届かなかった愛
優は中学3年生だった。
小学1年生の夏、お父さんが務めていた会社が倒産した。社長は夜逃げをして、当時家のローンや私の保険などたくさんのお金が必要だった家族のためにお父さんは東京に行った。
春には桜を見にピクニックに行き、夏には海で遊び回った。秋は絵を書きに遠くにつれていってくれたり、美味しいものを食べにいったりした。冬は雪だるまを一緒に作った。いつも三人一緒だった。幸せだった。
お父さんが出ていってからお母さんが変わった。
住んでいた家から出て、私もお母さんのおばあちゃんと一緒に住むことになった。お母さんは帰ってこなくなった。たまに帰ってくると知らない男の人を連れてきた。
学校のみんなの態度も変わった。
みんな仲良くしてくれてたのに、優ちゃんのおうちはかわいそうなところとか優ちゃんと遊んじゃダメとか言われた。友達もいなくなった。
中学生になってもそれは変わらなかった。
遊んでくれる友達もいなかったから勉強だけはがんばった。
先生は優ちゃんは賢いから東京の高校はだって行けるわよ、と言っていて、お父さんに会えるかもって嬉しかった。
高校は東京のこの高校にしようって先生と決めた後、お母さんに伝えたら高校に行かせるつもりはないって言われた。
もう私にはどうしようもなかった。
なにも出来なかった。
ごめんなさい、お父さん。
でももうお父さんの子には生まれたくないよ。