第45話:爆裂!!お兄さん。その1
「お兄さん。寄ってかない?」
妙な鳥肌ボイスが聞こえ立ち止まる。幼い声に似合わない呼び声に、首を傾げて辺りを見回すと小学生くらいの女の子がシナを作って俺を見ている。
「…………」
「…………」
見つめあい、しばしの沈黙の後
「ふっ。ばかな…」
俺は一人妙な納得の後、立ち去ろうとするが、例によって例の如く上手くいくはずもなく
「キャアァーーッ!幼女誘拐犯ーッ!!」
「何を言うかぁーーッ!?」
少女の叫びに俺は、即座に駆け寄り捕まえるとその場を彼女とともに走り去った。
「お兄さん…ホントに誘拐してるよ?」
小脇に抱ている彼女に
「やかましいわッ。誰のせいだと思ってやがる!」
そう言い返すと彼女を降ろし息を整える。全く毎日毎日災難ばかりきやがる。
「…で。お前誰だよ?」
「お兄さんの妹の苺です」
1秒とかからず返答を返す苺。
「キエテクダサイ」
「ええッ!?」
「何故に驚く?」
こんな妹をもった覚えはありません。
「おかしいなぁ?データによると妹萌なはず」
「なんのデータやねん」
はあッと溜息とともに言う。コイツ俺の事知ってるみたいだなぁ。
改めてみる。恐らくは5、6年生であろう、かわいらしい顔にツインテールのおさげ髪。
「そんなに見つめちゃイヤ」
手を頬にあてクネクネとダンスを踊る彼女。
(かかわるなッ関わってはいけないッ!)
過去の経験から第六感が告げている。コイツは危険だと。
「さぁ私の両親に挨拶しに行きましょうッ!」
俺の思いを無視し、言う苺。何が両親にだ?
「意味がわからんのだが?」
「もうっ。レディーに言わすの?」
頬を可愛く膨らまし言う。誰がレディーだよ。お子ちゃまがなどとは口には出さない。多分恐ろしいことになる気がするからな。
「二人の婚約発表の為よ!」
「なんでやねんッ!?」
恐らく来るであろう台詞だったがツッコミを入れずに入れないのは俺のカナシキ性か。
「初対面だし」
「私は知ってたもん」
「年が離れ過ぎている」
「マニアには大ウケよ?」
「何がじゃあーーッ!?」
意味のない押し問答に叫びを上げてしまう。
「そんなに叫ばなくても…10年経てばお似合いな年齢よ?」
ヤレヤレと言った感じで俺に告げてくるが、そう言う問題じゃない。どうしてやろうかと悩んでいると
「何をそんなに悩んで?…はっ!?まさかもう我慢できずに私を?」
「おいコラ」
「やっぱマニア?」
「馬鹿言ってんじゃねぇーーッ!!そもそもお前は誰だよッ!?」
「だから苺です。妹兼許婚。萌えるでしょ?」
「萌萌萌と、こんな奴しか周りにはおらんのかチクショーッ!!」
相変わらず一方通行なキャラの出現に頭を抱えていると、俺を通報せんとする叫びが。そう奴の叫びだ。
「お巡りさ〜ん!ここに連続萌女誘拐犯がいますよーッ!!」




