第33話:逃亡者・二階堂静香。
『銃刀法違反で逮捕された二階堂静香被告(二十歳)は何故か縄で縛られており、勇者様、ご主人様と意味不明な言葉を…』
「あうぅ……」
テレビから流れるニュースに脱力してしまう。
「ついに知り合いから犯罪者が…」
まぁ、いつかはこうなると思ってたけどな。ヤバイ奴らばかりだし。
「二階堂君のお姉さんって凄いのね」
「誠くんに似て変人さんなんだ」
一緒にテレビを見ていた月姫・織姫が好き勝手言う。…おまえらも同類ですよ?
「はぁ……。乙姫と花音は?」
「なんか決闘だっ!て言ったきり戻ってこないわよ?」
「なんの決闘だろーね?薫くん知ってる?」
「シリマセン」
言いたくないデス。
みんな一回逮捕されるべきだな。少しでいいから平和が欲しいし。夢のまた夢にすらならん妄想をしているとテレビでなにやらアナウンサーが叫んでいる。
『ただ今入った情報です。銃刀法違反で逮捕された二階堂静香被告が、勇者様に会いに行くと言い残し、刑務所内から逃亡。現在行方を追っているとのことです!!』
「ぶはっ!?」
思わず吹いてしまった!あのお姉さん脱獄かよっ!
「この家にきたりしてねー?」
「薫くんいるしぃ?」
「不安になる様な事は言わないでください」
有り得るから。勇者様って俺だし。
「平和が欲しい」
「えっ!?子供が欲しいっ!?」
「待ってて薫くんっ!今精力剤を100本ほど用意するからっ!!」
「一言も言ってねぇーーっ!!大体精力剤100本て!?」
「2週間くらい夜通しで」
「死んでしまうわっ。殺す気かっ!」
「そんなお兄ちゃん!?突き殺すなんてっ!?あっちなみに突き殺すの意味は…」
「やかましいわーっ!!」
ろくな事を言わん!何を考えてるんだよっ!?
「そしてお兄ちゃんも銃刀法違反で逮捕されるの」
「薫くん自身の銃刀でねー。きゃー♪」
「きゃー♪じゃねーっ!!何を言いやがりますですかっ!?」
あかんっ。もうコイツらも今すぐ刑務所に送るべきだ。
「お前らも刑務所にいきやがれっ!」
「そんなっ!?拉致監禁っ!?」
「そして飽きられたら東南アジアあたりに売られるんだ」
「その思考はどこから来るんだぁーーっ!!」
ハァハァ。つ、疲れる。毎日毎日これじゃ禿げてしまう。
もうどうにでもしてくれと、半分投げやりになった時、ガシャンっと窓が割れる音と共に、あの逃亡者の叫びが家中に響いた。…やはり来やがりましたか。
「勇ぅ〜者様ぁ〜〜っ!!」
出す気なかったのに、思いつきで二階堂姉続編です。名前も付けちゃった。




