和解
ミル、コランの追手の襲撃の後、無事バンズさん達を含める9人は村に戻ることができた。
バンズと村長は苦労しただろう。
なんせ無事にオークを討伐できたと思っていたら
バンズの息子のリムルは怪我、
そして見知らぬアマゾネスが4人、一人は妊婦、
1人は毒によって動けず、二人はボコボコにされて縛られている。
そして極め付けはオークが2頭も一緒だったことだ。
村長はしばらく唖然としてバンズさんの説明も聞こえてないようだった。
村人への説明も難儀だったろうに。
ーーーーーー
村の離れの古屋、俺はそこに脚を運んでいた。
「入るぞー」
そう言って扉を開ける。
中にはオタル、コラン、見張り役のバンズさん、そして堅牢に縛られたアマゾネスのカタリナ、ズーとピオが火に当たっていた。
「バンズさん。お疲れ様、飯だ」
「すまんな、助かる」
バンズさんが、二人の見張り役をしてくれていた。
流石にオークを村のど真ん中に入れるわけにはいかなかった。
こうやって受け入れてくれただけでも、村で顔の聞くバンズさんのおかげだ。
「いえいえこちらこそ、二人とももう大丈夫なのか?」
「うん、もう平気」
オタルは返事をして、コランのはコクリと頭を縦に振った。
「そか、じゃあ冷めないうちに食おうぜ、パンは焼き立てだってよ」
村に帰投後、ミルだけは安全だろうと村の中で匿われた。現在フレイヤと共に養生している。
「フルド、フレイヤさんはどうなの?」
「寝てる、魔力の回復だってよ、見た目も戻ってるよ、問題ねえよ、そのうち起きるだろ」
「そか、なら良かった」
そしてコランが口を開ける。
「ミルは?」
「大丈夫、経験豊富な人がついてる」
コランも不安で仕方ないだろう。
帰りがけ、ミルが腹を痛め出したのだ。
バンズさんとと俺がが説得する形でコランとミルを引き離した。
「絶対に一人で村に行くようなことはするなよ、ミルとお前の子供の為だ。大丈夫だ、彼女はもう何度も子を取り上げた。うちのリムルもだ」
バンズさんがそうコランに言うと、コランは少しは落ち着いた様にその場に腰を下ろした。
オタルはフレイヤの状態を聞き安心したか、席を立ちアマゾネス達の元へと向かう。
「カタリナさん一人で食べれますか?」
「ああ、問題ない」
オタルは横になっていたカタリナを優しく上半だけ起こすと、脚の上に台を設置して、スープの入ったお椀を置く。
カタリナの脚はは入念に縛らせて貰っている。手は両手を縛ってはいるが固定はしてないので、木製の匙を渡せば普通に食べれる。
ズーとピオに関しては両手を後ろに背中合わせで堅牢に縛れている。
感謝してほしい、床ずれしない様に柔らかい布を下に挟んである。
オタルは二人に交互にスープを飲ませ、パンをちぎっては口に運ぶ。
不機嫌そうに二人はそれを食べた。
「オタル、お前が先に食べろよ」
「大丈夫だよ、そんなにお腹減ってないから」
そう言いながら甲斐甲斐しく世話をするオタル。
スープの啜るズーが痛そうに顔を歪める。
「大丈夫ですか?」
「唇が切れた」
ズーの唇の治り掛けた傷が割れていた。
血がしたたり落ちる。
「うっわ、いたそ」
俺がそう言うとズーがギロリと俺を睨んだ。
そしてオタルが俺を見て口を開ける。
「フルド、、、」
オタルがいかにも俺が悪い様な目で俺を見る。
「いや、待て待て待て、俺全然悪くないからな!」
すると、少し扉の外で雪の踏む音にオタルがいち早く気づいた。
「誰か来るよ」
俺は扉を少し開けて外を確認する。
「・・・リムルだ」
こちらに歩いてきているのはリムルだった。
リムルが到着する。
「リムル、もう大丈夫か?」
「はい、もう、傷も縫いましたし、ちょっとフラフラしますけど」
俺の言葉に笑顔でリムルはそう返す。
後遺症もない様だ、本当によかった。
「どうした、まだ寝てろ」
安堵した表情のバンズさんが帰れと促す。
「いや、皆さんどうしてるかなって気になって」
リムルの心配はおそらくカタリナだろう。
真っ先にカタリナに目を向けた。
「大丈夫みんなピンピンしてるよ」
そうだみんなピンピンしている。
アマゾネスの3人も元気そうだ。
「おい、オタル、パンをもっとよこせ、ちぎらなくてもいい」
「あ、私も」
アマゾネスのピオとズーがオタルに飯を催促する。オタルは嫌な顔せずに「はい」と言うことを聞く。
フレイヤといい、このアマゾネスといい、オタルは女の尻に好かれやすいようだ。
本人も迷惑じゃないようだし、まあいいか、
いちいち横から言うのも面倒くさくなってきた。
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「さてと、このアマゾネス達はどうする?」
俺はいきなりそう部屋のみんなに問いかけた。
