考古学者イディアス・ジョンズ
私はイディアス・ジョンズ。
ゴブリンとエルフのハーフだ。
もう両親は亡くなったが、
今でもエルフの母は何を持って父と結婚したのか理解できない。
しかしながら見た目はゴブリンだが、ゴブリンの寿命が50年と言われる中、70を過ぎてもこうして老けはしたが元気に研究ができている。
私は考古学者で今は勇都学園で教師をしている。
私にも悩みがある。
一つは他に比べて考古学に興味を持つ若者が少ないということだ。私の授業は空席が多い。
この学園のほとんどは魔法学や剣術に専念し、軍士や騎士候補生になるための土台、最悪貴族の遊びだ。
がっかりしている。
若い芽を育てる為に、学者の時間を減らしてまでも、あのエルダの頼みもあって、この学園に来たのだが、
蓋を開けてみれば貴族の遊び場、学園を卒業したというだけの功績欲しさの者ばかりだ。
本気で私の考古学を学ぼうとする者は片手で数える程しかなかった。
やめてまた考古学に専念しまおうか、
テトの奥地で遺跡がまた見つかったらしい。
アマゾネスの森にも確実に何かがある。
死ぬまでには是非何かを見つけたい。
解読したい。
歴史の穴を埋めたい。
しかし、私が死後も跡を継ぐ者も沢山育てなければ・・・・
そお思っていた矢先だった。
もう一つの悩みができた。
空席ばかりの教室で一際目立つ者が現れた。
赤い皮膚、緑の瞳のオーク。
一番後ろの席で他に負けないくらいに熱心に私の授業を聞いている。
オークと一緒に来た青年はウトウトと寝初めている。
他の生徒達は後ろが気になって私の授業が身に入っていない。
「要するに・・・・表音文字と表語文字の歴史では表語文字の方が歴史が古く。
えーー、
この古代の表語文字をさらに簡略化されたものが
ルーン文字や魔術師記号として今でも用意られており・・・・・
逆に魔術師記号が我々の文字の発展ではないかという説も有力です。
これに関しては今明らかになっている歴史よりもさらに昔のことを明らかにしなければなりません。
是非ともこの中の誰かが、この説の正解を見つけてくれることを願っております。
今日はここまで、次回は古代の人種についての講義を行います。
お疲れ様でした。」
その後は熱心な生徒としばらく考古学について語り教師をでる。
やはり教師を続けるか・・・・
数は少ないが教えがいのある生徒がいる。
とても誇らしい。
「あのう、すみません」
後ろからの聞き慣れない声に振り向く。
びくりと身体が硬直した。
先程のオークがそこに立っていた。
少し離れて後ろには青年が欠伸をしている。
「聞きたいことがあって」
「・・・・・な、何かね?」
「・・・その、突然ですみません、ゲラルド・ハッシュドアって知ってますか?」
ああ知っているとも
まさかオークから、その名を聞くとは思いもしなかった。
共に考古学を学んだ友の名前だ。
「あ、ああ、知っているとも、・・・・どうして」
「そのゲラルド、、、じいちゃんに育ててもらったんです。あ、僕オタルハッシュドアって言います。
えっと、イディアス博士ですよね、じいちゃんからよく聞いてて」
なんと?、、、
オタル?
私は聞いた。
「・・・オタルくん・・・名付け親はゲラルドかね?」
「は、はい」
「・・・・研究室に来なさい、そこでゆっくり話そう」
ーーーーーーーーー
後ろにいたフルドという青年とともにオタル君を学園内に私の研究室に招いた。
生徒からの視線は凄まじく、オタル君もそれを気にしているように視線を下にして小さく歩いている。
それとは対照的にフルド君は堂々とオタル君の隣を歩く。
ああそうか、彼はオタル君の好き友人なのか。
エルフとゴブリンのハーフとして奇行の目に晒されていた私と、何不思議でもないように接してくれたゲラルドを思い出した。
ーーーーーーー
「そうか、逝ったかゲラルド」
「はい、70歳でした」
「大往生じゃないかゲラルド」
「はい」
「そうか、戦争で死んだばかりと・・・・ありがとう、それを知れてよかった」
「いえ、イディアス先生の事はよく聞いてました。
まさかこの学園の先生だったなんて知らなくて、
名前を見つけて、行かなくちゃって思って、
今考えたらいきなりで、申し訳ないかなって」
「こいつがずっと迷ってるから俺が連れてきたんです。迷惑だったら俺が謝ります」
オタル君のせいにならないようにそう言ったのだろうと分かった。
「いや、ありがとう、お陰で知りたいことが知れた。」
「しかし、さそがし君は大事に育てられたんだろう、立ち振る舞いが若いゲラルドそっくりだ」
「本当ですか?」
「ああ、後ろ頭に手をやる癖もそっくりだ。
まさか、息子の名前をつけるとはな、よっぽど君のことを思ったのだろう」
「え?息子?」
「・・・・もしや、知らなかったのか?」
言ってはいけない言葉だったのか?
私はてっきり
「言ってなかったのか?
すまない、てっきり知っているかと・・・」
「・・・・教えてくれますか?」
見慣れないオークがなんとも言えない顔をしていた。
何故ゲラルドが彼にそれを教えていないのかはわからないが、
すまないなゲラルド、私は話すぞ。
でないとかわいそうではないか、
そんなことを思わせる表情を彼はしていた。
「ああ、私の知る限りでいいなら」




