第6話:ナンパに行こう。2
「…続いてしまった。」
学校と我が家の中間地点にある繁華街。
俺は誠の卑劣な行為によって、ナンパをしに来てしまった…。
(続編になるなよ…。)
恨みがましく、誠を見遣る。
「うむ。作者は我が味方ナリッ!」
余程嬉しいのか、クネクネと怪しげな動きで、通りすがる女性達に視線を追わす。
…気持ち悪いから、ヤメテ。子供が石を投げようとしてるじゃないか。
仲間と思われたくない俺は、少し離れてソッポを向く。
「お〜いっ!御子柴よっ!ギャルが大勢いるぞっ!!」
…あの野郎。
「より取り見取り。困ったなぁっ!半分ずつなっ!!」
「やかましいわっ!!」
何が半分ずつだ。せっかく他人のフリしようとしたのに!!
…ほら。俺の周りから、女の子が消えたじゃないか。
(暫くここには来れないな。)
悲しくなりながら、遠くを見る。
…泣いてなんかないもん。
そっと、目を拭いつつ誠と共に歩きだす。
「…で。どうすんだよ?俺ナンパなんかした事ないぞ?お前手本見せろよ。」
「うむ。まかせろ!俺ほどになればナンパなど朝飯前のその前の夜食に戻るほどだ!」
…そのまま母胎まで戻ってくれよ。
訳のわからん言い方で自信たっぷりな誠に、とりあえず手本を見せてもらうことにする。
「見てるがいい!我がナンパの極意をっ!!」
そう叫び、10m程先のカー○ルおじさんの横に歩いて行く。
「ふぬぁっっ!!」
奇声を上げ、上着を破り捨てる。
…おい。
そのまま奴は微動だにせず、時が過ぎていく。
…1分。…2分。…3分。
ザ・ワールドかっ!?
通行人の皆さんが固まり、まるで時間が止まったかのような錯覚を覚える。
…いつの間にス○ンド
使いになりやがったんだ?。
「お巡りさ〜んっ!!」
取りあえず、動けない皆に変わって俺が通報する。
善良な市民の義務だからな。
「裏切り者ぉっ〜!?」
そう叫びながら、半裸で駆け付けた警官と警察犬から逃げて行く奴の姿を見送る。
(達者でな。)
心の中で、せめてハンカチを振ってやる事にする友達思いの俺。
「またお前かっ!?次は逃がさんぞっ!!」
…またって。
「…ふぅ。疲れた。」
なんか10歳くらい老けた気がするぞ?
(…帰るか。)
馬鹿から解放された事だし、さっさと帰った方がいいだろ。
周りからの視線もいたいし。
通報した俺は被害者だぜ?
気が滅入り、重い足を動かしながら、心の中で誠に呪詛を投げ掛けやる。
(今日の日課の藁人形は怒り3割り増しだからな!)
ーードドドドドッ!!
(…ん?)
前方から、地鳴りが聞こえて来るような。
「み〜こ〜し〜ばぁ〜っ!!」
「…ひぃぃっ!!」
全身ボロボロの誠が、頭を警察犬に噛まれながら、こちらに向かって走ってくる。
『八ッ墓村の祟りじゃ〜!!』
的な形相に悲鳴を上げる俺に向かって…。
こう叫びやがったのだ。
「まぁだ、続くのだぁ〜〜!!!」




