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1/2の確率  作者: ゆきうさぎ
<0章>
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プロローグ -始まりはいつも突然に-(1)

どうも、ゆきうさぎです(^^)

今回は「歳の差」をテーマにがりがり書いていこうと思っています*

亀更新ですが、読んでいただければ嬉しいです(*^^*)

「~~~~~♪」


イヤホンから流れる音楽に乗りながら鼻歌を歌って階段をとんとんっと駆け上がる。

大学から10分くらいの距離にあるアパートを借りて、一人暮らしを始めて半年。たまに親から心配の電話は来るけど、治安も悪くないし、親からの多すぎる仕送りもあって、正直一人暮らしにしてはそれなりの生活を送れている。


「今晩は何食べようかな~」


今晩のご飯を考えながら自分の部屋に向かう。

……あれ。

部屋の前について気が付く。扉の隣にある換気扇が動いていた。確かに出る前にすべてを切ってきたはずなのに、なんで動いてるの。

気分が良かったのに、いっきに急降下して、言いようのない不安が押し寄せる。警察に連絡しようか迷ったけれど、もしかしたら自分が切り忘れただけかもしれないと思うと、手にした携帯電話をかばんにしまうしかなった。

意を決して、扉のノブを下げる。ガチャリと、扉が開く音が聞こえた。

…嘘、開いてる…!

そぉっと、自分の家なのに自分がよそ者のように中を伺うように入ると、玄関には見知らぬ黒い靴がきあった。見るからに男物のそれは、きれいに揃えられていた。それと同時になんだかいい匂いがして、中からは「誰?」なんていう声が聞こえてきた。


「いやこっちのセリフなんですけど?」


なんで人の家に他人がいるんでしょうか。

私は黒い靴から顔をあげて声のした方を見る。……驚いた。あまりに顔が整っていたから。

私より20㎝は高いだろう身長に、芸能人かと見紛うような端正な顔立ち。短髪の黒髪が好印象で爽やかに見えた。歳は…私よりいくつか上に見える。


「部屋、間違えた?」

「いいえ?ここ、503号室ですよね?」

「うん、そうだね」


私は1度部屋から出て、壁に書かれている部屋番を確認する。お兄さんも肯定したように、部屋番は私が言った通り503号室だ。


「お兄さんこそ部屋間違ってない?」

「いや?俺は503号室だけど?」


……はい?俺は503号室?いやいやいや、今朝までここで寝泊まりしてたのは私なんですが!?家賃だってちゃんと払ってますよ!?なに?どういうこと!?


「まぁとりあえず入りなよ。こんな玄関先で話してもられないし」

「あ、はい」


そういってお兄さんに部屋に通してもらう。…あれ、私の家なんだけど、ここ。あっれー。

部屋に入ると、当たり前だけど私が使っている家具が置いてある。といってもここ、家具はもともと置いてあるところだから私が買ったものってけっこう少ないんだけど。


「あんた名前は?」

「人の名前聞くなら自分の名前言ってよ」


私は持っていた鞄を床に置いて、つけていたネックレスを外して棚の一番上にあるボックスに片付ける。そんな私の行動を見たお兄さんは怪訝そうに私を見た。そんなふうに見たいのはこっちだっつーの!


「俺は菜月 千晶(なつきちあき)。お前は?」


名乗ったぞと言わんばかりの顔に小さく舌打ちをついてしまった。


「…和城 真宙(かずきまひろ)


ふんっと鼻を鳴らして言えば、ふふっと笑った。その笑顔に少しだけドキッとしたのは秘密だ。

絨毯しいている床に座り込んで初めて、壁に背を預けて立つお兄さんをまじまじと見た。その時に、私をじっと見ている私と目が合った。


「なに、」

「あんた学生?」

「そうですけど‥ていうかなんでこの部屋にいるんですか?」

「決まってるだろ、ここが俺の部屋だからだ」

「ここ、今朝まで私がいたんだけど」

「…は?」


ああもう、本当に知らなかったのか。なんだか頭が痛いんだけど。思わずこめかみに指をおしてため息をこぼしてしまう。


「‥どうりで向こうがよそよそしかったと思ったんだ」


わしゃわしゃと頭をかいたお兄さんもとい菜月さんはため息をはいて私を見る。それが意味わからなくて首をかしげた。


「お前今日からここでルームシェアすることになってただろ?」

「‥なってましたけど、」


でもそれは女の子のはず…。


「ああ。お前俺の名前もう1回思い出してみろ」


思い出してみろって…。

私はさきほど聞いた名前を思い出す。なつきちあき。お兄さんはそう名乗った。特に何の違和感もない。

…ないか?いやいや、ないわけない、よな?ちあきって、どんな字使っても女の子だよな?え、女の子の名前、だよね?


「そろそろ気が付いたか」


とても苛立たしげにそう言ってまた髪を乱暴にかく。舌打ちをついておもむろにスラックスのポケットから携帯を取り出すと、耳に当ててどこかへ電話をかけ始めた。しばらくその様子を見ていると、お兄さんは眉間のしわをみるみる深くしていき、最終的には、置いてあったクッションに勢いよく投げつけてしまった。ボスンという音とともに、また舌打ちが聞こえた。


「どうかしました、か?」


聞いてちょっと驚く。なんつー人相の悪い顔だ。イケメンが睨むとこんなにも迫力が増すのか。

‥くわばらくわばら。


「…やられた、」

「へ?」

「電話はつながらなかった。この時間だと店もやってないだろうし‥」


そう言って私を見る菜月さん。とりあえず説明を請う。


「お前は俺を女だと思ってた。俺もお前を男だと思ってた」


なぬ!?私のどこが!?と言いたいが、確かに名前だけを見れば、苗字も名前も男の子に間違われる私。


「俺はお前が男だと思ったからルームシェアの相手に選んだ。お前もそうだろ?」

「‥まぁそうですけど、」


でも実際は男だったわけで。

私は名前は男だけどれっきとした女なわけで。

どうしたらいいんでしょうか…?





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