第31話:伝説の勇者様。その3
「聞きたいか俺の武勇伝♪」
「聞きたくない」
奴――誠が馬鹿が加速される前に否定してやる。
「…むう。ノリが悪いぞ?」
ムシムシ。コイツに関わる暇わない。今はこの一帯の消滅の危機なんだから。 誠の後ろで繰り広げられている戦いを目に入れる。
「エクスカリバー!」
潰れた金属バットを振り回すお姉さん。
「ほう…聖剣に選ばれたのか」
「潰れた金属バットのどこが聖剣なんだよ」
今だ怪しい動きのまま言う誠に冷たく言ってやる。
「無駄無駄無駄無駄無だぁーーーっ!」
「ディオがいるっ」
往年の名台詞を言いながら避け攻める乙姫。その凄まじい攻撃に、耐え切れずっちに吹き飛んでくる。
「きゃあっ!」
こちらの様子に気付いてない二人。お姉さんは上手く体制を整えると、何やら取り出し攻撃した。
パンパンっ!!
…………はっ!?あまりの事に呆然としてしまった。
「あんた何してんだっ!?」
「テレレテッテテ〜ン♪拳銃〜」
「あほかぁーーっ!!」
そう。お姉さんは道のど真ん中で銃をぶっ放しやがったのだっ!
「何がですか?」
俺の叫びが聞こえたのか、こちらに振り向いたお姉さんが、誠の顔を見て固まった。
「…………、」
何だ?って、んな事はどーでも良いんだっ!乙姫わっ!?
「どこを見ているのです?」
乙姫は変わらずそこにいた。視線を外したお姉さんを睨みながら。
パラパラ……。
「こんな物では私はヤレませんよ?」
掌から零れ落ちる弾。
「…うそっ!?」
手で受け止めやがった!?ありえねぇ!?
「さすが1000萌パワーの乙姫くんだな」
「んなわけあるかぁーー!!」
そんなパワーなんかないっ!!もう本格的に人をやめているじゃねーかっ!
(人外の生物だ)
「薫ちゃん、そこの雌犬と一緒に死ぬ?」
「ヒァヤっ!?ごめんなさいっ!」
0,02秒で土下座。また心を読みやがった!
そんな俺と乙姫をよそに、お姉さんが誠を指差し叫びを上げた。
「こんな所で何をやっているのです!魔王よっ!」
「え?」
「勇者様っ!そやつが魔王です」
「えっ?えっ?」
事の成り行きについていけないんですが。誠が魔王?変態魔王ってとこですか?誠を見ると、まだ変なポーズのまま。しかし顔には不適な笑みが。
「よそ見をするなら、今すぐ死になさい!」
俺達をよそに乙姫がそう言うと、手に何かが握られていた。
(…縄だ)
俺のトラウマの一つになっているそれを、ブンブンと勢い良く振り回している。
「痛くはないですから。この世の物とは思えない快楽の中で死になさい」
ああ。どんな快楽とか聞きたくないよ…。気のせいか体がムズムズする。
そんな時に誠は、また歌い出した。
「聞きたいか俺の武勇伝♪」
「お前ってスゴイナ」
空気を読まない誠に、あるいみ感動すら覚える。
しかし奴の言葉の続きに俺は唖然とすることになる。お姉さんを指差し歌う。その内容に。
「目の前のコイツは、我が姉貴♪武勇伝♪武勇伝♪」
まだ続きます(笑)初の4話連続です。てか少しばかし御礼の言葉を。応援してくださる方々。有り難いメッセージを贈ってくださる方々。ありがとうございます!元気、勇気が百倍になりますです。小説を書き始めた当初は、こんなメッセージが頂けるなんて思いませんでした。これからもガンバリマスデス!