第24話:我ら、萌☆親衛隊☆その1
「天誅ーーっ!!」
そう叫び、いきなり木刀で殴り掛かってくる男子生徒。
「…何だ?」
そう口に出しながらも、左足を軸にし右足を半回転。つられるように半身になる体勢で木刀をやり過ごすと、男子生徒の伸びきった腕、正式には手首を左手で捕まえ捻りながら、更に自分の体を半回転。すると
「あら不思議。簡単に転がるのでした」
ふん。こう見えても御子柴家の長子なんだからな。…しかし
「何故襲う?」
その言葉に反応するかの様にゾロゾロと10人程現れる。皆、頭に鉢巻きをしめなにやら書いてある。
『萌☆親衛隊☆』
(…………。)
馬鹿だ。萌ウィルスに汚染された奴らがここにいる。 衝撃のあまり呆然としていると、
「ふははははははっ!」
聞きたくない笑い声が…。幻聴と言う事にしておこう。
「ふははははははっ!」
(今日の晩飯なんかなぁ。)
軽く現実逃避をしていると
「ふははひゃっゲホゴホッ」
「あ…むせた」
「ゲホッ。我輩を置き去りにするな親友。放置プレイならもっとわかりやすく…」
「やかましいわぁーっ!!」
ヨダレを拭きながら恨めしげに俺を見つめる誠。
「毎回毎回毎回っ!何なんだよっ!!」
「見てわからんか?彼等は〈萌☆親衛隊☆〉そして我輩は団長であるっ」
「煩いわっ!このウィルスバグ野郎っ!大体何故襲うんだよっ」
「ふっ。痴れた事を…」
「何だよ?」
「天誅だよコレはっ」
…意味がわからん。
「惚けるのも大概にしたまえっ。貴様がいかに重大な過ちを犯しているか気付いていない訳なかろうっ」
「どちらかと言うと、重大な過ちはお前達の存在の気がするが?」
「ふん。勝者の余裕か御子柴?」
「だから何がっ!?」
「貴様が、我らが命、萌っ娘を全て手中におさめている事がだよっ!」
「アホかぁーーっ!!」
何なんだよっコイツらはっ。ブラック○ャックでも治せんくらいの馬鹿はっ。
「貴様に哀れにも毒された我らがヒロイン達を取り戻すのだっ!」
頭が痛い。こんなのと友達で良いのか俺よ?
友人関係の見直しを真剣に考えていると取り巻き連中の声が聞こえてくる。
「乙姫ちゃんのナイスボディをあの破廉恥野郎から…」
「ユーカりんの天然ぶりを汚させないっ」
「俺にも幼なじみをぉっ!」
「かか月姫さまぁーっもっと撲ってーっ!」
「おお織姫タン、ハァハァ」
「やかましいわぁっ!最後らへんは明らかにおかしだろがっ!!」
危険だ。危険過ぎるぞ。
「ふっ。彼等の心の叫びが聞こえたかね?」
「…あぁ。ホントに心の叫びだったな」
嫌な心の叫びだよ。まったく。
「「「「よって貴様を粛正してやるーっ!」」」」
どっかのMS乗りみたいな事を叫び、ジリジリと近づきくる変態達。あまりの異様さに、さすがに気押されし、某カードのCMみたいに焦る俺。
(くっ。どうする?どうするよ俺?)
すると心を読んだかの様に叫ぶ誠の声が。
「続きまーすっ!!」
萌リターン(笑)