「・・・・・・・」
オタルとバンズさんは無言だ、
「こいつらが全快になったら、また暴れ出すぞ」
「・・・・でも、もう丸腰だよ」
「関係あるか、こっちは素手だけでも脅威だし、こっちは魔法使いだぞ」
まあ魔法使いのズーにはフレイヤの魔具を勝手に拝借させて使わせてもらった。魔法対策だ。
魔力の変換を邪魔する効力があるらしい。
フレイヤ、便利な物を持ってやがる。
今思えばあの雪山で殺しておくべきだったかもしれない。
「アマゾネスさん達、敵対する意思はあるか?」
バンズさんはアマゾネス3人にそう聞く。
初めに答えたのは一番無口なカタリナだった
「嚼約させればいい」
「てめぇ!!!こらふざけんな!!!」
「ちょっと!カタリナ!!!裏切り者!!」
カタリナの言葉にズーとピオが慌てふためく。
ズーとピオがギャーギャーとうるさいので窒息しても仕方がないくらいに口を縛る。
「なんだよ、嚼役って」
「アマゾネスの風習だよ、口移しで肉を食べさせたらいい、逆らえなくなる」
「こいつらの反応を見るに、教えたらダメなんじゃねーのそれ?」
「まあな」
「その嚼役って効力強いのか?」
「ああ」
見事に裏切ったカタリナにピオが相当な剣幕で怒る。
「カタリナ!!!!!」
「そかそか、いいなそれ」
「は!絶対に食わねぇよ」
そんなナイスな風習があるのか
「バンズさん毒あるか?、カタリナに打ったやつと同じやつ、あれ使えば無抵抗にしゃくやくできるだろ」
「わかった!わかった!!従うから!ね!ピオ!!」
「・・・・わかった、アルテミスの、、、名において誓う」
ズーが焦り気味にそう言った。
ピオも不満げに頷く。
「アルテミス?狩猟の神か?」
「アルテミスの誓いはかなり重い、ズーはともかくピオは守る」
と、カタリナが素直に教えてくれる。
「ちょっと!カタリナ!ほんとにほんとに誓う!!!」
「所詮は口約束だしな、まあ、その嚼約ってのもそうだが、、でもよ、コラン達追う時にもそのアルテミスの誓いってのどうせしたんだろ?
その誓いっての上書きできる便利なもんなのか?」
「ちがう!今時そんなの古いって!ただの言葉言葉!言葉の文的な」
「んだよ、口だけかよ、その嚼役ってのも信用できん」
「そうか、そこのリムルに言わせればいい
私はそいつに嚼役された。慰みだろうとなんでも従う。そうすれば信じるか?」
カタリナの言葉にみながギョッとした。
バンズさんは察したかのように無言だ。
「リムル、、、やるなお前」
「ちょっと待ってください!!そんなつもりじゃ」
そんな中ズーが横槍を入れてきた。
「無理やりは無理だから!!ちゃんと自分の意思で食べないと意味ないから!!!本当!」
「うるせぇなー、しょうがねぇ毒だけでも打っとくか」
「そんな気軽に、、」
俺は間違ってない、この村のことを思っての事だ。
「ミル達のことは諦める。この村にも一切手を出さない。誓う、確かにアルテミスの名の元にこの命令を受けたが、、失敗した上に生かしてもらってる。治療もしてもらった。飯ももらった。
どうせ、そのオークににも黒い姉ちゃんにも勝てねぇしな。
どうせ、帰ったとしても罰を受ける」
ピオは冷静にそう言った。
そしてカタリナが口を開く。
「アマゾネスの戦士は負ければ、死か服従だ。ピオの言葉には嘘はないと思う」
「そうか」
「ねえ、なんでカタリナの言葉は信じるの?差別?」
ズーのツッコミがうざい。
「ほかに言い分があるなら聞くぞ」
「あそこにいたらいずれ好きでもないオークに孕まされる。それは嫌だ」
「・・・・・・」
信用しかねる。信用してもしダメだった時のことを考えれば、、、
そう葛藤していると、徐にバンズさんが立ち上がる。そしてピオ達の元まで行くと、迷わずにナイフでピオ達の拘束を切った。
「ちょ!バンズさん!?」
「ズーさん、ピオさん、カタリナさん、貴方側を信じるとする。これからは冬が激しくなる、その間この村で過ごすも良し、村を出るならある程度の食料も分けよう、その分仕事はしてもらうが、いいな」
「ああ、絶対に害は出さねーよ」
「やったーー!!じゆーーー!!!」
いいのかそれで、、
「知らねーぞ。バンズさん」
俺は仕方ないと
ため息を吐いた。
「この村には害はださねぇ、でもテメェはボッコっても問題ないよな?」
そう言いながら俺を睨むピオ
「ほらみろ、バンズさん!こうなる!!」
「やっちゃえピオ!」
「冗談だよ、殺さないでいてくれただけ感謝してるよ」
「ほ、本当ですか?」
「いや、やっぱボコす」
「オタルさん!!助けて!!!!」
そんな茶番をオタルはニッコリと見ていた。
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