第21話:真・いつもの昼休み。
「こぉのっバカチンがぁっ!!」
教室はおろか、学校中に響き渡りそうな声で俺に迫る誠。今は昼休み。いつもの様にダベっていたのだが。
「…何がだ?」
「貴様ぁッ!惚けるのも大概にしたまえっ!」
唾を撒き散らしながら俺に吠えてくる。汚いなぁ。まぁ、理由はわかっているんだけど。
「3姉妹やユーカりんだけでは飽きたらず、転校生にまで毒牙にかけおってっ!」
「落ち着け…誠」
「イチャついてる姿見て落ち着けるかぁーっ!」
…イチャついてなどいない。いないのだが。
視線を横にやると俺に腕を絡めている花音。俺と目が合うと、ニコッと微笑んできた。
(うわぁっ)
危険なほどに可愛いかった。月姫がこの場にいなくてよかった。
「言っただろ?花音は幼なじみなんだよ」
「けしからんっ!姉・妹の次は、幼なじみ属性かぁっ!」
「何だよそれっ!」
また出た訳のわからん台詞に思わずツッコミを入れてしまう俺。
「ふっ今更惚けるのもやめたまえ」
「…惚けてはないつもりだけど」
瞬間、誠の目がクワッと見開き、
「貴様程、萌の要素に恵まれた生活をしている奴を我輩は知らんっ」
…萌ときましたか。
「実妹に、従姉妹で義理の姉と妹、学園の天然系純情アイドル、そして幼なじみっ!貴様何処まで強欲なのだっ!?」
「うるさいわっ!!」
「はっ!?貴様まさか…それだけでは飽きたらず、家ではネコミミなどを付けさせているのでは?」
「やかましいっ!」
ワナワナと震えながら言う台詞かよ?
「…我輩的には、ウサミミを希望するのだが」
「本格的に黙れっ!!」
花音が目をまんまるく見開いてるではないか。こんな生活を送っているのを知られたくなかった。
「こいつは軽く狂犬病にかかってるんだよ」
「どちらかと言うと狂牛病だがな」
「…お前が言うと本当に聞こえてくるから止めろ」
「中々楽しそうな、学園生活送っているのみたいね?月姫ちゃん達以外にもモテてるみたいだし?」
そんな冷えた目で見ないでおくれ。最低人間な気になってくるから。
「うむ。御子柴は日々萌に精進しておるからな。萌要素を含んだ相手には容赦なく欲望の魔の手を向けるのだっ」
「いつ精進して、いつ魔の手を向けたよっ!」
「毎日、萌ビデオを見ながら○○タンハァハァと言うのが日課なほどだっ!!」
「人の話を聞けえぇーーっ!!」
相変わらず話しが噛み合わん。大体、萌ビデオってなんだよっ!あるのか?そんなの?
「すまんな花音。転校初日からコレで」
ホントに申し訳ない。この街に来たのが運の尽きと諦めてくれ。
「楽しいよ?薫の友達」
何て優しいお言葉だ。君が天使に見えてくるよ。そう一人感激していると、今だ萌について熱く語っていた馬鹿が、感激をぶち壊す様にいきなり叫び出やがった。いつもの様に病的に。
「萌ぇーーーッ!!」
何が真なのやら(笑)本当はもっと長く、シリアス込みでするつもりだったのですが、燃え付きました。ここ何話かギャグなかったし良いかな?




