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死の恐怖

「うわあああああああああああぁッッッ!!!」

 痛い!! 焼けるような痛みが俺を襲う。俺の左腕は、部屋の端に飛んでいった。

 肩から先が無くなっていて、断面からはおびただしい量のドス黒い血がボタボタと床に血溜まりをつくり続けている。

 ――――やばい! やばいやばいやばいッ!! 俺は死ぬのか? こんなところで……ッ。

 大量出血したせいで意識が朦朧とする中、とりあえずこの世界でのあらゆる危機を回避できる力――――つまりメニュ-画面のことだが――――を使用するため、斬り落とされていない右手を挙げた。瞬時に全てが静止する。斬られたのが左手でよかっ――――よくねぇよ。

 ともかく、奴の追撃は阻止できた。

「!? ――――これは……?」

 ここで俺は、血が止まっていることに気付いた。

 もちろん、この怪我でそう簡単に止血される訳がない。左肩を見るとやはりグロい断面で、左腕は存在しない。だが、血は出ないのだ。それに、痛みも感じない。

 きっと、このメニュー画面の力なのだろうが――――。

 まあいい。そんなことより、奴を倒すことを考えよう。

 たぶん、ジャックの体にはありとあらゆる場所に鉄板を仕込んであるだろう。つまり、奴の体には攻撃できないと仮定しておこう。また反撃されて今度は右手を奪われてはおしまいだからな。

 ならば、攻撃方法は一つ。何も付けていない顔を短刀で抉る! これしかない。

 まずは武器。5メートルほど先に転がっている俺の左手に目を向ける。それに握られた短刀を取るんだ。

 できるだけ大股でそちらに向かう。2歩で辿り着き、足を動かさずにしゃがんで左手に握られた短刀を入手すると、立ち上がってその場で1歩。

 メニューが消えた瞬間にもう一度右手を挙げ、再度すべてが止まる。

 そしてさっきと同じように2歩でジャックの前に辿り着き、短刀を構え、足を踏み出すと同時に右手を思い切り振った。

 ドシュッ! という音を立てて短刀がジャックの顔面に突き刺さった。

「ぐああああああッ!!!」

 ジャックが突然の攻撃、そして激痛に驚き、声を上げる。

 短刀が刺さった部位は、額。脳という重要な器官を攻撃することができ、また、流れる血で視界を遮ることができる。

「何をしやがったこの死にぞこないがぁッ!!」

 ジャックは吠えながら、無茶苦茶に剣を振るう。

 彼の目の前に立っていた俺にはもちろん届く。それどころか、致命傷が与えられるほどだ。

 自らの血で目が見えず、適当に振るった剣なので、1撃で即死とまではいかないが、何度も何度も受ける斬撃で――――ッ。

 ――――もう限界だ……。

 足は力を失い、手はだらんと下がり、俺は音を立てて床に崩れ落ちた。

 周りの音がだんだん聞こえなくなり、意識が薄れてくる。と、今までの思い出が蘇ってきた。

 ああ、走馬灯ってやつだな……。

 蘇る記憶はというと、ゲームしたり……ゲームしたり……。……ゲームしたり。俺の思い出はそれだけか。それだけなのか?

 やっぱそんなにいい人生じゃないのかも……。

 俺は死にながら後悔した。※死ぬ気弾を撃たれたわけではありません。

 ……アホか俺は。

 そんなことを考えるうちに、本当の本当に意識は消えていった。

 ――――俺は……死ぬのか……。

 

 意識を失う直前。


「くそがあああああああぁぁッ!!!!!」

 ジャックの叫びと、

 ズガンッ!!!

 銃の発砲音が聞こえた。

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