第40話:少女達の恋。その3
私は星野由香。誰に言ってるんだって?それは秘密です☆
花音ちゃんは、最近お疲れ気味の様です。まぁこんな短期間で、13回も告白受けてたら疲れると思うけど。
ほんとに彼女はモテます。というか、薫君の周りにいる女の子は皆綺麗でモテモテなのです。
(私もその一人だけど。てへ)
な〜んて可愛いらしく舌を出してみました。もちろん心の中だけですよ?
あっいけないっ!?授業に集中しなきゃっ。…でも気になるんですよね。なんてったって女子高生の感心事No.1は、やっぱり恋愛ですから♪
もちろん私自身の恋愛もです。うふふっ私の好きな人は花音ちゃん達と同じ、薫君。とってもカッコよくて、でもどこか情けない。そんな人。わかんないかな?とにかく優しい人なの。
作りものの優しさとは違う、自然の優しさ。普段当たり前にしている行為が、あまりにも自然で…。打算のないその行為に、ついクラッと来てしまうの。
(本人は自覚症状ゼロみたいだけど…)
彼の様に自然に優しさを出せる人は、凄い魅力的だと思う。
ただ…。それがあまりにも当たり前にしている薫君は、その行為が誤解を生んでしまう事がある事を気付いていないの。もちろん彼の良い所なんだけど、勘違いしてしまう女の子にとっては、とても残酷で。
(まあ、治す必要はないと思うんだけど)
私も勘違いした一人。でも私の場合は勘違いだと認識してます。彼の事が好き。付き合いたいと思うけど…。このままで良いとも思うの。
元々ラブレターを渡した時に、付き合ってくださいとは言ってないし。
それに今の環境が、とても心地良いの。逃げてるんだって自覚はあるけど、私はこのままで良いと思う。
(今だけはね?)
だって、いつ我慢できなくなるかわからないし。私だって欲望はあります。その…薫君としたいとか思ったりってキャーッ!!何言ってるんだろ私っ!?
少し興奮しちゃいましたっ。えへへっ。んっ?なんか今花音ちゃんがブツブツ言ってます。振り返って見てみると顔が赤いです。
どうやら薫君の事でも考えてるみたい。花音ちゃんと目があったけど、私はニヤニヤと顔が笑ってしまうのが止められなくて。あははっ今度は薫君を睨んでる。
(あっ…。薫君顔が真っ青で震えている)
よっぽど凄い形相でにらまれたのかな?冷や汗がダラダラと出てます。
(女の子には、とことん弱いね?)
そんな薫君を見て、私は言ってしまいます。もちろん心の中だけでですよ?花音ちゃんみたいに、口には出しません。
優しくて、女の子に弱くて。
そして鈍感さんな薫君。
私はこの学校の入学試験の時から彼が好きだった。 私はドジだから、校舎で迷子になって、たまたまいた彼に連れていってもらったんです。しかも最悪なことに受験票を家に忘れたみたいで…。泣きそうになった私を見兼ねて、代わりに試験官の人に掛け合ってくれたんです。彼のお蔭様で何とか受験できる事になって。そしたら試験時に席が隣で。
(安っぽいかも知れないけど…私は運命と思ってしまったの)
それからは、彼を毎日目で追い掛ける日々。同じクラスになれた時は、夢みたいな気持ちで、軽く昇天しちゃいました。
最初はラブレターも渡す気はなかったの。だって薫君の周りには、可愛い女の子が何人もいて。
でも我慢できなくて。せめてあの輪の中に入りたくて…とても暖かそうな、あの輪の中に。
(ラブレターを渡した時、ビックリしてたっけ?)
あれからすぐ、ドタバタがあって。でも凄く楽しかった。
きっと薫君は入学試験の事は覚えてないと思います。彼はそんな人だから。でも、そんな薫君が私は大好きなんですっ!!
惚気ちゃいました?エヘッ。
いつまで続くかわからないけど、とにかく今はまだ…皆で仲良く楽しくいたいな。
もちろん最後の最後は…私を。ね?
めでたく40話!!作者もビックリです。祝とかそうわけではないんですが、今回は由香が初主役。一人称独白と言う形にしました。ほんとはもっと早く彼女を使う予定だったんですが、話しの流れ上今回になりました。一応ヒロインの一人な彼女。大変影が薄いですけど、めげずに頑張って!!




