが一方的にー」


俺がそういうと、牙狼の師範は、はあと一息吐くと。


「ミコト今日見逃す。」


「え、見逃すの!?」


「行きなさい」


オーガ族は悔しそうに振り返りその場を後にした。


ーーーーー



「いやーすまない、オタル君だね?いや、本当にオークだとは」


物珍しいそうに、オタルを観察する。


「レオンさんが貴方のところで学んでこいと言われて」


「ああ、聞いてたよ、オークがレオンの型を使うとは、ごめんね、見入って止めるのが遅れてしまった。」


怖い見た目の割に話し方は優しそうだ。

背の高さはオタルに引けを取らない

けどかなり抜けてそうだ。


加護なかったら俺死んでましたよ?


「先生、けられたんすよ、死んでたらどうすんの!?」


「君にもびっくりだよ、ケロって立ち上がるから、なに、彼もも馬鹿じゃない、腕折るくらい手には加減したはずだよ。」


「折るって大怪我ですけど先生?」


「まあまあ悪かったよ、いや、まあ、とりあえず私の部屋へ、歓迎するよ」


ーーーーーーーーーーー


「あのミコトってグループは何であんなに態度でかいんだ?」


「家がね強いんだよ、それにミコト達も強い」


俺の言葉に師範のクフリはそう答えた。


「僕が多分オーガ族の母親から生まれたからだと思う。」


オタルはそうぽつりと呟いた。続けてクフリは解説してくれた。


「オーガ族は家系に固執している節が強い。そこにオークの血が混じったのが気に食わないんだろう。オークの君には悪いが気持ちがわかる」


いや、わかってもそれは言うなよ

当然のごとく、オタルは言葉がでないようだ。


「まあさて!暗い話終わりだ。

せっかく来たんだ、お手当せするかい?もちろん君が望むならだけど。


「はい、もちろんです!」


「皆、いい経験になると思うから、見てなさい」


クフリ師範は教え子達にそう言った。

生徒達もオークに怯える生徒もいるようだが、興味も津々なようだ。



今思うと、

オタルは人を傷つけるのは極端に嫌いだが、

戦うのは好きらしい。

一緒に旅してわかった。

戦いが好きなのは男の子だからなのかオークだからなのかはわからないが。


俺と同じで先程まで素振りをしていた子供も、

無言で二人を見つめていた。

気づけば、周りには学園の生徒、教師がちらほら集まり始めている。

2階から先程のオーガ四人組が嫌な目でこちらを観察していた。


練習用の刃を潰した槍をもったクフリ師範が構える、


ズッ空気が変わる。そこには先程の見た目は怖いが抜けた優しいクフリではなかった。


俺でもそう感じたのだ。

オタルもそれをひしひしと感じているだろう。

オタルの空気も本来の姿を纏う。


シンと稽古場の周りの音がなくなったような気がした。

二人の闘気に包まれたような気分だ。


最初に動いていたのは恐らく師範だ、

一瞬でオタル間合いを詰めた突き。

オタルはそれをスレスレで避けていた。


ようだ。



ここにいる何人の奴があの動きを見えただろうか。少なくとも俺には動いた後の二人の姿しか見えなかった。


その後の戦闘は目で追うのがやっとだった。

槍の動きはほとんど見えない。

オタルの拳も

ただ、わかるのはオタルが苦戦していたこと。

クフリの間合いに入れない。

オタルの皮膚に傷がちらほらと見えるようになった。


一瞬だけ笑ったオタルの顔が見えたきがした。

楽しいのか。

そういえばあいつは強い敵に会うことがなかった。毒で苦戦することはあったが。自分と同じ強さの者と戦う機会は俺と出会ってからは恐らくあパルミアのフィルさんくらいだ。


オタルは強者との闘いに飢えていたのか?

