第11話:ラブレターパニック。その2
「…どこからわいてきた?」
叫びと共に現れた誠は、疑問の声をあげる俺に、ビシィッと指をさし更に吠える。
「天知る・地知る・人ぞ知る・お前の悪事を知っているっ!!」
「ノリノリだな。おい。」
俺のささやかなツッコミを無視し盛り上がっている誠は言い続ける。
「貴様っ!こんな可愛い姉妹に囲まれてるのに、更に我らが純情系アイドル・ユーカりんにまで手を出しおってっ!!」
「何だよっユーカりんって!?」
「貴様がたぶらかした、星野由香に決まっておろうっ!!」
…あいつ、ユーカりんって呼ばれてたのか。なんかコリン星から来てそうなあだ名だな。
「いつたぶらかしたんだよ?んな事した記憶はないぞ?」
「シラをきるなーっ!ネタは上がっているのだよっ!」
バサササ…。
奴が投げ捨てた物に視線を向ける。
そこには、俺がラブレターを貰っている写真・写真・写真。
「何じゃこりゃーーっ!?」
「隠し撮り写真に決まっておろう。」
「撮り過ぎだろーがっ!」
「鑑賞・保存・贈呈用だ。」
「あほかぁーーっ!!」
俺のツッコミもむなしく、写真を拾いあげた乙姫が笑顔で話し掛けてくる。
「薫ちゃん。これでもまだシラをきる?」
「くっ。いつの間に撮ったんだよ。」
「私がお兄ちゃんを、日々隠し撮りする用に頼んでたのよ。」
…そういやそうだったな。忘れていたかった。
「パパラッチじゃねぇかっ!」
「そんな品のない名ではなく、‘誠っち’と某育成ゲームみたいに可愛いらしく呼んでくれたまえ。」
「やかましいわっ!」
「こんなにデレデレした顔しちゃって…。もう言い逃れは出来ないよ?薫くん?」
「どこまでプライバシーを侵害するんだよっ!!」
「「「奴隷にプライバシーはないのよっ!!!」」」
「そんな台詞をハモるなぁーーっ!!」
ハァハァ。…あかん。何を言っても通じやがらん。
「「「さぁっ!!説明してもらいましょうかっ!!!」」」
またもや息のピッタリ合った台詞を言い、迫る悪魔超人達。
「説明も何も、ただラブレターを貰っただけだよっ。」
「嘘よっ!あの女狐とヨロシクやってるんでしょっ!?」
月姫…。下品な言い方はやめさない。
「薫ちゃん。結婚前から浮気なんて…。やっぱりきちんと入籍届け書かなきゃダメみたいね?」
「まだ17だと言っただろーがっ!」
「こうなったら先に織姫と既成事実作ろう。薫くん。」
「俺とお前は実の兄妹だーっ!」
こいつらの頭の中には、まともな神経は通ってないのかっ!?
「とにかく、何もないんだっ。もう良いだろっ。」
「騙されないわよ。お兄ちゃん!…いえ、違うわね。可哀相なお兄ちゃんは、あの女狐に騙されてるのよっ!!」
「何がだぁーーっ!」
くっ。もう無理。こいつらとは言語が違うみたいだ。
…異文化コミュニケーションは苦手なんだよっ。
一人苦悩している俺を、何を勘違いしたのか、乙姫が慈しむ様な眼差しを向けながら言う。
「そんなに悩まなくて良いんだよ薫ちゃん?悪の元凶は確保してあるから。」
(悩んでるのはお前らのせいだっーの。)
心の中でツッコミを入れながら言葉の意味を噛み締める。
…元凶を確保?
猛烈に嫌な予感がする中、僅かな希望を胸に抱き彼女達に聞く。
「…何をした?」
「決まってるじゃないっ!」
そう月姫が言い放つと、それに合わせたかの様に誠が連れて来たのは…。
…縄で縛られた星野由香だった。
「えへっ。捕まっちゃった。」
まだ続きます(笑) 新しい登場人物、そして主要キャラ達全員を絡めるのは初めてでかなり難しいです。基本プロットも何もなく、思いつくままに作る行き当たりばったりな作品ですが、楽しんでくれたら嬉しいです。




