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らぶ・ぱら☆  作者: 黒猫
3/50

第2話:たまにはこんな日も…。

 『らぶのらの字もないよな。』


 『これって恋愛物だったっけ?』



 ……はっ!?今、天の声が聞こえたような。


 「どうかした?薫ちゃん。」



 突如降って来た天の声に戸惑っていると、隣を歩いていた一つ上の姉が声をかけてくる。


 今は学校帰りだ。


 「なんでもないよ。お姉ちゃん」


 「もう。いつも言ってるでしょ?乙姫って呼んでよ。」


 プクッと頬を可愛く膨らまし、睨んでくる。

 栗色の肩までかかる髪にクリクリッとした瞳。

 月姫が綺麗なら、乙姫は可愛い部類になる。


 「だって、お姉ちゃんだし。」


 「昔は呼び捨てだったじゃない?」


 鞄をブラブラと揺らしながら、懐かしむような表情で俺を見つめる。



 (だって、年下だと思ってたし。)


 今でも、生来の童顔のせいか見ようによっては、年下に見られることがある。


 (まぁ…その割には胸はでかいけど。)


 不謹慎な事を考えていると


 「薫ちゃんのえっち!」


 パンッ!と鞄をぶつけてくる。


 「なっ…!まさか心を!?」


 疚しさ爆裂な心を読まれたかと慌てるも


 「うふっ。心を読まないでも、薫ちゃんの顔を見ればわかるよ?」


 コロコロと笑いながら答えてくる。


 …結局、心は読めるのね。


 今は亡き、我が人権を何とか復権出来ないものかね?


 叶いそうもない願いを胸に秘め、乙姫に目を向ける。


 「…ん?」


 目が遭うと、軽く小首をかしげ、そして何かを思い付いたかのように腕を絡めてくる。


 「ちょっ…!乙姫!!」


 「あははっ☆乙姫って呼んだねっ。」


 動揺のあまり、つい出た言葉に嬉しそうに目を細め、絡める腕に力を込めてくる。


 「ああっ当たってる!」


 「あはっ。顔真っ赤!興奮する?ガォーッてなる?」


 「な、何言ってんだよ!」


 (どうもやりにくいなぁ。)


 さっきまで、狂犬(月姫)を相手にしていたせいか、微妙に甘い雰囲気に調子が狂う。


 (てか、本来同類のはずなんだが。)


 「誰が何の同類なの?」


 「…な、何の事でしょう?」


 ムッと睨みながらも腕を離そうとはしない。


 …やっぱり、心読めるんじゃん!


 そう思いつつも、普段なら他の姉妹に負けず劣らずな行動をとるはずの乙姫が、今日は可愛く見えてくる。

 …まぁ、実際可愛いけど。


 「前半部分は余計だけど、褒めてくれてアリガト♪」



 頬を朱く染め、瞳を潤ませて見つめてくる。


 「だ、だから心を読むなって!!」


 ヤバイッ!いつもとのギャップのせいか、メチャクチャ可愛い!!


 「な…何だ!罠かっ!?…はっ!?わかったぞ!さっきの天の声の仕業か!!」


 「何言ってるの?…薫ちゃん。私だって女の子なんだよ?」


 ……はうっ!

 トドメを刺すような台詞を。


 「いつもは、薫ちゃんの事、殴ったり蹴ったり投げ飛ばしたりしてるけど…。」



 …おかげで、丈夫になりました。


 変な感謝をしていると、小さな声で


 「たまには…ね?」


 「…そうだな。」


 たまには、こんなのも…良いよな?


 そう気分を切り替えると、夕日に照らされた町並みに二人の影を混じらせ歩き、久しぶりの感覚に心地良く家路に向かうのだった。


 ちなみに、二人の様子を見ていた月姫は、まさに世紀末覇王のごとく門で仁王立ちし、それを見た俺は学校に逃げ帰るのだった。


    合掌。


 「ちょっと!ヒロインである月姫様の出番これだけっ!?」

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