パルミアの休日
貴方個人に、
どえらい美人にそう言われたら、どんな他意がなくとも緊張する。
ていうか嬉しい。
エルダクロニクル
フレイヤには聞いていた。
フレイヤの師匠、7大魔女の一人、絶世の美女
エルダ様の対面のソファに移動する。隣に謎の老人ビンゼルが座る。
エルダ様が達の握手を差し出す。
「改めてよろしく、私はエルダクロニクル、フレイヤにはあらかた聞いてるかしら」
手をズボンで拭いて握手を受ける。
手が柔らかい、幸せ
「は、はい、いやでも、お聞きに勝る美人、えへへへへ」
言った後に我ながらキモいとおもった。
「ありがと」
ニコリと笑うエルダ様、お美しい、、、、
あれ?エルダ様が手を離してくれない。
不自然なほど長い握手、
声を掛けようとした時、ふっと幸せが、握手が終わった。
「どうぞ座って」
「は、はい」
「フレイヤからは聞いてたけど、ホントに変わった体質みたいね」
エルダ様は俺の加護に興味をお持ちのようだ。
「あ、はい、特に名前はないんすけど、丈夫だったり頑丈の加護とか言われてます」
「へえそう、あ、そそ、加護については後で聞かせて欲しいんだけど。とりあえず先に聞きたいことあるのよ」
「な、なんですか?」
この人には何を聞かれても答えそうだ。
「貴方ブックマン?」
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私とオタルは許可証をもらって、早速オタルと街を歩き、先生と待ち合わせをした宿まで足を運んでいた。
やはり街中のオタルに向ける不愉快な視線は、気にはなったが、慣れるしかないと今回は我慢してと言い聞かせはしたが、申し訳ないことをしたのかと罪悪感を感じた。
オタルは笑って大丈夫だと言ってはくれたが、無理をしてるのかもしれない。
ビンゼルに迎えられた、中に入った途端、強い酒気を感じる。
「フレイヤ様、オタルさんお久しぶりです」
「ええ、えっと、ビンゼル、、、もしかして」
「はい、すみません止められませんでした」
早足で中の扉を開ける。広い部屋に入りさらに酒気が増す。
中にはすでに出来上がってる師匠と、酒を飲み干すフルドの姿があった。
周りには沢山の強い種類の酒瓶が転がっている。
「フレイヤ!遅い!遅い!あ、オタルくん、おひさーーー!!」
「あんたら・・・・・・」
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フルドと話している中、加護の話になり、
フルドの異常な物理的防御力を聞いている中。
毒やアルコールについても耐性があることを知った我が師は、馬鹿なことに、ビンゼルの静止を振り切り、どちらが酒が強いか勝負をフルドに挑んだのだ。
フルドが勝てばご褒美をやる。そんな戯言にフルドは喜んでそれを受けた。
先生はあんな美人だ、そりゃ誰だって受けてしまうだろう。どうせ色気を出しながら誘ったのだろう。
結果は全然酔わないフルドの圧勝。
先生はとりあえず吐かせてからベットに向かわせた。
しかし勝負にかったフルドが、
「え?俺の勝ちだよな、、、と、ということはえっと」
あわよくば、先生と寝れると思っているフルドはとても気持ち悪かった。
〆ておいた
そして、ビンゼルと情報交換を行う
南にオークとアマゾネスの軍団が成形されつつあること。
国が調査隊を編成するとのこと。
私たちのこれからのこと。
話しているとフルドが割って入ってきた。
「なあ、フレイヤはオーク軍団を調べる前は何してたんだ?てかどっかのお偉いさんなのか?」
私の素性に関してはあまり話していない。
国の仕事だという事以外はあやふやな事で流していた。
加護を持ってはいるがただの放浪人に話していいものだろうかと不安はある。
オタルは、、勇王紋章は持ってはいるし、話しても問題ない気もするが、、、
「いや、いいや、話終わったんなら外出てくるわ、ビンゼルさん、ここ泊まっていいんだよな?」
「ああ、好きに使うといい」
フルドの問いにビンゼルが答える。
「あざ、オタル、せっかくだし一緒くるか?」
「その、、、ひとつ行きたい所があるんだけど」
フルドの提案にオタルが少し申し訳なさそうにそう言った。
「どこ?」
「テイマーズギルド」
「なんか、用事残ってんのか?」
テイマーズギルド?なんで?
