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鉄腕オーク   作者: 利
オークと魔女と異世界人
24/71

合流

フルドは幼少、この世界での幼少の頃を思い出していた。


雪山、自分を育てた祖父が病状に倒れ、一人で山に狩りに出ていた時。


魔物の痕跡を辿り、息を殺し、静かに獲物を待った。初めての一人での狩り。


この狩りが失敗すれば祖父への薬を買う為の金が入らない。あの時の責任の重みと同じ感覚をフルドは感じていた。


雪の中を歩く、何度も立ち止まり周りの音を聞きながら、慎重にフルドは獲物を探していた。


折れた木を見つけて確認する。

運良く、近くに穴を発見した。木には雪山がかじったであろう沢山の二本歯の噛んだ跡もある。


「さあて、やるか」


ナイフを取り出しフルドは背中に雪を積もらせながら必死に雪を掘り始めた。


ーーーーーーーーー


懐かしい感じがする。


深層に落ち時に似ている。

深層そこには弱肉強食が唯一の違う世界があった。


僕は2年間そこで暮らしていた。


生き残るために鍛えた、技を磨いた、そして殺して、食べて、また鍛えた。


あんなに恐ろしいところが今は少し懐かしい。

ユピル・・・・元気にしてるかなー


ーーーーーーーーー


「起きた?」


黒帯の繭の中、オタルは静かに目を覚ました。


「・・・・あ」


目を開けたオタルの目には魔族らしい、魔物じみた姿に変貌したフレイヤがいた。


「毒で死にかけだったの、今はどう?」


「・・・・フ・・・フレ」


「・・・・まだダメね寝てなさい」


フレイヤがオタル額に手をかざすと、オタルはまた深い眠りについた。


ーーーーーーー


まだ雪が降り止まない中



パチパチと焚き火の燃える音と風の音だけが響いている。

フルドが狩りに出てから数刻が経つ。

リムルは雪を溶かしアマゾネスに飲ませていた。

彼女を支える際に時折貧血が襲う。


(フルドさん、ナイフだけで、大丈夫だろうか)



ザク   ザク


遠くで歩く音が聞こえる。


リムルは喜ぶ一方警戒した。

アマゾネスの他の仲間の可能性も示唆したからだ。

緊張が走る中、その影が現れるとリムルは安堵した。


足音の主はフルドだった。


そして、身体に積もった雪を払うと、満遍の笑みで捉えた雪兎をリムルに見せびらかした。


ーーーーーーー


日が沈み、雪崩から2回目の夜が訪れようとしていた。

オークとアマゾネスの女と老人は、雪崩のあった崖の下で倒れた木を集めて、火を囲み暖を取っていた。


「賢い馬だ」


リムルの父親バンズは流石にフレイヤの相場クリシアを褒め、クリシアは吐息を鳴らした。


雪崩後、逃げ延びたバンズ、アマゾネスのミル、オークのコランと合流し、吹雪が病んだ後、リムル達を探し始めていた。


「ここでまっていてくれ、あたりを探してくる」


「お、俺も」


一人でリムル達を探そうとするバンズにコランは同行しようとするが、バンズに止められた。


「嫁さんがおるだろ、この寒さは母体に悪い、そのまま暖めてなさい」


「私は大丈夫です!火もありますし、元はと言えば私達のせいで」


「ついでに食料も取ってくる、この辺は雪兎がいてな、デカくてなかなか旨い、一人の方が捕りやすい」


「でも!」


「いいか、火の番を頼むぞ」


強引にそう言ってバンズは雪の中へと消えていった。


「・・・・・・・本当に良い人、ねえコラン」


「うん」


「リムルさん達無事だといいね」


「うん」


ーーーーーーーーーー


辺りの捜索をしていたバンズ、ついでに雪兎の痕跡を探す。


(ミルさんは妊婦、コランさんはあの巨体だからな、今の保存食じゃ足りん)


そしてある痕跡を発見する。

ここは先程フルドが雪兎を仕留めた場所だった。

雪が積っているが明らかに掘られた跡。


(・・・・まだ新しい)


ーーーーーーーーーー


フルドは少し前に捉えた雪兎を解体していた。木の枝に刺し焼く。


「ほら、リムル」


「ありがとうございます」

 