一瞬見えたオタルの笑顔は、子供が新しいおもちゃを貰ったような、そんな無邪気さを感じた。


その後戦いは数分続いた。

クフリの槍の寸止めで、オタルの敗北に終わった。


稽古場に歓声が鳴り響いた。


クフリとオタルが互いを称えるが歓声でその言葉は聞こえかった。


背中をポンと蹴られた。 

後ろに目線をやるとフレイヤだった。

なぜか学園のローブを着ている。


「お前結局入学してんじゃん」


あれだけ学校なんてめんどくさい言うてたくせに


「手続きとか、、入るのいちいち億劫なのよ」


「ええーそんな理由で」


ーーーーーーーー


その後オタルはフレイヤに魔力治療のため連れられてどっかにいった。


待っているあいだ。

クフリ師範と少し雑談をする。


「いやー彼凄まじいね、素手であの強さか」


「素手が一番らしいすよ、、武器は使い慣れてないからって」


「そうか、じゃあ、稽古用の籠手を発注しとくよ、革を巻くだけなんて可哀想だ。彼とはまたやりたい」


「ちなみにどうでした?あいつの強さ」


クフリ師範は少し考える


「・・・・・彼っていくつ?」


「確か15か16?」


「凄まじいね、いや、恐ろしいよ。

そうだね・・・・・

控えめに言って、彼に体術に敵う者はこの学園にはいないだろう。武器があってやっと数人ってところか」


「数人はいるのか」


「いや、控えめに言ってだよ。彼がちゃんと殺意を持ってやれば・・・・・」


「ふーん、ちなみになんですが、あいつ、回復下手な奴に治療されて、魔力操作鈍ってんですよ」


「え?それ、、、本当に?」


「はい」


「・・・・・・彼は深層で何年か生き延びたんだよね?」


「ですね、やっぱり関係がありますか」


「わからない、深層がどんなところか、身をもって体験したことがないから、

でも、あの歳にして、かなりの死線を経験したはずだと思うよ・・・・そうか、深層か、、、」


「師範はダンジョンいかないんすか?」


「ははは、そんな歳じゃないしね、まあでも行ったことはあるよ。中層で諦めたけど」


「うそん」


「いや、本当に、深層の魔素に適応できなかったんだ。長く滞在して、適応しようかとも思ったけどね、できたとしてもどれだけかかるか、そう考えるとね、無理だと思って、こっちに専念する様にしたよ」


「そういや、そう言う話よく聞きますね」


「ああ、腕のある冒険者達が、なぜ深層の攻略に難儀しているか、1番の原因はあの濃ゆすぎる魔素だろうね。

深層の魔素に適応した身体、それにレオンの技ときた。

レオンの奴とんだ化け物を育てたもんだ。」


その後、クフリ師範の手解きを受け、終わった頃にオタルとフレイヤが帰ってきたので、その日は帰ることにした。


その帰り道、俺はフレイヤを読んで話をした。


「なあフレイヤ、オーガ族危なくねえか?」


「そうね」


「・・・・オタルの母親ってさ、もしかしてタケルとか言うオーガボスの身内とかじゃねーよな」


「なんで」


「息子のミコトとか言う奴、目がオタルそっくりだった、偶然・・・・ならいいけどな、あんま知らねーけど、結構な貴族の地位なんだろ?」


「ええ、そこらの成金貴族らはヘコヘコしてるくらいの」


「ちょっかい出してくるんじゃねえか?」


「考えすぎ」


「マジでそう思ってる?」


「・・・・・・まあ、市民を一人殺しても簡単に揉み消せるくらいの力はあるでしょうね」


「それならいっそ。俺じゃどうにもならん、やっぱ学校はお前が一緒にいろよ」


「・・・・・・」


「お前がオタルを学校にって言ったんだからな」


「あんたも合意したじゃん」


「だからだよ、何かあった時じゃ俺じゃ対応しかれんだろ。オークだぞ。仮に退学させようとするにしえも、やり様ならいくらでもある。俺程度が擁護してもどうにもならん、またあのオーガが来て見ろ・・・・知ってるだろ俺の弱さ」


「・・・・そうね、わかった」



いつしか俺とフレイヤの目的は共通していた。


オタルを世間に魔族か人だと認めさせること。

その中の第一目標はオタルを学園卒業というアドバンテージをつける。


オタルからすれば、お節介な話だ

これは俺とフレイヤの自己満、


それでも俺たちはそれを成したいのだ。


おそらく、会ったこともないゲラルドも、それを願っていたに違いない。









ヤマト・ミコト

ヤマトタケルの長男

まあまあ強い

まだ童貞


クシナ・シュリ

ヤマト家の分家、ミコトの世話付き立ち位置

身体の関係はまだない

こそらへんはミコトかなり奥手


オーガ他二人

シュリよりさらに分家、腕は立つから一緒にいる。

シュリより弱いくらい


クフリ 

牙狼族の槍使い。

ちゃんと戦えば国で5本の指にはいる。

口調は柔らか、教え方も上手い。

生徒からの評価も厚い

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