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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
30/71

別れ

「それでミルは?」


「大丈夫、さっき起きたぽい」


ミルの出産から二日、ハフの村の中、

この村の主婦アンさんに預かって貰っていたバッシュを抱きあやしながら、フルドの問いかけに私はそう答えた


「良かったな、無事に産まれて」


「無事?あのまま死んでもおかしくなかった。

ほんとこの村に受け入れてもらえてなかったら」


ほんとに死んでもおかしくはなかった。

普通のホルムだったら死んでいたかもしれない。

アマゾネスの生命力に感謝だ。


「そうだな、でもまあ生きてんだろ?良かったじゃん、コランも村に受け入れて貰えたし」


「外出禁止だけどね・・・・・ねえ、これからどうなると思う?」


「何が?」


「オーク」


「・・・・・・・」


私の言葉にフルドは沈黙した。

オークが人と共存した例なんて聞いたことがない。奴隷や闘技用の魔物として飼われていることはあるが、

もしこの村で暮らすので有れば迫害は免れないと思っている。


「あんたはいなかったからわからないと思うけど、あの子産まれた時ね、周りの反応凄かった」


「はあ、聞いてねーよ、まあ、普通そうだろうな」


「これからもっと寒くなるし、この村で世話になるしかないでしょ?もし何かあったら」


「この村の連中がコラン達いじめて、そして等々キレてこの村崩壊ってか?ちょっとありえて草」


「その草って意味わからないしムカつくからやめろ」


私自身あの親子には幸せになって欲しいとは思う。しかし障害が多すぎる。すると後ろからこの村の猟師のバンズさんが私たちの横に腰掛けた。


「コランの話か?」


「ええ、どうだった?、あれ?コランは?」


「アンさんが付き添ってミルさんとこにおる。

話の件なら受け入れて貰えたよ。コランだけはしばらくあの小屋暮らしだが」


「そ、良かったじゃん、」


「なんか案外あっさりだな」


「アンさんのお陰だよ、口じゃあの人の右に出るもんはおらん。

コランには腕が治り次第、俺と狩に出てもらう。

ミルさんの革細工の腕も大したもんだ。この村に貢献すれば村の皆も認めてくれるだろう」


「子供のことはなんか言ってた?」


「子供が何かしたら俺とコランとミルさんで責任をもつ、フレイヤさんの金が聞いた。それで決着した。」


「なんでそこまでしてくれるんだ?」


フルドがクソみたいな質問をしてきた。

まあ私としても気になるが。

そしてフルドは言葉を続ける。


「たしかにコランはちゃんと理性がある。おとなしいし、他のオークとは違う。

でもオークだぞ、いつ暴れるか、子供がコランみたいに育つかもわからない。

そんなんを受け入れる度量の人間が早々いるわけがねぇ」


「それは冒険者さんも親になったらわかるよ」


フルドの言葉に、後ろから声を掛けてきたのはアンさんだった。


「大丈夫だよ、昨夜からずっとミルさんの心配してたんだ。そこらの男よりよっぽど心があるよ、あのオークさんは」


アンさんは自信満々な顔でキッパリと言った

まるで私たちの心配が無駄だと言うように。


「それでね、と一つ言おうと思ってたんだけど、

その子、この村に迎えたいと思うんだけど」


「え?バッシュのことか?いいのか?」


アンさんの問いにフルドが答える。

私は抱いているバッシュを見た。


「里親探してたんだろ?この季節、その子を抱えて旅なんて大変だろうし」


「これから更に寒くなるんだろ、貯蓄あんのか?」


「オークが二人も増えたんだ、赤子の一人や二人構わないさ」


アンさんの言葉の後にバンズさんが続ける。


「山を降りれば真冬でも肉は獲れる。食料なら心配せんでいい」


「人が良すぎねーか?この村、まあ、こっちは助かるけどよ」


3人が話す中、わたしは無言でバッシュを見ていた。

一緒にいたのは1ヶ月にも満たない期間だが、

言葉に言えない感情

寂しさでもない、悲しいわけでも嬉しいわけでも、

情が湧いてしまったのか。

バッシュの顔を見ながら、私はこの感情にあう言葉を探した。


ーーーーーーーーーーーーーー


「そっか、良かったね」


オタルはバッシュの預かり手ができたことに慶ながらも寂しげそう言った。


「んだ?バッシュって」


この村に決して手を出さないと誓ったアマゾネスのピオ。アマゾネスの誓いがどれほど信用できるのかはわからないが拘束を解いてやることにした


常にピオより強いオタルと目を覚ましたフレイヤが交互に監視役を務めているが。

強いと言ってもオタルは魔力操作が上手くいってない。フレイヤも完全に魔力が戻っているわけではないが。

それでもなお、このピオやズーよりは強いらしい。


この状況を見ればわかる。

オタルとピオは運動と称して組手をしていた。