フルドは私にそう聞いた。
「いや、もうないはずだけど」
オタル個人に用事があるのか?
いや、それなら申請者の私が呼ばれるはず。
「えっと、フィンさんの寮があるんだけど、そこの稽古場があって、一日中使って良いらしいんだ」
「あー、そゆことか」
「それで、一人じゃ出ていけないから付いてきて欲しいなって、ごめん」
「わかった、ついでだしな、行こうぜ」
「うん、ありがと!」
ニコリとオタルはフルドに礼を言う。
「ちょっとま、、、いいか」
私は引き止めようとして、やめた。
オタルについて先生に見て貰いたかったが、酒でダウンしてるし、明日までは使い物にならないなと思い、オタルの外出を許した。
オタルとフルドが居なくなった宿で、私はビンゼルと国の近状や、情報を交換を行った。
「頑丈の加護、羨ましい」
「ま、悪い奴ではないと思うけど、好き好んでオタルと一緒にって、なんか裏がありそうで」
「一通り調べておきました。フルドキャンセム、
2・3年程、転移転生者や優秀な者を集めたギルドに在籍していた記録がありました」
「なんだっけ、知ってる。一時期話題になった奴でしょ?」
「はい、ほぼ荷物持ちや裏方だったらしいのですが戦闘での功績という話はありませんでした」
「まあね、加護無しなら、魔力も低いし、純粋な強さに関してもそこらの雑魚よりはってぐらいだし」
「はい、斥候や囮としてはよく使われていたそうです」
「あそこ良い収入なんでしょ?なんで辞めたの」
「・・・さあ、実力者の多いギルドでしたから・・・それ以上はまだ」
フルドは攻撃力がない、
強いパーティならば狙うは大型、上位の魔物、フルドの力では仮に攻撃を当てられたとしても、硬い皮を切ることができるかと言われれば、あまり期待はできない。
魔力を持たない者の成長は極めて遅い。
そのフルドが強いパーティの中で戦闘の役に立つには囮は最も効果的だろうが。
裏手に回るのは自然か
そうか、あの旅支度の手際の良さはそこで身についたのか。
「それは、どこの情報?」
「ギルドの元お仲間です。彼もフルドさんが抜けた後に脱退したようですが」
「そ」
転生者、時折出てきては話題になる存在。しかしながら扱いに困る。その能力故の、自信、過信、慢心、それらは悪い方向に進めば脅威になる。
その点フルドは無害だろう。
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先生の回復を待ちながら、スイーツに舌鼓を売っていた。そして夕方ごろ、フルドが宿に帰ってきた。しかし一緒のオタルの姿が見えない。
「オタルは?」
「フィルさんとこ泊まるってよ」
「はあ!?なんで?」
「稽古だよ、いや、もしかしたら夜の稽古も、、、」
「アホか、はぁ、、なんで相談なく」
「とりあえず報告と、フィルさんとこの住所、じゃ、俺はまた街に出るから」
そう言って簡単な地図を私に渡したフルド。
するとビンゼルが部屋の奥から出てきた。
「すまない、フルドさん、私も一緒にいいかな?二人で話したい」
「え?お、おう、全然いいけど」
私は呆気に取られた、まさかビンゼルが自分からフルドに近づくとは、異世界人、加護に興味があるのか。
「ではフレイヤ様、申し訳ないのですが、」
「わかってる。先生は私が見とくから」
「すみません、では」
そう言ってフルドとビンゼルは宿を後にした。
色々と考えるのがめんどくさくなった。
せっかくだ、ゆっくりしよう、
と、私は再び暴食に浸ることにした。