「塩があったらな」


「肉が食えるだけ贅沢ですよ」


「だな」


雪兎が取れたことで二人に笑顔が戻る


「どうだそいつは」


フルドは熱でうなされるアマゾネスのカタリナに気を向ける。


「まだ熱が下がりませんね、大丈夫ですか?」


「・・・・・・・」


「無視かよ」


「喋るのも辛いんですよ」


リムルはカタリナの額の汗を拭う。


「食えそうか?」


「すみません、お肉です、食べれますか?」


リムルがカタリナの口に肉を当てる、カタリナは肉を噛みはするが全身の痛みと痺れで噛みちぎることが出来なかった。


「脂だけでも吸ってください」


「どうだ?」


「・・・・・ダメみたいです、噛めないみたいでスープにすれば」


「・・・鍋ねえしな」


「・・・・・・・ごめんなさい」


意を決してリムルは先程の肉を口にして何度も咀嚼する。

そしてカタリナの口を開けさせて咀嚼した肉を流し込んだ。


「ちょ!いやんちょっと!あらあら」


少し戯けて驚くフルド。

カタリナは朦朧としながらもリムルの咀嚼した肉を受け入れてゆっくりと飲んだ。


「まだ食べられそうですか?」


リムルの言葉にカタリナは汗ばんだ顔でコクリと小さくうなずく。


汗ばんでるのは熱のせいだ。

しかし、肉を飲む時に時折聞こえる吐息の音、

二人の同じ毛皮で寝ている体勢、

まるで濃厚なキスをしているように錯覚するのはフルドだけではないだろう


別に珍しいことじゃない、自然界ではよくあることだ。胃で消化したものを与える動物は多い。そう思いながらもフルドは気恥ずかしさに耐えながら肉を焼いた。


ーーーーーーーーーーーーー


「・・・・・・・・」


バンズはフルドの残した、足跡を頼りに進んでいると、日の明かりを発見した。

しかし、敵の可能性を示唆し離れたところから

バンズはミルから貸してもらった単眼鏡を覗いたのだった。


その視界に映ったのは、息子がアマゾネスの女と濃厚なキスをしているところだった。

思わず単眼鏡を外す。


リムルが肉を口に入れる場面を見れば状況を理解できたのかもしれないが、


偶然にも、肉を口に入れるタイミングで単眼鏡を外し、与えている時だけ単眼鏡を覗くを何度か繰り返してしまった。


バンズは静かに単眼鏡をポケットにしまった。


ーーーーーーーーーーーーー


「バンズさん!どうでしたか?」


ミル達のところに戻ってきたバンズにミルは問いかけた。


「・・・・・リムルを見つけた」


「そうですか!それは・・・・・」


リムルを見つけたにしては深刻そうなバンズの声を見て、あらぬことを察してしまったミルは涙を流した。


「・・・・ごめんなさい、私達のせいで、本当に申し訳ありません、」


泣きながら謝罪するミルにコランも察して、その場に頭を地面につけて謝罪する。


「待て待て待て、生きとる、リムルは生きとる」


「え、では今からでもすぐに」


「いや、朝になってからにしよう・・・・・あっ・・・」


「・・・・どうしたんですか?」


「すまん、雪兎すっかり忘れとった」


普段と違うバンズ、疑問を持ちながらミルとコランは顔を見合わせた。


ーーーーーーーーーーーーー


よう朝、バンズとフルド達は無事合流した。


「どうだ?」


「大丈夫、ちょっと血が足りないだけ」


「・・・・狙撃してきた女か?」


「うん、この人が温めてくれなからったら死んでたかも」


「そうか」


熱で朦朧としている女、昨晩の濃厚な接吻はただの口移しだと理解して、バンズはホッとしたような、少し残念な、不思議な気分になった。


いや、しかしまだ、接吻の可能性もまだ否定できない・・・・


とバンズは昨日のことを聞けずにいた。


「カタリナ大丈夫?」


「・・・・ああ」


ミルの問いかけにカタリナは小さく返事をした。


「お知り合いですか?」


「幼馴染です」


「名前カタリナって言うんですね」


「はい、ありがとうございます。命を狙われたのに助けていただいて」


バンズが立ち上がる。


「・・・・ちと、俺はフルドさんと話してくる。ミルさん達はここで、コランさんは薪を集めてくれんか」


「わかった」


コランがうなずく。


ーーーーーーーー


「お、すげぇでけぇな」


バンズは2匹の雪兎を手土産にしていた。


「フルドさんが掘った穴におった」


「え?まじで?」


「雪兎はめんどくさがって、他人の穴に入る個体がおるからな、フルドさんが獲ったあとに入り込んだんだろ」


「へぇ・・・・」


「息子の容態は?」


「全身打撲、骨折はしてないみたいだ。んで頭がパックリ切れてた、血がなくなってる」


「あの高さでそれなら運がいい」


「・・・・・・すまん」


「謝ることはない、こうやってリムルも生きとる、襲ってきた奴らが村を襲わんとも限らん」


「そか、じゃあ謝んない」


「そうしてくれ、今回は鍋にしよう、人数が多い」


「助かる、雪崩でなんもかんもなくなっちまってさ」


「そうか、あのオークさんと美人さんは?」


「わかんね、まああの二人なら無事だろ、気狂いみたいに強いから、問題はアマゾネスの仲間だな」


「オークもおる。あのオークはコランさんのように話してが通じん気がする」


「俺もそう思う。他のアマゾネスが話して通じるならいいが・・・・ま、あのアマゾネスも元気になったら襲ってくるかもしれねぇがな」


「かといって、殺すわけにもいきまい、なんとかなるさ」


「意外とバンズさんて前向きなんだな」


「後ろ向きよりはいい、人生はなるようにしかならん」


「そうだな・・・・・二人任せていいか?」


「ああ、探しに行くのか?」


「そこまで離れてないはずだしな。吹雪にならないうちにな」


「これを持ってけ」


バンズが差し出したのは、二つあるうちの一つ、小型の石弓だった


「・・・いいのか?」


「大きいのがある。持ってけ、装填に時間はかかるがないよりはいい」


「悪い、ありがとう、必ず返すよ」


「ああそうしてくれ」



カタリナ・ンド


ミルの幼馴染


カタリナが狩った獲物の革を良くミルが加工していた。

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