肋骨が逝っていたはずのピオはもうすでに動き回っていた。

流石アマゾネス、ズーの回復魔法のおかげもあるが、なんて治癒の速さだ。


オタルは素手、ピオは簡易的な木剣。

ピオの魔力の乗った剣がオタルを襲うが、流石と言うべきか。全ていなしている。

魔力操作が上手くいかないと言っているのが嘘かのように。

素晴らしい技だ。


しかしながら魔力込みの打撃に関しては今のオタルとピオは同等らしい。

要するに完全に技量でオタルはピオに勝っているらしい。


現にすぐにでも折れそうな魔力で補強しているとはいえたかが木剣、オタルに直撃すれば簡単にへし折れるだろう。

しかし木剣が折れずに流されて避けられ、未だ一本も折れてはいない。

そしてまた、ピオは宙を回転し、積雪の地面に横転していた。

そんな時に俺が来て、バッシュの預かり手のことを話していたのだ。


「この村に来る途中に、保護したんです。野党に襲われてて」


オタルが応える。

ことの次第を説明すると


「うっわ、うちらも野蛮言われてるが、そっちの方が大概じゃねーか」


「私でさえ戦わない人を襲ったりしないのに、どうせ雄でしょ、やっぱクソねクソ

私達もここに来る途中野党にとかにあったけど、

返り討ちに合った上に助けてくれーとか、アマゾネスの戦士は命乞いより死を選ぶのにさ、ホント雄って醜悪。

あ、オタル君は違うよ、ほんと強いし、性格もいいし、雄なのがもったいない、あ、でももっと我が強くなってもいいと思うな」


ピオの後にズーが饒舌に言う。

よく喋る女だ。しかし何故かフレイヤとは仲良くなってる。

この間はフレイヤさん!あの魔法ってどう言うの?っとまるで姉を慕うかのように話しかけていた。フレイヤも邪険にせず気さくに話しているようだ。


俺のことはまるで居なかったかのように振る舞うくせに。

まあ、あんなに顔面を殴ったんだ、仕方がないと自分に言い聞かせている。


ちなみにその後俺はピオと何度か組手をした。

まあ、見事にやられた。

あの時の仕返しかのように、そりゃもうボッコボコに


ーーーーーーーーーーー


出立の日、

俺とオタル、フレイヤはこの村を後にすることにした。

そろそろ雪がかなり降ってくるらしい、急いで南に行かないといけない。


村の数人が集まっている。


「じゃあねバッシュ、いい子にね」


フレイヤはまだアンさんの腕の中で寝ているバッシュに優しく言う。


「安心して、お金も絶対この子の為に使うから」


そこにはコランとミルの姿もあった。


「ありがとうございます。フレイヤさん、フルドさん、オタルさん、貴方型のお陰でこうして3人生きることができました。この御恩は一生忘れません」


ミルの感謝の言葉と共にコランも「ありがとう」

言う。


オタルがコランに近寄る。


「腕、すみませんでした。」


あの一件からオタルからコランに話しかけるのは初めて見た。


「・・・・もう痛くない、助けてくれてありがとう」


コランは抱いている自分の息子を、ミルに渡すと

骨折してない方の手で握手を求めた。


「・・・・うん」


オタルはその手に応えて強く握手をした。


「フルドさん、ありがとうございました」


リムルが俺に礼を言った。


「迷惑かけただけだろ?バンズさんも悪かったな」


「気にするな、こちらの損害はリムルの怪我ぐらいだ、アマゾネスは少なくともあのブジマと言うオークは危険だったかもしれんのだろ?」


「そうですよ、命まで救ってもらったのに」


リムルとバンズさんはそう言ってくれるが、俺たちが来なければリムルもこんな目に遭わなかったかもしれない。口には出さないでおくが、、、


あのカタリナ以外のアマゾネス達の姿がない、どうせ寝てるのだろう。


「お前達はこれからどうするんだ?」


俺は歩けるようになった。カタリナに向けてそう聞いた。


「路銀も貯めたいしな、しばらくはこの村にいる。安心しろこの村には迷惑はかけない」


「リムルに嚼役されたしな」


「ちょっとフルドさん」


「本人から、あれは無しだったと言われたからな、今更言いなりになる筋合いはない」


「んだよ、リムル童貞捨てるチャンスだったのに、馬鹿だなー」


「フルドさんやめて下さい」


「しょうがない、アマゾネスみたいな野蛮なのには欲情なんてしないんだろ」


カタリナが笑みを浮かべながらそんなことを言う。


「そ、そんなことないですよ、魅力的だと思います!」


「じゃあ、ただのヘタレか」


「え、いや、す、すみません」


なんだ、カタリナは満更でもないみたいだ。

もしかすればこの二人、、、


「お前尻に敷かれそうだな・・・・」


そして俺たちはハフの村を後にした。

フレイヤはしばらくバッシュの顔を見つめていた。

情でも映ったのだろう。だからあんまり可愛がるなと、、、


すっかりこの村には迷惑をかけた。





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